Subterranean Electron World 作:深緑 風龍
ガルッチには、3つの前世がある。
一つは『
二つは『虚王魔神』。全王神ヴァルハラの息子として、ディルーラーの門矢士、破壊神ビルス、ウィスさえも超えるほどの技量と力を持ちながら、一部の感情が欠落していて、恐れてしまったヴァルハラの手によって、短い神生となった。
三つは『
そして、陰陽師としての能力を取得し、村から出て、かつて自分が作った『アズラエル・ラヴォス』を倒すために旅に出るも、最期は一人で立ち向かってしまい、ラヴォスに返り討ちにあってしまった。
けど、二つ目の生である『虚王魔神』には、欠落した記憶があった。いや、正しくは、彼が望んでその記憶を消したというべきか。
その記憶というのは…………。
『神造兵器』という存在になる前の記憶。エンリが指摘していた、忘れ去られた記憶だった。
-隠れ家-
血遊ビノ地獄に到着し、早速キャンプに入り、隠れ家に到着したガルッチ達だったが、今のガルッチの状態は、あまりにもよくなかった。
肉体の方は切り傷ばかりで、酷いものではあったが、問題なのが精神。エンリの言葉によって、精神がズタボロにされてしまい、それに悟られないようにポーカーフェイスをしていたせいで、情緒不安定になる寸前になっていた。
黒絵「お兄ちゃん…………。」
司「心配するな。とりあえず、外傷はどうにかした。けど、精神面だけはどうしよもないから、しばらくは行かせることは出来ねえな。」
貴利矢「ガルッチの奴、もうリタイアしてもおかしくねぇんじゃねえのか?」
黎斗「むう、最悪私達で行くしかないか…………。」
ガルッチ「…………本当に面目ない。こうも、弱っちゃうなんてな。」
正直ガルッチも、そうした方がいいかなと考えたが、今後起こり得そうな事があると思ったのか無言耳塞ぎ呪文を唱えた。
司「どうかしたのか?」
ガルッチ「4人とも。これから言う事、よく聞いて。」
貴利矢「何だ?藪から棒に。」
ガルッチ「今後の出来事だが、恐らく半罪人みんながバラバラになる可能性がある。」
司「マジで?」
ガルッチ「うん。3つの罠があって、最初は二つのスイッチ、次に黒絵が得意そうな記憶ゲーム。そしてリズムゲームのようなものがあって、恐らくどれもやっても失敗して、仲間割れを起こすように仕向けられてるんだ。」
貴利矢「要するに、別々に別れた時点で乗せられちゃったって訳か。その事、他の皆に伝えて欲しいのか?」
ガルッチ「いや、他の皆には伝えないで。」
黎斗「何でだ?」
ガルッチ「理由はあえて言わないが、団結力を高める絶好の機会なんだ。出来れば、僕も行きたいが、精神面もアレだし、邪魔するわけにもいかないからな…………。」
バロン『要するに、知ってても演技しておけって事だろ?』
ガルッチ「そう言うことだ、黒絵。多分、辛いだろうけど、こうするしかないんだ。ホントにすまない。」
黒絵「…………お兄ちゃん。」
ガルッチ「?」
黒絵「大丈夫、お兄ちゃんは、ゆっくり休んでて。」
ガルッチ「……………………黒絵。」
黒絵「ずっと我慢してて、辛く見えたから………。今度は、私が恩返しする番。お兄ちゃんの、愛人として、精一杯頑張るから。」
3人「「「え?」」」
ガルッチ「あの、出来れば二人っきりの時で、言って欲しかった。///」
黒絵の爆弾発言により、司と黎斗、貴利矢の顔は(°д°)ポカーンとしてしまった。これで他の半罪人達も聞いたら、(°д°)ポカーンとするだろうけど………。
ガルッチに関しては、顔真っ赤だった。
司「おい先生、聞いてないぞ!?いつの間に愛人関係になったんだ!?あ!もしかして、秘密の話ってまさか────」
ガルッチ「なんか想像してるけど、違うからね!?っていうか、ホントにそうなりそうで────ッ……!」
司「あ、悪い。とりあえず、私達戻るから、ちゃんと治せよ?あと……、私もなって良いかな?」
ガルッチ「せめて雰囲気にして?絶対断っちゃうから。」
そんなこんなで、ガルッチを残して4人は部屋を後にした。
ガルッチ「……恩返し、か。」
ガルッチは一言呟いた後、まるで死人になったかのように深く眠りについた。
-???-
ガルッチが目を覚ますと、見覚えのない景色に到着した。真っ白な住宅街だったが、人一人もいなく、夜でもないのに静まり返っていた。
知らない町並み、知らない景色、知らない雰囲気。けど、ガルッチは何処か懐かしく思ってしまった。
まるで、ここを知ってるかのような、何処か来たような、色々なものを感じ取った。
ガルッチ「って、それより此処何処だ?」
そう思いながら、少し歩くと、6歳児の男の子が居た。
「……お兄ちゃん、迷子?」
ガルッチ「……?」
「あ、それとも、此処がどこだか分からないのかな?」
ガルッチ「……そんなところ。」
「此処は、君だけの追憶の世界。…………だと、思うよ。」
ガルッチ「と思うって…………。」
一度その子を見つめると、何故だか懐かしい思いが込み上げてくる。けど、それが何なのか、さっぱり分からなかった。
ガルッチ「んじゃあ、君は誰なんだ?」
「え?…………んじゃあ君にも聞くけど、『僕は誰』?」
ガルッチ「へ?」
「僕、知らないんだ。自分が誰だったのか、誰と一緒なのか、此処は何処なのか、何でここにいるのか、僕…………分かんないんだ。
覚えてないけど、一つだけ確かなのは、お兄ちゃんを導くって事かな?」
ガルッチ「導くって…………。」
すると、目の前に居たはずの男の子は消えていて、青色の光が放ってるところが見えて、そこに向かった。
これから見るのは、追憶の記憶。ガルッチの記憶だと言う事を、彼は知る由もなかった。
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