ガイア騒動が無事に解決した後の休日。二人の女子が家に来た。イリナとゼノヴィアだ。知った顔なので、リビングに通す。学校に行かないで良い日なので、朝からトレーニングルームに行っている者がほとんどで、家の中は静かである。
「ゼノヴィア、男に転生する気になったのか?」
「まだだ。それよりも協力してほしいことがある」
「うん?女の幸せを見つけることか?」
「それは興味はあるが、違う」
「もう、シュウ!ゼノヴィアをからかうな!!」
僕とゼノヴィアとの語らいに、イリナが乱入してきた。焼き餅か?
「イリナはイッセーの物だろ?」
頬を赤らめるイリナ。
「なぁ、本題に入っていいかな?」
ゼノヴィアは冷静に話を進めようとしている。
「何かな?」
「探して欲しい物がある」
「何だろう?」
ワクワクする僕。ゼノヴィアの女としての幸せを探すのかな?
「教会から3本の聖剣が盗まれた。それを奪い返すか、破壊してほしい。」
「どういうことだ?」
予想とは違う、真面目な用件のようだ。
「堕天使コカビエルという者に盗まれた」
「あ?グリゴリで手配されている戦争狂のはぐれ堕天使か」
「知っているのか?」
「ちょっと、待て!もっと詳しいヤツを連れてくるから」
僕は空間を斬り裂いて、おっさんを拉致して空間を閉じた。
「この忙しい時に俺を拉致るとは、いい度胸だな、ボウズ!」
なんか機嫌が悪い。まぁ、いいっか。
「二人に紹介するよ、グリゴリの総督のアザゼルだ。で、おっさん、この二人は教会の戦士で、教会から聖剣を3本盗んだコカビエルを探しているんだ。情報は無いかな?」
驚く二人、いきなり、堕天使の総督が出てきたのだからね。
「何だとぉ~、三本も聖剣を盗んだのか、アイツは?何をする気だ。今、この街で見かけたって情報が入ってな。俺達も探しているところだ」
あ、それは好都合だ。
「イリナ、最悪破壊しないといけないんだったら、それなりの剣士とかの仲間が必要だよね」
「その為に、シュウに頼みに来たんだよ。誰かいるかな?」
とりあえず、木場、アーサー、トスカ、アーシア、白音、黒歌、リヴァさんを呼ぶ。
「木場と、アーサーは剣士、アーシア、白音、黒歌は回復、トスカ、リヴァさんはサポートだ」
一応、役割と名前を紹介。ゼノヴィアは一緒に鍛錬したので、皆の実力を知っている。
「イリナ、お前よりもテクニックは上だから、安心できる戦力だぞ。そうだ、これをシュウに渡して欲しいと言われていたんだ。」
一振りの…見覚えがある…これは祝福の聖剣だ…
「いいのか?これをもらって」
「その剣を使いこなせるのは、シュウだけって結論が出たんだよ」
そうか、浄化能力が高まるなぁ。呼んだ仲間に作戦の内容を告げる。怪訝な顔をする木場とトスカ。
「木場、トスカ、何か因縁でも有るのか?」
「僕達が同じ教会の施設で、一緒だって話しただろう?その施設は聖剣計画という聖剣を使える人材を育てる施設だったんだけど、全員適応できなくて処分されたんだ。僕は殺された後、リアス様の眷属となり、生き返った」
「私は、殺されそうになって、結界を張って助かったの」
木場とトスカが因縁を話した。
「あの聖剣計画の生き残りが、二人もいたのか。ぜひ、協力してくれないか?」
ゼノヴィアも聖剣計画について知っているようだ。
「その時の責任者ってわかるか?」
木場が訊いた。
「バルパー・ガリレイ。『皆殺しの大司教』と呼ばれた男だ。今はぐれ堕天使と行動を共にしている」
アザゼルが答えた。
「まさか、そのはぐれって…」
アザゼルに訊いた。
「あぁ、問題のコカビエルだ」
「わかった。協力するよ」
木場は了承した。
「この街に、何人かの神父が先行で潜入捜査していたんだけど、みんな殺されちゃったんだよ。なので、神父の姿をして街中を歩けば、遭遇すると思うのよ」
イリナが提案をしてきた。
「それはコカビエルの仕業ではないなぁ。配下にやらせた可能性がでかいな」
アザゼルが考えを口にした。そうだな、その程度のことでボスは動かないだろう。
「配下を叩けば、大将が出て来そうだね。じゃ、囮でゼノヴィア、イリナ、木場、アーサー、リヴァさんは神父の姿で街を練り歩いて。残りの者は気づかれないようにサポートだ」
僕は計画を立案して、指示をした。そして、トレーニングルームにも声を掛けておく。空中戦用にイッセー、ヴァーリ、ジズさん、美猴を同行、待機させる。おっさんには、グリゴリ本部で情報収集してもらい、わかり次第連絡をしてもらうことにした。
------
まぁ、1日目から遭遇するとは思わなかったけど、4日目にして獲物が釣れた。
このメンバーで、索敵が出来るのは僕だけなので、異様な気配を探っている時、
「上から来るぞ!」
僕の声でみんなが一斉に身構える。僕も不壊属性のメタルキングの剣を、木場は魔剣を創造して構える。上から来たのは、聖剣を持った白髪の神父だった。
「神父さん、めっけ!」
いきなり斬りかかってきた。アーサーが聖王剣で防ぐ。
「お、お前!『白狂狼』フリード・セルゼン。元ヴァチカン法王庁直属のエクソシストか!」
ゼノヴィアが敵の正体を見破った。
「あら?よくご存じで!」
敵は話しながら、ゼノヴィアに斬りかかる。今度は僕が防ぐ。
「仲間までも手にかけたのよ、こいつは。信仰心などまったくなかった。あったのは、敵対意識と殺意と戦闘執着だけ!」
イリナの声は、珍しく怒りに満ちあふれている。
「こいつも、戦闘狂かぁ」
「天閃の聖剣かぁ。お前が、神父達を殺したのだな?」
ゼノヴィアが犯人として特定した。コイツが殺していたのか。
「そうでございます。僕ちゃんのエクスカリバーちゃんで、腐れ外道な神父を殺しましたデス。はい♪」
「腐れ外道はお前だろう?」
ゼノヴィアの声にも怒りが纏っていく。
「聖剣使いと聖王剣使いと魔剣使いですか?ワクワクします。いっちゃいそうだな♪」
フリードの動きの速度は、イリナには追い切れていないみたいだ。トスカにイリナへ結界を張ってもらう。他のみんなはスピードに楽々ついて行き。フリードを追い込む。あと一歩というところで、フリードは突然転移して消えた。そして、上空から声が聞こえて来た。見ると堕天使がいる。それに反応して、イッセー達がソイツを取り囲む。
「私は、コカビエル。フリードを返してもらうよ。あいつを追い込むとは、お前ら強いじゃないか。楽しみだよ。ふふふ」
僕はコカビエルの頭上に魔法陣を発現させて発動させる。コカビエルは地面に落下して、身体から煙が上がっている。しかし、膝を着かせたけど着地しているし…流石に1発じゃ倒れないかぁ。
「この俺がこんな目に遭うとは…実におもしろい!そこのお前ら、これから、グレモリー家の根城の駒王学園で、エクスカリバーを巡る戦いをしようぜ!!」
そう言い残し、コカビエルも転移していった。うん?怒らせちゃったかな??これからかぁ~。残業したら負けだよ、コカビエル。
一旦、家に帰る僕達。みんなに状況を説明する。
「え?学校で決闘するんですか?学舎を壊さないでくださいね!!」
ソーナが強張った顔で、お願いをしてきた。
「アブアブ」
ソーナの腕にはシルキーが抱かれている。
「会長、僕らシトリー眷属で護って見せます!」
匙が勇ましいことを言う。ついでに倒してくれると有り難いんだけど…
「わたしも参戦するわよ」
血の気の多いリアスが参戦を表明…をい!
「部長、ダメですよ~。ガイアちゃんの傍にいてくださいね」
そうだ。イッセーの言う通りだ。
「リアスとソーナの分、私ががんばるから、大人しくしていなさい!」
ヴァイラが叱りつけるように言い放った。
「ぶっちゃけ、どうなんだ?勝ち目はあるのか?」
アザゼルに訊かれた。
「もちろん!聖剣組は木場、トスカ、アーサー、イリナ、ゼノヴィア、クロウ、リヴァさんで、残りはコカビエル退治だ。黒歌、白音、アーシア、美猴は回復専門。ヴァーリ、イッセー、アジ、ガブ、ジズさんは空中戦な。ルフェイはアイツが逃げないように封じ込めてくれるといいなぁ。出来るかな?」
「やってみます!」
ルフェイは頷きながら、力強く言った。
「椿姫とヴァイラは僕のガードを頼むね。」
「「了解!」」
「残りの者は校舎に被害が出ないように、結界を貼って耐えてね」
「俺も戦いたいぞ!」
おぉ、匙♪ソーナの前で株を上げないとな。
「匙はラインでアイツをつないでおいてくれ」
「わかった。鍛錬の成果をみせてやる」
「我は?」
オーフィスも参戦したいみたいだ。だけど…
「アポ、オーフィスは、僕達だけでダメなときに出てもらうから」
「上空は俺達が見張る。あいつの援軍がいても近寄らせないよ」
バラキエルさん率いる堕天使軍団が制空権を取ってくれるようだ。
「私は?」
そんな勇ましい父親に続いて、指示を訊く朱乃さん。
「朱乃さんは朱璃さんと夜食を作って待っていてください。あとは、リアスの監視もね」
------
深夜の学校。校庭に散らばる僕達。守備組はグラウンドを囲むように立っている。被害をグランドだけに留める為に。攻撃組、回復組はそれぞれ、リラックスになれる体制で気を高めている。万が一の為に、学校の外周を天使、堕天使、悪魔の混成チームで、街への被害を出さない為の結界を張ることになった。それぞれのトップである、おっさん、お兄さん、サマエルが合意してくれた。
木場、トスカに近づき声を掛ける。
「想いをぶつけて来い!あと、死ぬなよ!」
木場、トスカは静かに頷く。
-------
それは突然出現した。グラウンドの中央辺りに、三本の聖なる光を放ちながら、聖剣が既に刺さっていた。その上に浮かんでいる初老の男性。三本の聖剣エクスカリバーを中心に魔法陣が広がり始める。でかい。また見た事の無い術式だ…書き換えは不可能に近いなぁ。
「バルパー・ガリレイ」
初老の男性の正体を暴くゼノヴィア。
「あいつが!」
「許さない!」
ゼノヴィアの声により、木場とトスカの瞳に怨恨の色が浮かんでいるようだ。
「ようやく完成した…」
バルパーが呟いた。何が完成したんだ?魔法陣が完成しただけなのか??バルパーは狂喜な笑みを浮かべると、聖剣エクスカリバー3本が輝き始める。その輝きはまぶしくて見ていられなほどに達した。
「雑魚が!よく来たな!」
コカビエルの声がした方を見ると、空中で椅子に座っている暢気そうなコカビエルがいた。
「はぁ、ここは僕らの学舎だ!勝手に戦闘領域にすんじゃねぇ!!それより、あれは何をしているんだ?」
聖剣の方を指す僕。
「あぁ、あれか。三本のエクスカリバーを一本に統合しているのだ。完成したようだな」
あの術式プログラムって、そんな意味があったのか…勉強不足だったっと、少し反省する僕。
「聖剣が完成したので、術式が起動しだしたぞ。あと、20分でここは崩壊する。ふふふ♪」
うん?聖剣を統合する術式でなくて、ここを崩壊する術式だと??そうか、聖剣のエネルギーを起爆剤にするのか。
「アレを解除するには、俺を倒すしかないぞ」
なんだ、倒せば良いのか、随分と温い術式だな♪
「フリード」
「はいなぁ」
コカビエルの声に反応して、目の前にフリードが出現。、陣の中心に刺さっている聖剣を引き抜いた。
「なんて綺麗な刃先だ。そこの木っ端悪魔で切れ味を試します。はい♪」
フリードの感想の通り、まったく曇りの無い刃先だ。聖剣に見とれていたら、木場は『魔剣創造』の力で魔剣を取り出して、バルパーに切っ先を向けた。
「バルパー・ガリレイ。僕達は『聖剣計画』の生き残りだ!」
木場の隣にトスカが立つ。バルパーは驚きの表情を見せない。
「あの計画の生き残りか。これは数奇なものだ。こんな機会で会うことになろうとはな。縁を感じるよ。ふふふ」
縁を感じる?ふざけるなよ!
「私は聖剣に魅せられたのだ。聖剣使いになるのが、子供の頃からの夢だったのだ。しかし、自分には聖剣を扱う適正が無かった。その事実を知ったときの絶望感、たまらなかったぞ。だが、使える適正が無いなら、人工的に適正を作れば良いと、そう思い至った時の幸せ感はサイコーだったんだ。そして、君達のおかげでアレは完成したのだよ」
「何?アレは失敗したんじゃないのか?」
木場の問い掛けに、バルパーは首を横に振り
「必要だったのは適性ではなく、因子だったのだ。そこで、私は『因子だけを抜き出して集めること』を、研究していたんだ」
「聖剣使いが、祝福を受ける際に、体へ入れられていたもの…あれかぁ~!」
ゼノヴィアがはっとした。
「僕達の同胞たちから因子だけを取り出していたのか?」
木場の声は恐ろしい程に冷たい。
「取り出された同胞は、処分されたのね」
トスカの声は押し殺した怒りで満ちあふれていた。
「私は聖なる因子を取り出して、このような結晶を作っただけだよ」
バルパーはポケットから、まばゆく光り輝く丸い物を、取りだして見せた。
「私の発明により、聖剣使いの研究は飛躍的に向上したのだ。なのに、私を異端児として教会から放り出し、手柄はミカエルの独り占めだった」
「同胞から因子を抜いて殺したのか?」
木場も怒りを押し殺しているようだ。
「私は誰も殺してなどいない。因子を抜くと死んだだけのことだ。この球体は、その時に作った物の余りだ。まぁ、生き残った記念に、お前にくれてやる」
バルパーは球体を、木場に向かって投げ捨てた。
「環境が整えば量産は出来る。そして聖剣を集めて、聖剣使いを量産して、ミカエルとバチカンに戦争を仕掛けてやる」
うん?ミカエル?
「そこのじじぃ!ミカエルはもういないぞ!」
事実を教えてあげた。
「どういう意味だ?」
バルパーは怪訝な顔をした。
「この前、僕らが天界と戦争して、ミカエル以外全員いや、ミカエルとガブリエル以外全員屠ったよ。ミカエルは堕天使化して、翼を叩き落として、地上に投げ捨てたけど」
「はぁ…何言ってんだ?」
僕の説明を信じていないバルパー。しょうが無いなぁ…
「ガブ、説明してあげて」
大天使化したガブが僕の横に来て
「私以外のあなたの知る天使は、もういませんよ。今いる天使は、私の主のシュウ様が、生き返らせたコカビエルが世話になった天使様達だけですよ♪」
「なんだとぉ…?うっ、お前はガブリエル!」
ガブの言葉に驚いているコカビエル。
「コカビエル、話が違うじゃないかぁ」
バルパーが、コカビエルに文句を言っているし。
「コカビエル!今の天界に、ケンカ売るっていうなら買うよ。トップは僕の家族だからな」