カメラは見ていた
---アジュカ---
空中都市アグレアスは完全に封鎖して、三勢力が協力して調査をしている。何がここで起きたのか?
僕は監視カメラの映像を確認してみることにした。各所の監視カメラの記録を、同じ時間軸に合わせて、再生してみた。最初に異変があったのは、放送席だ。放送席に、あいつ…リゼヴィム・リヴァン・ルシファーが現れた。実況アナウンサーのナウド・ガミジンに、聖杯を向けると、ナウドが邪龍となって、空に飛び立った。実況席に座るリゼヴィム。
『本日は、ぼくちゃんの宴パーティ~にようこそ!観客席にいる君も、フィールドにいる君も、パーティ~に参加できるよ~ん♪』
リゼヴィムの突然の乱入で、観客席やフィールドが大騒ぎになっている。リゼヴィムは聖杯を取り出し、フィールドと観客席に向けると、観客、選手、審判、関係者など、アグレアスにいたリゼヴィムを除く全員が邪龍となり、空へ飛び立っていく。空は一面邪龍の大群で真っ黒に染まっていく。
『さぁ、宴の場所は、アウロス学園だぞ。そこへみんな向かうんだ。そこに集う者たちを食べ尽くしておいで!お腹にいっぱいになるまでねぇ♪』
邪龍の群れはアウロス学園に向かって飛んで行っているようだ。
あの邪龍の群れって…そんなぁ…
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記録映像は続いている。リゼヴィムはVIP席、貴賓室、控え室に隠れている者を見つけ出して次々に邪龍にして、部屋の窓からアウロス学園に向かわせていく。
とある控え室の場面で、レイヴェル君が邪龍にされてしまった。邪龍に変化する過程で、最後の気力を絞って、彼女は手にしていたカバンから、何かの包みを大事そうに棚の上においた。しかし、完全に邪龍になると、窓を突き破って空へと飛んでいってしまった。
シュウ君、君が祝福の聖剣を使って、邪龍の魂を浄化したのは、この事に気づいたからかい?義理の息子のシュウ君を目の前にして、訊きたかった。今はもう…叶わない事だけど…
誰もいなくなったアグレアスに、シュウ君が降り立った場面があった。彼は何かを索敵しているみたいだ。彼の向かった先にあるカメラの映像を順番に見ていく。
見つけた敵を次々に屠っていくシュウ君。少し広い空間の敵を倒したあと、トライヘキサを鎧化して、サマエルの剣をナックル状にしていく。
そして、リゼヴィムとシュウ君が戦っている場面、一方的にリゼヴィムがやられている。
『ふふふ、ぼくちゃんを殺すとトライヘキサの封印が解かれるぞ!』
リゼヴィムがシュウに向かって言っている。たぶん、リゼヴィムの死亡フラグでトライヘキサ(ダミー)の封印を解くようにしてあったのだろう。しかし、シュウ君は本物のトライヘキサを解放して、リゼヴィムを喰わしている。
死亡フラグが立った瞬間、カメラが揺れた。デカイ何かが外れたみたいだ。シーグヴァイラ君やヴァーリ君が腰砕けになってしまっている。シュウ以外のみんなが身震いしているが、どうしたんだ?
シュウ君は何かを考え込み、メモに何かを書いて、その場に残していった。あのメモだな。
『この世に存在してはいけない物を処分してきます』
その後、シュウ君を捕らえる映像は無かった。最後の敵を見つけて、あの仮想フィールドに転移したんだな。
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続けて仮想フィールドの記録映像を見る。
7つの首を持ち、10本の角を持つヤツと、シュウ君が転移してきた。サマエルを剣状態に戻して、遠距離から、サマエルの負のオーラを撃ち込むが、まったく効果が無いようだ。シュウ君の必殺ワザ『ウルティマウエポン』もまるで効かない。苦戦しているように見えるシュウ君。
妖刀村雨の居合い斬りを、同じ場所へ数回撃たないと、首が切れないみたいだ。なんて、敵だ。僕ですら、心が折れそうな相手だと思う。でも、敵の攻撃も凄まじいけど、シュウ君の再生力も凄まじい。頭を吹き飛ばされようが、片手を潰されようが、次々に再生していく。彼の再生力が上がっているようだ。今までより、再生速度が高まっている。
彼はこの為に、何を捨てたのだろうか…
ついに全部の首を切り落とすと、漸くヤツは息絶えたようだ。シュウ君は龍門からサマエルを召喚した。装備の状態だと不都合なのだろう。
その後、会話用魔法陣を開いて、誰かと会話している。音声データは無いので、相手がわからない。何を話したんだ?!誰に話したんだ??
会話用魔法陣を閉じてから、シュウ君は泣いているようだった。しばらくの間泣いて、獣門を展開した。シュウ君は祝福の聖剣を掲げて黙祷を捧げている。そして、トライヘキサを召喚して、アイツの目の前に立ち、アイツに喰われた。
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映像はそこまでだった。
この映像はノーカットで、みんなに見せようと思う。
---サーゼクス---
シーグヴァイラ君とヴァーリ君に取り乱した原因を訊いてみた。リゼヴィムのオーラの反応が消えた瞬間、今迄に感じたことが無い恐怖のオーラを感じて、腰が抜けて、身体の震えが止まらなかったことと、その恐怖のオーラがす~っと消えて、先に行くと何かを封印していた部屋の前に、あの紙切れを見つけて状況を把握して、シュウ君の手助けが出来無かった自分に腹が立って、感情が爆発したそうだ。あの恐怖のオーラに負けなかったら、間に合ったはずだったと、二人は口を揃えて言っている。
---アジュカ---
一つ疑問があるシュウ君が死んだなら駒が、無効になるはずなのだが、眷属のみんなに入れられている駒は有効のままだった。これって、生きている可能性が有るということだ。問題はどこにいるかである。少なくても、この星にはいない。いれば、転移して帰ってこられるはずだから。他の星でも、飛んで帰って来られるはず。そうなると考えられるのは、並行世界かな?
次元の狭間に詳しいアポ君に話を聞くと、異世界には行けるらしいけど、並行世界には次元の狭間からは行けないみたいだ。帰って来られない原因はこれかな?
どうしたら、並行世界の情報が得られるんだろうか?悩んでいる私の前に、サマエル様が現れた。
「シュウが、並行世界にいる可能性があるのだな?」
「はい、そうです」
僕の思考をモニタされていたのだろうか?思考した内容が漏れている。僕の返事を聞くとサマエル様は消えていた。
---サマエル---
ブラフマーを通じて、近くの並行世界の最高神に、シュウが行っていないか確認をとってもらっている。各並行世界には1組(創造、維持、破壊)の最高神が必ず常駐している。この世界では、維持神は倒されているけど、創造神ブラフマーと破壊神シヴァは健在である。
ブラフマーから朗報がもたらされた。シュウが飛ばされた並行世界が、見つかったのである。問題はそこから帰ってくる手段が、現状では無いことである。
私はこの情報を、早速アジュカへと伝えた。
さて、手段かぁ…
---アジュカ---
サマエル様より朗報がもたらされた。が、手段が無いとは…とりあえず、カメラの記録映像の上映会を開かないとなぁ。気が重いけど…
---白音---
あの日、見つけたレイヴェルのクッキー。
お兄様へ差し上げるはずだったクッキー。
なんで、あそこに置いて行ったの?あなたは、どこへ消えたの?お兄様と一緒なの?私の疑問に誰も答えてくれない。
クッキーを大切に私のポシェットにしまう。お兄様に渡すまで、私が大切に護るからね、レイヴェル…
---ヴァイラ---
彼が夢見ていた家が完成した。崖に面した場所のサンデッキから、遠くの景色を眺めてみる。なんか懐かしい。隣にシュウがいる気分になれる。彼もこの景色を眺めたいだろうに。
あの日、シュウが言ったように、子供二人とリアスが、私と一緒に週末だけ住んでいる。まだ学校を卒業していないから…ここからだと学校が遠いのと、眷属との交流がしにくい為である。ソーナはここから見える学校で、今後正式に働くので、きっとここに住むはずだ。
アジュカ様より朗報が届いた。シュウが生きていると。いる場所まで特定は出来たのだけど、現状、移動手段が無い為に帰って来られないこと。何千年でも待ちます。だから帰ってきてね、シュウ!
朗報以外に、あの日の監視カメラの映像が、公開されるそうで、見たい場合は来るように言われた。もちろん、行きます。
---アジュカ---
映像公開の日、会場は満員だった。シュウ君の関係者が殆どだったけど。
ガイア&シルキーのコンビは、暴走防止の為にセラフォルーとグレイフィアと仮想フィールドに転移させた。シュウ君の場面で暴走されたら、この会場でも惨劇が始まってしまうから。悪いが、あの二人には犠牲になってもらうことにした。シュウ君の家には、生き返らせる薬も一杯保管されているので、上映会が終わったら薬を持って迎えに行く予定である。
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そして、時間になり…映像を流す。
実況のナウドが邪龍化した時、会場では嘆きの声が聞こえた。その直後、あの忌々しい声が会場に響く。
『本日は、ぼくちゃんの宴パーティ~にようこそ!観客席にいる君も、フィールドにいる君もパーティ~に参加できるよ~ん♪』
そして、あの惨状が映し出される。超満員の観客や選手、関係者が、アイツの聖杯で邪龍に変化して、空を埋め尽くしていく。会場内は怒りのオーラで埋め尽くされていく。
『さぁ、宴の場所は、アウロス学園だぞ。そこへみんな向かうんだ。そこに集う者たちを食べ尽くしておいで!お腹にいっぱいになるまでねぇ♪』
すすり泣く声が聞こえる。泣くのをこらえている者も多数いる。あの大量の邪龍の正体はこれだったんだよ。
そして、レイヴェル君のシーン…小猫君が耐えられずに大泣きした。隣で彼女を宥めている黒歌さんも泣いている。
シュウ君のシーン。出くわす敵を無感情で淡々と屠っていく。シュウ君を知る者は『え?』って感じだ。あんな無感情なシュウ君は見たこと無いよね?映像を見返した時に、僕も何らかの怖さを感じたもの。
シュウ君がトライヘキサでリゼヴィムを喰わせるシーン。みんな目を背けずに見ている。
リゼヴィムを倒した後に、メモ書きをする映像が流れると、シーグヴァイラ君とヴァーリ君は抑えていた感情が爆発したように泣いていた。
そして…仮想フィールドでの映像。ここからは音声が途絶える。ダミーとシュウ君の壮絶な戦い。ダミーの攻撃によって、シュウ君の身体の様々なパーツが爆ぜるが、再生しつつ戦いを続ける。少しずつダミーにダメージを与えていくシュウ君。最後の首を切り落とすとダミーは息絶えた。
龍門からサマエルを召喚。会話用魔法陣での会話。
「あ!、あれって、相手は私だ!」
リアス君が声を上げた。
会話用魔法陣を閉じてから、シュウ君は泣いているようだった。
そのシュウ君の行動を見て、リアス君は、呆然としている。たぶん、最後の会話をしたという意識は無かったのだろう。この時までは。
シュウ君は、しばらくの間泣いて、獣門を展開した。シュウ君は祝福の聖剣を掲げて黙祷を捧げている。そして、トライヘキサを召喚して、アイツの目の前に立ち、喰われた。
そこで、映像が途切れた。
---リアス---
あれって、最後の会話だったの?最後の会話の相手は、私で良かったの??あの高台で、私を置いて行ったのは、こうなる予感が有ったの?私にシュウを失った喪失感が、今生まれた。
---白音---
そんな…レイヴェルが邪龍に?あの大群の中にいたんだ…
お兄様は、大群の中にレイヴェルがいることに気づいたんだわ。だから、屠らずに痛みを与えない浄化をしたのね。つらかったよね、お兄様…あの無表情はレイヴェルの悔しさを受けたのよね?
レイヴェル、悔しかったよね。クッキーはお兄様に、必ず渡すからね。
---アザゼル---
同族相手に、ここまでひでぇことを出来るヤツがいたとは。シュウ…戻ってこいよ!ここにはお前を待っている者がたくさんいるぞ。