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【156】とあるスキマ妖怪の推察と神様たちの計画
幻想郷を未曾有の危機に晒している通称『不能異変』、あるいは『発情異変』。
その名の通り男性を性的不能にし女性を逆に発情させる前代未聞の異変は、一向に解決の兆しを見せていなかった。
無論、異変解決のために各々ができる限りのことをしてきた。博麗の巫女は異変の影響で暴走した妖怪を鎮圧し、永遠亭の薬師は症状を治療するための薬を開発しようとしていた。
そして幻想郷の古参である境界の妖怪はというと……。
「……なるほど、そういうことだったのね」
多数の目が浮いた暗闇の中で、紫は納得がいったという風な声を出した。
彼女は現在、スキマから外の世界を覗いていた。
幻想郷が大変なことになっているというのに、何をのんきなことをしているのか。そう思う人もいるだろう。しかし、この行為が異変の正体を探るために一番重要なことだったのだ。
紫は勘違いをしていたのだ。異変を解決するならば、幻想郷の中に目を向けるべきだと思い込んでいた。
だが実際は逆だった。幻想郷の外にこそ異変の原因が存在したのだ。
「……これはちょっと、私の手にも負えない問題かもしれないわね」
わずかに諦観を含んだ声。あの八雲紫でさえも度し難い現実がそこには広がっていた。
さりとて、完全に諦めるわけにはいかない。幻想郷の存亡がかかっているのだ。彼女には幻想郷の重鎮としての責務がある。
「……こうなったら、前々から準備していた計画を進めるしかなさそうね」
彼女はそう結論づけると、新たにスキマを開いて幻想郷へと帰っていく。
その顔には確固たる覚悟のようなものが見て取れた。
×××
「……その話は本当なの?」
場所は妖怪の山にある守矢神社。八坂神奈子が紫の話に耳を傾けていた。
彼女の反応には驚きと……そして何よりも得心の色が見える。
「本当よ。全部この目で見てきたもの。そして貴女たちなら理解できるはずよ。だって守矢神社は元々外の世界にあったものなのだから」
「うーん、確かにねぇ。昔からその兆候はあったけど、私たちがこっちに引っ越してきてから外もだいぶ変わったんでしょう? 幻想郷を脅かすほどの事態が外の世界に起こっていたっていうことなの?」
そう言うのは神奈子の隣にちょこんと座る洩矢諏訪子だった。
彼女は半信半疑といった様子だった。それだけ紫が語った推論は突飛なことだったのだ。
幻想郷では様々な異変が起こってきた。神奈子や諏訪子は異変の当事者になったこともある。
そんな彼女たちですら想像を超える異変が起きてしまったということだ。
内容を理解するのに数分。神奈子はやれやれと頭をかきながら嘆息する。
「……信じるしかなさそうね。それで、紫は私たちに何をしてほしいの?」
「そんな重大なことを話して終わりってわけないよね。どうせ何か企んでるんでしょ?」
「話が早くて助かるわ。これは貴女たちにしか頼めないことなの」
幻想郷を救うための鍵となるのは、もちろん彼である。
紫は異変で苦しむ女性たちを助けるために、対症療法として彼を幻想郷に呼んで女性の相手をさせた。
今思い直しても随分無茶なことをした。
彼自身が自分の重要性をイマイチ理解していないように、多くの幻想郷の女性たちの苦しみをひとりの人間に背負わせるというのも酷な話ではある。
ひとりの英雄が世界を救うなど、神話や夢物語の話であって現実的には不可能なのだ。それは現実の隣りにありながら現実とは乖離した幻想郷であっても困難であろう。そして彼は性欲だけは常人を逸脱しているものの、決して英雄を名乗れるほどの逸材ではない。
そう、彼は英雄ではない。そもそも英雄では幻想郷を救えない。
「彼を……貴女たちの手で神にしてほしいの」
ヒトでは幻想郷を救えない。
ならば神ではどうだ? 人の延長線上である英雄ではなく、世界を統べる神ならどうだ?
幻想郷の『常識』を新たに塗り替える、そんな劇的な神が現れたなら幻想郷を救えるのではないか?
これはまだ仮定の話だ。予定通りに計画を進めても、思い通りの結果になるとは限らない。
しかし、だからこそ幻想を現実にするべくあらゆる手段を尽くすのだ。
「それじゃあ、これから私の考えた計画を話すわ」
これは幻想郷の命運をかけた八雲紫の戦いである。
×××
「あっ、んんっ、んあぁっ……んくっ、あうっ、んはぁっ……♡♡」
守矢神社のとある部屋に、少女の卑猥な喘ぎ声が響いていた。
声の主は守矢神社の巫女である東風谷早苗だった。
幻想郷中の女性がそうであるように、早苗ももれなく異変の影響を受けていた。
肉体は熱でもあるかのように火照って仕方なく、頭はぼーっとしていてまともな思考ができない。
これでは何事も手につかない。日常生活にすら支障をきたしてしまう。
こんな状況でできることといえば、素直になって邪な欲望に身を任せることだけだった。
しかしそんなことが許されるのだろうか。
神職である巫女が、淫らな行為に耽るだなんて。
「あぁっ、だめっ、もう我慢できませんっ……!」
だが脳内を支配する性欲に突き動かされた彼女は、本能の赴くままに手を股間に伸ばす。
この湧き上がる欲望をすぐさま発散しなければ、頭がおかしくなってしまう。
早苗は強迫観念にも似た衝動で性器に触れる。アソコは下着越しからでも分かるほどグッショリと濡れており、改めて自分が欲情しているのだと実感する。
何もかも異変が悪いのだ。これは決して自分がエッチだからではない。そう言い訳をして、早苗は下着の上から膣口を撫ではじめる。
「んっ、んんっ、んあぁっ、はあぁんっ♡ ちょっとイジっただけなのにっ、身体がビクって反応しちゃうっ♡ んんっ、あぁっ、ひあぁっ、んはあぁっ♡♡」
異変の影響で性感帯が敏感になっているのだ。ただ触っただけなのに、今まで感じたことのない快感が全身を貫いた。
それは正に己の価値観が一変するほどの衝撃だったのだ。
早苗はこれまでオナニーの類すらも積極的にしたことはなく、ただ知識として漠然と知っていただけなのだ。
彼女は守矢神社の神聖な巫女なのだ。早苗は当然処女であり、神に捧げたものとして肉体を清らかに保ってきた。
だから彼女自身、異変の影響を受けるまで自分が性欲で頭を悩ませるなんてまったく思っていなかった。
それがどうだろうか。巫女であるはずの自分がオナニーに没頭し、必死になって股間をイジっているではないか。
いくら異変のせいだとしても、それは早苗にとって尊厳破壊にも等しい愚行なのだ。
「んんっ、んあぁっ、ふあぁっ、あぁんっ♡ だめぇっ、こんなのイケないことなのにぃっ、気持ちよくて手が止まらないぃっ♡ んぐっ、んんっ、んあぁっ、はあぁんっ♡♡」
早苗は何者かに操られたかのように、一心不乱に性器を愛撫する。
右手は自分の意志で動いているようで、理性では阻止しようにもできなかった。
おそらく凄まじい性欲で動いているので制御できないのだろう。
それだけ肉欲の力とは恐ろしいようだ。自慰の虜となった彼女は、意志とは無関係に声高らかに喘いでいた。
「んあっ、あぁあっ、うくっ、うあぁっ♡ 良いっ、気持ちいいっ、おまんこ感じちゃうぅっ♡ んあぁっ、らめぇっ、おまんこ良すぎるのぉっ♡♡」
性的快楽に囚われた早苗は、引き千切らんばかりの勢いで下着を脱いで性器に直接触れる。
彼女の蜜壺はビショビショに濡れていて、膣内から無限に愛液が湧き出ている状態だった。
そこで早苗は新たにクリトリスをイジりはじめる。欲情した肉芽は綺麗なピンク色に勃起していて、それを指で摘んでコリコリとこねくり回す。
すると電流のような刺激が全身に伝播するではないか。あまりの衝撃に早苗は目を見開き、口をパクパクと開閉しながら溢れる快感に驚愕していた。
「あうっ、んあぁっ、ひゃうぅっ……すごいっ、クリトリスがこんなに気持ちいいなんてぇっ♡♡ んんっ、んはあぁっ、ダメぇっ♡ 私巫女なのにオナニーにハマっちゃいそうっ♡♡」
早苗は声を荒げながらオナニーに没頭する。
今やってるのは自慰行為。その名の通り自分を慰めるセックスの代替行為である。
セックスとはひとりでできるものではない。交尾とは相手がいて初めて成立するものである。
早苗は性器をイジりながらセックスを夢想する。肉壷に男根が挿入する様を想像する。
「あっ、あぁっ、んんっ、んあぁっ……おまんこにおちんちんが入ったら、きっと気持ちいいんだろうなぁっ♡ ……ってイケないイケないっ! 巫女の私が男性とエッチするなんて」
処女であることが前提の巫女として、セックスは禁断の行為である。
どこぞの紅白巫女が既に処女を散らしているとは知らない真面目な早苗は、愚直なまでに巫女の教えを守っていた。
さりとて、肉体はそんなこと関係ないとばかりに必死に訴えかけてくる。
エッチがしたい。セックスがしたい。交尾がしたいと。
ペニスがほしい。陰茎がほしい。男根がほしいと叫んでいるのだ。
「うぅっ、んんっ、おちんちんっ、おちんちんおちんちんっ♡ おちんちんほしいのぉっ、おまんこにズボズボってぇっ♡ んあぁっ、おまんこが切ないよぉっ♡♡」
早苗は指を速めて蜜壺を慰める。
どれだけ指を駆使してもペニスの代わりにはならないと分かっていても、そうでもしないと性欲で自我が崩壊してしまいそうだったのだ。
彼女は涙を流してオナニーの快感に酔いしれる。膣口からは愛液が派手に飛び散り、早苗の絶頂が近いことを示していた。
「んあっ、ふあぁっ、イクうぅっ、おまんこイッちゃうぅっ♡ んあぁっ、はあぁっ、ダメっ、ダメダメダメぇっ、おまんこイックううぅぅっ♡♡」
とうとう限界が来たのか、早苗は声を張り上げ絶頂した。尿道口からは勢いよく潮が吹き出し、アクメの凄まじさを如実に物語っていた。
「はぁ、んはぁっ……こんなに気持ちいいのは初めて♡ でも、なんだか満たされない……」
彼女の性欲は、もはやオナニー程度では発散できるものではなくなっていた。
今はまだ辛うじて自慰で持ちこたえているものの、今後性欲が暴走するとも限らない。
男性の助けがなければ、真の意味で早苗が救われることはないだろう。
そんな都合のいい人間が今の幻想郷に居ればの話であるが……。
×××
早苗の自慰を部屋の外から盗み見する三人の影があった。
神奈子、諏訪子、そして紫である。
「見てみろ。可哀想に、いつもあんな調子なんだ」
「最近は仕事が手につかなくて困ってるの。私たちは神様だからか、多少は耐性があるんだけどねぇ」
「なるほど、これは重症のようね」
早苗の様子を確認し、紫はいつになく真剣な顔をする。それだけ逼迫した状況なのだろう。
状態を確認した紫は、すぐに行動に移るよう二人に促す。
「だいぶ差し迫った状況のようね。早速計画を始めてもいいかしら?」
「本当にあれをやるのか? 私はまだ半信半疑なんだが……」
「私は賛成かな。早苗の具合も芳しくないし、一定の効果は紅魔館や博麗神社で証明されているんでしょ?」
「えぇ。それに最終手段としては永琳先生のアレがあるわ。だから大船の乗ったつもりで任せてちょうだい」
「……イマイチ紫を信用できないんだけど、仕方ない。背に腹は代えられないわね」
そんなこんなで大人たちの話し合いは済んだようだ。
ここからは、今までとは行為の毛色が変わってくる。
「ふふ、ここからが正念場よ。頑張ってね」
ここにいない誰かへと向けた紫の言葉は、誰にも届くことなく虚空へ消えた。
次回からいよいよ守矢神社編が始まります。
来週に活動報告に守矢神社編のプロットを投稿しようと思います。
気になる方はご覧になってください