※この作品はR-18です。

神器なき男 (再編集版)   作:もっち~!

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オーフィスの場合

 

---リアス---

 

ソーナと暮らすにあたって、亘に注意事項を言い忘れていた。ソーナが凝った料理をする場合、とても危険が高くなるということだ。今回は味噌汁の出汁に毒性の強いキノコと毒の有る魚の内臓が使われたようだった。

 

亘は今、冥界に有る病院に入院している…治療室の外ではソーナが頭を抱えていた。いや、頭を抱えたいのは私の方だ。長袖長ズボン姿の私は、怪しい人物に見える。こうしないと、縛り痕が丸見えになるし…かと言って、亘の傍にいないのは不安だし。まったく、もう~!

 

「どうしよ~亘さん…大丈夫かな」

 

「少しは勉強しなさい。あなたが凝った料理をすると、何でいつもこうなるのよ!」

 

食べた直後に異変を感じた亘。咄嗟にお兄様に救援信号を出して、意識を喪失。駆けつけたお兄様により、救急搬送されたのだ。そして、現場検証をしたセラフォルー様からの報告で、ソーナのミスが発覚し、その報告を元に、解毒治療が行われていた。

 

「朝は大丈夫だったのに…」

 

涙目のソーナが言い訳をしているが、

 

「トーストに珈琲、目玉焼き程度なら、問題無いのよ。なんで、あなたは材料に凝ると、いつもこうなの?亘に何かあったら、どうするのよ~!」

 

料理技術は私よりソーナの方が上なのは認める。だけど、この子は材料を見極める能力が無さ過ぎるのだ。

 

「ごめんなさい…」

 

「もう、責めるなよ、リーア。彼女を責めても、彼は回復しない」

 

お兄様の言うことは、もっともだが、私の怒りが収まることは無い。なぜ、愛人宅で毒を盛られているのよ~!

 

「もう峠を越えましたよ」

 

治療室から小猫が出て来た。亘によって、能力の底上げが為されたそうで、小猫の回復、治癒能力が強化され、今回それが活かされたのだ。

 

「リアス先輩、ソーナ先輩を虐めるのは良くないですよ。家出の原因はリアス先輩なんですからね」

 

小猫の指摘に、心臓を抉られたような痛みが…それはそうだけど…誰かに当たらないと…

 

「私は亘先輩と一緒にいたいのに、リアス先輩、わかっています?」

 

亘が来てから、小猫の私への風当たりが強くなっている気がする。気が強くなる分には良いと思うし、彼女の言い分に間違っている箇所は無いので、反論が出来ない私。『王』は私なので、何か納得がいかないけど…

 

「ソーナ先輩も、今後、亘先輩への食事の配給は禁止です。良いですね?」

 

「はい…」

 

ソーナにとって、今回の件はだいぶ堪えたようだ。目の前で、自分の料理を食べた、最愛の人が泡吹いて倒れた訳だし。倒れた結果、自分の料理の欠点を思い出し、セラフォルー様に救援信号を出したようだった。

 

「ソーたん、頼むよ~。お姉ちゃんは、今傷だらけなんだからねぇ~」

 

亘により、外見から分からない箇所が傷だらけのようで、歩くのが辛いとか。

 

「退院したら、うちで保護する。いいね、ソーナ君、リーア」

 

と、お兄様。頷く私達。うちでは小猫に負担が増えてしまうし、ソーナのとこでは、姉妹そろって料理が全滅だし…お兄様の奥様はメイド経験豊富な方で、料理も介護も問題ない。

 

 

 

---亘---

 

退院できた。今回はあせったな…まさか、毒を盛られるとは…故意で盛られたなら、退避できたのだが、ソーナ本人にはまったくその気がなかったせいで、僕の危険察知能力は機能しなかった。

 

もしかして、純血悪魔と人間では、消化酵素の構造が違うかもしれない。悪魔ならセーフで、人間にとっては毒とかの可能性が有るし。今後の研究課題が増えたから良いとしよう。

 

サーゼクスさんのお宅で療養と言う話があったけど、それは固辞をしてリアスの家へと帰った。僕の為に涙を流してくれる者は大切にしないと。

 

「ただいま~」

 

「にゃ~♪」

 

小猫ちゃんが抱きついて来て、頬ずりをしてきた。彼女の好きな行為、頭を優しく撫で回してあげた。

 

「亘…ごめんなさい…」

 

リアスが土下座をしている。

 

「リアス、頭を上げて…ほら、涙を拭いて…あぁ、鼻水は自分で処理して…」

 

リアスは立ち上がり、僕に抱きついて来た。

 

「亘…私も直すところは直す…だから…」

 

モジモジしだすリアス。なんだ?

 

「もう少しエロに興味を持ってね♪私の悶えている姿を見てね」

 

「努力します」

 

としか言いようがない。興味が無いことにどう興味を持てばよいのか、わからないし。

 

 

-----

 

夜、小猫ちゃんと僕は悪魔のお仕事に出かけた。本来、僕はお仕事要員では無いのだが、朱乃さん、木場君の長期入院が響き、リアスの営業成績が悪いそうで、僕がお仕事に出ることを買って出た。

 

指定されたマンションの1室の呼び鈴を押すと、作務衣姿のおっさんが出て来た。

 

「お前か?知識が豊富な悪魔もどきって」

 

「まぁ、そんな感じです」

 

中に通された。おっさん一人にしては広い室内、整然とした収納。

 

「で、どのくらいの知識が有るんだ?」

 

「エロ系以外は大丈夫かな」

 

「うん?青年なのにエロはダメなのか?」

 

「興味が無いんです。で、どの知識が良いですか?」

 

目の前のおっさんのオーラを読み解く。オーラは大抵の生物は纏っている。判断基準は色、形、臭いなどで、そこから種別、腹黒さ、戦闘力などが読み解けるのだ。このおっさんの場合は、最上級堕天使、腹黒いけど人情深い面も有り、信用されれば、信用して良い人物のようだ。そうそう、相当なエロ好きで、堕天原因の可能性が高い。

 

「堕天使の幹部クラスですか?」

 

僕の発言に驚くおっさん。

 

「なんで、それを…」

 

記憶を読み取る。

 

「シャイニング ダークネス ブレザー って、記憶の奥に見えましたけど、これは?」

 

顔から血の気が失せるおっさん。

 

「お前…何者だ…」

 

「転生悪魔ですけど」

 

悪魔の駒という物を入れると、転生悪魔になれるそうだ。これによって、僕は自分の正体がバレるのが防げていた。

 

「いや…悪魔にそんな能力は無い…貴様…何者だ?」

 

僕は1枚の契約書を出した。

 

「これにサインをしてください。契約が取れないと主に怒られますから」

 

「まだ、契約するとは…」

 

「そうですか、しかたない。記憶を精査しましょうか?」

 

「やめろぉぉぉぉぉ~!」

 

 

------

 

初お仕事で初契約が取れた。それも堕天使の幹部から。契約料は、面倒事に巻き込まれたら、助けてもらえる権利だ。何回でも有効ってことも付帯条件に入れてもらった。

 

帰り道、何かの気配を感じた。それも複数だ。意識を集中して、精査をする。誰かがこっちへと走ってくる。追われているようだ。僕は追われている人物と合流しようと走り出した。

 

しばらく走っていると、ゴシックロリータ風の黒いドレスを着た少女と出会った。

 

「助けて…」

 

僕の背中に隠れる少女。僕の服の裾を、震える小さな手で握りしめている。余程、怖い目に遭ったのか?追っ手を探査する。前後と上から来るようだ。上?人間では無いようなので、本気で行けるな。

 

「おい、ソイツを引き渡せ、そこの人間!」

 

最上級悪魔から声を掛けられた。

 

「はぁ?最上級悪魔程度が何をほざいている」

 

身分を言い当てたことに驚いている目の前の悪魔。そうだ、少女は何者だ。彼女に害のある攻撃手段は避けないといけない。彼女のオーラを読み解く…うん?ドラゴンみたいだ。なら、ドラゴンキラー系は避けよう。

 

「貴様、何者だ?」

 

「陰陽師、神代亘。神に代わって裁きを与えよう」

 

ヤバっ。前職の前口上を述べてしまった。目の前の悪魔達は響めいている。

 

「なんだと…神代家の者だと…」

 

僕は愛剣を空間から取りだし、腰に携えた。そして、剣を引き抜き、地面に刺した。

 

「我、神の代理なり、ここに聖なる力を解き放たん」

 

悪魔達は白い光に取り込まれていき、悪魔は灰化し、堕天使は火だるまになり炭化していく。この攻撃でも生き残っているのは、悪魔でも堕天使でも無い輩であるが、今回は全滅できたようだ。地面に突き刺した剣を鞘に戻し、空間にしまっておく。

 

「亘…逢いたかった…」

 

え?背中に顔を埋めて、少女がそう呟いた。僕には少女の知り合い…あっ!ドラゴンか…色は黒…そうなると…

 

「オーフィスか?」

 

「うん♪」

 

振り向いた僕の身体をよじ登り、彼女の指定席である僕の首に跨がり、肩車状態になった。

 

「探したよ~、亘」

 

ペンペンと僕の頭を手の平で叩く彼女。

 

「どうしたんだ?なんで追われていたの?」

 

オーフィスという名のドラゴンは、戦闘を好まない。ただ、グレートレッドという名のドラゴンだけは別で、次元の狭間と呼ばれている空間で、よくじゃれついていた。彼女曰く、じゃれつきでは無く、領土争いらしいのだが、僕にはじゃれているように見えたし、そう思えた。

 

「グレートレッドを倒すのを手伝うから、仕事を手伝えって…我、仕事はしない」

 

「グレートレッドはどうしている?」

 

「泳いでいる」

 

グレートレッドは次元の狭間で泳ぐことしかしない、不思議なドラゴンだ。オーフィスの攻撃なんか、蚊に刺された程度にしか思わないらしいし。一応、オーフィスは最強クラスに分類されるドラゴンなんだけど…

 

「で、オーフィスはこれからどうするの?」

 

「我、亘と生きる。だから、探した。そして、逢えた♪」

 

僕の頭に抱きつく彼女。う~ん…リアスにどう説明しよう…

 

 

 

---リアス---

 

「この娘とどういう関係?ねぇ、亘…」

 

案の定、説明しても理解して貰えない。ドラゴンがこんなにかわいい訳が無いと言うのだ。ここで龍化されると、家が壊れると思うし、困ったなぁ。

 

「あの悪魔、何者?」

 

オーフィスがリアスを指差してきいてきた。

 

「この家の主だよ」

 

「あの悪魔、屠っていい?」

 

「ダメだよ、オーフィス。むやみに屠っちゃダメだよ。いいね」

 

「うん…」

 

頷くオーフィス。

 

「リアス、オーフィスを怒らすなよ。僕はオーフィスと戦いたく無い。言っている意味はわかるよな」

 

「ごめんなさい…出て行かないで~」

 

僕に縋るリアス。リアスにとって、僕が家出することは、何を差し置いても避けたい事のようだ。

 

「オーフィスはドラゴンだ。そうだな、小猫ちゃん、ルームメイトになってくれる?」

 

「にゃん♪オー君、こっちにおいで♪」

 

小猫ちゃんがオーフィスの手を引いて部屋へと向かって行った。

 

「あのドラゴンとどこで知り合ったの?」

 

「昔、陰陽師をしている頃だよ。空間が割れる事件が起きてね。その調査をしていた時だ。原因は、オーフィスとグレートレッドという2匹のドラゴンのじゃれ合いだった。吹き飛ばされたオーフィスが次元の狭間の障壁にぶつかり、それがリアル世界の空間にひび割れを起こしていたんだよ。で、僕が間に入り、じゃれ合い方を指導したというか」

 

「ふ~ん、亘って、人外寄りなんだね」

 

「悪さをするヤツは退治だけど、そうでない者は共存したいでしょ?悪魔だから退治って、イヤでしょ、リアスだってさぁ」

 

顔から血の気が引くリアス。

 

「亘…退治しないで…オーフィスちゃんと暮らしていいからね。うんうん問題無いよ」

 

例として出した話を真に受けたリアス。僕がリアスを退治する訳無いのに。

 

 

------

 

翌日、学校に登校。なんか久しぶり。

 

「よっ、兵藤。おほよう♪」

 

「お前…俺を生徒会に入れて、翌日から休むなよ~。朝練が大変…」

 

「翼紗から聞いたよ。よくやっているそうじゃない」

 

「まぁ、人参がぶら下がっているから…」

 

椿姫は何かの褒美になるのか?

 

「ちょっと!」

 

桐生が声を掛けてきた。

 

「何?」

 

「何じゃないでしょ?あんたねぇ~」

 

何かしたっけ?覚えていないからスルーだな。

 

「あれ、どういうことよ?」

 

「あれって?何?」

 

覚えていないので、訊いてみたのだが、顔を紅潮させて口ごもる桐生。

 

「言えないのであれば、すまない。記憶に無いので、この話はここまでな。病み上がりで調子が悪いんだよ」

 

桐生が何か言おうとしたが、授業が始まり、席に戻る彼女。

 

 

昼休み、桐生に捕まる前に、教室を脱出。生徒会室に向かった。

 

「亘さん…ごめんなさい」

 

涙をポロポロ流したソーナが抱きついてきた。

 

「生きているから、問題は無い。翼紗、弁当作ってくれた?」

 

「もちろん♪日の丸弁当にインスタント味噌汁だ」

 

うん?それって料理なのか?

 

「翼紗、野菜は?」

 

「梅干しとシソがあるだろ?あぁ、タクワンも添えておいた」

 

男の手料理より、ガサツじゃないのか?翼紗とヤリトリをしていると、兵藤がやって来た。

 

「イッセー君、はい♪」

 

椿姫が弁当を兵藤に渡した。

 

「感激です♪真羅先輩のお手製のお弁当だなんて~♪」

 

おかずにバリエーションがあって、美味しいそうだ。

 

「隣の芝生は良く見える物だ。さぁ、食べてくれ♪」

 

椿姫お手製の弁当を見ながら、翼紗お手製の弁当を食べる僕。

 

「で、ソーナ。あの味噌汁って、ソーナには無害なのか?」

 

食べながら、疑問を口にした。

 

皆の視線はソーナに集まる。

 

「ごめんなさい…味見していないです…無害かどうかわかりません」

 

って…味見していない?おいおい…

 

「亘さん、あれは悪魔でも危険ですよ」

 

椿姫が教えてくれた。消化酵素うんぬんの問題以前に、悪魔にも効く毒なのか…ソーナの料理は今後注意をしないと。

 

「で、兵藤は使い物になりそうか?」

 

「今はまだ…努力家みたいなので、今後に期待かな?」

 

っと、椿姫。

 

「亘…俺は一般人だ。すぐには無理だよ」

 

と、兵藤が僕に突っかかる。

 

「そうかぁ…まぁ、がんばれや~」

 

「お前なぁ…」

 

「そうだ。昨晩、怪しい一団に襲われたけど、なにか情報は無いかな?」

 

「襲われた?亘さん、大丈夫でしたか?」

 

パン屋さんで買ったようなサンドイッチを口にしていたソーナが、心配そうに訊いてきた。

 

「まぁ、全滅させたけど…相手は最上級悪魔と上級堕天使達だ」

 

「へ?亘さん…さらっと言うけど、どんだけ強いんですか、あなたは…」

 

翼紗に訊かれた。

 

「悪魔に関しては魔王ですら楽だ。堕天使は最上級クラスとまだ戦ったことないし」

 

「魔王って…セラフォルー様ですか…」

 

巴柄が訊いてきた。

 

「そうだよ。あの程度の術に掛かるようじゃ、そんなに強くは無いって印象だ」

 

「え?セラフォルー様って、女性悪魔で1,2を争う猛者ですよ」

 

と、椿姫。

 

「そうなのか…」

 

「さすが、元神代の陰陽師ですね♪」

 

家が退魔を生業にしている巴柄が、ちゃかす様に言う。

 

「神代の陰陽師の眷属になったって言ったら、両親が喜んでくれましたよ♪」

 

まぁ、退魔師より格は上かな。

 

「亘さん、今、姉に確認しましたが、そういう事案は無いそうです」

 

ソーナが情報を集めて、教えてくれた。

 

「そうか…まぁ、気をつけて行動をしてくれ。何かあったら、僕に知らせて。助けに行くからね」

 

兵藤以外全員が頷いた。

 

「そうだ、亘さん、新しい眷属を紹介します。前に出て。」

 

初めて見る女生徒が2名前に出て来た。

 

「花戒 桃さんと草下 憐耶さんです」

 

僕を見て戸惑っている二人。

 

「ソーナの主の神内亘です。よろしくお願いします」

 

「会長、会長の主って、どういうことですか?」

 

花戒さんが、ソーナにきいた。

 

「どうって…そういうことですよ。亘さんは私にとって、大切な人です」

 

「でも、グレモリー眷属ですよね?」

 

って、草下さん。ソーナが困った表情を見せる。

 

「そっか、僕は部外者だな。もう、生徒会には関わらない。だから、ソーナを責めないでくれ。頼む!」

 

僕は彼女達に頭を下げて、その場から転移して立ち去った。

 

 

 

気が乗らないので、午後の授業はスルー。家に帰ると、オーフィスが飛びついてきた。

 

「寂しかったよ~。小猫も亘もいないし…」

 

「ごめん。これからは、早く帰ってくるようにする」

 

彼女の頭を撫でて、ベッドで添い寝をする。

 

 

 

---リアス---

 

「お願いです。亘さんに会わせて下さい」

 

ソーナが突然訪ねて来て、亘に会いたいと言う。

 

「今度は、何をやらかしたの?」

 

「眷属が失礼な事を…『王』として謝罪に来ました」

 

「それで、彼はふて寝をしているのか。いいよ、上がって」

 

ソーナの後ろにもう一人女の子がいた。

 

「ちょっと、待って!この子は誰?」

 

「新しい眷属で草下憐耶って言います」

 

「この子が、原因?」

 

「もう一人いるのですが…」

 

「そっちは謝る気が無いってことね」

 

三人で亘の部屋に行った。ベッドの上で、オーフィスと安眠中の亘。

 

「亘、お客様だよ。起きて」

 

亘の身体を揺らして起こす。

 

「うん?誰?」

 

「ソーナと草下さん」

 

「会いたくない」

 

「もう部屋にいるけど…」

 

観念したのか、オーフィスが起きないように、静かに上半身を起こした亘。

 

 

---亘---

 

「何か用?もう、ソーナには関わらない。ソーナの困った顔は見たくないから」

 

「ごめんなさい…ソーナ会長との関係を良く知らずに、失礼な事を」

 

「謝ることは無いよ。君の言ったことは正しい。僕は生徒会とは関係はない。だから、出入りするのは、良くないよな」

 

「そんなことを言わないでください」

 

ソーナが哀しそうな顔を見せる。そんな顔は見たくない。

 

「ソーナ、式神を抜いてあげるよ。それで君は自由だ」

 

式神の術は僕が死なない限り解けないが、式神自体を抜くのは簡単であった。僕の言葉に間髪を入れずに、ソーナが抱きついて来た。

 

「抜かないでください。式神が入っているってことは、亘さんが無事って証だから…だから抜かないでください…死なないで、私と生きてください。私と歩んでください。辛い時に力になってください。方向を見失った時、指針になってください…お願いします」

 

必死に僕に縋るソーナ。どうして?

 

「亘…眷属にするって、責任があるのよ。思い知りなさいよ♪」

 

リアスは勝ち誇ったような顔付きで、僕に言った。

 

「まぁ、亘の場合、眷属というより、下僕っている軽い気持ちで入れたんだろうけど。入れられた方は、死ぬ気で亘に付いていくからね。って、入れられていない私も、死ぬ気で付いて行くよ♪」

 

「亘さん…私にも式神を入れてください。下僕にしてください」

 

草下さんが意外な願いを口にした。

 

「草下さんは敵という認識では無い。だから、入れられないし、下僕にする気もない」

 

「では、私を灰にしてください」

 

「悪くない悪魔は退治しない。僕は殺戮者ではない。悪魔だから灰にするなんて、古い教会の考えだよ」

 

あれ?何かが近づいてくる…なんだ、このオーラは?

 

「私も亘さんの下僕になりたいんです」

 

草下さんの口を手で塞ぐ。

 

「悪い、少し黙っていてくれ。何かが来る。僕の知らないオーラだ…そうか、ハーフ悪魔…ドラゴンの波動も感じる。神器持ちか?」

 

隣にいるオーフィスを起こす。オーフィスは起きて、直ぐに異変を感じ取った。

 

「亘、アルビオンだ」

 

「アルビオンだと…白龍皇?」

 

「亘さん、それって神滅具では…」

 

ソーナが言ったことは正しい。兵藤の神器を調べる際に、赤龍帝の隣の頁に書かれていたから。

 

「リアス…ソーナと草下さんを頼む。オーフィス、小猫ちゃんをガードして」

 

「亘はどうするの?」

 

「迎え撃つ。コイツのオーラは悪を感じる。全力で行かないとダメかな」

 

僕は起き上がり、精神を内に集中して、アイツを呼び覚ます。

 

「無邪鬼、出番だぞ」

 

『亘、了解だ♪』

 

「『カオスブレーカー』」

 

僕は無色透明フルアーマーを纏う。見た目にはわからない変化である。

 

「リアス、ソーナ、行って来るよ♪」

 

僕は彼女達の方を振り返らずに、窓から飛び出した。無色透明の翼を広げ、白龍皇を迎え撃つ。

 

目の前に白い物体が見えてきた。アレがそうかな?交差する僕とアレ。

 

「ぐぉっ!」

 

アレが発した声。真っ白の鎧には鮮血が綺麗な縞模様を形作っていた。

 

「お前が白龍皇か?」

 

「うっ…貴様は誰だ…俺の鎧が…」

 

彼の鎧の一部は砕け、彼の血が噴き出している。

 

「僕はこの街を護りたい者だ。お前は何しに来た?」

 

「ふっ…貴様からオーフィスのオーラを感じる。一緒にいたんだな。アイツはどこだ?」

 

コイツもオーフィス狙いか。ならば、蹴散らす。

 

「無邪鬼、アイツを屠れる得物が欲しい」

 

『了解です♪ドラゴンスレイヤーをお使いください♪』

 

僕の左手にドラゴンスレイヤーが発現した。

 

「なんだと~欲しい物が出せる…あっ、貴様か、無邪鬼を取り込んだ、クレイジーなヤツは」

 

「その情報は間違っている。取り込んだ訳では無い。僕の内に宿しているだけだ。僕の相棒さ♪」

 

「こんなに早くラスボスに逢えるとはな。敵にして不足無し」

 

『ハーフディメンジョン』

 

白龍皇が何かの術を発動したようだ。空間系…いや、空間圧縮系か。クレイジーなのはそっちだろうに。

 

「我は神の代理の者なり、空気の精霊よ、我に力を貸し給え」

 

白龍皇の周囲の空気が膨張し、アイツを潰す。鈍い破壊音と共に、アイツの悲鳴が響く。鎧を失ったアイツは、地面に向けて落下していく。

 

「我は神の代理の者なり、地の精霊よ、我に力を貸し給え」

 

アイツが落下していった地面は、器状になり、アイツが落下すると飲み込むように、平地になっていく。これで、どうだ?うん?飲み込まれる前に転移をして逃げたようだ。まぁ、いいか。

 

問題はここからだ。無邪鬼は一度出ると、中々戻ってくれない。僕は別次元フィールドに転移して、時間を無駄に過ごす。今回は何百年単位で済むかな?

 

 

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