Subterranean Electron World 作:深緑 風龍
ー追憶の間ー
宇宙戦争が始まっている一方、英竜の方はエデンから出撃禁止の命を下され、更には自分自身を見つめ直してと言われたせいで、部屋の中にこもっていた。
何より想定外なのは、あのエデンが、『荒げた』こと。今の英竜を見て、何処か『失望』と『軽蔑』していたこと。
今までそんなことはなかった。エデンが、そんな目で見て、声を荒げるなんて、思ってもみなかったからだ。
そのせいか、夢にまで見るようになった。ずっと繋いでいたはずのエデンが、遠くまで離れる夢を。エデンを追いかけようとするも、そのせいで死んでしまったこと。誰も彼もが見捨てられ、遂にはアギラですら手を跳ね除け、一人ぼっちになってしまう夢を見ていた。
そして、鏡に映ってる自分を見ると、其処には自分自身ではなく、『人ならざる怪物』に見えるようになってしまい、何が何だか分からなくなっていた。
そして夢を見た時は、今度は真っ白な世界。いや、地面を見ると草原があり、目の前にはいろんなものがあった。
誰かの気配に気づき、英竜は後ろを振り向きいつでも攻撃態勢にしようとしたら、どういう訳か使えなくなっていた。
希望「初めまして、というべきかな?手荒な真似が出来ないように、貴方の能力を封じさせてもらったわ。」
英竜「!?」
希望「勿論、貴方に危害を加える気はない。そんなことしたら、エデンに怒られちゃうしね。」
英竜「エデンを知ってる…………!?誰なんだ…………!」
希望「貴方のご先祖様、というべきかしら?」
英竜「先祖?」
希望「そう。私は元十三王神の一人、『記録王神』と呼ばれた『星空希望』。蘇った『十三王神の大神殿』の管理者であり、この記憶の世界の創造者というべきかな?」
名乗ると同時に、真っ白だったはずの世界は色が付き、後ろを振り向けば街並みが現れ、現実と同じような世界に変わっていた。
しかし、英竜と希望が居た場所は、町の中ではなく、空の島だった。
希望「なんで、エデンがあんな事言いだしたのか、気になってるでしょ?」
英竜「ッ!?」
希望「簡単よ。貴方という存在が、自我が、失い始めているのよ。」
英竜「存在が………?」
希望「貴方は知らないと思うけど、アギラや藍、そしてエデンがどんな目で見ていたか。」
英竜「…………。」
希望「『失望』、『恐怖』。今の貴方は、とてもじゃないけど、慕ってくれるわけない。エデンにそう告げられても、仕方ないのよ。」
英竜「そんな風に…………、見られていたのか…………?私に…………?」
希望「貴方が見た夢は、皆に見捨てられる夢。貴方を愛していた人、友達だと思ってた人、慕ってくれた人が見限られ、一人ぼっちになるにつれて人じゃなくなる夢。
そして、怪物となった貴方が、エデンに殺される夢。」
英竜「なっ!?」
夢で見た。エデンに殺されることを。別れを告げられ、容赦なく刃が振り下ろされたことを。自分を、見てくれないことを。
希望「貴方には二つだけの選択があるわ。貴方が選ぶものによって、捨てなくちゃならなくなるわ。」
英竜「選択…………?」
希望「一つは、前世の貴方が持つ憎しみなどの因縁を断ち切る事。貴方がそれを選ぶなら、貴方自身と戦ってもらい、勝てば前世の記憶もその憎しみを捨ててもらうわ。
もう一つは、人間性を捨てて、怪物に変わる事。そっちを選ぶなら、あらゆる全てを手にし、完全覚醒に至ったエデンと戦ってもらい、勝てばその身体もわずかに残った人間の心を捨てて、怪物になってもらう。
どっちを選んでも構わない。それは貴方の選択したことだから。だけど、もし後者を選ぶっていうのなら、二度と、エデン達に近づかないで。」
英竜「何故?」
希望「後者を選ぶなら、エデンは貴方を、大切な存在である『星空英竜』として見ず、『星空英竜だった』怪物として、貴方を殺すから。
彼の総てを裏切るというのなら、彼はもう貴方を大切な家族として扱わず、滅ぼすべき敵として、貴方を殺すことになる。」
彼女は、2つの選択肢をあげられた。前世を切り捨てるか、人間性と仲間などの総てを切り捨て、怪物に成り果てるのか。
希望「さぁ、英竜。私の子孫。貴方はどちらを選ぶ?前世を切り捨てるのか、今世で築き上げた総てを捨てて、怪物になるか。
もう貴方には、そのどちらかしか選ばせない。他の回答なんて、認めるつもりはない。この二つだけ、その中の一つ選んでもらうわよ。」
後戻りはできない。その選択次第で、今後の運命も変わってしまう。
それでも英竜は、決意を固め、そのどちらかを選んだ。
希望「……………本当に、それでいいのね?」
英竜は頷き、希望はすぐさま一つの形を生み出し、英竜はそれに立ち向かった。
───────宇宙戦争前 十三王神の力を手にした後
エデンside
希望「ねぇ、エデン。」
エデン「?」
希望「変なこと聞くけど、もしも英竜が敵に回ったらどうするの?」
急に重いこと言いだしたな。でも、そうだな…………。
エデン「もし、お姉ちゃんが敵に回るっていうなら……………僕は家族として見ず、倒すべき敵として、戦うよ。」
希望「…………。」
エデン「意外みたいな顔だな。分かってるつもりさ。大切なものは、皆守る。けれど、もし僕を裏切るような事をするのであれば、説得はしない。『敵』として、そいつを殺す。
もしも、怪物に成り果ててしまったのなら、必ず殺す。あの時のようにね。」
希望「…………そうならないことを、祈るしかないわね。」
ああ。それには、賛成だ。もし彼女が、怪物になるっていうのなら、僕はお姉ちゃんを、怪物に成り果てた『星空英竜』だった存在を殺す。
どんな理由があったとしてもだ。
お姉ちゃんが、その選択を選ばないことを、祈るしかないな。
next episode
英竜の選択に関しては、エイリアンマンさんにお任せします。