【093】とあるスキマ妖怪の性交と薬師の会話
その年の春に幻想郷を恐怖のどん底に陥れた未曾有の危機、後に『不能異変』や『発情異変』と呼ばれる前代未聞の異変は、未だ解決の兆しを見せていなかった。
人間や妖怪の区別なく男性を性的不能にし、女性を欲情させる謎の異変。原因は不明、黒幕も不明の異変に対して、異変解決のエキスパートである博麗の巫女ですら匙を投げる始末。
もはや幻想郷の命運も尽きたかと思われる中、何の手も打たない八雲紫ではない。
彼女はまず男性に飢える女性たちの対症療法として、外の世界から健康な男性を連れてきて女性たちの性欲を解消させようとした。
最初に連れてきた男は問題なく精力を発揮し、紅魔館の女性たちを次々に虜にしていった。
これに味をしめた紫は更に数人の男性を幻想郷に呼び、女性たちの相手をさせようとしたのだが……。
ここでひとつ問題が起こった。後に連れてきた精力溢れる男性たちが、幻想郷に着いた途端みんなインポになってしまったのだ。
何故最初に連れてきた彼だけが無事で、後に連れてこられた男性たちは被害にあったのか。
そのことについて調査を進めた紫は、この異変についてひとつの推測に行き当たる。
今も幻想郷を苦しめている異変は、私たちが想像するよりももっと致命的な危機を孕んでいるのかもしれない、と。
まだ確証はない。しかし、これが事実なら『彼』の重要度は更に増していく。
そして絶望するにはまだ早い。異変の全容を把握すれば、まだ打てる手が他にあるかもしれないのだから。
こうして八雲紫は裏でひとり、コソコソ画策する。
彼女の口から異変の全貌が明かされるのは、もう少し先の話である。
×××
貴方が博麗神社に滞在していた時のある日の朝。
「んぐっ、ぐぷっ、んんっ、じゅるぅっ♡ んちゅう、ちゅじゅうぅ、んぷっ、じゅぷうぅ♡♡」
貴方は下半身に違和感を抱き目を覚ます。まるで股間で虫が蠢いているかのような、ムズムズとした変な感触だ。
寝ぼけ眼を擦り、ぼやけた思考のまま上半身を起こす。視線を下半身に向け、違和感の正体を視認する。
すると、
「んぐっ、んんっ、んじゅるっ、じゅぶぅっ……あら、起きたようね」
股間がやけにスースーすると思ったら、なぜかズボンが脱げている。そしてパンツまで降ろされ、愚息が天高くそそり立っていた。
そして驚くべきことに、勃起したペニスを咥えている女性が居るのだ。
紫と白のゆったりとした服に金髪の長髪が映える彼女は……八雲紫だ。貴方を幻想郷に呼び寄せた張本人であるスキマ妖怪が、なぜ貴方の男根を咥えているのか。
唐突な状況に理解が追いつかない貴方をよそに、紫はペニスを舐めながら話を進める。
「んちゅうっ、れろっ、ぺろぅ、んちゅっ♡ おはよう、元気そうで何よりだわ。んんっ、ちゅぷっ、れろっ、んぱぁ♡ いきなりで申し訳ないわね。ちゅぷっ、れら、実は貴方に用があってね」
しゃぶるか話すかどちらかハッキリしなさい。要領を得ない上に快感で思考がままならないので、内容が頭に入ってこないではないか。
寝起きの貴方が紫のフェラチオに圧倒されていると、こちらの反応に気を良くした彼女は口淫から手コキに変えて、ようやく本題に入る。
「貴方にちょっと用事でね。貴方の精子をある人に調べてもらうために採取しに来たの。そうしたら、貴方の逞しいモノが元気に朝勃ちしているものだから、我慢できずに咥えちゃったってわけ」
なるほど。よくは分からないが、要は精子が欲しいということか。
貴方は流されるままに承諾する。すると紫はニコリと微笑み亀頭にキスをする。
「んちゅっ♡ ありがとう、それじゃあ精子を採取する前に……個人的に貴方のザーメンを飲ませてもらうわ♡ 私もご無沙汰だから身体が火照って仕方ないのよ……んじゅうっ、じゅじゅっ♡」
貴方の許可を得た紫は、意気揚々とペニスを咥え口淫する。
彼女は一気に根本まで巨根を咥えると、ゆっくりと顔を前後に動かし男根を刺激する。あらかじめ口内に唾液を溜めていたのか、淫猥な水音とともに愚息が生暖かい感触に包まれる。目覚めていきなりの天国に、貴方は歓喜しつつも困惑するしかない。
「んじゅっ、ちゅぷっ、れろっ、んくぅっ♡ 本当に貴方のおちんぽは大きくて食べごたえがあるわね♡♡ ぐっ、んぐっ、んんっ、ちゅぷぅっ♡ 皆が貴方に魅了される気持ちも分かるわ♡♡」
紫は美味しそうにペニスを頬張る。異変の影響で性欲が増しているのは彼女も同じだ。霊夢たちが貴方とセックスしている中で、禁欲のストレスも溜まっていたのだろう。彼女はこれまでの鬱憤を晴らすかのように、豪快に男根を貪り食う。その様は獲物を捕食する肉食獣のようであった。
「じゅぶうっ、れろっ、れちゅる、んじゅうっ♡ おちんぽビクビク脈打ってて可愛いわね♡♡ んんっ、ちゅぷぅ、んぷぅ、んぐっぷ♡ 私のフェラチオでおちんぽ汁たくさん出すのよっ♡♡」
紫は男根を咥えたまま口内で舌を器用に動かし、亀頭を重点的に攻め立てる。舌を回転させ亀頭を撫で回し、カリ首を引っ掛けるように刺激し、尿道口を焦らすようにつつく。長年の経験則を感じさせる熟練の舌技で、貴方の意識は彼女の口淫に支配されてしまう。
「じゅぶるっ、ぐじゅっ、んちゅ、ちゅうっ♡ んふふ、先っぽから我慢汁が溢れてきたわ♡♡ んじゅうっ、んぶぅっ、おちんぽ汁が出そうなのね♡ んぐっ、いつでも射精していいわよ♡♡」
脳みそまで溶けてしまいそうな、極上のフェラチオであった。紫のような美女が寝起きに口淫をしてくれる。こんな嬉しいサプライズなら大歓迎である。
紫の熱心なフェラチオに導かれ、愚息は既に爆発寸前だ。縦横無尽な舌捌きに翻弄され、亀頭は顔を真赤にしている。尿道口からカウパーの涙を流し、彼女のフェラに敗北宣言しようとしていた。
「んぐっ、んんっ、じゅぶるっ、んぷぅっ♡ らしてぇっ、おちんぽザーメンらしてえぇっ♡♡ んじゅうっ、んんぶ、じゅるるっ、んくうぅっ♡ 私の口マンコにおちんぽ汁らしてえぇっ♡♡」
紫は欲情し頬を紅潮させ鼻息を荒くして肉棒を啜っている。思考すらままならない高速フェラに導かれ、射精欲求がガンガン上昇していく。
これ以上我慢できそうにない。彼女の望み通り、朝一番の搾りたて精液をたっぷりと注いであげよう。貴方は欲望の赴くままに、紫の口内に大量の白濁液を吐き出した。
「んぐっ、んじゅぶっ、んぐうぅっ♡ じゅぶぐっ、んんんっ、んじゅうっ、んぐううぅっ♡♡」
口内に流れてくる濃厚な精の迸りを、紫は恍惚とした表情で受け止めていた。情欲の火照りに熱々の精子は蜜の如き味わいだろう。一滴残らず精液を搾り取ろうと、口を窄めたひょっとこフェラで尿道に残った精子まで吸い取っていく。紫はゴクゴクと喉を鳴らし、美味しそうにザーメンミルクを飲み干した。
「んぐっ、んくっ、んんっ……ぷはあぁっ♡ とっても美味しかったわよ、貴方のザーメン♡♡ んんっ、んあぁ、久しぶりのおちんぽミルクだったから、飲みながら軽くイッちゃったわよ♡♡」
ザーメン臭くなった吐息を滲ませながら、紫は名残惜しそうにペニスから口を離す。本心ではもっと咥えていたいのだろう。しかし今日の彼女は、ただ戯れに来たわけではない。ちゃんとした目的があって寝込みを襲いに来たのだ。
「あぁっ、流石に一回抜いたくらいじゃ萎えないわね。むしろ、前戯が終わって本番モードになったのかしら。良いわよ、次は私のおまんこの味を体験させてあげるわ♡♡」
そう言って、紫は胸からコンドームを取り出した。それを慣れた仕草で勃起ペニスに装着させる。
「本当はナマでさせてあげたかったんだけれど。精液を採取しなきゃいけないから、ゴム越しでごめんなさいね。その代わりと言ってはなんだけど、たっぷりサービスするわね♡♡」
紫は下着を脱ぐと、貴方の上に跨りペニスを膣に充てがう。アソコは既に濡れているようで、亀頭に愛液を塗りたくり滑りを良くする。そのまま膣口でグリグリと動かし馴染ませた後、ゆっくりと腰を下ろし男根を膣内に挿入した。
「あぐっ、んんっ、んあぁっ、あはあぁんっ♡ んおっ、おちんぽ入ってきたわああぁぁっ♡♡」
肉棒の感触を膣内に食らい、紫は全身を震わせ歓喜した。久方ぶりのチンポの味は、涙が出るほど感動的だろう。腰を下ろした状態で十数秒静止し、あと引く快感の余韻に浸っていた。
「ああぁっ、んあぁ、んはあぁ……♡ あぁん、挿入しただけで、ちょっとイッちゃったわ♡♡ んんっ、んくぅっ、はあぁんっ♡ ゴム付きとはいえ、おちんぽはやっぱり気持ちいいわぁ♡♡」
濃密な性の交わりに感情が高ぶった紫は、声を張り上げ喜悦を叫ぶ。手マンやバイブなどでは味わえない実物の存在感を肌で実感し、性欲が滾っているのだろう。紫は頭を振り乱しながら一心不乱に腰を振り始めた。
「んんっ、んぐっ、あぁっ、んあぁんっ♡ おおっ、おちんぽ良いっ、気持ちいいわあぁっ♡♡ むぐっ、んあぁっ、あぁんっ、ひああぁっ♡ 逞しい巨根が膣内をゴリゴリ抉ってるうぅっ♡♡」
ゴム越しであっても、紫の肉壷は正に絶品であった。膣内の肉襞が生き物のように蠢き、肉棒に絡みついて離れない。男性器を悦ばせるために存在するかのようなソレは、ゴムの上からぎゅうぎゅうに締め付け、擦りつけ、竿やカリ首を愛撫する。奥を突くと拒絶するように抵抗し、引くときは逃さないようにまとわりついてくるのだ。男を魅了する方法を熟知している蜜壺の誘惑によって、貴方の感情は荒波に揉まれるが如く翻弄されるしかない。
「んんっ、んおっ、んあぁっ、あはあぁんっ♡ こんな立派な極太チンポで虐められたらぁっ、どんな女もメスに堕ちるしかないわねぇっ♡♡ んおっ、おおっ、おぉんっ、おっほおぉぉっ♡♡」
紫との交わりは、貪欲に快楽を求めるケダモノの如き交尾であった。それは子作りのための性交でも、恋人同士のイチャラブエッチでもない。ただ純粋に気持ちよくなるための、飢えを満たすための混じりっ気のない欲求だった。精液を採取するという目的があるとはいえ、今の彼女は肉欲に蝕まれるひとりのオンナに他ならない。チンポを欲しがる卑しいメスには、特大のデカ魔羅で相手しなければならない。貴方は必死に腰を振る紫にタイミングを合わせて、下から力いっぱいペニスで突き上げた。
「おごっ、んんっ、んぐっ、んがあぁっ♡ そんな激しく突いちゃっ、おまんこ壊れるぅっ♡♡ おおっ、んおぉっ、あぐっ、んはあぁっ♡ おちんぽが子宮口をドンドン叩いてるわあぁっ♡♡」
経験豊富そうな肉感溢れる成熟マンコを、若々しい肉棒がズンズン突いていく。コンドームを付けていようが愚息は本能的に孕ませる気マンマンなのか、男根に飢えた紫の子宮口を容赦なく攻めていく。そんなことをされたら、余計に性欲を暴走させてしまうに決まっている。もはや理性を制御できなくなっているのか、彼女は快感で表情を蕩けさせながら感じていた。
「んあぁっ、あはぁっ、んはあぁっ、あぁんっ♡ デカチンポでこれ以上突かれたらあぁっ♡♡ おっ、おおっ、んおぉっ、このチンポなしじゃ満足できなくなる身体になっちゃうわあぁっ♡♡」
結合部は洪水状態であり、ピストンをする度にジュブジュブと淫らな水音を立てて愛液が迸っていた。これだけ派手な乱れっぷりを晒しているところを見ると、相当性欲を我慢していたのが分かる。彼女だって異変の影響を受けているのだろう。それだけ幻想郷を脅かしている異変が深刻なのかが見て取れる。貴方は一層気を引き締めて、紫を満足させるべく渾身の力を込めて膣奥を突きまくった。
「おぐっ、んおっ、おおっ、んおおぉんっ♡ んあっ、らめぇっ、んおっ、もうらめえぇっ♡♡ おおっ、おまんこイグうぅっ♡ んおっ、おちんぽ気持ちよすぎておまんこイッちゃうぅっ♡♡」
紫は限界が近いのか、顔面をグシャグシャに汚したトロ顔で喘いでいる。彼女の完熟マンコで扱かれて、貴方の愚息も良い感じに射精感がこみ上げてきた。中出しできないのなら、せめて存分にイカせてやろう。貴方は全力で腰を突き上げ、紫と共に絶頂するべくラストスパートに入った。
「ああぁっ、んあぁっ、あぐっ、んんっ、あはぁんっ♡ おちんぽが激しくなってきたぁっ♡♡ んおおぉっ、イキそうなのねぇっ♡ 良いわよっ、いつでもイキたい時にイッてええぇぇっ♡♡」
男根の脈動を感じ取った紫は、膣を強烈に締め上げ射精をサポートする。二人は心を一つにして同じ目的のために邁進する。息は上がり動悸は激しくなり、射精のことしか考えられなくなる。まるで股間に脳や心臓が集中しているかのようだ。極度の快感で脳が焼ききれそうな感覚に陥る中、貴方はラストに向かって後先考えない全速力で突っ走っていた。
「あぐっ、んんっ、あぁっ、んあぁんっ♡ おおっ、んおっ、おちんぽ膨らんできたわねっ♡♡ あぐっ、んくっ、良いっ、良いわよぉっ♡ 私もイキそうだからっ、おちんぽ汁らしてぇっ♡♡」
紫も絶頂しそうなのか、声を快感で震わせながら懸命に腰を動かしていた。貴方を射精させるために頑張っている彼女のためにも、たっぷりと濃厚な子種を提供してあげよう。貴方は股間の高ぶりを一点に集中させ、性の塊を膣内で爆発させた。
「んんっ、んあぁっ、きたあぁっ♡ んおぉっ、熱々おちんぽ汁がおまんこにきたわあぁっ♡♡」
紫は全身をビクビクと痙攣させ、膣内で躍動するザーメンの感触に酔っていた。ゴム越しでも分かる射精の威力で達したのか、勢いよく仰け反って下品なアヘ顔を晒している。彼女の絶頂はゴムを通してこちらにも伝わり、肉壷の急激な締め付けで濃厚な射精はしばらく続いた。
「ああっ、んあっ、んはあぁ……♡ ゴムがあっても膣内を流れるザー汁の感触を感じるわ♡♡ これほど強靭な子種を中出しで感じられないのはもったいないけれど、いっぱい出たわね♡♡」
たっぷり3分間の長い絶頂を終えて、アクメの余韻に浸りながら紫は熱い息を吐いた。このセックスで汗をだいぶかいたのだろう。ゆったりとした服が汗でぴっちりと肌に張り付き、彼女の淫猥なボディラインを浮き彫りにしていた。
時間にしてみれば短い交わりだったが、何時間もの会話よりも濃密な時間を紫と過ごしたように思う。貴方も彼女との初めてのセックスに大満足であった。
「それじゃあ、精液をこぼさないように抜くから動かないでね。んんっ、あぁっ、あぁんっ♡♡」
コンドームから精液が溢れないように、紫は慎重に腰を引きペニスを抜く。あまりの大量射精でゴムが膨らんでいるのか、彼女は苦労しながら子種を救出していた。
時間をかけて膣内から出てきたのは、レモンのようなサイズの瑞々しい精液の塊であった。よくもまぁこれだけ射精したものである。こうして視覚的に量が分かると、自分の異常な射精量がよく分かる。しかもこれで本日二回目の射精なのだから恐ろしい。
「ふふっ、相変わらず凄まじいザーメンね♡ これだけあれば、調査に問題なさそうね。今回は急な申し出にも関わらず、快く引き受けてくれて感謝するわ。お礼も兼ねて綺麗にするわね♡♡」
そう言って、紫は事後で精液がこびりついた男根を口に咥えお掃除フェラをする。お礼というよりも自分が舐めたかっただけのように思えるが、気持ちいいので良しとしよう。
「んじゅっ、じゅぶっ、んんっ、んぐぅっ♡ じゅぶっ、じゅるる、ぐじゅう、んじゅぶっ♡♡」
お掃除フェラというより本気フェラをしている辺り、紫も名残惜しいのだろう。貴方としては別に2回戦3回戦に移行しても構わないのだが、あまり悠長なことをしている余裕はなさそうだった。
「んぐっ、じゅぶぶっ、んぷっ、んはあぁ♡ もっと貴方とエッチしていたいんだけど、私はこれを運ばなきゃいけないから今日はお開きね」
身体の汗を軽く拭いて身支度を整えた紫は、いつものスキマに入って帰ろうとする。
「それじゃあまたね。また用があれば来るから、貴方はそのまま幻想郷の女性たちと親睦を深めていなさい」
相変わらず神出鬼没な人だ。隙間の奥に消えて影も形もなくなった空間を見て、貴方は情事の余韻から切り替えて脳を覚醒させるのであった。
×××
「はぁ……」
迷いの竹林に所在を構える永遠亭の薬師である八意永琳は、今日も気分が晴れない重い溜息を吐いていた。
彼女を悩ませている理由はひとつだ。最近幻想郷を騒がせている異変を解決するために彼女も調査を進めたのだが、一向に解決の糸口を掴めていないからである。
男性を性的不能にし、女性を欲情させる謎の異変。その症状を永琳は医療方面から調べてみたのだ。その結果分かったのは、彼らに起こった異変は病気の類でも、魔術や呪いの効果でもないということだ。
そして色々な薬を試してみたが、症状が回復した者は誰ひとりとしていなかった。結論としては万事休す。完全なお手上げ状態となっていた。
そんな暗い雰囲気の空間に、突如として亀裂が走った。
「ごめんなさい、お邪魔するわね」
空間に開いたスキマから、金髪の女性がぬるっと顔を出した。
八雲紫である。神出鬼没の知り合いを見て、永琳は露骨に嫌そうな顔をする。
「来るならちゃんと玄関から入ってちょうだい。いきなり部屋に現れたら不法侵入と変わらないわよ?」
「あら、ごめんなさい。急いでたから、つい」
まったく悪びれずに紫は言う。彼女に文句を言っても反省しないのは分かっているので、永琳はこれ以上追求せずに別の質問を投げかける。
「それで、何の用? まさか雑談しに来たわけじゃないでしょう?」
「そうそう、以前言ってた男の精液を持ってきたの。これを貴方に調べてほしいのよ」
そう言って、紫は精子がパンパンに詰まったコンドームを手渡す。
それを何の抵抗もなく受け取った永琳は、怪訝そうな瞳で紫のことを見る。
「これって、例の外から来た男性の精子? 幻想郷に来ても異変の影響を受けない精力の持ち主ね。半信半疑だったけれど、こうして実物を見ると本当のようね……」
「彼とセックスした他の女性たちの反応や、実際に彼と交わった私の経験から言って、彼は異変の影響を受けない絶大な精力を持っているということ、そして精液には媚薬のような効果と膨大な魔力が秘められているということは分かっているわ」
人間のものとは思えない尋常ならざるボリュームのザーメンを見て、永琳は内心で驚愕する。数人分の精子を集めたわけでも、妖怪や動物の精子でもないことは調べなくてもすぐに分かった。
これだけの量を一回で出せるなら、なるほど異変の影響を受けないというのも説得力がある。
しかし、人間離れした精力を持っているからといって、それが異変の影響を受けないことの説明にはならない。
絶倫な妖怪というのも存在する。しかし妖怪たちは異変のせいで軒並みインポになってしまった。幻想郷の人間だって、例の彼ほどではないが精力溢れる者たちは居ただろう。だがそういう人たちも全員性的不能に陥った。更には彼以外にも外から数人似たような人間を紫が呼んだらしい。ところが、彼以外は他の者達と同じように精力を失ってしまったようなのだ。
なぜ彼だけが精力を保ったまま居られるのか。この精液には疑問の答えが、そして異変の謎を明らかにする重要な鍵が隠されているかもしれない。
そのことを肌で感じとった永琳は、瞳に輝きを取り戻して言う。
「分かったわ。この精液を調査して、少しでも情報を引き出してみる」
「お願いするわ。……それから、件の彼がもうすぐココにやってくるから、丁重にもてなしてあげてほしいの。……そうね、一ヶ月ほど」
「それは別にいいんだけれど、ウチの姫やウサギたちが絶対彼を放っておかないけど良いの? 皆欲求不満で大変なことになっているのだけれど」
異変の影響を受けているのは、永遠亭の女性たちも同じだという。永琳はやれやれとお手上げポーズで紫に愚痴を言った。
「別に構わないわよ。彼の絶倫っぷりは紅魔館で証明されたから、死なない程度に相手してくれると思うわ」
「それは役得ね。なら調査の方も捗りそうだわ」
早速コンドームに入った精子を密閉容器に移しつつ、永琳は帰り際の紫の背中に別の疑問をぶつけるのだった。
「……もしかして、紫は既に異変の正体について感づいてるんじゃない?」
「……さぁ、どうかしら?」
それだけ言って、紫は虚空に消えていく。
彼女と浅からぬ仲である永琳にしてみれば、紫のはぐらかした発言はどんな説明よりも雄弁に状況を語っているような気がした。
次回からいよいよ永遠亭編となります。
活動報告に永遠亭編の予定が載ってますので、気になる方はご一読ください。
次回は永琳の話の予定です