古城の前でヴァイラが合流した。
「アジ、敵と思われる者が、来たら迎撃をよろしく」
アジは笑顔で頷く。アジは古城の入り口に配置。僕とヴァイラは古城に潜入した。僕の索敵能力で、ガイアの気を探る。そして、気が感じる方へ、静かに歩みを進める。数分歩いた場所にある部屋からガイアの気を感じた。僕とヴァイラは、得物を手にして、ドアを静かに開けて、入室した。
目の前の者を見て、驚いて声が出ない。紅髪で天使の翼を持つ赤ん坊がいた。これがガイアかな?会った事が無いから確信が持てない僕。まぁ、紅髪だから、たぶんそうなんだろうけど。何で、天使の翼??
ガイア?と思しき赤ん坊が、笑顔を振りまきながら、僕に向かって飛んでくる。
「念の為、ヴァイラは部屋の外にいろ。浄化されるとまずい」
「了解!!」
ヴァイラは部屋の外で待機する。ガイア?らしき赤ん坊は、僕の胸に飛び込んできて、僕の首に短い腕を回す。抱っこしろってか?僕はガイアらしき者を抱っこした。
僕は空間を斬り裂いて、リアスに赤ん坊を見せる。
「なぁ、こいつがガイアかな?」
「うん?顔はそうだけど…何で天使の翼が生えているの??」
リアスも初めて見たようだ。何で天使なんだ?僕の息子って…はて?
「とりあえず、腹を空かしているだろうから、乳を飲ませておいてくれ」
リアスに天使の翼が何故かあるガイアを手渡して、空間を閉じる。それから、部屋の外にいるヴァイラを呼び込む。
「赤ん坊はリアスに渡したから、入って大丈夫だよ。一緒に部屋を探索しよう」
ヴァイラが頷いて、部屋に入って来た。
僕達二人は部屋を調べた。特に隠れる場所は無い。気になったのは、赤ん坊のいた辺りに、灰の山が二つあった。灰の山を調べると、布きれの切れ端が出てきた。何か嫌な結末になりそうな予感があったので、一応、採取しておく。時間が経つにつれて、僕達の家の仲間が集結してきた。それぞれ、残りの部屋を探すが、隠し部屋も隠し通路も見当たらない。
城の至る場所を探したが、グレモリー卿達の痕跡が見つからず、僕とヴァイラを残し、家に帰っていった。僕達二人は、ヴァイラの父である大公様に報告をする為に、大公家に向かった。
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「シュウ君の仮説は、有るかもしれないなぁ」
ガイア発見の報告と、捜索結果の報告をして、城で思い当たった予感の元になる仮説を、
大公様へ話をした。
「灰の中から布きれが出て来ました」
テーブルの上に、採取した布きれを置いた。
「う~、ボタンが付いているのも有るなぁ。たぶん、服だなぁ。着ていた者は浄化されて灰になった可能性大だ」
大公様により、最悪な結末の信憑性は高まった。
「灰の山が二つって事は、二人浄化されたって事になりますよね」
その時、ボタンを見ていたヴァイラが、何かに気づいた。
「このボタンにグレモリー家の紋章が有るわ」
急いで、他のボタンも調べてみるヴァイラの父。
「何て事だ、バアル家の紋章も有る。シュウ君の推測通りかもしれないな。グレモリー家で所在不明なのは、グレモリー卿だけだし」
あぁ、最悪な結末は確定的だな…
「息子は何かのきっかけで、天使の力が目覚めたって事になりますね」
「そうなる」
まだ考察段階では有るが、ガイアに天使の翼が有る理由…それは、ここアガレス家にとっても他人事では無い。
リアスの滅びの力は、本来バアル家の力である。ということは、ガイアにはバアルの血、元天使の血が多い上、初代と同じ能力を発現した僕の血にも、天使の血が多い。両親ともに天使の血が多かったので、ガイアには天使の翼が有るのではっと…
ということは、元天使のアガレス家の娘、シーグヴァイラと僕の間に子供が出来たら、グレモリー家よりも天使の血液分が多くなるはず…悪魔なのに天使の翼を持つ、大公家跡継ぎが生まれる公算は大きくなるはず。
「奇蹟と言うしかないかな?それとも、運命の悪戯かな?」
「アガレス父さん的にはどうですか?ダメならヴァイラとの間に、子供は作りません」
僕の言葉を受けて、ヴァイラの顔が寂しそうになっていく。
「娘には幸せになってもらいたい。そんな寂しそうな顔をしないでおくれ、シーグヴァイラよ。シュウ君との間に子供を作りなさい。私は、どんな結果でも受け入れるからね」
実の父の言葉を受けて、明るい表情になっていったヴァイラは、大公様に頭を下げた。
「当面の課題は、グレモリー家の当主ですね。どうしますか?ガイアしか真実を知らないだろうけど、まだ会話は出来無いし…」
頭を抱える大公様。
「う~、状況証拠だけだからねぇ。細工した可能性も若干は有るし」
「行方不明扱いになりませんか?せめて、リアスが成人して、当主になれるまで」
産後直ぐに知らせるには、良くない知らせである。ただでさえ、アイツは精神が脆い。自分の息子が、自分の父親を浄化したなどと知らせられない。せめて、アイツが大人になるまで隠しておきたい。
「グレモリー家の当主がいなくなると、次期当主のリアス君が、継ぐことにはなるが、まだ成人していないし…まぁ、当面、リアス君が成人するまで、大公預かりとして存続してもらうか、シュウ君の提案通り、行方不明にして代替わりは後回しにするかだな。どっちにしても、私一人では決められないので、魔王様達と相談になる」
「サーゼクスお義兄さんが、魔王を辞めて当主には戻れませんか?」
手っ取り早い方法を口にした僕。しかし、
「それは無理だな。サーゼクス様はグレモリー家を出て、ルシファーの名を継いでいるから」
「そうかぁ」
「シュウ君、この件は私が責任を持って為す。だから心配しないで良い。シュウ君の困る結果にはしない。約束するよ」
「ありがとうございます」
ヴァイラの父、大公様に頭を下げる僕。
「シュウ君、頭を上げてくれ。感謝するのは私の方だから。先祖様に会えた奇蹟、今でもあの時の事を忘れないでいる。この先も娘のことを頼むよ。先祖が天使で、娘婿は聖者で、孫は天使かもしれないなんて、ただの悪魔では経験出来無いスリリングな事だよ」
なんか嬉しそうな大公様。僕は色々な事に関しての感謝の意を込め、大公様に深々と頭を下げて、リアスの元に転移した。
グレイフィアさんとヴェネラナさんが、リアス母子の傍にいて、天使の翼を持つ赤ん坊を不思議そうに見ていた。僕は大公様との話で、達した推測、愛人に引き渡そうとした話をした。リアスの前なので、絶望的な推論は話せない。
「なるほど!」
「そういうことなのですね」
義母と義姉は理解してくれたが、
「えっ?どういうこと?ねぇ、私にもわかるように説明してよ~!」
後ほど、リアスにはグレイフィアさんが、噛み砕いて説明してくれるそうだ。リアスに教え込むには、コツがあるらしい。僕は、バアル家に向かう。忘れていた事を思い出したから。
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バアル家のお城は1/3くらいを残して、ほぼ全壊。僕は、サイラオーグさんを探す。あ、サーゼクスお義兄さんと一緒だ。近づいていくと、お義兄さんが僕に気づいた。
「あぁ、シュウ君。サイラオーグ君の腕を戻してあげてくれないか?」
「それをしに、戻ってきました」
僕は創造の扇で、サイラオーグさんの両腕を創造した。僕と目を合わせないようにしている、サイラオーグさん。まぁ、そうだろうな。
「そうだ!お兄さん、ガイアが見つかりましたよ♪」
お義兄さんに、息子発見を伝えた。
「それは良かった。無事だったかい?」
「無事では有るんですが…見れば驚きますよ」
きっと、お義兄さんの想像の範囲の斜め上だろうな。
「何だろう?楽しみだなぁ。それで、父上は見付かったかい?」
「大公様に…」
言葉が詰まる。きっと、顔は歪んでいるかもしれない。
「そうか、ここで言いにくい結果なんだな」
僕の心中を察してくれたようだ。そこに、さっきまで僕と目を合わせられなかったサイラオーグさんが、僕の前で土下座をした。
「先程は、いきなり失礼なことをした。すまない」
「気にしないでください。顔も再生できたし。あ!リアスが激高してましたけど」
サイラオーグさんの顔から血の気が失せていく。リアスの激高…過去に酷い目に遭ったのかもしれない。気分で能力の破壊力が上がるリアス。怒りを纏うと最悪かもしれない。
「あぁ、あの顔で会いにいったものなぁ」
お義兄さんは、苦笑いをしている。
---サーゼクス---
魔王4人と大公アガレス殿の5名での会議。シュウ君とアガレス殿が導き出した推論。納得は出来た。でも、今後どうするかは、問題である。魔王輩出家の当主が、行方不明だなんて発表なんか出来無い。まして、孫に浄化されましたなどと、公表する訳にいかない。さて、どうしたものか?
私の父上の状況説明が大問題だった。当主問題は、リアスが成人するまで、大公アガレス殿預かりで良いと思う。しかしである、そうなる原因になった現当主は、どうして代を譲る羽目になったのかの理由が…冥界に混乱を招く恐れの理由ではダメである。
「療養の為が一番良いかな」
ファルビウムが意見を述べた。
「家族への説明が困りそうだな、サーゼクス」
アジュカは僕の心配をしてくれた。
「あぁ、この件を知っているのは、今のところシュウ君だけだ。母上にどう説明して良いか。はぁ~」
この先にの気苦労を思うと溜息が漏れた。
「シルキーは、天使に成れないのかな?」
セラフォルーは、今回の議案とは違うことを考えていた。姪っ子の事…彼女の頭の中は、そのことだらけだな、きっと。シトリー家は、天使の家系では無いから無理だ、何て言える雰囲気では無い。きっと、何でって食い下がるだろう。ここはスルーしておこう。
「でも、シュウ君には、驚かせられることばかりだ。まさか、天使と鬼のハーフってなぁ」
「あぁ、そうだな」
アジュカの言葉に相づちを打つ僕。
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グレモリー邸に帰ってきた。僕とグレイフィアと母上だけで、話し合いの場を設けた。まず、状況の説明。とても気が重い。胃が痛い…胃に穴が開きそうだ。
「何ですって!」
「そんなぁ!」
母上とグレイフィアは、驚きの声を上げた。驚くと思う。僕もそうだったし。そこで、今回のガイアちゃん行方不明事件の推測される状況を説明した。母上の前に、アガレス殿より手渡された、グレモリー家の紋章の入ったボタンを置いた。母上はボタンを握りしめ、壁に投げ放った。
「何て事をしたのよ。自分の孫なのに…きっと、怖い目に遭って、眠っていた天使の力が発現したのでしょうね。かわいそうなガイア…」
母上は父上の行為を許さないみたいだ。僕もそうだけど。
「大きくなって、何かの拍子で記憶が、フラッシュバックするかもしれないわ。周りの者で注意してあげないと」
グレイフィアはガイアちゃんの心配をしていた。そうだな、フラッシュバックによる浄化攻撃での暴走は避けないと、冥界は全滅するだろう。
二人はガイアちゃんに同情的だった。産まれて1週間程度の赤ん坊を、自慢げに連れ回した挙げ句の果ての出来事。ミリキャスの時はそうでもなかったが、今回は独占出来て、父上は舞い上がっていたのかもしれない。でも、招いた事に対する謝罪を聞きたかった。
更なる問題、リアスにどう説明すれば良いだろうか?感情の起伏が激しい妹。何かのはずみで、滅びの力が暴走するかもしれない。自分の子供が、自分の父親に連れて行かれた、そして結末はコレである。どう、説明すればよいだろうか?
母上もグレイフィアも、たぶん同じことを考えているようだ。皆、気が重い。誰が説明すれば、リアスへのダメージが少ないのだろうか?
「とりあえず、リアスには伏せておきましょう。あと、リアスを地上のサーゼクスの家に置いて。ここでは気づかれてしまう可能性がある」
そんな重苦し状況で、母上が口を開いた。
「それでは、母上が一人になってしまいます。」
「私なら、大丈夫よ。まず母子の安全を最優先にしないと」
リアスとガイアちゃんの心配をしている母上。何故か、グレイフィアは黙っている。
「わかりました。ちょくちょく、戻るようにしますから」
「お願いね」
僕達は、リアス、ガイアちゃんを連れて、地上に戻る準備をした。
--シュウ---
おっさんの部屋に来た。頼み事をしにね。
「ガキが見つかってよかったな」
「やっと会えたよ」
「で、今日はなんだぁ?」
つれない会話だ。そこで、本題に、
「頼み事だよ。おっさん、神器について詳しいだよね?トレーニングをしてほしい人材がいるんだけど」
「使いこなさせていないのか?」
「いや、使えてはいるんだけど、能力のリバースとか、ピンポイントで狙えるようにして欲しいんだ。現状だと、貴重な能力なんだけど、狙われ易い気がするんだよ」
「誰だ?」
少し興味を持ってくれたようだ。
「アーシア。回復系の神器なんだけど、能力リバースが出来れば、攻撃も出来るでしょ?」
「回復のリーバスか…出来るなぁ…お前、相変わらず奇抜なことを考えるなぁ」
おっさんに誉めて貰えた。なんか嬉しいなぁ♪でも、表情を変えずに、話を続けた。
「そうかな?狙われたら、攻撃出来無いと、ガードが必要になるじゃない」
「どこの眷属で、どこのポジション?」
「僕の眷属で『兵士』なんだけど、リアスのところの『僧侶』にもしたいから」
「……プロモーション出来るのかぁ。それは脅威になるな。攻撃出来れば…」
唖然としているおっさん。
「僕の眷属で参加すればね」
「わかった。請け負うよ。まかせろ、ボウズの狙う方向で、開花させるから」
「お願いします」
僕は頭を下げた。