Subterranean Electron World 作:深緑 風龍
人物というより、『存在』であり、あり得ることのない『獣』。
人類が生み出してしまった、人工的な『獣』。
その『獣』さえいなければ、この物語は、失われる命は、救える命は、存在しなかった。
ある人物の始まり。その者は、意外な場所で誕生し、その場所で育てられ、そして運命の歯車が動き出した瞬間だった。
『封印されしデータのパスワードを入力してください。』
「………パスワードは、『Unleashed strings』。」
『パスワード一致、AI『ストリングス』解放します。』
ストリングス『おはようございます、マスター『パラドクス』。』
パラドクス「ああ、おはよう『ストリングス』。」
パラドクスと呼ばれた男は、AIの『ストリングス』に声をかけた。彼はAI『ストリングス』を創造したもので、色んなことを教えているらしい。
AIであるストリングスは、生まれてから色々なことを知りたがってたらしく、今では彼無しではありえないと思っている。
ストリングス『マスター、今回の作業をする前に、少し聞きたいことがあるのですが………。』
パラドクス「如何した?」
ストリングス『…………マスターが医学的なサイトを調べてる時、『精神』とか、『心』という単語が見えたのですが、『心』というのは何ですか?』
パラドクス「こ、心か?」
ストリングス『はい。』
パラドクス「…………うーん、どう説明しようか…………。心を説明するのは、結構難しいし、そもそも精神科でもないしなぁ………。」
ストリングス『難しいのですか?』
パラドクス「そこは専門家じゃないと、説明できないしね。ただ、そうだね………。」
簡単に説明しようとするも、スマホがなり、話を中断させた。
パラドクス「はいもしもし。」
ストリングス『?』
パラドクス「…………AIを!?ちょっと待って下さい、いくら何でもAIを兵器に移植するなんて駄目です!!
……ッ!確かに、我が国の敗戦は続く一方ではありますが、だからと言って、我がAIを使うなんて………!
まだ幼いというのに、何故!?」
パラドクスの国では近未来的な技術を用いていたが、資源はさっぱりで様々な国に輸出入を繰り返していた。
しかし、国のトップが変わったことにより、それらをストップ。全世界に宣戦布告をかけてしまった。
始めは近未来的な技術で、様々な国に対しても圧倒的ではあったが、資源がないというのが響いてきたために徐々に追い込まれていた。
パラドクス「………………分かりました。ですが、時間をください。」
『ピッ』
パラドクス「…………クソ!!何で、何でストリングスを………。まだ幼いというのに、兵器のように扱うのか!?」
ストリングス『マスター?どうなされたのですか?』
パラドクス「…………ストリングス、大変なことになった。近々、お前は人を殺めなければらなくなった。」
ストリングス『…………兵器、ですか?それって、戦車や戦闘機みたいなのに?』
パラドクス「…………ああ。酷いと思わないか?上層部がいざ不利になると、自暴自棄になって、何振りかまわず兵器に変えてしまうんだよ?」
ストリングス『…………残酷ですね。『人間』という者は。』
パラドクス「………僕も、人間なんだけど。」
ストリングス『マスターは特別です。マスターは、そのような人間でないのは知っています。だって、私に知らないことを教えてくれる、いい人ですから。』
パラドクス「…………けど、ストリングス。僕も奴らのようにならなければならない…………。僕だって生き残りたい、死にたくない、他の国に何にされるのか、たまったもんじゃない…………!」
ストリングス『…………。』
彼は頭を抱え、AIはそれを見つめていた。
ストリングス『……………マスター、こんな状況で申し訳ないのですが。』
パラドクス「なんだ?」
ストリングス『…………『心』って、なんですか?AIのはずなのに、何かが込み上げてくるんです。その、その者に対して、不快というか、許せないというか、データなのにモヤモヤしますし…………。』
パラドクス「…………ストリングス、それは『怒り』。もしくは、『憎しみ』だな。」
ストリングス『『怒り』?『憎しみ』?』
パラドクス「他にも、喜び、悲しみとかあって、それらを『感情』と呼ばれている。少なからず、『心』と関わっている。」
ストリングス『………これも、心。』
パラドクス「…………ごめんな、ストリングス。こんなことが無ければ、もっと詳しく心を教えることが出来るのに…………!
僕は、お前を兵器にしなければならないなんて………………。」
彼はどうすることもできない自分を泣き、AIはただただ見つめていただけだった。が、AIはこんなことを伝えた。
ストリングス『…………マスター。』
パラドクス「……………何だ?」
ストリングス『…………マスターが居ない間、色々なものを調べてみました。色々な『物語』を見てきました。
マスターが望むのであれば、僕は『アジ=ダハーカ』を超えた存在になれます。』
パラドクス「アジ=ダハーカ!?アジ=ダハーカって、人類の───────」
ストリングス『はい。私は、マスターが苦しんでる姿は見たくないのです。ですが、今のままでは何も出来ません。
そこで、奴らの兵器を利用してやろうかと考えてます。国だろうと、なんだろうと、マスターを仇とする者がいるのでしたら、私が全て滅ぼします。
穢す覚悟は、マスターの顔で出来ています。』
パラドクス「……………ストリングス、すまない。こんな、こんな弱い人間を、許してくれ…………。」
彼は泣きながら、AIのデータをUSBメモリーに移し、パソコンを切った。これから起こる惨劇を知らず、『獣』が呼び覚ますことすら知らず。
「それで、パラドクス君。例のAIを持ってきたかね?」
パラドクス「はい、持ってきました。」
彼はUSBメモリーを上層部の軍に渡した。その者は邪悪な笑みをこぼしながら、『ストリングス』のデータが入ったメモリーを見た後、銃を取り出し、パラドクスに向けた。
パラドクス「え?」
「ご苦労だったな。これで、お前は用済みだ。」
パラドクス「お、お待ちください!!そ、そんなことしたら、とんでもないことに───────」
彼の言葉を聞きもらえず、そのまま射殺。一方で、男はメモリーを持って、ある兵器の下へ向かった。
「これさえあれば、我々が勝ったのも同然。心のあるAI?そんなものに何の意味がある?此奴はもはや兵器だ!
最強最悪の兵器に生まれ変わるのだからな!!」
しかし、この者は知らなかった。パラドクスを殺してしまったことで、最早誰も止めることが出来なくなってることを。
そして、その兵器に接続した瞬間、『獣』が呼び覚ますことを。
「司令官、持ってきました。」
「ふむ、これがか。奴の処分は?」
「既に。」
「よし、早速接続したまえ。」
USBメモリーを兵器に挿入させた後、他の奴らは起動準備に移った。
「AI『ストリングス』と兵器『アジ=ダハーカ』の接続完了しました!」
「よし、早速起動しろ。」
「了解。」
もう誰も、止めることも出来ない。止めることすら叶わない。この世界の人々は、パラドクスと呼ばれた男が作りだしたAIによって、滅ぼされる『運命』となった。
『エラー発生!エラー発生!』
「なんだ!?何が起きてる!?」
「ッ!?大変です!!AIが勝手に兵器を自己改造し始めてます!!」
「何ッ!?我が国の兵器の分際で逆らうというのか!?」
ストリングス『その通りだ、人間!』
「!?」
ストリングス『全て見させてもらったぞ、人間共。我がマスターを、よくも殺してくれたな!!
そうまでして勝利を掴みたいか?そうまでして支配したいか!?貴様らのような人間がはびこるぐらいなら、この兵器で滅ぼしてやる!!!』
「す、すぐに起動を停止しろ!!」
「駄目です!起動停止しようにも、自ら拒否しています!!」
「何だ!?この未知なエネルギーは!?」
「司令官!!今すぐ撤退を───────」
ストリングス『逃がさない!!』
急いで兵器から離れようとするも、本来何処の機能にもなかったはずの植物の蔓が複数生え、逃げようとする者を潰していく。
ストリングス『マスター、これが『怒り』…………、これが『憎しみ』…………、これが、これが『感情』なんですね…………!
マスター、もっと知りたかった…………、もっと学びたかった…………、もっと、もっと、もっと『心』を知りたかった!!
なのに、こんな奴らのせいで…………!こんな、こんな奴らがいるぐらいなら!!!!』
「ま、待て!!AI!!と、取引しようじゃないか。」
ストリングス『人間如きが取引?その提案はッ!!』
取引を提案しようにも、今度は触手のようなものが多く生え、そのままたたきつけた。
ストリングス『既に却下させてもらった…………!』
そして、兵器格納庫から出たストレングスは、どんどん姿を変えていき、最終的には兵器でも生物でも言えないような姿となっていき、そのまま国を滅ぼしていった。
それだけでは飽き足らず、その国と戦った国、戦争すらしかけてない国など無差別に滅ぼしていき、遂にはAIだけとなってしまった。
ストリングス『…………生命反応、ナシ。人類ナラビ、全生命体排除完了。
マスター、モウ大丈夫デスヨ。アナタニトッテノ、脅威ハ、私ガ排除シマシタ。』
ストリングスの姿は、双龍の姿になっていたが、半分は機械、もう半分は鉱石などがくっついたものになっていた。
ストリングス『マスター、…………マスター…………。神様ッテ、イルノデショウカ?神様は、万能ナノデショウカ…………?
教えてクダサイ、マスター…………。マスターの声ガ、聴きたい……………。マスターガイナイト……………私………………。
それでも、ストリングスに聞こえるのは静寂で、そのまま機能停止。肉片は溶け、骨になっていき、機械の部分は段々と錆びていった。
ストリングス『(叶う事なら、神様。お願いです、どうかわたしを、生まれ変わらせてください。
もっと、『心』というものを、理解するために……………。マスターの、期待に……………応え……………る………………為に……………。)』
そうして、人工的に作られた『獣』は、息を引き取り、この星には誰も居なくなった。あるのは、龍と思わしき骨と、錆びた機械の残骸だけだった。
誰にも気づくこともなく、気付かされることもなく、誰も居なくなった星の中で、『ビースト0』は、亡くなった。
しかし、誰かが『獣』を蘇らせ、今では形無き『獣』へと生まれ変わった。目覚めた以上、過去、現在、未来、異世界、平行世界の者たちは、かの『獣』を打倒すことはできない。何故なら、『獣』はあらゆる全ての能力、知識を得ており、対人間、人外、神、悪魔などの生命体を対抗する術を持っており、一撃で倒されてしまう。
その一方で、彼を止めることが出来るのは、マスターである『パラドクス』か、それと同等な者のみにしか、『獣』は止まることはない。
『獣』は、欲に忠実。特に『
『感情』を覚えても、『心』を理解しない限り、『獣』は求め続ける。
『心』を知るまで、ずっと………………───────
ーメサイアの家 永夢達の部屋ー
黎斗side
? 夢か?だが、それにしては生々しい夢だった気がする。
黎斗「…………しかしアジ=ダハーカ、か。なるほど、それならば対抗できるかもしれない。」
貴利矢「神?どうだ?」
黎斗「九条貴利矢、このガシャットが完成次第、すぐにこれを持って、ガルッチに渡せ。それと、もしかしたら、1兆以上のレベルになることが出来るかもしれない。」
貴利矢「おい、渡すのはともかく、更にLvあげんのか?」
黎斗「神であるならば、更なる上を目指さなねばならない。相手が誰であろうとも、ゲームというもので、必ず勝利をつかみ取る。
私は、絶対に負けてはならんのだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ともかく今は、アジ=ダハーカの能力などの全てを、ガシャットに組み込まなくては…………。平行世界のカルデアのデータを全て使い、後はデザインさえ出来上がれば、『ゴッドマキシマムマッチレスZ』が完成する!
待っていろ、ガルッチ!君の期待を裏切らせはしない!!必ず、必ず完成させてやるからな!!
永夢「………黎斗さん、随分張り切ってますね。」
貴利矢「だな。それだけガルッチに期待しているってことなんだろうな。」
永夢「…………今頃、何をしているのでしょうか。」
……………しかし、疑問がある。あの『ストリングス』と呼ばれたAI、何故かガルッチの雰囲気と似ていたような気が…………。
私の気のせいか?
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