勢いとノリだけで書いてしまった……
と、思ってたらいつもそんな感じでした。
「ふあぁー」
リニスに薬を渡した翌日、航は朝早くから目を覚ましていた。
「さて、顔洗ったらメシ作るか……」
廊下に出て、キッチンに向かう。
「ん?この匂い……」
廊下を漂ういい香り。
「まさか、あのバカ……」
足早にキッチンに向かい。扉を開ける。
エプロンを着けたバカ(リニス)が居た。
「やっぱり、おいバカヤロウ」
「マスターおはようございます」
「お前人の話聞いてたの?数日は安静だっていったよね」
「言われましたけど……この通り身体はかなり良くなったので……」
何か言いたそうにするリニスに、ついに航が折れた。
「はぁ、激しい運動とかはだめだぞ。あと三日ほどで完治するからそれまでは運動は禁止だ。コレだけは譲れないからな」
「わかりました」
「あと飯を食い終わったら話があるから空けておけよ」
「はい」
「それじゃあ、飯も食べ終わったし、始めるか」
「あの、マスター始めるって何を?」
「俺たちの敵についての話だ」
リニスの目が真剣になる。
心なしか航の顔も少し強張っているようにリニスには見えた。
「まず、俺たちの敵は、上位種ってやつらだ。字の通り俺たち人間よりも上位の存在の総称。意思を持ったエネルギーって言えばいいのかな」
「正式には上位・中位・下位の三種類だ、コレは力の序列でもある」
だが、と航が続ける。
「持っている能力によってこの序列も変動する、極稀に中位種が上位種並の力を持っている。何か質問はあるか?」
「ええと、能力といってもどのような能力なのでしょうか?」
訝しげに聞くリニス。
「そうだな、たとえば天候を操作したり、水を操作、他には病原菌を操ったりできる。コレが上位になるほど強力になっていく」
「わかりました」
「他には質問は?」
「ええと、なぜその上位種と言うのは今まで文献などには出て来なかったんでしょうか……私は色々な本や管理局のデータなどでは見た事も聞いたことも無いんですが……」
「何言ってんだよ、いるだろ?」
「はい?」
「御伽噺とかにさ、何年も世界を苦しめた魔王を倒すために立ち上がった勇者に伝説の剣とかを授ける人物だよ。」
「まさか……」
「そう、こいつらは簡単に言えば神様ってやつらだ。お前神様って信じるか?」
「あまり、信じれませんね……」
「しかも、その神様とやらがデータベースに出てこないのには訳がある」
「訳ですか?」
「神様とやらは基本的にはこの世界に介入してはいけない、それが奴らのルールだ」
「じゃあ!!何故プレシアが!!」
「楽しいかららしいぜ、言っただろ基本的(・・・)って」
「そんなッ――」
「上位種ってのは世界に入るには幾つかの手段が必要らしい。それが年単位で必要になる」
「だから俺たちで止めるのさ、まだ少しは時間がある」
――そう、そいつを殺して。
口にはしない。だけどそれを想像しただけで口の端がつり上がりそうになる。
「まあ、安心しておけって。俺が何とかしてやるからさ」
「……わかりました。」
「そうそう、俺はこう見えて結構強いんだぜ」
「はあ、マスターが変なことを言うから気が抜けてしまいました。ふふ」
リニスが小さく笑いを浮かべる。
「えっへん」
調子に乗って腕を曲げ力こぶを出して見せる。
「なんか胡散臭いですよマスター、そこまでやっていると頼りなく見えます」
苦笑を浮かべる。
「今日は気分も良いし少し一杯付き合え」
「朝からお酒を飲むのは流石にって、引っ張らないでください」
リニスをリビングまで引っ張っていく。
「あの、マスター……私怪我しているんですよね……?」
「身体に障らない範囲だったら大丈夫だ」
「一応、私の肉体年齢は未成年なんですが……」
「今時、高校生も飲んでるから問題ない」
※未成年の飲酒は法律で禁止されています。もちろん作者も未成年の飲酒を推進しているわけではありません。
「はあ……」
返事とも溜息ともつかない返答を聴くと航はソファーにドカッと勢いよく座る。
それにつられてリニスも対面のソファーに腰掛ける。
「ほら、まぁ飲めよ」
グラスになみなみと入ったて琥珀色の液体をクビクビと飲み干す航を横目に、リニスも渡されたグラスに口をつける。
いつに無く真剣そうにリニスを見て航は話す。
その意図に気づいたのかリニスも真剣な顔になる。
「お前が今回色々悩んで突っ走ったのはよくわかる。その責任が俺にあることも……だけどもう少しだけまってくれ……」
「……はい」
「あいがとう。理解してくれてうれしいよ」
お互いに酒が回ってきたためか少し饒舌になる。
「まぁ、今回言いたかった事はそれだけだ」
それだけ言って航はグラスに注いだ五杯目の酒を飲み干す。
「あの、マスターなんで今回はそんなことを?」
リニスの質問に航は少し黙る
「……昔の、昔の自分を見ているみたいでな……。俺は昔後先考えずに突っ走って何度も大変な目に遭ってな……。そこで色々あってな」
「これでも俺、昔は結構なワルだったんだぜ」
肩をすくめながらリニスに言う。
リニスは悪そうな航を想像して見る。
――今よりも手がつけられそうにありませんね。大変そうです。
リニスは眉をひそめながら笑った。
二人が各々の寝室に戻ったのはそれから一時間ほど経ったあとだった。
「駄目だな、おっさんが酒飲むと昔の自分語りしかしねえや。心まではおっさんのつもりは無かったんだけどな。すまんな」
そう言って酒をもう一口。
航の言った期限まで、あと八日――
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