Subterranean Electron World 作:深緑 風龍
-炎ノ地獄-
さてと、現在の状況というと、また新たにジャンヌ・オルタを連れて先を進めていく内に、新たなアイテムが落ちていて、『セブンシンカレクイエムガシャット』を使って回収する。
クリミナルに囲まれる場面もあるものの、一時的に紫乃愛に指揮下の権限を与え、見事に切り抜ける。
が、皆は礼を言われるどころか、不満たらたら言われ、一人になったとき、紫乃愛が陰口を叩く。それを聞いてしまったガルッチは、申し訳ない気持ちになってしまった。
それと同時に、先程の女性の死体の事を思い出してしまい、また泣きそうになっていた。
貴利矢「大丈夫か?」
ガルッチ「大丈夫、気遣いありがとう。」
黎斗「本当か?少し無理をしていないか?」
ガルッチ「大丈夫、大丈夫だから…………。」
璃々「にしては、随分と無理をしてるように見えますけど。」
ガルッチ「大丈夫だって!!」
明らかにガルッチは、無理をしていた。主に精神面で、悟られないように必死に抑えていた。けど、それも限界に達していた。
ガルッチ「…………ごめん、怒鳴ったりして。」
璃々「い、いえ。私はただ……。」
司「…………あまり、無理するんじゃねえぞ。他の皆に、心配させられるだけだ。さっきまでの明るさは何処に行ったんだ?」
ガルッチ「今うちは新月寸前の状態だよ。」
司「何で月と例えた……。」
翠「何があったかは知りませんが、もしもの時は、貴利矢さんか黎斗さんに変わって貰った方がいいですよ。」
ガルッチ「…………ああ。そうさせて貰う。けど、本当に大丈夫だから…………。」
あくまで大丈夫と言い張るガルッチ。けど、彼の精神からして、大丈夫ではなくなっていた。下手をしたら、壊れるのではないかと思えるほど、疲弊していた。
そんな状態の中、遂に次の地獄の入り口が見えるも、そこで立ち塞がってるバグスターがいた。
『ギリギリチャンバラ』のバグスター、カイデンバグスターだ。その横には、既に息絶えたクリミナルがいた。
ガルッチside
全く、こんな時に限ってバグスターかよ。
黎斗「ギリギリチャンバラのバグスター、カイデンか。」
カイデン「その通りだ、檀黎斗。」
紫乃愛「あの様子だと、どうやら此処にいたクリミナルを殺したようですね。」
ガルッチ「…………。」
カイデン「なるほど、そこのお主。何か迷いがあるな。とてつもない迷いが。」
ガルッチ「…………何故そう言い切れる。」
カイデン「貴様の精神がそう告げている。明らかに、何かの罪を気にしているせいで、今にも壊れそうになってる。」
完全に図星だった。どれだけポーカーフェイスをしても、どうやらあのバグスターには見抜かれてしまったようだ。
珠月「先生───」
ガルッチ「ごめん、今回は下がって。此奴…………、用があるのは僕だけのようだ。」
カイデン「……解せぬな。」
ガルッチ「何がだ。」
カイデン「お前は今にも壊れそうだというのに、何故に戦おうとする。それ故に、助けなくてはならぬものがいるはずだ。」
カイデンという奴が言うには、おそらくお姉ちゃんのことだろう。確かに、助けなくちゃ駄目だろう。
暴走してる以上、助けなくては多大な犠牲者が出てもおかしくないだろう。けど……。
ガルッチ「僕は弱いからだ。助けようにも、今の僕が行ったところで、足手纏いになるだけ。」
カイデン「…………助けようにも、己が弱いだけで、諦めるのか?」
ガルッチ「あんたに何が分かる。行ったところで、一方的にやられるのが目に見えてる。それに───」
カイデン「傷付けたくない。失いたくない。そう言いたいのか?」
ガルッチ「…………………………。」
カイデン「そんな世迷い言を持ったところで、今後の敵には勝てんぞ。」
ガルッチ「それでも僕は、その世迷い言で突き進む。この意志は、絶対に変えるつもりなんて無い。」
カイデン「………愚かしい男よ。ならば、この言葉を覚えておけ。『この先の運命を、受け入れろ』。」
その言葉って、以前僕がお姉ちゃんに言った!?
カイデン「さぁ、貴様の刃を抜け。この先を進みたくば、己を超えてみるがいい!!」
ガルッチ「………そうかい。」
【ガッチャーン!】
【デンジャラスクトゥルー……………………!】
そういえば、何気にガシャコンバグヴァイザーⅣを使うのは、初めてだったな。
ガルッチ「『バーサク化』、『狂変身』!」
【ガッシャット!】
【バグルアップ!】
【デンジャー!デンジャー!《マッドネス!》インセンティ・ザ・クライシス!デンジャラスクトゥルー!《Woooooooooooo!!》】
ガルッチ「…………狂ってでも、俺は突き進む!!」
sideChange
黎斗side
むう、やはりガルッチは無理をしている。あのエンリという女の言葉を聞いて以来、精神面にダメージを感じる。
だが、それと同時に、彼の何かが目覚めようとしてるのか?とてつもない何かが、この私を超えるほどの何かが、目覚めるとでも言うのか?
黒絵「お兄ちゃん……………………。」
司「クッ、先生の戦い方、無茶が過ぎる………。」
貴利矢「オイ社長、何とか出来ねえのかよ!!」
黎斗「いや、このまま見た方が良いかもしれん。」
貴利矢「何故!?」
黎斗「………我々が手を出したところで、邪魔になってしまうに違いない。」
紫乃愛「けど、このままだと先生が───」
黎斗「奴だって、ただ我武者羅で攻撃してるわけではない。いや待て?」
そういえば、戦いが始まると同時に目の光が無くなってた気が………。
カイデン「如何した!急に喋らなくなったな!」
まさか、感情そのものをシャットアウトし、機械的に動いているのか!?動きもあまりによすぎるし、傷を負っても、それに臆さず前に出て攻撃してる!感情だけでなく、痛覚も断ったのか!?
黎斗「九条貴利矢、聞きたいことがある。」
貴利矢「何だ?藪から棒に。」
黎斗「エンリという少女が、ガルッチに放った言葉。覚えているか?」
貴利矢「えっと、『全く思い出さない』と『親殺し』?それがどうかしたのか?」
黎斗「恐らくガルッチは、彼自身の罪を思い出せてないのかもしれん。」
貴利矢「彼奴の親?虚王魔神の頃の親っていえば、初代全王神ヴァルハラだけど。だけど、作られたんじゃないのか?」
黎斗「確かに、アタリメが言うにはそうだ。だが、不確かすぎる情報が出た。」
貴利矢「不確かすぎる情報?」
花家先生に頼んで、ガルッチのDNAを検査してみたが、不確かすぎるものがあった。有翼人の親のDNAは分かるし、『虚の龍神』のDNAもある。初代全王神ヴァルハラのDNAもあったが、見たことのないDNAが見つかった。
見たところ、女性のDNAだが、明らかに異質すぎた。そのデータを、九条貴利矢に見せた。
貴利矢「………何だ此、こんなDNA見たことないぞ?」
黎斗「親殺しという単語を聞いて、少し疑問を持っていたんだ。彼が寝ている間、少々血を採取し、急いで花家先生に渡して、DNA検査ををしてみたが、予想外なことにそのDNAが出たんだ。」
貴利矢「だ、だけどガルッチは、自分を『神造兵器』だとか言ってたはずじゃ───」
黎斗「ああ。だがここで仮説だ。もし、
貴利矢「……………………神造兵器になる前?」
普通ならば、転生する前の親のDNAはないはず。だが、神は違った。何らかの形で自分の親のDNAが分かるように仕組んでいたようだが……………………。
貴利矢「仮にもだが、もしガルッチに親が居たとして、父親がヴァルハラなら母親は……………………は?」
黎斗「恐らく、ガルッチは自分の肉親を殺したということを忘れているのか、それとも母親に似た誰かを殺害してしまったか…………。どっちにしろ、仮説だ。」
貴利矢「だが、もしそうだとしたら、母親は誰になるんだ?」
黎斗「さぁな…………。何にせよ、そのヴァルハラに並ぶ神様か、或いはそれ以上の神様かのどっちかだろうな。」
いずれにせよ、ガルッチはその真実に辿り着いたとき、カイデンバグスターの言うとおり、受け入れることが出来るのかやら…………。
sideChange
ガルッチside
何か黎斗が貴利矢と話し合ってる気がするが、何の話をしてんだ?いや、とりあえず痛覚と感情を遮断したとは言え、解除した後が辛いんだろうな。
けど、それも終わりだ。
ガルッチ「…………トドメだ。」
カイデン「クッ、おのれぇぇぇぇ!!」
【キメワザ!】
【クリティカルクラッシュ!!】
ガルッチ「壊符『滅頭心壊斬』!」
カイデン「!?」
『ズサッ!』
曙「ま、真っ二つに……………………。」
夕立「せ、切断したっぽい………。」
カイデン「な、なるほど………。それが、お前の覚悟か………。」
ガルッチ「………先に進ませて貰うぞ、カイデン。」
カイデン「………いいだろう。だが、此だけは忘れるな。『その真実が残酷でも、受け入れろ』。」
それだけ言い残し、カイデンは消滅した。
ガルッチ「……………………解放───」
【ガッシューン……………。】
クッ、やっぱり激痛と苦しみが一気に来やがった……………………!!
珠月「先生!!」
司「此奴はやばいぞ。直ぐに安静を───」
ガルッチ「待て………。……姿を表せ、エンリ。」
僕の声に反応したのか、今度は直ぐに出てきた。
エンリ「おやおや、もうボロボロの雑巾────」
『ジャキン!』
エンリ「!?」
ガルッチ「テメェ、次はないぞ。」
エンリ「……………………なるほど、あのヒントでも、まだ分からないんだね。それとも、思い出せないほどの鳥頭だった───」
ガルッチ「秘剣────」
エンリ「まずっ!?」
チッ、避けやがったか。
エンリ「あー、こりゃあれだ。相当きてるみたいね。」
紫乃愛「からかうのはやめておいた方が良いですよ。休憩後の先生は、どうも無理をし過ぎてるようですし。」
エンリ「ふーん。なら、ラストヒントよ。ガルッチって、今『罪王神』を探してるんでしょ?」
ガルッチ「……………………それが如何した。」
エンリ「貴方が何故、『罪王神』も殺したのか。その理由は、前貴方が言った親殺しをしたからよ。」
ガルッチ「…………ちょっと待て、虚王魔神の頃の僕の親なんて、ヴァルハラ以外いないだろ!!」
エンリ「そうかしら?」
ガルッチ「?」
エンリ「まぁ、これ以上知りたかったら、早く地獄から出なさいよ。じゃあね~。」
…………親殺し?けど、ヴァルハラは生きてるし、逆に殺されたんだぞ?何でまた……………。
ガルッチ「一体、一体何だって言うんだ?」
司「先生、兎に角今は、その傷の手当てだ。」
エンリの最後のヒントが、親殺し?しかも、罪王神を殺す理由にもなりえたって事?一体、僕は…………、僕は…………何をしたと言うんだ?
『────、私は……………………。』
え?誰?
『例え、私を────も─────』
女性の……………………声?
『貴方のこと、……………愛………し………………て…………………─────────』
なんなの?何なんだよ!?誰なの!?誰の、声なんだよ……。知らない声だって言うのに、何で、…………何で、何で泣きたくなるんだ……………………。
黒絵「お兄………ちゃん……………?」
司「オイオイ!?何で泣いてんだ!?」
紫乃愛「司さん!」
司「分かってる!」
その後、僕は司に担がれながら次の地獄に行き、そのキャンプに到着し、しばらくの間絶対安静をする羽目になってしまった。
あの声は、一体誰だったのかは分からない。けど、何故だか、懐かしく、凄く悲しい気持ちになった……。
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