私は破壊神シヴァ。三つ子の末妹である。長兄は創造神ブラフマー、次兄は維持神ヴィシュヌと言い、絶対神より生み出された神である。産まれたばかりの星には、私達のような最高神が1組(創造神、維持神、破壊神)、必ず派遣されることになっている。
宇宙に新しい星が、また産まれ、絶対神より私達三神は、その星の行く末を任された。長兄のブラフマーは、地形を作り出し、天候を作り出し、自然を作り出し、生物を作り出して、この星を豊にしていく。
次兄のヴィシュヌは、長兄が作り出した物を維持管理していく。私の役目は兄達が作り出した物が暴走して、この星に危害を与えそうな時に、作り出した物をすべて破壊して、長兄が一からやり直しが出来るようにすることである。
長い年月をかけて、長兄から次兄に作業の領分が引き継がれた。ここまではなんの問題もなかった。そう、あの時まで…
次兄は真面目一辺倒ではなく、遊び心も持ち合わせている。必要だからだといって、長兄に色々な物を作らせては、失敗したからといって、わたしに破壊させている。まぁ、成功した事もあるので、私も長兄も運営には文句は言わなかったのである。
ある時、次兄の出張先で問題が起きた。次兄は色々なエリアに出張して、様々な神格体系を創りだし、それぞれの神格が統括する地域を治めていた。
問題の起きたのは、天界というエリアでだ。そのエリアでは次兄は聖書の神として天使達を束ねていた。そこにはエデンの園という場所があり、私達と同じ姿をした生物を作って、このエリアが統括する地域に適合するか観察していた。他のエリアでは問題なかったので、地上に降ろして住まわせていたが…
その天界というエリアで次兄は、事もあろうにエデンの園の生物と交わった。その結果、その生物、人間は、次兄との間に子供が出来てしまった。それも双子だ。次兄も反省をしているし、授かった命は粗末には出来ないので、母親以外の人間は地上に降ろした。
ある日、その母親は1匹のドラゴンにノドが乾いたと言い、何か果実を持ってくるように頼んだ。そのドラゴンは、我々神以外は食べてはいけない、知恵の実を知らずに届けた。母親はおいしそうに食べたのだが、羞恥心というものが芽生えて、身体のシンボルと言える場所を葉っぱで隠してしまった。
その行為で、禁断の果実を食べた事が発覚したが、次兄は身重の母親を責める事が出来ずに、頼まれたドラゴンに怒りをぶつけた。その結果、そのドラゴンは神の怒りなどの闇の部分を一身に受け続け、禍々しいドラゴンへと変貌してしまった。その変貌ぶりに次兄は正気を取り戻して悔いたが、ドラゴンは元に戻らなかった。
私は、ドラゴンを哀れに想い、神器に封じ込めて、大事に身に着けるようにし、毎日彼に話しかけてあげた。少しでも心が穏やかになるように。
問題は、ドラゴンだけに留まらなかった。産まれた双子。兄は次兄の聖なる部分を引き継いだのに、弟は次兄の闇の部分だけを引き継いで産まれてきた。次兄は、かわいそうだけど弟の方を封印する事にした。神の子にしては、あまりにも禍々しいオーラが渦巻いていた上、凶悪と思われる神器を何個か所持していた。それは、私と長兄も賛成せざるおえない状況であった。
兄の方は、その後地上に舞い降りて、神の子として活躍した。
弟の方は…匣に収められて、彼一人では可哀想なので、私も一緒に封印されることにした。私が目覚めるのは、世界の終末だと思うので、彼の神器が発動しても問題が無いだろう。
私達は、とある教会の地下深くに安置された。『世界の終末まで開けるべからず』と表記した蓋で密閉して…
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匣の中の一人と一柱と一匹。彼は、産まれたばかりで生の時計を止められている。私とドラゴン、サマエルという名のドラゴンが、話すとき以外は静かな空間である。彼が纏っていた禍々しいオーラは時と共に和らいでいき、消え去っていった。
どのくらいの時が経ったかも、わからなくなってきた頃、匣の外から音がする。正規の侵入方法では無い音のようだ。盗掘か?
「やっと、見つけたぞ。これかぁ~、お宝の箱は!」
封印が掛かっているので易々とは開かないはず。
「うん?封印が掛かっているだと!ちょこざいなぁ。このリゼヴィム様にかかれば、問題は無い!がははは」
まずい、封印が…盗掘者の能力により、頑強だと思われていた封印は、解かれてしまった。
「やっと、開いたかぁ。で、お宝は何かなぁ?」
私は匣から姿を現した。驚く盗掘者のリゼヴィム。
「この馬鹿者め!なぜ、開けた?宝が入っているなどと、書かれていないだろ?」
「なんだよ~、びっくり箱のトラップかぁ。驚いたよん♪」
欲にまみれた瞳、こいつは根っからのクズだなぁ。クズのくせに、なんかすごい能力があるなぁ。もらっておこう。私は目の前のクズから「神器無効化(セイクリッド・ギア・キャンセラー)」の能力を奪い去り、まだ生の時計を動かしていない、あの子に渡した。
「ここには、宝なぞないぞ!馬鹿者め!」
私は、盗掘者に怒りをぶつけた。
「あぁ?ないわけないだろう?そこをどきやがれ!」
私の怒りのオーラにビビらない盗掘者。仕方ないがサマエルを解放して、クズに向かわせた。
「あんだ?このドラゴンは…」
クズの顔色がみるみる青ざめていく。
「なんか、ヤバイ系のドラゴンだな。ここはひとまず退散するか。あばよ、クソ女!」
リゼヴィムは逃げていった。私の事を『クソ女』といって…次会ったらもっと痛い目に遭わしてやるぞ。
問題は封印が解かれてしまったことだ。この子の生の時計の針が動き出すのも、時間の問題である。きっと腹をすかしている、この乳飲み子に乳を与えないと。
私は、次兄に連絡をした。
「なんだと?封印を解いたバカがいたのか?リゼヴィムって名乗ったのか?痛い目に遭わせる。それより、そうだな、その子に乳を…今、探させるから、もう少し待ってくれ、シヴァ!」
私からは乳は出ない。出れば良いのに…私は最高神。悲しいけど、そのような構造にはなっていない。次兄からの連絡がなかなかない。もどかしすぎるよ。
「コホッ!」
この子の呼吸が始まった。生の時計の秒針が、動き始めた瞬間だった。まだ、次兄から連絡が無い…
---アポカリュプス・ドラゴン---
私は次元の狭間に住むドラゴン、人々から「真なる赤龍神帝(アポカリュプス・ドラゴン)」と呼ばれ恐れられている。ニックネームはグレートレッドとか真龍とからしい。恐れられている理由は、戦闘好きとか残虐とかではなくて、ただ赤くて大きいからである。なので、私はこの空間が好きである。私以外殆ど誰もいないから。たまに、なにかの拍子でここに迷い込む者がいたり、私に戦いを挑む者はいるけど、基本的に私一人の空間である。
私は特にやることがない。この空間を泳いでいることが殆どである。ヒマつぶしとしては、色々な世界の者の夢を覗き見ることくらいしかない。
先程、生の時計を動く瞬間を見た。それまで何千年も黒く映っていた箇所、気になっていた者であるのだが、そこが光り輝いたのである。これまで永く見て来たが、こんなに永い期間、黒かった者は初めてである。産まれてすぐに、どこかに封印されていたのだろうか?気になる。そして、私はこの者の夢を早く見たかった。夢に封印されていたヒントがあるかもしれないし。
光り輝き始めた箇所を見ていた私の元に、性懲りもなく黒いドラゴンがやってきた。コイツは、勝てないとわかっていても、私に戦いを挑んでくる。コイツと私はここ、次元の狭間で産まれたのだ。二人で共有すれば良いと思うのだが、コイツにとっては私は目障りな存在、まぁ大きさがある分、遠くからでも目立つのは解る。色も真っ赤だし。色々と私をどかしたい理由はわかるのだが、私はこの世界でしか暮らせないっていう事を、コイツはわからないみたいだ。
結果は見えているとは言え、今はお前と遊ぶヒマはないんだけど。
「我と 闘え!」
「お前には私を倒せないぞ!」
「……でも 闘え!」
「今、忙しいのだ」
「なぜ?」
「あの黒い箇所が光り輝き始めたんだ」
「本当に?」
「お前も見てみろよ」
私は、黒いドラゴン、オーフィスに、あの箇所を見せた。
「本当 光っている」
「オーフィスは、この者に興味は無いのか?」
「興味ある」
「なぁ、私の代わりに、あの者を見守ってくれるかな?私は見守ってあげるには、大きすぎてジャマになるからな」
「わかった!」
オーフィスは嬉しそうに、あの者の元へと向かっていった。
オーフィスが私に何度も戦いを挑む理由…ここを私の代わりに独占したいから。でも、彼女は自由に色々な世界を旅している。私のように世界の者に畏怖されていないから。私にはここしかないのだが、彼女には色々ある。でも、彼女は私と違い、感情というものがあまりない。ここにいれば、幸せになれると思っているにすぎない。どこにいても同じなんだけど。
そんな彼女が唯一興味を抱いていたのが、あの黒かった、産まれてから生の時計が止まっていた者。その者には惹かれていた。戦いに負けても、必ず帰る前に、あそこをしばらく見てから帰ったくらいだから。
---シヴァ---
どのくらい時が経ったであろうか?あの子は泣いている。お腹を空かしているのだろ。ここには、あの子に乳を与えられる者がいない。兄からの連絡がもどかしい。
そんな私に、次兄から連絡があった。教えられた場所に急ぐ私。玄関の前に、篭に乗せたあの子を置き、手紙を添えて、私はあの子の中に入った。
『アザゼル様へのご依頼の件。この子の素性は明かせませんが、よろしくお願いします。産まれたばかり故、まだ名前も決まっておりません。どうぞ、名前をつけてあげてください』
---朱璃---
赤子の泣き声が聞こえ、あの人が玄関に向かう。あの人の上司、アザゼルさんに急に頼まれた事。赤子を一人育てて欲しいと。素性はまだ明かせないというけど、育てようと思う。アザゼルさんが変な素性の子を任せるとは思えないから。きっと、事情があるのよね。
「おぉ、元気そうな赤子だ。男の子だ!うん?手紙が添えてあるぞ。」
私はあの人、バラキエルから赤子を受け取り、乳を飲ませてあげる。よほど、お腹をすかしていたのか、吸い付きが強い。
「うん?まだ名前が無いみたいだ。名前を付けないと…う~、猛々しいのがいいかな?タケル?…ヤマトタケル?…ヤマト?…ヤマトがなんか優しそうだな。よし、今日からお前は姫島ヤマトだ!」
お腹が一杯になったのか、あの子、ヤマトはスヤスヤ寝ている。私たちの娘、朱乃の隣に寝かしつける。
そして私とバラキエルは、子供達とは別の部屋で夜の営みを始めた。
私の夫はエム。私はエス。夜の営みはそっち系のものである。夫を縛り、鞭で打ち付ける。夫の喜びの悲鳴、これが私にとっては堪らない。子供達には見せられないプレイ。痛みが強い程、夫の顔は恍惚な表情となっていく。夫の興奮がマックスになり、ペニスがカチカチになると、交わる。交わりながらも、夫を痛み付けていくのだ。私が果てるまで…
---アザゼル---
あいつから緊急要請とは驚いた。内容にも驚いたけど。
『産まれたばかりの赤子を育てられる者を知らないか』
って。しばらく考えて、バラキエルの家が育児中だったのを思い出した。まだ、産まれてから1年くらいだったはず。それをあいつ、ミカエルに伝えた。
出生とかを聞いても、後でって言うあいつ。よほど、緊急だったのだろう。あのおっとりが焦っていたしな。
で、落ち着いたみたいで、あいつから連絡があった。
「すまないなぁ、緊急の依頼をしてしまって。天界には乳飲み子を育てられる者がいないから」
「で、あの赤子の出生は教えてくれるよな?」
「あぁ、アザゼルだけには話す。だけど、育ての親には言わない方が良いと思う。あの子は普通に育てて欲しいからね」
「出生が普通で無いみたいだな?」
「そうだよ。聖書の神の子の双子の弟だよ」
驚くような事を、さらっと言いやがった。
「はぁ?聖書の神の子?救世主だよな?二千年位前の者じゃないか?なんで、あいつは赤子のままなんだ?」
「産まれて直ぐに、生の時を止めて封印したんだそうだ。」
「何の為に?」
「兄の方は聖書の神の聖なる物を全て受け継いだ。それ故、今でも地上の人々の信仰の対象になっている。それに対して、弟の方は聖書の神の闇なる物を全て受け継いだ。その為、存在してはいけない存在となった。でも生を受けた以上、その生を全うさせてあげたいという親心で、『世界の終末になるまで開けてはいけない』とメッセージを添えて、厳重な封印をして、とある教会の奥深くに安置したそうだ」
「まさか、その封印を解いたバカがいたのか?」
「いたんだよ。リゼヴィム・リヴァン・ルシファーだ。」
「あのイカレ野郎かぁ。なんて事をしやがる」
初代悪魔王ルシファーと夜の魔女との異名を持つリリスとの間に産まれた、少し考え方に難がある男だ。
「まぁ、あのクラスでないと開けられない封印だから、ここまで開けられずに来たんだろうけど。あと、リゼヴィム本人は気づいていないみたいだが、彼が持っていたはずの能力『神器無効化』が無くなっていたそうだ」
はぁ?どこでなくしたんだ??まさか、赤子に『強奪』されたのか?能力持ちだとするとハーフ…親ってまさか…
「となると、赤子の親は??」
「最重要機密だよ。聖書の神とエヴァとの間の子だ」
「はぁ?」
「神と人間のハーフだよ。歴史上二人目になるけどね」
それは最重要機密だよな。双子の兄、救世主が神とエヴァとの子供って言っているのに等しいし。
「だから、彼には変な野心を持たぬよう、普通に育てて欲しい」
「なんか、能力持っているのか?」
「最凶クラスの神器を数個と、守護役に破壊神シヴァ殿と龍喰者(ドラゴン・イーター)サマエルがついているそうだ」
破壊神と龍喰者?それだけでも最凶クラスだろ?それに、最凶クラスの神器が数個って…
「この星の運命はアザゼル、君に掛かっているんだぞ!」
って、なんか丸投げされた上に、責任重大だろう?それって…