※この作品はR-18です。

神器なき男 (再編集版)   作:もっち~!

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月光校庭のエクスカリバー Part2

---木場---

 

バルパーの投げた球体は、僕の足元に転がってきた。それを拾い目の前に掲げた。

 

「みんな…」

 

僕はその結晶からのオーラを感じるように撫でていた。自然に涙があふれ出してくる。隣にいたトスカも結晶を撫でて、涙を流している。やっと、会えたね。みんな…

 

僕の涙が球体となった結晶に触れると、球体が輝きだし、僕達の周囲に青白い光を放つ人型の陽炎のような物が、何体も浮かび上がった。僕には分かるよ…みんなだよね?

 

「僕だけ生きていて良かったのかなって、いつも考えていた。僕よりも夢を持っていた子もいたし、僕よりも生きたかった子もいた」

 

僕の頭を撫でてくれているトスカ。きっと彼女も同じことを…脳裏に彼らの声が聞こえてきた。

 

『私達のことは、もういいから、あなた達だけでも、生きて欲しい』

 

いつも、みんなで歌っていた聖歌が聞こえてくる。僕もトスカも口ずさむ。僕の視界に入ったシュウは、祝福の聖剣を掲げている。聖剣から溢れる出てくる暖かいオーラ。僕らの周りの青白いかげろうが金色の球体となって、僕の中に入って来た。

 

『一人だけではダメだった』

 

『一人一人の聖剣を、扱う因子は少ないけど』

 

『みんなで集まれば、きっと大丈夫だよ』

 

『だから、受け入れて…』

 

『僕達を…』

 

『聖剣を…』

 

『僕達は、いつまでも一緒だよ』

 

僕は結晶を受け入れた。僕の体に当てると吸い込まれていく。次の瞬間、僕は青白い光に包まれていった。そして、僕が握っていた剣は、聖魔剣へと変化していった。

 

 

 

---シュウ---

 

サマエルに戦争を仕掛けるなんて言うから、コカビエルの最期は、あっけなかった。話している間に、アイツの後ろに獣門を展開して、トライヘキサを呼び出したら、首だけ出してアイツを食べてしまった。今は上空から、咀嚼音とヨダレとアイツの血が降ってきている。

 

横を見ると、木場達の周りには、浮かばれない霊魂が漂っていた。僕は祝福の聖剣を、掲げて黙祷した。

 

『どうか、みんなで木場を助けてあげてください』って

 

黙祷が終わると、この感動的なシーンを、破壊しそうなヤツと目が合った。僕は咄嗟に獲物を、妖刀村雨に持ち替えて、ソイツと戦い始めた。

 

「お涙ちょうだいもんは、嫌いじゃないけど、無視されるのは、大嫌いなんです。はい♪」

 

って、フリード。まぁ、僕もスルーは嫌いかな?

 

僕は、右手に妖刀村正を手にした。二刀流でフリードの聖剣の攻撃を防ぐ。これでは、居合い斬りが出来無いなぁ。コイツ、隙が無いし。刃物がぶつかる金属音で、イリナ達が気づいた。

 

「シュウ、助太刀する」

 

うん?戦力外のイリナが近寄って来た。

 

「イリナじゃ、無理だ!ゼノヴィア、イリナを頼む!」

 

「あぁ、死なれたら困るな」

 

ゼノヴィアはイリナの元へと急ぐ。僕はフリードとイリナの間に入り、ゼノヴィアが来るまで、イリナを護る。

 

 

 

---ヴァイラ---

 

コカビエルのあっけない最期を見た直後、彼のいた場所の真下に火柱が上がり、そこから数匹の三つ首の犬が現れた。

 

「地獄の番犬ケルベロスかぁ。シュウが暴走気味でヒマだから、相手をしよう」

 

クロウが犬の正体を明かした。そして、クロウ、アジ、ジズさん、ベヒモスさんがタイマン勝負に出た。新たな敵が、まだ出てくるかもしれないので、残りの皆は持ち場で待機している。

 

 

 

---木場---

 

シュウに感謝の言葉を投げようと思ったら、フリードとやりあっている。しばらくの間、無防備だった僕達を守ってくれていたのか。僕はフリード戦に参戦した。僕が参戦したことで、シュウに余裕が生まれ、居合い斬りでフリードの両手を斬り落とした。僕は彼が自力で逃走出来無いように、フリードの片足を斬りつけた。

 

今度こそ、シュウに感謝の言葉を投げようとしたら、シュウは空に展開していた獣門を閉じていた。

 

 

 

---シュウ---

 

あっちは、犬と楽しんでいるみたいんだなぁ。あと残ったのは、あのじじぃかぁ。

 

「聖魔剣だと?まさか…聖と魔の融合するってことは…神は死んでいるのか?」

 

じじぃは、訳の分からないことを呟いていた。

 

「はぁ?何千年前の話をしているんだ、じじぃ!」

 

「お前は神が死んでいたことを、知っているのか?」

 

何を今更…頭の悪いじじぃだな。

 

「そんなの常識だろ?何を呆けているんだ??なぁ、イリナ」

 

「えぇ、聖書の神は死んでいますよ。まだ生きているって、信じているですか?信じられない!」

 

僕の言葉を裏付けるイリナ。

 

「なんだとぉ…では、私達は誰を信仰の対象にしていたんだ?」

 

更に、今更なことを…義務教育に行っていないのか?

 

「三位一体の神のうち、二人がいないんだったら、残った一人に決まっているだろう?なぁ、ゼノヴィア」

 

「あぁ、ミカエルだったんだよ。私達が信仰の対象にしていたのはね」

 

ゼノヴィアが僕の質問に答えた。

 

「わかったか?教会の戦士が知っていることを、元大司教が知らないとはなぁ。で、このじじぃとそこに転がっている元エクソシストは、誰が引き取る??」

 

「シュウ君、うちで引き取りますよ」

 

僕の言葉に反応して、転移してきたルシファーさん。

 

「あ♪ルシファーさん、お久しぶりです」

 

「新しい天界で、じっくり教育して、教会へ戻しますよ。彼にはタップリと懺悔と贖罪をして貰わないといけませんからね」

 

ルシファーさんが、配下の天使に命じて、二人を天界へと連れて行った。隣の戦地では、まだ犬と遊んでいる。

 

「おい、クロウ達!早く終わらせろよ。朱璃さんの夜食を食べに帰りたいよ~もう、腹が減ってダメだよ~」

 

「「「了解!!」」」

 

学校の校舎は、傷つけないで終わった…その代わりでは無いが、グラウンドには生臭い臭いが残ったけど。あいつのヨダレの臭いは強烈だな…

 

聖剣は無事に奪還成功。そして、聖剣騒動から数日経つのに、イリナとゼノヴィアが全く帰ろうとしない。なんでだ??

 

「お前ら、帰らないでいいのか?」

 

「ここに待機していなさいって」

 

って、イリナ。

 

「はぁ?うちは宿屋じゃないんだけどなぁ」

 

「ここにはずっといたいよ。こんなに身になる鍛錬は、バチカンでは味わえないからな」

 

っと、ゼノヴィア。

 

「まぁ、トレーニングルームは、どこにも負けない自信は有るが…」

 

そんな会話をしていると、朝の礼拝が終わったのか、アーシアとガブとトスカが八重垣教会から帰ってきた。

 

「なんか、教会が引っ越すそうです」

 

っとアーシア。寝耳に水なことを言い出した。

 

「聞いていないなぁ。なんでだ?」

 

「なんか、地上げに遭ったらしく、等価交換したって…」

 

はぁ?あんな街境のへんぴな場所を地上げ??まさかなぁ…嫌な予感がした僕は、玄関を出て、家の前を見ると…なんだとぉ!!予感は的中した…誰の仕業だ…

 

僕達の目の前には、教会が二つ設置されていた。そのうちの1つには『八重垣教会』の文字がある。僕の後ろに教会関係者達もついて来たが、皆驚愕な表情だ。

 

「いつのまに」

 

アーシアが震えている。

 

「気づかなかった」

 

トスカは青ざめている。

 

ガブ「工事してましたっけ??」

 

ガブは疑問を口にした。いやしていない。それは、そういうことで…驚いている僕達の前に、ルシファーさんが現れた。

 

「あ、気づいちゃいましたか。サプライズで…後でサマエル様がお知らせに行かれる予定だったんですが…」

 

そうか、サマエルの御業か…前より綺麗だし、大きいし、ありがたく、貰っておこう。そうなると、もう1つは誰の仕業かな?

 

「で、もう1つの教会は何?」

 

ルシファーさんに訊いた。

 

「あちらは、バチカン教会です。ストラーダさんの提案で設置しました。バチカンと直接行き来できる設備が有ります」

 

ストラーダさん…

 

「噂をすればなんとやらですよ」

 

ストラーダさんが僕達に近寄ってきた。

 

「やぁ、ごきげんよう。無事に聖剣を取り戻してくれて、ありがとう」

 

「で、これは一体全体どんな趣向ですか?」

 

張本人に訊いてみた。

 

「君の家のトレーニングルームを、体験したいっていう戦士が多くてね。皆、ゼノヴィアの短期間での上達ぶりを見て、興味を持ったようだ。それと、ここにあれば、八重垣教会のミサに参加が出来るだろ?これも参加したいという者が多くてな。旅費などを考えたら、こうすれば安くあがるしな」

 

そうだとすると…

 

「八重垣のお父さんの追放処分は、解けるのですか?」

 

「それはまだだ。すまない…今回の賛同者は、私の派閥の者ばかりでね。まだ上層部は含まれていないのだ」

 

「で、メリットは?」

 

「二度と君の義父には手を出させない。もしもの時は、教会戦士が守る♪」

 

「僕の家の仲間より、強いんですか?」

 

護ってくれるのは嬉しいんだけど、疑問を口した僕。

 

「……まぁ、それがメリットだよ」

 

おいおい

 

「シュウ、もう良い」

 

「お父さん…」

 

八重垣父さんがやって来た。

 

「教会に追放の身分で良いんだよ、シュウ。教会に戻ると、アーシアちゃん達が来られなくなるからな。うちは追放されている者でも、分け隔てなく祈れる場で良いんだ」

 

「そう言って貰えると、助かります」

 

ストラーダさんが八重垣父さんに、頭を下げていた。

 

「そうそう、ストラーダ殿からマリア像を頂いて飾ってみたよ、シュウ…」

 

マリア?まさか…僕は八重垣教会に駆け込んだ。教会内を見回すと、壇上に…確かにマリア像があった。しかし、その顔は…

 

「お母さん…」

 

僕はマリア像の前に、跪いて泣いた。あの時と変わらない顔の…僕を産んでくれた母親の顔だった。

 

「せめてもの罪滅ぼしだ。これで、君に償えたとは思わない。君の傍にいて、君の役に立ちたいのだ。残りの私の人生をなぁ」

 

「知らなかったよ、シュウ。ストラーダ殿に聞くまで…すまない、お前の本当の母親を…私の人生だけでは、償いきれないかもしれない」

 

八重垣父さんもストラーダさんも、僕の傍でマリア像に跪き、祈りを捧げてくれた。

 

 

 

---アーシア---

 

あの日以来、ミサや礼拝が無い時は、シュウさんはマリア像に跪いている。私は、まだ心を癒やせる能力が無い。いつか彼の心を、癒やせるようになりたい。

 

 

 

---リアス---

 

最近、シュウが来てくれない。ソーナの処にもあまり行っていないようだ。他に女が出来たのか?私はまだ、グレイフィアの監視の目から、逃げることが出来無い。いつまで続くのよ、この幽閉生活は…

 

 

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