とてつもなく短いですがどうぞ
リニスを見送った後、航はする事が無くなんとなく公園のベンチに腰掛けていた。
する事もしたい事も無く、ただじっと虚空を見つめながら缶ビールを飲む。
航が飲んでいたビールが二本目に突入した時、航は不意に視線を感じた。
周りを見渡すと一人の子供が航を見ていた。
「なんだ、ガ――坊主」
「おじさん何してるの?」
「見てわからんか?ジュース飲んでんだよ」
「おいしいの?」
「まあまあだな」
子供が航の座っていたベンチに腰がける。
「坊主、学校はどうした?」
「学校は……休んだ。楽しくないもん……」
「関心しねえなあ、まあちょっと待ってろ」
そういって立ち上がりどこかに向かう。
数分後に航は公園のベンチに戻ってきた。
「ほら、坊主」
コンビニの袋から缶コーラを取り出し目の前のガキに渡す。
はぁ……ガキは好きじゃないんだけどな……
そしてもう一つの飲み物を取り出す。
ウイスキーのビンを開け一口飲む。
「ふう……で、なんで学校サボったんだ。楽しくないって友達と喧嘩でもしたのか?」
「ぼく、最近引っ越して来たんだけど……」
「ああ、友達ができねえのか……遊ぼうって誘えばいいじゃねえか。俺に話しかけたみたいにやれば出来ると思うぞ」
「……」
「はぁ……、最近の遊びはゲームとかなのか?」
「うん」
「じゃあ、俺が面白い遊びを教えてやる。缶けりって知ってるか?」
「なにそれ?」
驚いた。最近の子供は缶けりも知らないのか。
これがうわさに聞く公園に行ってもゲームをしてるとんでもない子供ってやつか。
「かくれぼみたいなモノだ」
「そんなのが楽しいの?」
「ああ、みんな熱くなってくる。終いには人海戦術や視線移動なんて考えて来るからな」
「ルールは紙に書いておいてやるから。ちょっとまってろ」
ポケットにあるコンビニのレシートにルールを書いて子供に渡す。
「ありがとおじさん」
「まあ、本当に馴染めなかったら学校なんて辞めても問題ないと思うぜ。俺だって無職だが楽しくへらへらやってんだ」
「むしょく?」
「おう。坊主,、仕事なんて探そうと思えば色々ある。要は何をしたいかだ」
航は新しいタバコに火をつけ紫煙を燻らせながら、遠くを見る。
「それに、色々な職業があるんだ。なんにでも成れる世の中なんだぜ。ビックな人間にもなれる世の中だ」
「うん!! ありがと、僕、超絶ビックになる」
満面の笑みでお礼を言う少年。その笑顔を見て、航は小さくため息を出す。
「はッ、言うねえ、坊主。お前みたいな奴、好きだぜ」
「うん、じゃあね!!」
「おう、じゃあな」
ガキがどっかに走って行く。おそらく自宅に向かってだろう。
はあ、ガキは好きじゃじゃいんだけどな……
でも、ガキも――
「――子供も、たまには良いかな」
「何が良いんですか?」
後ろに青い制服を着た男性――国家公務員が立っていた。
笑顔で男が話しかける。
「すみませんが少しお話いいですか?」
「え……、あ。その」
タラリと冷たいものが背を流れるのを感じる。
「なに、この辺で少し通報がありましてね。少し署まで同行願いますか」
男の発言には何が何でも連れて行くという意気込みを航は感じた。
「そ、それは任意って事で……」
「確かに任意ではありますがヤマシイ気持ちが無いのであれば来て下さい」
え、ええー……
警察に連れて行かれた航は二人の警察官と取調室で取調べを受けていた。
「それで職業は?」
「無職っす」
「ご家族は?」
「いないっす」
「何で連れて来られたかわかるよね?」
「分からないっす、さーせん。フヒヒ」
「あのね、こっちだって遊びで取り調べしてる訳じゃないんだよ」
「俺だって遊びで連れてこられた訳じゃないっすよ。あ、タバコいいすか?」
警察官が無言で灰皿を机に置く。それを見て航はタバコを吸い始める。
「いい歳して無職って恥ずかしくないのかい」
「いえ、貯金がありますので」
まったく動じず質問に答える。
「まあ、そこら辺はどうでもいいが、君はなんで子供と喋ってたのかな?」
「あの子供が声かけてきたんすよ」
警察官が机を叩きながら航に迫る。
「はあ、正直に話さないと不利になるのは君なんだよ!!」
「さっきから正直に言ってるじゃないですか」
「あのね……」
それから数時間は取調べが続き……
「カツどん出ないんすか?」
「あのねぇ!!」
さらに続き……
「そのライトで顔をピカーッてしないんすか?」
「だから!!」
取調べが終わり警察署から出された航は一人の警察官に注意を受けていた。
数時間に及ぶ取調べで航は疲れた顔を見せる。
「確認が取れたから返すけども、二度と怪しまれる事はしないでね」
「は、はいぃ。あざーした……」
怪しいおっさん、無職、酒飲んでる、子供と話してる。
逮捕されない理由が見つかりません。
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