……嬉しい事なのですがなんとも、少しでも増やせるように頑張りたいです。
夜、食事も終わり航は自室で寛いでいた。イスに座りのんびりとタバコを燻らせていた。
「さてと。カナカ、管理局のデータベースにハッキングしてこっちに向かっている次元航行艦の規模と人員を調べてくれ」
「りょーかーい」
指示を出し数秒で管理局のデータを画面に映し出した
「むむ、船は一隻で艦長はリンディ・ハラオウンか」
少し考えて航の中に何かが閃いた
「何か思いついたのマスター」
カナカは航の変化に気づいたのか好奇心で話しかける
「いや、ただ仲良くなろうと思ってな」
航は黒い笑みをみせる。
「あははは……」
航の考えを察したのかカナカは苦笑を漏らす。
「最後に訓練して寝るか……」
そう言って航は部屋を出て行った。
翌日
朗らかな昼時に駆け抜ける人影が二つ。リニスと航は二人で組み手をしていた。
管理局のデータベースにハッキングした日から二日がたった。
「リニス、動くのを止めるな」
「はいっ!!」
主の注意に元気良くリニスは答えた。
航は自分の周りに魔力弾を複数生成する、その数は五発。
「ファイア」
航の掛け声と共に五発がリニスに向かう。リニスはバックステップで一発目を躱す。
魔力弾は地面に当たる。
「(――残り四発)」
リニスは残りの魔力弾をどうやって躱すか考える。リニスはバックステップして十分な距離をとり、立ち止まり自分の周りに魔力弾を生成する。その数は残りの魔力弾と同じ四発、リニスは自分で生成した魔力弾に航が生成した魔力弾をぶつけようと考えたのだ。
「ファイヤッ!!」
リニスは自分の生成した魔力弾に魔力弾をぶつける。が、しかしリニスが生成した魔力弾が一瞬だけ拮抗して破られる。
「えっ!?」
かろうじて魔力弾の直撃をリニスは避けながら考える。
「どあほ、止まるなって言っただろ」
後ろから声が聞こえるのと同時に航のチョップがリニスの治りかけのたんこぶに直撃した。
昼までの訓練は終わり、リニスは地面に腰を下ろしていた。
「まぁまぁだな、まだ色々荒いけど色々身についてきているし」
「教えた技もそれなりにマスターしているし。まぁ大丈夫だろ」
思いにもよらない航の賞賛にリニスはこそばゆく感じる。
「あ、ありごとうございます」
午前の訓練を終了し、自宅で昼食を取り終わり航とリニスは寛いで居た中、異変は起きた。
「ジュエルシードの反応、それも複数だな」
場所的には海の方だな……
「マスター!!」
「さすがにこれはやばいから行くぞ。一応、変装魔法はしとけ」
航とリニスは屋敷を出た。
結界の前に航とリニスは到着する。
「リニス、これから結界の内部に入るぞ。たぶん侵入下のはばれない思うけど、念のために俺はお前のことを別名で呼ぶぞ。うーんと……にゃん吉って呼ぶわ。取り敢えずソレでいいな」
リニスは無言で頷く
「じゃあ行くぞ」
航の周りに黒い魔方陣が出現してリニス達を包んだ
現地に着くと竜巻が複数出来ていた。その中で二人の少女が何か話し合っている。ソレよりも上空に一人の少年と女性もまた話し合っていた。
「マスター、ジュエルシードを止めましょう!」
リニスはジュエルシードを止めに行こうと身体に力を込め飛ぼうとするが、直前で航に捕まれる。
「待て、まだ大丈夫だ。本当にやばくなったら出るぞ」
「そんなこと言ったって――」
「ほら、見てみろ」
航に言われ少女達が居たところを見ると協力してジュエルシードを止めようと魔力砲撃を放つ。その余波がこちらにも来る。
「すげぇな……」
果たして自分が十代の時あそこまで魔力が大きかっただろうか。――いや、あそ
こまで魔法を扱えただろうか……才能を恨めしく思う。
「――くッ」
リニスはかつての教え子がここまで成長していたのを見て思わず感極まってしまう。
フェイト……ここまで成長してくれたんですね。私が消えてしまってからも日々努力を重ね、研磨して……
リニス達が感慨にふけっていると管理局の制服を着た青年が転移してきて封印されたばかりのジュエルシードを確保していた。
「問題なさそうだな、帰るぞ」
「待ちたまえ、君たちそこで何をしている」
俺とリニスが結界から離脱しようとしたら声がした。
「ん、げッ!!」
上を見上げると少年がいた。管理局の制服を着た少年がこちらに杖を向けて居た
「えッ、いや、俺たちは只の一般人です。はい」
それに合わせてリニスも頷く
「そうです。何もしていないです」
「わかった、話はアースラで聞こう」
少年は杖をこちらに向けながら近づいてきた。やばい……今捕まる訳にはいかな
い
「身分証明証を見せて貰って良いですか、念のために。はい」
「わかった、これで理解してもらえたかな」
少年は管理局の身分証明証を提示する。
航は何とかこの状況から脱しようと思考を巡らせていた。
さーて、どーすっかなぁ。殴ったら駄目だし……やっぱり逃げるか
「わかったら来てもらえるか?」
「はい解りました、いそっちに行くんで」
航は快く承諾する
「(リニス、逃げるぞ準備しとけ)」
「(えっ!?)」
「(このまま捕まったら元も子もないだろ)」
「(解りました)」
「クロノ・ハラオウン執務官殿に聞きたいのですけ――ッ!!」
目の前に居る少年に話して居る最中に自分の背筋に悪寒が走るのを航は感じる
「(リニス構えろッ!!)」
航はそばに居るリニスを抱き寄せ魔方陣を展開させる。
――刹那、空から紫電の雷が降り注ぐ
リニス達にも降り注ぐが航のの作った魔力壁によって妨げられる。数秒して雷が
やむ。
「ふう、これでようやく――なッ!!」
しかし、攻撃はこれだけではなかった上空を見て航は絶句した。上空には夥(おび
ただ)しい程の岩石が天を覆っていた。しかもどれもが尋常じゃない大きさだった。
「(リニス手伝えっ!)」
航は防御魔法と同時に魔力弾を複数生成するその数二百、リニスも一緒に魔力弾
を生成する。二人で三百近い魔力弾が落下してくる岩石に向かう。
これはアイツの仕業だな。航は中位種の仕業だと確信する。
「(大きいヤツだけ狙え、細かいのは俺が壊す!!)」
必要最低限の事を念話でリニスに伝える。落下してくる岩石を前に航は目を瞑る
。
自分の中でナニカが冷めいく、頭がクリアになって行くのを感じる。
――久しぶりだな、これを使うのは……
自分が最も慣れ親しんだ力を使う。
カチッと頭の中でナニカが切り替わる。
航は自分の中にスイッチが入ったのを確認して目を開けると同時にリニスの魔力
弾が岩石に直撃するのを確認した。岩石は砕けるが未だにそれなりの大きさになり
降り注ぐ。ソレを航は自分の魔力弾で砕いて行く。
戦戦術流・亜種、先視
さきよみ
本来は相手の重心、呼吸、筋肉の動きから相手の動き方を予測する技だ。しかし
、航はさらに血流を操作することで自分の思考速度をあげ、周辺環境を計算に入れて未来予測を行う技だ。
自分の視界にあるすべての岩石を破壊していく。自分の頭の中で岩石の落下速度
、空気抵抗、大気の流れ、それに回転、岩石の形状で何処が一番脆く砕きやすいの
かを全てを計算しながら破壊していく。
――壊す、壊す、壊す、壊す、壊す。
休み無く。
――壊す、壊す、壊す、壊す、壊す。
ひたすら壊す。しかしある事に気付く。
――足りない……
落下してくる岩石を破壊するのに魔力弾が足りないのだ。今は何とかなっているが、頭では足りなくなることを理解している。
なら、増やせば良い。昔の俺はもっと出せたはずだ。もっと早く計算して効率良くモノを壊したはずだ。
落下してくる岩石を破壊しながら魔力弾を生成する。
「す、すごい……」
リニスは思わず声を漏らす。数が違うとはいえ同じ事をしながらも、いまだに魔力弾を生成すると言う離れ業を目にしたからだ。普通、魔力弾を当てるとそれと同時に形成された魔力弾も消滅するのだが、航の生成した魔力弾は密度を高くして貫通させている。リニスは思わず考えてしまう。自分にもあんな事ができるだろうか、と。
あれからどれくらい時間が経っただろう、何秒、いや何分だろうか。そう思考すると頭の中で答えが出てくる、『二十六秒』と。あと、どれだけ破壊すれば良いのだろうと思考する、答えが出てくる『十二秒』と。
――目の前の岩石を破壊する。
――あと十秒。
――付近の岩石を破壊する。
――あと八秒。
――破壊する。破壊する。破壊する。破壊する。破壊する。
――あと六秒。
――破壊。破壊。破壊。破壊。破壊。破壊。
遂に残り時間が一秒になった。
「これでラスト」
ついに最後の岩を破壊し終える。航は久々に先視を使った為か額に出てきた冷や汗を拭う。
「すごい……」
思わず声が出てしまう。航達より上空にいた少女たち、高町なのはは驚愕の声を上げて航達を見つめる。なのはだけでなく、フェイト・テスタロッサやユーノ・スクライア、フェイトの使い魔アルフ、そしてサーチャーで周辺の空域を観測していた管理局の職員もその技を見て驚愕の声を上げる。
フェイト・テスタロッサは何とか初撃の雷に耐えきり二撃目の攻撃をも耐えきって消耗していた。疲労が限界を超したのか遂に重力に従い落下していく。
「フェイトッーー!!」
アルフは主が海面に落ちる前に支える。
フェイトは薄れゆく意識の中で二人組の魔導士の内、一人と目があった気がした。
どこか懐かしい雰囲気を感じながらフェイトの意識はブラックアウトした。
なんとか全ての岩石を凌いだ航はリニスに念話をして今後の事などを考える。
明らかにあの岩石はこっちを狙っていた……
ここまで大掛かりにやると上位種という存在が数多くの人間に知られてしまう。それはあっちも不利になるはずだ。
……という事は殆ど準備ができたという事か……。
「(一回離脱するぞリニス。)」
「(でも)」
「(管理局もあの雷撃を仕掛けてきた所へ向かうはずだ。一回戻って準備して俺たちも行くぞ)」
「(――ッ!解りました)」
リニスは何とか自分を納得させて離脱する準備をする。
尻目にフェイトが管理局の執務官に捕らえられるのを目撃する。
「おいッ!!待ちたまえ!!」
執務官がこちらに向かって何か言って居たが全て聞き終わる前にリニス達は転移した。
誤字脱字がありましたら感想の方からよろしくお願いします。