Subterranean Electron World 作:深緑 風龍
─あれから、1巡年後─
フラン「? ガルッチ!ちょっとこっち来て!」
エデン「ん?フラン、どうかしたのか?」
きのこや山菜を取りに来たエデン達だが、フランは茂みに何かいるのを察知し、エデンを呼んだ。すぐに駆け付けると、そこには籠があり、中には小さな赤子がスヤスヤと眠っていた。
エデン「………………捨て子。」
フラン「らしいね。」
エデン「…………。」
フラン「ガルッチ、貴方が今でも気にしているのは分かってる。でも、見たでしょ?レアちゃんがちゃんと幸せに暮らしているって。
その目で見たじゃん。」
エデン「そうだけど、でも、やっぱり気にする。守る為とはいえ、やった事は………………。」
フラン「分かってる。でも、今はその必要は無いでしょ?」
エデン「うん。もうあの頃の力は、基本世界の兄さんにあげたからね。」
─一巡年前─
ー真・無限の刃製ー
ゴジラside
エデン「────降りるよ。」
ゴジラ『!?』
予想外だった。こいつなら、いやいや言うがやる時はやる奴だと思った。だが、こいつは『降りる』と、彼奴にはっきり言いやがった………………。
エデン「元より、こうすればよかった。よく考えれば、僕自身も、身も心もボロボロだ。家族を捨てるような奴に、こんな使命………………任せる訳にはいかないだろう?
1人の家族を捨てるような奴に、世界を救うなんてもの、できる訳がない。」
ダークルッチ「………………良いんだね?力を奪うとはいえ、それを失えば、僕が6代目になってしまうんだよ?
もしかしたら、また世界を───」
エデン「力を以てしても救えないのなら、家族1人も守れないのなら、こんなの持っても意味がない。
それなら、僕は降りるよ。」
………………本気だった。コイツは、本当に力も捨てると、今まで得た力を、捨てると………………。
ダークルッチ「………………分かった。こんな形で目的を達成したくなかったけど、仕方ない。後のことは、僕に任せて。」
ゴジラ『待て!!』
ダークルッチが、エデンの肩を触れると同時に、声を掛ける。
ゴジラ『貴様、正気か!?本気でやめるというのか!?』
エデン「やめる。ゴジラ、世話になった。」
ゴジラ『この力を失えば、本当に家族を失うぞ!?貴様は、それでいいって言うのか──』
エデン「ゴジラ………………。レアを捨てた時点で、もうこんな力を手にする必要なんてない。この力は、誰かを守る為、救う為、そして、どんな事でも戦い続ける為の力だ。
今の僕には、この力は不要だ。」
ゴジラ『本当に、いいのか!?もう二度と、フラン達を救えなくなるぞ!?』
エデン「………………兄さん、後は任せた。」
ダークルッチ「………………うん。」
そして、奴はエデンに宿していた筈の創造王神の力だけでなく、十三王神の力を奪われてしまった。
ダークルッチ「大丈夫、後は全部、僕がやるから。じゃあね。」
ダークルッチは立ち去り、俺はエデンに向けて怒鳴った。
ゴジラ『貴様ァ!!自分で何をしたのか分かってんのか!?貴様は、取り返しの付かねぇ事をしやがったんだぞ!?分かってんのか!?』
エデン「………………分かってるよ。分かってるからこそ、もう僕は戦いを捨てたんだ。」
ゴジラ『ッ!』
エデン「ゴジラ、もう僕は何も守れない。娘を捨て、アズリエルと爺さん、お婆ちゃんの命を奪った僕に、守る資格なんて無いんだ。
気に食わないと思うなら、僕の中から出てっていい。」
ゴジラ『………………クソ!』
もう、何を言っても無駄みたいだ。そうして、俺たちは夢から覚める羽目になった。
sidechange
ー???ー
ダークルッチside
本当に驚いた。まさか、エデンが戦いから降りるなんて思ってもみなかった。だけど、その代わり創造王神だけでなく、十三王神の力を手にしたのは、収穫だった。
後は、僕が………………。
イリアス「ルッチですか?って、あら?その力は………………。」
ダークルッチ「イリアスの察しの通り、エデンから本物の創造王神の力を手にしただけで無く、十三王神の力を手にしました。」
イリアス「ルッチ、貴方どうやって………………!?」
ダークルッチ「彼から、戦いを降りると言い出したので、その力を奪って。」
イリアス「なるほど。少々大誤算でしたが、我々にとって嬉しいこの上ありませんね。エデンは本当に愚かな選択をしましたね。
まさかその力を捨ててしまうなんて………………!」
『………………!』
イリアス「キーラ様、お目覚めですか!?」
キーラ『………………………。』
イリアス「予定変更?すぐさま行動を起こすと?はい、喜んで────」
ダークルッチ「その前にですが、この力を慣らしたほうがいいのではないですか?本当にやるのでしたら、万全にした方がいいですよ。」
キーラ『………………。』
イリアス「キーラ様!?貴方自身がルッチを稽古に!?」
キーラ『………………………!!!』
ダークルッチ「分かりました。お相手致します。
───────あなた方の命が尽きるまで。」
イリアス「なっ!?」
キーラ『!?』
これで、創造王神と闇創造王神の歴史が、終われる。僕の目的は、『創造王神と闇創造王神の歴史を終わらせる』事。そして、『女神イリアスと光の化身キーラを抹殺』。
後はこの力で!!
キーラ『!!!!』
イリアス「キーラ様、私でもさっぱ────!?」
ダークルッチ「さようなら。『End of The Story』。」
sideout
ーエデンの家ー
2ヶ月後………………。
束「エデン、報告だけど。」
エデン「どうした?」
束「闇創造王神と女神イリアスの気配が消えたって。」
全員『!?』
それは、『楽園の騎士団』にとって、予想外の展開だった。
つまり、エデンがダークルッチをあげたことにより、女神イリアスと光の化身キーラは完全に亡き者となり、ダークルッチの存在も消えてなくなった事になった。
要は、ダークルッチは自爆したのだ。
ゴジラ『まさか、彼奴が………………。』
エデン「って事は………………。」
束「うん。もうエデンが持ってた力も失っちゃったけど、プランBで行くって風龍さん言ってたよ。」
黎斗「他にもあったのか。」
エデン「………………。」
皆は暫く会議を続けていたが、エデンは何も言わないまま、会議は終わり、いつも通りの生活を過ごすだけでなく、リリカとの再会の約束を果たすため、フラン、こいし、イリヤと共に長い旅をする事になった。
─そして、現在に至る………………─
エデン「………………。」
フラン「暗い顔をしないで?少なくとも、そのお兄様にあげたおかげで、失わずに済んだから。」
エデン「………………かもな。取り敢えず、この子を拾って、育てるか。」
フラン「だと思った。勿論、私もそのつもりよ。」
エデン「しかし、この子も可哀想だな。僕みたいな、最低な父親に拾われたんだから………。」
フラン「もう、またそうやって卑下する。本当に最低な父親だったら、レアの様子なんて見ないでしょ?」
そう言いながら、エデンは捨て子を拾い上げ、他のきのこや山菜を集めていた子と再会した。
「が、ガルッチさん!?その子、何処で!?」
エデン「あの場所に捨てられたんだ。」
こいし「って事は、私達でその子を育てるんだね?」
イリヤ「リリカさんも手伝ってくれるよね?」
「し、しますけど、この子の親も探してあげないと………………。」
こいしとイリヤは賛成するが、リリカの方は提案しだした。
リリカは、1巡年後の世界に渡る前に、エデン達とようやく再会。
そのまま1巡年後の世界に渡り、現在は同棲する形となった。
エデン「でも、この子の親が探してくれる様子もないし、そもそもどういう訳か、僕ら住んでる場所は、魔王城だし………………。」
フラン「何で、こうなったのかやら………………。」
リリカ「私が聞きたいのですが………。」
こいし「おかげで、勇者とか名乗る人間が来て、何を思ったのか襲撃してくるし。」
イリヤ「魔王城っていうよりは、お兄ちゃんのお父さんが建てた家だけどね?」
エデン「別荘の方は、何故か魔女の家って言うし………………って、何で魔女!?魔女要素どこもないよね!?」
リリカ「多分近くの村の誰かが名乗ってるせいだと思います。以前あなたのお母さんは、買い物に行った時の格好を見て、言われたのでは?」
エデン「お母さん、もうちょいオシャレに気を使えよ。」
フラン「そう言うガルッチは、女装のものもある気がするんだけど………………。」
こいし「うんうん。」
イリヤ「あとの方は、和風系のものが多いけどね。」
リリカ「和風はいいとして、女装するんですね………………。」
エデン「女装はスルーで頼む。」
そう話をしながら眠っている子を抱きながら、5人は帰路についた。そして子を見てエデン達が事情を話した後の全員は………………。
フィン「少しこの子の親を探してみる。」
エア「見つけ次第、薬の実験台になってもらわないと………。」
DIO「下衆な奴め。見つけて嬲り殺してやる。」
レミリア「子を捨てるなんて、随分な人がいたものね………………。」
さとり「物理的に殺すよりも、精神的苦痛を受けてもらわないと。」
などなど、魔王城と呼ばれる原因は、身内だった………………。
エデン「気持ちは分かるけど、まず落ち着いて?」
ルッチ「そ、そうですよ。ねぇ?聞いてる皆!?」
咲夜「ご安心を、すぐに終わらせますので。」ジャキンッ
リリカ「言動が真逆な気がしますが………。」
アイリ「大丈夫、治療して。」
切嗣「また痛め付けるから。」
イリヤ「誰かあの親達止めて………。」
未来「無理、色んな意味で。」
英竜「エデンの親達強烈過ぎないか!?」
エデン「今更すぎるよ、お姉ちゃん………。」
その家族の中に、英竜の姿があった。だが、どういう訳か、英竜が持ってた力が失われた代わりに、ラーク家の正式な姉でありエデンの妻として迎えられていた。(というのも、義理の姉であり結婚していた事は、今まで知らなかったらしい。)
しかも記憶も少し改ざんされており、英竜はラーク家の血の引いた、生き別れ姉弟で、ずっと行方不明になったと言うことになった。
そんなこんなで、親達の暴走はなんとか止め、拾った子を育てることになった。
そして夜。エデンはテラスで夜風に当たっていると、英竜がやって来る。
英竜「ここにいたのか。」
エデン「お姉ちゃん………。」
英竜「ずっと見ていたけど、どうも心の底から笑ってないように見えてな。フランも、リリカも、気付いているぞ?」
エデン「………やっぱり、気付くか。」
英竜「………………お前は、今でも後悔しているのか?レアの事。」
エデン「………………うん。彼女を守りたいと思っていたけど、やったのは、彼女を捨てることだった。」
英竜「…………アレは、捨てると言うより、巣立たせたの間違いじゃないのか?」
エデン「………………。」
英竜「お前は、自分の選択に後悔しているのか。」
エデン「………………そうさ。確かに、あの時の選択で、数多の犠牲者を出さずに済んだから、ある意味ハッピーエンドだろう。
でも………………、僕にとって、失ったものは大き過ぎた。使命から逃げた。それはいい。けど、リリカにとって大事な魔物であるアズリエル、僕の大切な家族である爺さんとお婆ちゃんを、目の前で救えなかった。
挙げ句の果には、レアを………。」
英竜「エデン………。」
エデン「ゴジラ、ストリングス、ニャルさんは僕から出て、何処かへ旅立った。おかげで、もう僕は、僕の心は、ぽっかりと大穴が空いてしまったんだ。」
英竜「………………ここに当たってもいいが、自殺だけはするなよ?そうなれば、家族だけでなく、リリカも悲しむから………………。」
エデン「………………。」
英竜はその場から立ち去り、エデンは1人となり月を見上げた。そこには、満天の星々の中心に、綺麗で大きな蒼い月が、国全体に照らし出していた。
すると、流れ星が蒼い月を通り越すのを目撃し、気が付けば、エデンは自分が泣いていることに気付いた。
エデン「『蒼い月』に『流れ星』、か。今の僕だな。ずっと、虚しく、悲しい思いしかない。
戦いから降りたおかげで、犠牲者は出なかった。リリカに会えたし、今では一緒に住んで、楽しく過ごして………………………。
けど、僕はどうなんだ?そんな生活も、楽しいと思えなくなってる………………。今度は、誰が失うのか、誰が居なくなるのか………………、怖くなってきた。
もう、何やっても、満たされない………………。何しても、埋まらない………………!」
エデンは今でも、後悔をいだき続ける。どれだけの時が流れ着きようとも、どれだけの人が赦されようとも、エデンは一生自分を許す事もないだろい。
そして、エデンの心は、もう誰にも、埋まる事はなかった。
エデン「───────それでも僕は、虚しくて、心が千切れそうだどうしようもないまま………………………。」
まるで、エデンの心は、ドーナツの穴のように、虚しく………………、ぽっかりと空いたまま……………。
『Subterranean Electron World』 END
通常エンド。
エデンが、『創造王神としての使命を放棄する』という選択を選んだ場合………………。
ハッピーでもなければバッドでも無い。メリーバッドエンドに近いエンドです。
次回はTrue Endingルートの本編になります。お楽しみに!