※この作品はR-18です。

神器なき男 (再編集版)   作:もっち~!

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GWは大騒ぎ Part2

 

---ヴァイラ---

 

「う~、どこだっけな?山があって、川があったような…」

 

ここは2階のシュウ専用のリビング。さっきから考え事?記憶を探っているような彼。宇宙から戻ってから、何かを思い出している。私達はただ見守ることしか出来無い。私は1階から、朱乃さんが淹れてくれたお茶と、レイヴェルさんの焼いてくれたクッキーを持っていき、彼の前に置いた。

 

「ねぇ、一息、入れたら?」

 

彼に声を掛けた。

 

「そうだね。あっ、ありがとう。お茶持ってきてくれて…あぁ~、お茶!」

 

「どうしたの?」

 

『お茶』という単語に反応した彼。

 

「そうだ。京都だ。抹茶味の生八つ橋を食べた記憶がある」

 

彼は本棚から地図帳を持ってきて、京都のページを開いた。

 

「う~む」

 

それからは、地図とにらめっこ状態の彼。

 

「そうだ。京都駅から東京へ戻るより時間が掛かったんだ」

 

今度は本棚から、時刻表を持ってきて調べ物。

 

「ここだ!きっと…ヴァイラ、僕は京都へ行ってくるよ」

 

一人で飛び出して行こうとする彼の襟首を捕まえる。

 

「待って!一人では行かせられないわ」

 

「これは僕の問題だよ?」

 

私の取った行動に困惑している彼。

 

「あなたの問題は、私達家族の問題でも、有るのよ。自覚しなさいよ、そろそろね」

 

「そうなの?」

 

キョとんとした表情の彼。もう…一人何でも背負うなって、言ってあるのに。あの時も…

 

「お願いだから、一人で何でも背負わないで!約束よ」

 

少し怒ったように、彼に言う私。今の彼は、あの時ほどの『安堵』の力は無いので、私の心は折れないはず…

 

「わかった。約束するよ」

 

私の怒気に圧されて、約束をしてくれた彼。さてと、京都へ一緒に行くメンバーを選ぶ。ガードは私とヴァーリ、索敵&回復に黒歌さん、白音さん、フォワードは京都としての場所柄、退魔の家系の椿姫さん、巡さんにした。

 

「ねぇ、なんか、人数多くないか?」

 

「初めての土地ですもの、用心の為です。宿はサーゼクスホテルを予約します」

 

「サーゼクスホテル?って、まさか…」

 

何かに気づいて、顔がピクついている彼。ふふふ…

 

「ビンゴ♪サーゼクス様のポケットマネーで運営しているホテルです。万が一の事態の際、援軍が呼び易いですからね」

 

「なんか、ヴァイラって僕のマネジャーみたい。本来は僕が決める事をやってくれるなんて、すごい♪」

 

「敏腕ってつけてくれると嬉しいなぁ」

 

と、言いながらテレてしまった私。

 

---

 

京都のサーゼクスホテルの予約した部屋に、ダイレクトに転移してきた私達。

 

「実家で聞いた話ですと、あの辺りは危険らしいですよ」

 

椿姫さんから情報がもたらされた。

 

「どう危険なの?」

 

彼が椿姫さんに質問をした。

 

「魔物ですら寄りつかない強力な結界があって、その中に隠れ住んでいる者がいるとのことです」

 

「僕、魔物なんですが…どうしよう。たぶん、その結界内だなぁ」

 

「現地でアレコレ試すにゃん♪」

 

黒歌さんから、前向きの意見が出た。

 

「そうだね。試してみないことには、前に進めないよね。今から移動すると、夜に着いちゃうから。明日朝一番で移動しよう」

 

今日は一休みで、それぞれ京都の街に繰り出して、京都のグルメ堪能したり、お土産屋巡りしたり、情報を仕入れたりした。

 

公園みたいな高台に着いたので休憩。うん?何か妙な雰囲気。シュウもみんなも気づいたようで、皆で身構える。

 

一瞬で物の怪みたいな集団に、取り囲まれている。集団のボスらしい?狐耳の少女が、一歩前に出る。

 

「私は九重。ここらの妖怪達を仕切る者だ。お前達は何者で、何故ここに来た?」

 

彼女の仲間達は臨戦態勢に入った。

 

「僕はシュウ。僕の父の故郷を、探す為に来ました」

 

「お前は何者だ?ねこしょうを2匹も従えるとは」

 

「おい、僕の家族を匹と数えるなよ!」

 

家族を侮辱されたと思った彼は、何かをして、言い終わる瞬間に、彼女を除いた彼女の仲間達は消した…その状況に少女の目には、恐怖が宿る。

 

「私の仲間をどうした?」

 

「知りたいなら、まず謝れ!」

 

狐耳の少女の言葉に、引くこと無く、謝罪を要求する彼。

 

「私に命令するなど、許さない」

 

彼女が合図をすると、上空にカラス天狗の大群が飛来してきた。

 

「殺さない程度に頼む」

 

シュウから攻撃命令が出た。ヴァーリが上空目がけて、相手の力を半減するアルビオンの能力を使った。シュウは龍門を出現させて、オーフィス、ティアさん、アジを召喚した。

 

「みんな、殺さない程度に倒して来てくれるかな?」

 

「「「了解!!」」」

 

三人は龍化してカラス天狗を迎撃に向かう。彼がドラゴンを召喚したことに、驚いた少女。

 

「お前は何者だ??龍も従えているのか?」

 

「僕は、聖者で魔物、代羽周太郎だ!」

 

突然空気が揺らめき、少女の母親らしき人が、少女の隣に転移してきた。

 

「妾は八坂と言う者じゃ。この娘、九重の母じゃ。お主、代羽の者か?」

 

「そうだ。母親は教会に粛正され、父親を探しに、ここに来た。とんだ歓迎を受けちゃいましたけど」

 

「それは、すまぬことをした。こちらも退くので、そちらも退いてもらえぬか?」

 

彼は頷いて、オーフィス達は龍門に帰っていった。それと同時に、カラス天狗の大群も退いていった。

 

「あと、あの娘の仲間も返してくないか?」

 

「それは、謝罪が先だ!」

 

娘の言動にキレていた彼は、謝罪を要求した。

 

「そうじゃな。九重、謝りなさい。」

 

母親が娘を睨むと、娘はぎょっとした表情になり、

 

「あなたの家族に対して失礼な発言をしました。ごめんなさい」

 

深々と頭を下げる少女。彼は、どこからともなく、少女の仲間達を出現させた。

 

「あの者たちを、どこに囲っていたんじゃ?」

 

少女の母親が彼に訊いた。いや、私も知りたい。

 

「そこらに落ちている石ころに、変化させていただけだ」

 

「なんと!」

 

シュウ、それは奇抜すきる対処だわ。どこかに転移させたと思っていたのに…

 

「で、僕の父親の居場所を知っているんですか?」

 

「あぁ、知っておる。が、あの山里には侵入できないぞ。強力な結界が張られておるのじゃ」

 

「ねこしょう、退魔師、聖者の力をもっても、入れませんか?」

 

「たぶん、無理だろうな」

 

「ならば、僕の父親を呼んできてもらえませんか?」

 

「呼ぶのか?それならば、可能かもしれぬな。妾の娘が迷惑をかけたのじゃから、それくらいはしよう。明日の昼くらいに二条城で待たれよ」

 

そう言うと、少女たちの一団は消えた。

 

 

 

---ヴァイラ---

 

翌日、二条城を目指して出発。昼より前に着いてしまった。私達はシュウの周囲に散らばり、観光客に溶け込んだ。

 

昼近く、大柄な男性が彼に近寄っていく。彼はその男性に気づき…

 

「父さん…」

 

彼は、男性に駆け寄った。

 

「シュウ?周太郎かい?」

 

彼は、涙にむせびながら、頷いている。

 

「シュウ、すまなかった!」

 

男性も、泣きながらシュウを抱きかかえる。私達はただ見守るだけだった。

 

「僕…僕は人間を辞めて魔物になっちゃたよ~」

 

泣きながらカミングアウトした彼だったのだが、

 

「魔物にかぁ…でも、シュウは、元々人間で無かったぞ!」

 

カウンター攻撃のような、彼の父親のカミングアウトに、彼も私達も唖然となった。

 

「はぁい!?」

 

「色々詳しい話をする前に、家族みんなで卒業しちゃったからなぁ」

 

男性は頭を掻きながら、説明している。うん?シュウって、元々何だったんだぁ??

 

「ここでは、ゆっくりと話せないなぁ。シュウの仲間も一緒に、俺の家に来い」

 

シュウは私達を集めた。みんな1カ所に集合して、男性の力で転移した。

 

 

 

---シュウ---

 

目の前には記憶の片隅にあった鳥居があった。そうなんか朽ちていたなぁ。こんな風にだ。そこから、父さんの後について山里に入って行った。あっ、あの水車も見覚えがある。あの櫓もだぁ。

 

「シュウ、記憶に残っているか?」

 

「うん!あの水車、あの櫓、さっきの鳥居も」

 

「そうか。お前が来たのは小学校入学した歳だったのにな」

 

立派な門構えのあるお屋敷についた。表札には『鬼門』とある。これは記憶に無いなぁ。僕が不思議そうに、辺りを見渡しているのに気づいた父さんが

 

「記憶に無くて当然だよ。ここは、俺が当主になってから、移り住んだんだから」

 

屋敷の中に案内される。そして、大きな仏間に通された。仏壇には記憶に残る女性…母さんの写真が置かれていた。僕の視線に気づいたのか

 

「あの時は、逃げ切れると思っただけどなぁ…追っ手の戦士達が強くてなぁ。護り切れなかった。」

 

残念そうに、柱を叩く父さん。父さんの心が落ち着いてから、僕達は一人ずつ仏壇に線香をあげた。

 

「シュウ、シュウの仲間よ。楽な姿勢で聞いてくれ」

 

僕達は楽な姿勢をして座った。

 

「私の名前は鬼門童夢。鬼の一族の者だ。妻は代羽マリア、転生天使だった。だから、シュウは人間で無くて、天使と鬼のハーフだったんだよ」

 

「はぁ??何ですか?その組み合わせは??」

 

聞いた事の無い組み合わせだ。魔物最強の鬼族と天使?どうやって、知り合ったんだ?

 

「そう言うと思ったよ。神の啓示と言われているビジョンを見た初代ヨハネは、血を絶やさぬように短命な人間で無くて、ビジョンを見せた神により転生天使にされたそうだ。でも、彼にビジョンを見せたのは、神では無くて大天使サマエルという者だったらしい」

 

「サマエル?」

 

え?ここで、その名前が出るとは…

 

「知っているのか?」

 

僕の表情に驚いている父さん。

 

「僕の家族だよ」

 

「はぁい?」

 

「呼ぼうか?」

 

僕はサマエルを父さんの前に召喚した。

 

「初めまして。現在、天界を束ねている大天使のサマエルです」

 

父さんは予想通り、びっくりしている。

 

「家族…シュウの家族って??」

 

「あぁ、シュウに、私の封印を解いてもらって以来、家族同然です。ですので、彼だけなんですよ。私を気軽に召喚出来るのはね」

 

微笑んでいるサマエル。それを見て驚愕な表情の父さん。

 

「初代ヨハネにビジョンを見せたと言うのは?」

 

「あぁ、言い伝えと事実は、少し違います。私は神の横暴を止める為のキーワードを埋め込み、転生天使の彼にお見せしました。でも、彼は初代では無かった。初代は女性ですよ。彼女に見せたのは、横暴な神よりも上位の神です。後、彼女は元々人間です。ヨハネの血族が転生天使になったのは、初代の彼女が、主である神の子と交わり、彼との子宝を護るために、主に転生天使にされたのが始まりです。ですので、産まれた子供は神と天使のクォーターです」

 

「言い伝えは微妙に違うのか…」

 

「あなたの息子のシュウのおかげで、天界をワンマン支配から、脱却することが出来そうです。シュウを守り切っていただき、ありがとうございました」

 

サマエルは父さんに頭を下げた。

 

「そうか。マリアは無駄死にで無かったんですね。シュウを逃がす時間稼ぎは、有効だったんですね」

 

父さんは母さんの写真を見つめている。そうだ、疑問をぶつけよう。

 

「なんで、父さんと母さんの結婚は、禁忌だったの?」

 

サマエルに訊いてみた。

 

「それは、ミカエルの策略だよ。転生天使が人間と交配していけば、能力が薄まっていく確率は高まるけど、人間以外の者と交配すれば、君みたいな、イレギュラーが産まれる可能性があるから。ミカエルとしては、封印を解かせる訳にはいかなかったから、教会にヨハネの血筋の者と人外の者との結婚は認めないように指示を出していたんだ。で、万が一を考えて、魔物でも最強を誇る鬼の一族に、ガードを頼んだということだ。ただ、ミカエルは知らなかったんだよ。鬼族は初代にビジョンを見せた神を信仰していたことをね。鬼族はヨハネの血族を天界から護る役目もあったんだよ」

 

「そういう事かぁ…あの書物を、楽しそうに読んでいるシュウを見て、マリアが怯えていたんだ。いつか殺されるってね。あの書物は、能力が無い者が見ても、単なる白紙だったから」

 

父さんが思い出しながら、頷いている。

 

「じゃぁ、僕って元々魔物だったの?」

 

「あぁ、ハーフだけどな」

 

「今は完全な魔物だけど」

 

「悔やむ事は無い。俺も魔物だからな」

 

豪快に笑う父さん。なんかなぁ。魔物になって、悔やんでいる自分がいたけど、今は…

 

「今のシュウは鬼族より強いですよ。鬼族の大敵のアレを倒しましたからね」

 

「え?アレを倒したぁ??シュウが?それは凄いぞ♪」

 

「アレって?」

 

話が今ひとつわからなかった僕が質問した。

 

「人型の者を、好き嫌い無く総て食らうアレだよ」

 

「あぁ…アレね。アレは使役させているけど」

 

「はぁ?お前、アレを従わせているのか?とんでもない事をしやがるなぁ」

 

「殺したら。誰かに復活されちゃうじゃん」

 

「あぁ、そういう事か。それは怖いなぁ。悪いヤツに利用されたら、この星の生き物は全滅だな。アイツは腹が減ると、人型以外も喰らうらしいし」

 

僕と父さんとサマエルで、夕方近くまで、おしゃべりをした。当主になった父さんは、別の人と再婚していて、僕達は泊まらずに帰ることにしたんだけど、帰り際に父さんから、いつでも会えるようにと、結界避けの手形をもらった。見送りに出てきた父さんの再婚相手を見て、一番驚いた。父さんの再婚相手が八坂だったのだ…そうなると、九重は僕の妹なのか…

 

 

驚きの連続で僕たちのGWは終わった。

 

 

 

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