---シュウ---
「揉めている原因って何だろう?」
原因をヴァレリーに訊いてみた。
「私の聖杯で、私達の派閥の吸血鬼の強化をして、もう1つの派閥とのバランスを崩したことで、リゼヴィムという悪魔が兄に近寄って、更なる強化をしているようなんです」
「リゼヴィム?ヴァーリの爺ちゃんか?」
「また、あいつか?」
嫌な名前を聞き、ヴァーリのオーラに怒りが湧き出してきている。
「他の種族でおいたしたらいかんな」
「なぁ…」
ヴァーリが何かを言いかけた。言わないでも分かっているよ♪
「おい、みんな戦闘の準備をしろ!」
仲間達に声を掛けた。
「「「了解!!」」」
「悪魔のみなさんにご迷惑をおかけはできません」
ヴァレリーが困ったような表情で言って来た。でもね…
「大丈夫!僕は魔物だから。悪魔には迷惑かけないよ!ただねぇ、ヴァーリの爺ちゃんが許せないだけだよ。そうだろう?ヴァーリ」
「ありがとう、シュウ!」
ヴァーリが大きく頷いた。
「誰か、リアスに連絡が出来るやついないか?」
「私がします。現況を聞けば良いのですよね?……音信不通です」
ソーナが連絡をしたが、リアスから返答が無いらしい。
「それって、リアスが居眠りしていて、出ないとかでなくて?」
まさか、襲われたのか?
「その可能性は否定しませんけど、連絡が出来無い状況っていうのも考えれます」
「状況がわからないんじゃ、戦力をどう振り分けようかな?……第一陣ヴァイラ眷属。ヴァーリの爺を殺さない程度に叩け!」
「了解!」
ヴァイラが頷いた。
「あと、ベルゼブブ眷属は不測の敵に対応するのと、ヴァレリーの護衛だ。護衛はギャスパーとトスカ。トスカは防御結界張りっぱなしでヴァレリーを守れ。アーシアはギャスパーのアシスト」
「了解です!」
アーシアが力強い返事を返してきた。
「さぁ、行くぞ!!」
僕らは空間を切り開いて、亜空間移動した。街の入り口に出たけど…空一杯の邪龍。喰われるヴァンパイア達…ひどい状況だ。ヴァイラ達は城へ向かう。僕達は全力で邪龍を叩く。サマエルを除く総ての龍門、アイツ以外の総ての獣門を展開して召喚をする。僕の両脇にはガイア&シルキーを召喚。先制でガイア&シルキーが撃ち込んだ。だいぶ、撃ち落としたが、全然減らないぞ。アジ、僕、黒歌、ロスヴァイセ、ルフェイであらゆる術式でフルバーストを撃ち込む。これでも減らない。ドラゴンを全部帰還させて、堕天使サマエルを召喚して突っ込ませる。落ちてきた邪龍は陸上部隊で屠る。こっちの方が少し効率がいいけど…シルキーが大規模なダイヤモンドダストを降らせてきた。おぃおぃ。急いでサマエルを龍門にしまい、防御結界をみんなで展開して身を守る。お~い、味方が死んじゃうよ、我が邪邪馬娘よ。シルキーの一撃で空は青空が見えた。街の被害は甚大だけど……ものの善し悪しがわかるまで、こいつらは危険で使えないぞ。満足そうなシルキー。ガイアの負けん気が炸裂。城に向かって聖なる光の矢をフルバーストさせた。あぁ、ヴァイラ達がいるんだぞ。おぃおぃ。僕の近くに、涙目のヴァイラとリアス達が転移してきた。
「すごい膨大なオーラが近づいてきたので、逃げてきました」
ヴァイラは半べそである。
「もう、この子達たら……こわいよ~」
リアスは蒼い顔だ…うんうん、確かに恐いよな。悪魔である母親に向けて、聖属性をフルバーストって…
城は跡形もなくガレキの山に。ガイアは満足そうだ。トスカの結界に、何かがへばりついている気配がして振り向くと、知らない男性が、結界に入ろうとしていた。
「お前は誰だ?」
「お前こそ誰だ?俺の妹を返しやがれ!」
「マリウス兄さん、私は帰りません」
ヴァレリーの兄のマリウスのようだ。
「お前らが、妹にいらん知恵を与えたのか?」
言いがかりを言うマリウス。
「おい、お前は知恵の実の独占の神様か?知恵は平等に得られるんだぞ」
僕は、妖刀村雨で居合い斬りをし、マリウスの両腕を切断した。切断面から煙が立ち上る。聖水の効果で焼けているみたいだ。
「この程度なら、すぐ回復でき……できない?なんでだ??」
余裕ぶった表情であったが、回復しないことで、顔から血の気が引いているマリウス。
「切断面に聖水がこびりついているからと、お前にはもう聖杯が無いからだ」
「なんだと??ヴァレリー、兄さんを助けておくれ!」
「ギャスパー、お願い!」
実の兄の命乞いから目を背けたヴァレリー。ギャスパーは、バロールモードになり、ヴァレリーの兄を闇に吸い込んでいく。僕は祝福の聖剣を両手で掲げて黙祷し、ヴァレリーの兄と邪龍の魂を浄化していく。黒くもやもやしていた魂達は、光り輝く魂となり、天上の光の粒子に導かれゆっくりと上っていった。
「転生しても悪い人にはならないよ、これでね。あとは、ヴァーリの爺を探してボコるぞ!」
「「「了解!!」」」
崩壊した城を探したが、ヴァーリの爺のオーラは感じなかった。逃げられたのか、くそっ!ヴァレリー達と対立した派閥の街にいるおっさんへ、連絡をして現況を訊いた。えっ?!向こうでも邪龍が大量発生??
僕らは、おっさんのいる街に転移した。空一面邪龍だらけ。戦闘に満足した子供二人はもう家に転送している。さて、どうするか?さっきの戦闘を体験した者達は、現況を見なかったことにして帰りたいにちがいない。でも、それもなぁ。あっ、そうだ!
「アーシア、広域のリバースを試してみて」
アーシアの新技をお披露目♪
「やっと、出番ですね!」
アーシアが出番が来たことで、嬉しそうだ。彼女の技により、面白いように邪龍が落ちてくる。それでも、全滅にいたらない。ギャスパーは、さっきバロールモード使って、今はヴァレリーに抱かれて寝ているし。魔術師陣は賢明に魔法を撃ち込んでいる。あっ、そうだ!
「リアス、ヴァイラ、ブーメランで邪龍の羽を切っていけ!」
「「了解!!」」
ブーメラン使いに指示をした。そこに、アジを召喚し、龍化してもらって、僕を乗せて上空に運んでもらう。邪龍へ水平方向からアジの魔法を炸裂させながら、僕はサマエルの剣で禍々しいオーラを放ち、邪龍を撃ち抜いていく。こんなそんなでどうにか全滅にできた。はぁ、疲れた。あっ!!おっさん、見ているだけで、戦わなかったな!
「おっさん!戦わないで、見ているだけの場合の拝観料は高いよ」
「ここでも請求するか?」
文句を言うおっさん。
「支払はいつものでよろしく」
「グレイフィアに殺されるよ!」
蒼い顔になるおっさん。堕天使の総督でもグレイフィアさんには弱いのか?
「お兄さんと相談しておいてね。あんまり遅いと、ガイアと取り立てに行くからね」
って、おっさんの耳元でささやく僕。
ここでも、ヴァーリの爺の捜索をしたが、オーラは確認できず。ここでも、逃げたのか?捜索を断念して、おっさんとリアスを残して、みんなで家に転移した。
しかし、あの数の邪龍って、どこからかき集めたのだろうか?そもそも、あんなに邪龍って生息しているものなのか?何か嫌な予感がする。あの邪龍の魂、浄化する事に専念していたから、気にも止めなかったけど、ドラゴンの魂では無かった気がする。試しに、浄化した邪龍の魂を1つ招魂して会話してみると……予想は的中した。あの大量の魂は、ヴァンパイア達のものだった。ヴァーリの爺ちゃんに強化された結果、邪龍になったそうだ。あのじじぃぃぃぃ!なんてことをしやがる。
僕が聖杯を奪う前に、あの爺は聖杯で聖杯を作ったらしい。その聖杯を使い、ヴァンパイア達を邪龍へと強化した上、有名な邪龍を数匹蘇らせていたそうだ。
僕は、お兄さんへ情報を提供した。そして、家の者達にも事実を伝えた。ヴァレリーが、泣いていた。同胞の最期を哀しんでいるのだろう。ギャスパーとヴァーリの怒りのオーラは凄まじかった。でも、僕も負けないくらいのオーラを、出していたかもしれない。
たぶん、我が家に敵という者がいるならば、ヴァーリの爺ちゃんこと、リゼヴィム・リヴァン・ルシファーがそうであろう。僕らの共通の敵だ!
---アザゼル---
生き残っているヴァンパイアが数少ない。城にいたはずのヴァンパイアが、まるっきりいない。死体さえも残っていない。何かがおかしい。そこに、サーゼクスから連絡が入った。ボウズからの情報…おい、まじかよ。あちらこちらに残る邪龍の死体。ボウズの情報は正しそうだ。リゼヴィムの野郎、なんてことをしやがった。
---リアス---
なぜ、私以外のみんな帰っちゃったのよ~。護衛の祐斗まで帰るなんてぇぇぇぇ~
---シュウ---
貞操教育課程を修了して、イリナがバチカンから帰ってきた。自慢げに…なんで、こいつ、天使の翼を持っているんだ?何?…転生天使になったのか。それって、堕天しそうになると翼が点滅して、知らせてくれるからじゃないのか、って冗談まじりに言ったはずが、その通りだった。自分で制御が出来無いのであれば、周囲の者達で制御してあげてくださいって、バチカンからの書簡に書いてあった。おぃおぃ…貞操教育課程を落第か…アイツ、大丈夫か?
心配していた傍から…イッセーはイリナの顔を見た瞬間に、Uターンしていった。それを追うイリナ。翼の点滅に気づいたアーシアが追いかける。はぁ、賑やかになりそうだよ。
---サーゼクス---
最近、トライヘキサの研究者が行方不明になる事件が相次いでいる。あれって、シュウ君達が解放したんだよな。あっ、世間では知られていないからか。トライヘキサの研究者のリストに知っている名前を見つけた。僕はシュウ君の家へ向かった。
シュウ君と、名前がリストにあったロスヴァイセ君とで、三人で話をしている。
「確かに、学生時代に研究をしていましたが、論文は提出しないで、燃やしたはずです」
提出していない?
「でも、君の名前でも、論文が出ているぞ」
ロスヴァイセ君に、リストを見せた。
「そんな…まさか、ルームメイトの友達が、コピーを取っていたから、それを出したのかもしれません」
「共同研究者としてか」
「私は共同研究なんかしていません」
僕は彼女のルームメイトだった者の名前を聞き出し、リストを調べてみたら、載っている上、行方不明になっていた。
「行方不明?」
心配そうな顔のロスヴァイセ君。
「研究者として攫われたのかもしれない」
「そんなことしやがるのは、ヴァーリの爺だけだ。誘拐してまでも、アレを呼びたいなんてヤツは」
「シュウ君もそう思うかい?」
シュウ君の考えと僕の考えは一致した。
「次、会ったら、躊躇なく屠ります」
リリンに怒りを持っているシュウ君。いや、たぶん、この家の者は全員かもしれない。
「誘拐しても無意味って、気づかないのかな?」
アレはシュウ君が使役しているし。
「たぶん、ダミーの方を見つけたんだでしょ」
「ダミー?」
「7本の首と10本の角をもつ生物です。7は神または始まりと終わりを表す。10は3+7です。3は三位一体の神の数。そんな聖なる数を形にしないでしょ?本物は666の獣の数ですし」
「確かに」
アレの一番の研究者はシュウ君だと思う…
「実際のアイツは、獅子のような顔、熊のような手足、豹のような身体、龍のような尻尾を持っていますが、見た目は獣のようですし」
「実際の?見たことあるんですか?」
驚きの声をあげたロスヴァイセ君。
「ここだけの秘密だけど、もう封印は解かれている。アイツはシュウ君が使役しているよ」
「え?どうやって??」
彼女は研究者として、信じられないようだ。
「方法は言えないけど、普通の人には無理だと思う。三頭一対が必要だったからね」
「まさか…三頭一対も使役しているんですか?」
「ロセ、家で何度も会話しているぞ。今は人化して、一緒の家族だもの♪」
「え??」
絶句状態になったロスヴァイセ君。
「そうなると、リゼヴィムはダミーを復活させようとしているのか?」
「そうなりますね」
「もし、復活したら、君は倒せるかい?」
「倒しますよ。その為に、ここにいるんですからね」
義弟が心強くいった。彼の言葉に違和感があったのだが、聞き流してしまった。聞き流さずに問い詰めていたら、あのようなことには…後の祭りである。
---シュウ---
「そう言えば、グレイフィアさんの弟さん、どうなりました?」
「シスコンでね、グレイフィアの尋問を楽しんでいるようで、少しずつ供述が取れてはいるよ」
「シスコンかぁ。シスコンが強すぎると、禄な人生を歩めないのかもね♪」
「どういうことかな?」
思い当たる節のあるお兄さん。
「今読んでいる小説『紅髪の少女』で、シスコンが強すぎるあまり、妹を庇って廃人になったって、下りが有るんですよ」
「そうなのかい?……今度、貸してくれるかな?」
「いいですよ」
僕は本棚から読み終えた分を取りだし、お兄さんに貸し出した。