Subterranean Electron World 作:深緑 風龍
-リリカの家-
数日後、エデンの肉体、精神、魂が漸く安定し、魔力や体力が回復した。能力も確認したところ、『愛人を作る原因』のスキル以外は取り戻しており、あの『ネガ・ストーリー』のスキルもちゃんとあった。
両眼が見えることを、今更違和感を感じ、手鏡を投影し、自分の顔を見ると、澄んだ蒼い瞳をした眼があった。義眼でもなければ、スタンドの眼でもない。正真正銘の、自分の眼だった。
エデン「…………いつから、こんなのが?」
シング『どうやら、貴方自身の眼のようね。』
エデン「え?シング?どこから声を?」
シング『あ、まだ霊体化したままでしたね。』
窓側から声が聞こえたため、そっちに向くと、『ナーサリー・ライム』の姿をした『エモーショナル・シング』の姿があった。
エデン「シング、確か君は………あっちの肉体に宿してたはずじゃ…………。」
シング「確かにね。けど、何も肉体とは言ってないよ。『君』と言う存在が居て、初めて宿しているだけ。
例え、本来この世界に居るはずが無い『君』でもね。」
エデン「……………。」
シング「そんな顔をしないで、エデン。確かに騙していたことはショックだったし、何より貴方の正体が『ゴジラ』だなんて、思ってもみなかったよ?
5代目創造王神は、『怪獣』だったなんて、神々でも前代未聞だし。」
エデン「…………まぁ、そうだね。」
シング「けどね、私は気にしないよ。例え怪獣だろうと、外なる存在だとしても、私は私の役目を果たすだけ。」
エデン「そうか…………。そろそろ消した方がいい、誰かが来るかも。」
シング「分かった。」
シングの姿が消えると同時に、ノックが聞こえ、扉が開いた。そこには、『依代神香』の姿をした、アズリエル・ドリーマーが、ずんだ餅を持ってきた。
まだエデンが不安定状態だったとき、この人がアズリエルだったことであり、フラウィーだって事をリリカから告げられたとき、エデンだけでなく、フラン達も唖然としていた。
その後は、エデンはすぐさま謝罪し、あげくの果てには自害しようとしていたが、皆の手でどうにか思いとどまったらしい。
とはいえ、未だに責任感があるが………。
アズリエル「もう大丈夫ですか?」
エデン「まぁ、そんな感じかな。リリカは?」
アズリエル「リリカだったら、なんか零さんと赤屍さんと話をしてたらしいよ。その後帰っちゃったけど、今はマッサージしていると思うよ。」
エデン「そうか……………。」
エデンはずんだ餅を手にし、窓側を見ながら食べていた。
アズリエル「どうでしょうか?ずん子さんが作ったずんだ餅は。」
エデン「旨いよ。久々に食べたかも。」
アズリエル「それは良かったです。」
エデン「……………ところで、さ。アズリエル。」
アズリエル「?」
エデン「憎んでない?僕のこと。リリカを………、奪った僕を…………。」
アズリエル「…………………。」
皿を置いて、エデンの隣に座り込み、こう言った。
アズリエル「恨んでいないと言えば、嘘にはなりますが、そんなことしたって、リリカが悲しむだけだと思いますので、しません。」
エデン「いいのか?僕は君にとって、大切なリリカを殺した仇のような存在だぞ?僕だったら、きっとお構いなしに、仇相手を探し出して殺すはずだ。」
アズリエル「それは君だけでしょ。それに、昔は昔。今は今。やっとリリカに会えて、漸く結婚出来たんだ。それだけで、十分だからね。」
エデン「…………そうかい。」
けどエデンは少し、暗い顔になった。
エデン「…………正直、祝えるかって言うと、出来ない。君に対して、今でも憎んでも居るし、妬んでもいる…………。如何しようもないほどに、ね。」
アズリエル「…………そうなんだ。案外、諦めが悪いんだね。」
エデン「うん。諦めるなんて、絶対にない。でも、寝取る気はない。そこまで落ちぶれてる訳じゃ無いんだしさ。そこは、安心してくれ。君に対して嫌がらせも、絶対にしない。
そう言うのは、約束する。」
アズリエル「なんだか、矛盾しているような気がするんだけど………。それで本当にいいの?」
エデン「…………僕らしくないけど、今はこれでいい。僕はリリカの幸せを奪った張本人だ。ならば、僕なりのやり方で、リリカの新しい幸せを守るしか無い。」
アズリエル「…………その恋心って、ある意味────」
エデン「呪いかって?…………強ち、間違いじゃ無いかもね。」
自嘲をするかのように、エデンは笑うも、すぐにアズリエルを見る。
エデン「アズリエル、君にとって仇相手の僕が言うのもなんだが、リリカを幸せにしてくれ。僕も出来るだけ、君達を見守る。今言えることは、それだけ─────」
『ガチャッ』
リリカ「ガルッチさん、居ますか?」
まだ話し掛けていたとき、リリカが入ってきた。しかも、何かの手紙らしきものを持っていた。
エデン「リリカ?その手紙は?」
リリカ「分かりませんが、アルトリアさんが言うには、貴方宛の招待状だとか………。」
エデン「招待状?」
リリカはその手紙をエデンに渡し、早速見てみた。内容はこうだ。
『親愛なるガルッチさん、リリカさんへ』
エデン「…………おい、これリリカも含まれて居るぞ?」
リリカ「私も!?」
『本日この手紙を送ったのは他でもありません。
ガルッチさんとリリカさんとの決着を付けるために、力の大会を開催しようかと思っています。っと言っても、選手は他にも居ます。
門矢未来、星空英竜、衛宮藍、五河士織、夜神小夜、神風深雪、両儀零、赤屍蔵人。そして貴女方含めて10名の選手と戦って貰うことを決定されました。
無論、バトルロイヤルではありません。1対1の真剣勝負と言うわけになります。』
リリカ「…………また力の大会ですか。」
アズリエル「でも、この書き方はちょっと違うね。」
『ルールは決められては居ませんが、基本的には場外負けは無し。死ぬか、負けたと思った方の負けとなる。また、瀕死の重傷を負って戦闘不能になれば、その時点で失格。親交を深め、楽しい時間を過ごして全力を尽せ。と言うのは代わりありません。
場所は『End of The World』の天空世界にあるコロシアムにて決定した。明日、迎えの者が来る。
諸君の健闘を祈る。
力の大会の主催者兼2代目天皇 『ラーク・ホープライト・アルトリウス』。』
エデン「……………って、アルトリウス!?しかも場所って、僕の故郷じゃねえか!!」
リリカ「知っているのですか?」
エデン「うん。『End of The World』と言うのは、多種の種族が住んでいて、多くの技術を持った星なんだ。9つの大地があり、8つの大地には、それぞれに支配者こと『皇帝』がいて、それらを全て束ねて統治する者『天皇』が居るんだ。
僕もかつては、兄さんこと『ルッチ』と共に、『End of The World』を統治していたけど、僕の場合『天皇補佐』としてやってたしね。」
リリカ「…………イメージが、湧かない。」
アズリエル「君がそんなことするイメージが、全く見当たらないんだけど…………。」
エデン「おい、それはそれで傷つくぞ………。あの頃はちゃんとやってたんだから。…………しかし、まさか故郷に戻る日が来ようとはな…………。
兄さんが築き上げ、そして今はアルトリウスが統治している…………。どんな世界になっているのか、楽しみだな。」
リリカ「…………そういえば、戦う相手とか決まっているのでしょうか?」
エデン「如何なんだろう?っと、裏側になんか書いてある。」
『なお、ガルッチさんは、『門矢未来』、『神風深雪』、『両儀零』、そして『星空英竜』の順で戦って貰います。リリカさんは、『五河士織』、『赤屍蔵人』、『夜神小夜』、そして『衛宮藍』の順です。』
エデン「……………なるほどね。まさか、零と再戦することになるとは。それに、英竜お姉ちゃんと戦いか。」
リリカ「…………何でそうなるんですか。明らかに実力の差が高すぎる人達ばかりではないですか。」
エデン「……………いや、多分これが丁度いいってことなんだろうな。むしろこれに負けるようでは、リリカと戦う資格は無い…………か。」
リリカ「それじゃあ、これに負けるなら、ガルッチさんと戦う資格がない…………と言うわけですね。」
アズリエル「……………強敵揃いだけど、行けるの?」
アズリエルは心配そうだったが、2人は笑って言ってくれた。
エデン&リリカ「「リリカ/ガルッチさんとの決着を付けるためなら、負けるつもりはない。/ありません。」」
そして翌日、アルトリウスの使者が現れ、エデン達は『End of The World』へと向かった。
リリカはエデンと、エデンはリリカと決着を付けるために………、対極的な2人はその大会で、果たして勝ち残る事が出来るだろうか。
next episode
つうわけで、今年の最後の投稿です。
次回はGAME10 『End of The World 対極なる2人の決戦』になります。
それでは、良いお年を!!