※この作品はR-18です。

Subterranean Electron World   作:深緑 風龍

409 / 416
episode342 レアとエデン

ーリインカークロニクル本部ー

 

 

レアside

 

 

………………お父さんが亡くなって、2ヶ月経ちました。それだけで無く、英竜お母さんも、あの戦い以降姿を見せなくなってしまいました。

理由は分かっていましたが、それでもやっぱり、寂しく思ってしまいました。

 

 

夕立「司令官、大丈夫か?」

 

レア「………………。」

 

夕立「司令官!!」

 

レア「! な、何!?」

 

夕立「大丈夫か?仕事に詰めるのはいいが、少し休んだ方がいいぞ?それに、手から血も出てる。」

 

レア「え?あ、あ!?」

 

 

気付かなかった。私、知らず知らずに仕事に没頭してたらしいね。それに、いつの間にか血の跡が紙に………………。

 

 

夕立「………………やっぱ、まだ気にしているのか?お前の、親父とお袋のこと。」

 

レア「………………………。」

 

夕立「………………司令官、しばらく休んだ方がいいぞ?ずっと仕事詰めしていたら、壊れるだろ?」

 

レア「………………うん。まだ書く事あるけど、休むよ。心配かけて、ごめんなさい。」

 

 

もう、何処にもいないのは分かっているのに、会えないって理解しているのに、………………現実を受け入れ切れない………………。

 

 

エデン『レア、僕の身に何かあったら、後の事任せるよ。』

 

レア「!!」

 

夕立「司令官?」

 

レア「何で、何で私を置いて、何も言わずに行ってしまったのですか!まだ、話したい事がいっぱいあったのに!!

何故なのです!?お父さん!!」

 

 

両儀零に報告して以降から、お父さんからの連絡は来なかった………。お父さんが切る前に言った言葉は、どういう意味だったのか分からなかった。

それを聞きたかったのに、あの戦いを最期に、亡くなって………………。

 

 

夕立「………………その、今日ぐらいはさ、墓参りしに行ったほうがいいんじゃないか?」

 

レア「…………そうね。」

 

 

ー孤独の岬ー

 

 

夕立(アズールレーン)の言うとおりに、お父さんの墓がある『孤独の岬』に行きました。墓の内容には、こう書かれています。

 

 

『アルカディア・エタンセル・エデン

 

 

数多の宇宙と世界を救い、大いなる罪を背負い続けた哀しき大英雄。

 

 

忘れられぬ桜を咲かせ、この世に去る。』

 

 

目撃した人が言うに、お父さんはオルタに向けてトドメを刺した際に、ビッグバンを起こしたあと1本の巨大な桜が現れたらしく、その幹のところでお父さんの遺体があった。

まるで、安らかな眠りにようやく付けられるかのような、心地よい死に顔だったって。

 

 

レア「お父さん。」

 

 

一体、どういう思いで、亡くなったんだろう?どんな思いを抱きながら、戦ったんだろう?他にも色々あるけど、この2つは聞きたかった。

もっとちゃんと、話し合いしておくべきだったかもしれない。

 

 

だけど、もうお父さんは、お父さんは………………………。

 

 

「リインカークロニクルのリーダーがここに居るなんて、珍しいね。」

 

レア「!?」

 

 

今の声、まさか!?

 

 

そう思って後ろを振り向くと、フードを深く被っていたけど、雰囲気から感じて思わず………。

 

 

レア「お父さん!?お父さんなの!?」

 

「………………。」

 

レア「何で黙っているんですか!?私です、『星空・クォーター・レア』です!!」

 

「分かってる、それぐらい………。」

 

レア「なら、何で────」

 

「分かっているからこそ、覚悟を決めなきゃならないんだ。」

 

レア「お父さん?」

 

 

お父さんはフードを脱ぐと、表情は悲しみでいっぱいでした。まるで、お別れを言いに来たかのような、そんな表情でした。

 

 

顔付きもあの頃のままでしたが、髪の色は半分真っ白で、前髪の一部も4色に染まっていた。

 

 

エデン「言いたいことは分かる。あの時、何でそんなこと言ったのか。それは、あの最期の戦いで死ぬと分かっていたから。」

 

レア「で、ですが、貴方は生きて───」

 

エデン「いや、実際死んでいるに等しい。本来なら、こうやって話すなんて無理な事だしね。」

 

レア「何でそう言い切れるのですか!?」

 

エデン「そうだな。『インフィニティ・ストーン』って言うのは、知ってるよな?」

 

レア「え?はい。『力』、『空間』、『時間』、『魂』、『精神』、『現実』の6つの事ですよね?」

 

エデン「7つ。」

 

レア「7つ?」

 

エデン「7つ目のインフィニティ・ストーンが存在していたんだ。そして、今の僕は死んだ事で、正式にその『インフィニティ・ストーン』になったんだ。」

 

 

7つ目のインフィニティ・ストーン!?それが、お父さんに!?

 

 

エデン「そのインフィニティ・ストーンの名は、『幻想(ファンタズム/イリュージョン)』。

石の色は虹色で、本来の姿は『幻想仕掛けの神』と呼ばれる、『抑止力』も『機械仕掛けの神』ですら手に負えないと言わせられた存在がいた。

 

 

今の僕がそうだ。」

 

レア「でしたら、何で世間に公表しないのですか?今こうして、生きて───」

 

エデン「レア。もう僕は死んでる。数多の世界を救い、多くの罪を償った大英雄である『アルカディア・エタンセル・エデン』は、この世にいない。

 

 

今の僕は、『アルカディア・エタンセル・エデン』の姿をした『幻想』のインフィニティ・ストーン。

例え君と過ごした日々を覚えていても、今の僕には、君と過ごす事はできない。それが、どんな理由があっても、どんな理屈があろうと………。」

 

レア「………………。」

 

エデン「すまなかった。レア。もっと、幸せに過ごしてあげるべきだったかもしれない。それか、もっとまともな生活を送らせるべきだったかもしれない。

君等だけ辛い思いをさせて、すまなかった。」

 

レア「………お父さん。」

 

エデン「………………………さようなら、『星空・クォーター・レア』。僕と英竜の愛娘。どうか、僕が成し得なかった事を、君と君の仲間達と共に、成し遂げてくれ。

 

そしてどうか、幸せに、生きてくれ………………………。

 

 

それが、父親としての、最期のっ、頼みだっ。」

 

レア「ま、待って下さい!!」

 

 

行っちゃだめ!行ったら、本当に、もう二度と会えなくなってしまう。お願い、ですから、行かないで!!

 

 

エデン「来ないで!!」

 

レア「!?」

 

エデン「お願いだからっ、来ないでくれッ!もう、辛い思いは懲り懲りなんだ………!僕の事を忘れて、生き続けてくれ………………!

こんな、最低最悪な父親の事なんか忘れて、幸せに────」

 

レア「出来ません!!」

 

エデン「何で、何でなんだ!?もう僕は、死んで─────」

 

レア「関係ありません!!」

 

 

死んだから何なのですか!インフィニティ・ストーンになったから何なのですか!?私は、私はッ!!

 

 

レア「もう勝手に居なくならないでください!!どんな理由があったとしても、貴方は私の父親であることには変わりません!!」

 

エデン「父親だ(・)っ(・)た(・)ん(・)だ(・)!!でも、それも終わりなんだ!!今日から、君と僕は赤の他人なんだ!!だから、もう来ないでくれ!!」

 

レア「でしたら、何で泣いているんですか!?本当に赤の他人になるつもりでしたら、泣く必要は無いでしょう!?」

 

エデン「いい加減にしてくれ!!もう、失うのは嫌なんだ!!家族が、友人が、大切なものが、いなくなっていくのが、耐えられないんだ………………!

 

他人になってしまえば、こんな思いをせずに、済むのに………………。平然と、いられたのに………………。

お願いだから、もう僕の事、放っといてくれ………!」

 

レア「その願いは、無下にさせてもらいます。だって、私の幸せは、貴方と共に過ごす事ですから。」

 

エデン「レア………………。」

 

 

そういう事でしたのね。お父さんが私を突き放そうとしていたのは、私を守るため。いつか敵は私のような家族を人質にして、手駒のように操って、用済みになれば殺される。

家族などの大切なものを人質にすれば、降伏する事も容易い。特に、鳳凰さんやアラヤさん、私、マリベル、うさうさのような転生者の子なら尚更………。

 

 

だけど、だからって、こんな形で、お別れなんて、嫌ですよ………………。

 

 

レア「他人のフリなんて、出来ません。私も貴方も、そんな状態が続いていたら、気が狂いそうになります。

もう、貴方しかいないのです。何時でも、会える親は………………。」

 

エデン「………………。」

 

レア「お願いだから、行かないで………………。お父さん………………!」

 

エデン「………………………覚悟を決めたのに………………、別れを告げようと決めたのに、もう二度と、失いたく無いのに………………………!!

 

 

俺はどうしろって言うんだ!?僕を庇って死んでしまうのは、もう嫌なんだ!!何で、何でなんだ!?僕はそんなに、頼りなかったっていうのか!?」

 

レア「………………。」

 

エデン「………………無駄なのか?どれだけの力を得ようとも、大事な家族を、友人を、守れないのか?救えないのか?もう僕には、誰かを救える力はないっていうの!?」

 

レア「………………お父さん?あの戦いで、何があったのですか?」

 

エデン「………………僕がここに要られる理由は、爺さんと婆さんが庇ってくれたお陰なんだ。」

 

 

曾祖父のロードさんと曾祖母のマリアさんが?そう言えば、最近見ていなかった気がする。ずっと会わなかったけど、お父さんを庇って亡くなっていたなんて………………。

 

 

エデン「それだけじゃない。アズリエルも、僕を庇って死んだ。僕のせいで、3人の命を、奪ってここに居るようなものなんだ。」

 

レア「………………。」

 

エデン「これで、分かっただろ?こんな辛い思いをするぐらいなら、赤の他人でいた方が、良いんだ。

何も思わずに、済むんだから。」

 

レア「『インカーセラム(縛れ)』。」

 

エデン「!?」

 

 

聞いた時は、本当に驚いた。だからって、そんな理由で私から離れないでほしい一心で、お父さんを縛り付けた。

 

 

エデン「な、何を!?」

 

レア「もうこれ以上聞きたくない。私の、厳しく鍛え、間違いを止めてくれた優しいお父さんが、これ以上苦しむ姿を見たくない………………。

 

 

ようやく、ようやく帰ってきたのに、前以上に苦しんで………………!

 

 

だったらもう戦わないで下さい!!これ以上、苦しむぐらいなら、もう戦わないで!!例え望んで戦いに行くとしても、逃げて下さい!!あなたの言うとおり、あとは全部、私がしますから!!」

 

エデン「………………それでも駄目だ。」

 

レア「何でですか!?何故そうやって自分を苦しめるような真似をするのですか!?」

 

エデン「レアには、荷が重過ぎるから。どれだけ、強くなろうと、この後起こる大天災には、避けられないから。

それに、どの道僕は死人だ。呪われた命と共に生き続けた、死人に過ぎないんだ。でも、君は違う。

 

 

君は、生きている。それも、僕や英竜の力を受け継いでいる。不死身でも、不老はあっても、不死の呪いはない。

だから、レアなりの生き方をしろ。いい加減、親離れして、僕や英竜のない幸せを、手にしてくれ。」

 

レア「………………本当に、残酷な事を、言いだすんですね。あなたの事忘れて、自分の幸せを見つけろなんて………………。

呪われていない私には、荷が重過ぎるなんて………………。」

 

エデン「それでも、この荷は、持って行かせて。これさえ、終わらせれば、『楽園』が切り開けるから………………。

世界の破滅をもたらす事のない、退屈で、けれど刺激的で、幸せな生き方を送ることができる、『理想郷』を………。」

 

レア「………………。」

 

エデン「………………僕の墓参り………………来てくれて、ありがとう。………………幸せに生きて、レア。」

 

レア「お父さん────」

 

 

一瞬だった。縛り付けたはずのツタは解け、お父さんは姿を消すように虹色の羽根を残して、居なくなってしまった。

 

行ってしまった。もう二度と、お父さんに会えない。会うことも、出来なくなった。

 

 

………………………でも、お父さんはそれだけ、私を幸せに生きて欲しいと願っているなら、そうするよ。

この羽根を、御守代わりとして、受け取る事にするね。

 

 

レア「………………お父さんの羽根、大事にする。だから、その『お願い』、叶えさせてあげるから………………。

 

 

見守ってて、英竜お母さん、エデンお父さん。」

 

 

sidechange

 

 

エデンside

 

 

本当にごめん、レア。結局、辛い思いをさせてしまって。これじゃあ、父親失格だな………………。でも、こうでもしないと、きっと暗いままだったと思ったし、何より………………これ以上あの戦いに加担させる訳にはいかないから。

 

 

『女神イリアス』と『闇創造王神』相手に、今のレア達には勝てない。というか、一瞬で消される。

だから、あいつ等の相手は、僕達でやらせてくれ。

 

 

5代目創造王神として、今代限りで、創造王神の歴史を終わらせる。

 

 

エデン「………………絶対に、滅びの未来のようにはさせない!」

 

 

首を洗って待ってろ、イリアス!!好きにはさせないからな!!

 

 

next episode

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。