---グレイフィア---
ヤマトの中で見守っている存在、シヴァ、オーフィスと話す機会があった。シヴァから聞いたこの子の出生と生い立ち。驚くべきものだった。サーゼクスと比べると、サーゼクスが薄っぺらに思えた。この歳で、悪魔の残虐性を体験していたとは、驚きである。彼の経験したことを考えると、那魅さんが彼に普通の生活をさせたいというのも頷けた。
住む場所の確保だけど、私からの情報で駒王町になった。そこはリーアの縄張りであるので、動向を探り易い為だ。土地は姫島神社の跡地を闇雲家が手に入れた。そこに小さな神社と住居を作る。神社の名前は鷲尾神社。地下500メートルにも、もう1つ神社と緊急シェルターを作る。こちらの神社名は姫島神社。地下には他にも訓練施設。研究施設なども作られる。地上の住居部分は3階建てである。見た目は普通の家であるが、ハイテク住居である。スーパーコンピュータを設置してあり、必要な情報が瞬時に手に入れられる。レビアさんの持つ情報網(人工衛星も含む)とリンクしており、瞬時に手に入らなかったものはレビアさんが探してきてくれる。
工事はEGコンツェルンとマーベリック財団とで取り仕切った。情報の漏洩を防ぐ為である。ヤマトはとても良い後ろ盾を多数持っていた。家事専任要員は、メイドの私なんだけど、私は悪魔に顔を知られているので、買い物に行けない分、必要な物は天界やマーベリック財団から送られてきた。
普通の生活に慣れたら、次は学校にも通わせないと。
---那魅---
グレイフィアさんのおかげで、彼らは普通の生活を送り始めた。事前調査で上級以上の悪魔の時だけ、あの二人の力を頼った。レビアさんや香津美さんに訊きたい事があるときは由貴さんのお店か、レビアさんの家で会っているようだ。
来年から中学に通うことになった。最近では背も大きくなり、私の背を抜く位ある。立派に育ってくれた。
---ヤマト---
ヴァーリと散歩をするのが日課である。レビアさんが悪魔探知機を作ってくれたので、家のコンピュータと連動させて、悪魔達の行動範囲をマッピングさせている。
今日は、傷ついた黒ネコを見つけた。ヴァーリが優しく抱き上げる。そこに剣を持ったお兄さんと僕達より幼そうな魔法少女が来た。
「君達、その猫を渡してもらえるかな?」
お兄さんが僕達に声をかけてきた。黒ネコはお兄さんに怯えている。
「お兄さん達が傷つけたんだね?」
「その猫は悪さしたからだ」
「お兄さん、この国では銃刀法っていう法律があるんだよ。剣を持った時点で法律違反だよ」
僕は、僕とヴァーリと黒ネコとお兄さんと魔法少女を仮想フィールドに転移させた。
「ここなら、法律に触れないよ」
お兄さんと魔法少女は驚愕の表情を浮かべている。まぁ、突然仮想フィールドに強制転移されたからね。
「君達は悪魔か?」
「僕達は悪魔キラーだよ」
魔法少女が魔法陣をいくつか展開している。でも、ここでは僕達の魔術しか発動できないんだよ。
「魔法が発動できない。どうしよう、お兄様」
「なんだって??」
僕は無酸素の霧で二人を囲む。そしてその状態で結界を張る。しかし、お兄さんの剣によって結界が破られた。これは厄介だ。僕はオーフィスの鎧、サマエルの剣を装備した。
「なんだ??そんな禍々しい剣は、見たことない!」
僕がサマエルの剣をお兄さん目掛けて振ると、禍々しいオーラがドラゴンの姿となって、お兄さんを貫く。
「なんだと…」
禍々しいオーラにより、お兄さんはその場で倒れた。
「まだやるのかな?」
僕は魔法少女にサマエルの剣を向けた。怯えた顔の少女。
「お兄さんは腕利きみたいだから、仲間になってくれるなら助けてあげるけど。そこの黒ネコちゃんもね」
黒ネコはヴァーリの手から離れて、和服姿の女性になった。
「にゃらにゃいっていったらどうするにゃ?」
「この仮想フィールドに置いていく。僕がフィールドを閉じれば、量子レベルで分解して消えると思うよ」
黒ネコのお姉さんも怯えた顔をした。
「あんた達、何者?」
「僕達は兄妹だよ」
「そういう意味じゃにゃい!」
どんな意味だろう?突然、ヴァーリは左手の甲を、黒ネコのお姉さんに見せた。
「えっ?闇雲家の人?当主の関係者だにゃ。その紋章を持つ者って」
黒ネコお姉さんはビビっているみたい。あの紋章ってそんな効果あったのかぁ。ヴァーリは剣をを魔法少女に向けて構えた。すると今度は、魔法少女がヴァーリの持つ剣を見て、やっぱりビビり始めた。
「リキュール家の関係者だったんですか?すみません。ごめんない。許してください」
香津美さんって有名人だったのかな?
「私達の仲間になってくれれば、リキュール家にも、闇雲家にも報告しませんよ。でも、裏切ったら、わかりますよね?ふふふ」
ヴァーリが相手を脅している。初めて見た。すごいなぁ。
黒ネコお姉さん、魔法少女、剣使いのお兄さんを仲間にした。あ、お兄さんに解毒処理して、回復魔法をかけた。忘れていた、あやうく死んじゃうところだった。
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新しく出来た仲間を、家に連れ帰る。そうそう、自己紹介をしてもらわないとね。黒ネコお姉さんは、黒歌さんでSS級のはぐれ悪魔。魔法少女はルフェイ・ペンドラゴン。剣使いのお兄さんは、アーサー・ペンドラゴンというらしい。
賞金稼ぎのお兄さんと黒歌さんを那魅さんのところにお連れして、そこで賞金稼ぎ兼那魅さんのお手伝いをしてもらうことにした。ルフェイはヴァーリの妹分として、一緒に鍛錬をすることにした。
「この本、大魔導士ギゲルフ・リキュールの直筆の魔導書じゃないですか?どうされたんですか?」
「勉強しなさいって、香津美さんにもらったんだ」
「ギゲルフ様のお嬢様のお弟子さんでしたか…」
「香津美さんって有名なの?」
「有名ですよ。13の惑星霊を操る魔法を得意としていた方です」
「そうなんだ。ねぇ、ルフェイ。僕達にカンタンな魔術を教えてくれないかな?この本は初心者には難しすぎるんだよ」
「了解です。で、見返りって訳では無いですが…この本をたまに見ても良いですか?」
「うん、家からの持ち出しは禁止だからね」
「勿論です」
ルフェイの目が輝いている。
---アーサー---
この国の祭儀をすべて取り仕切る闇雲家に仕えることになった。たまに会うルフェイの顔が実に楽しそうである。これで良かったんだと思う。家を飛び出してきたものの、帰るに帰れない状況なのに、妹のルフェイが、僕を追ってきた時は、本当にどうしようかと思った。とりあえず、フリーの賞金稼ぎで生活をしてきたが、ここでなら生活の安定は保証される。ルフェイに貧しい想いをさせないですむので、いくらか心に余裕も出来て来たし。
那魅さんに信用をされたのか、ヤマト君の生い立ちを聞いた。迂闊にも、僕は涙してしまった。そんな過去があったとは、那魅さんに、ヤマト君が行動する時は、ガードして欲しいと頼まれた。断る理由は無い。僕はその場で、その頼みを引き受けた。
---黒歌---
まさか、闇雲家に仕えることが出来るとは。これで逃亡生活をしないで済むにゃん。この国にいる限りは、狙われる危険性は減る。那魅さんに、私の生い立ちを話した。すると、ヤマトの生い立ちを話してくれた。私とヤマトのターゲットは同じだった。紅髪の少女だ。ヤマト達は姉を、私は妹を眷属にされている。いつか一緒に暮らせる日を夢見ることが出来そうだ。ヤマトが行動を起こす際は手伝うことにする。
---ヤマト---
由貴さんに頼んで、ルフェイも学校に行けるように、僕達と同じ戸籍に入れてもらった。今日から鷲尾ルフェイだ。ただ、僕達より学年は1つ下になるんだって。
最近、友達が出来た。来月から同じ中学に通うようになる兵藤一誠くんだ。愛称のイッセーと最近は呼んでいる。今日も僕の家に遊びに来ているけど、ヴァーリ狙いかな?僕よりもヴァーリに多く話し掛けているので、ちょっと複雑だ。
---バラキエル---
久しぶりに、姫島神社のあった場所に行ってみた。朱璃、朱乃、ヤマト、ヴァーリはもういない。生き残ってしまったのは俺だけだ。あの当時は、幸せな日々は永遠に続くと思えていたのだが。うっ…涙が…
さて、姫島神社の跡地はどうなっているのか。あの破壊の日からグリゴリの監視下から外れて、現状がまったくわからない。いざ、着いてみると…
小さな神社があった。鷲尾神社?違う神社が建立されている。ご神体を窓の隙間から見ると…鷲の翼を持つ女性…顔がなんとなく朱璃に似ている。何故だ?
神社で神主さんを探す。しかし、どこにもいない。周囲を探していると、敷地に住居を発見した。そこで尋ねることにする。表札には『鷲尾』とあり、迷う事無く、呼び鈴を押した。出て来たのは…えっ?!!面影がある。
「ヤマト?」
息子か?
「父さん!」
息子のようだ…
「生きていたのか?」
ヤマトが俺を家の中に入れてくれた。そして、リビングに通される。そこにはメイド姿の女性と、ヤマトくらいの歳の女の子が二人。一人は面影が記憶に残っている。
「ヴァーリ?」
「えっ!お父さぁ~ん!」
ヴァーリが俺に駆け寄って来て、しがみついて泣き始めた。そうだった。ヴァーリは泣き虫だったなぁ。
あの砲撃に耐えて、二人共生きていた。俺はヤマトから今までのことを聞いた。未だに、朱乃を連れて行った紅髪の少女を追っていた。そして、朱乃を取り戻すための仲間、戦力を集めていた。あれ以来、俺は心が死んでいたが、ヤマト達は今も、朱乃を探す為に活き活きとしている。
今日ヤマトから聞いたことは、誰にも言わないで欲しいと、ヤマトから言われた。ヤマトが生きていることを含めて。今度こそ、この子らを護りたい。いや、護ってあげたい。いやいや、護らないといけない。大切な朱璃との想い出の一部だから。
俺は、心が死んていた自分を恥じた。
---アザゼル---
姫島神社壊滅以来、使い物のならなかったバラキエルが、がむしゃらに働くようになった。理由を尋ねても、踏ん切りが着いたからって。俺はそのきっかけが知りたいんだ。何が、アイツに遭ったのだろうか?
手がかりを探す為に、あの場所に行ってみることにした。悪魔達の集中砲火で一瞬で消失した姫島神社へと。何もあそこまで破壊することないだろうに思うくらい、瓦礫すら残っていない更地状態であった場所に、座り込んで地面を叩いていたバラキエルの姿が今も記憶に鮮明に残っている。
あの爆撃跡地には、新しい神社があった。姫島神社に比べると随分とコンパクトな神社である。鷲尾神社?神社と同じ敷地に住居があった。表札は『鷲尾』とある。更地だったので買い取ったのか?しかし、姫島家が縁もゆかりもないヤツに売るとは思えない。
表札を見つめていた俺に突然、光の矢が無数降り注いできた。防御魔術で防ぐ。魔力弾が横から飛んでくる。もう片手で防御魔法陣を展開して防ぐ。しかし、
パリィ~ン
なんだと、破られた。魔力弾のいくつかが俺を襲った。
「痛えなぁ」
休む暇なく、後ろから斬りかかってくるヤツがいる。俺は避けた。避けたはずだったが、身体に激痛が走った。こいつは囮で本命は前からだった。
薄れゆく意識の中、俺はグリゴリ本部へ転移した。最後に見た者は死んだはずのアイツだった。
---サーゼクス---
冥界の医療施設に運ばれてきたアザゼル。ひどい怪我だった。意識もない状態でグリゴリ本部に転移してきたそうだ。たぶん、最後の力を振り絞って逃げ帰って来たのだろう。こんなにボロボロになったアザゼルの姿を、見るのは初めてだった。どんなヤツにやられたのか?昔の記憶がフラッシュバックする。以前にこんな状態の者を見た覚えがある。そうだ、グレイフィアだ。そうなると、相手はあの時の子供か?僕の部下の暴走で死んだはずだが?あの状況で生きていたのか?
もし生きていたら…リーアが危ない。アザゼルが瀕死になる相手だ、リーアでは力が全然足りない。やられる前にやってしまうか?グレイフィアの敵討ちを兼ねて。
報告が入った。偵察隊が現場に向かった。僕は僕の眷属も向かわした。危険な輩は排除するのが良いと、側近からの意見があったから。
---ヤマト---
悪魔の味方の堕天使のおじちゃんが偵察に来たので、撃退した。その結果…
由貴さんからもらった予知能力。悪魔達の攻撃隊が僕達の家を攻撃するみたいだ。あの時と同じように。違うのは紅髪の魔王の眷属が、僕達の死体を確認する為に来ることだ。今度こそ、僕達を確実に消す気なのだろう。
緊急事態なので、那魅さん、香津美さんが転移して来てくれた。レビアさんは後方から支援してくれるそうだ。魔王の眷属については、グレイフィアさんから情報を貰っている。この家は見た目は普通の家だけど、霊的には要塞である。邪悪な者は入れない結界が張られている。魔力弾が放たれたら、別の場所へ転移するように設定をしてある。
「闇雲家に関わる施設を、攻撃しにくるとは、愚かな者だ」
那魅さんは地下の本殿で、この要塞を霊的に守護をしてくれている。香津美さんは敷地の中心点で剣を構えている。
「剣皇グロスポリナーよ!私に再び力を貸してくれ!」
『香津美よ、久しぶりだな。さぁ、暴れようぜ』
僕とヴァーリは鎧を具現化して、敵襲に備える。
---シヴァ---
魔王の眷属が迫っている。私は次兄に助けを求めた。
「私が力を使うと、終末になるかもしれない。あの子にもっと楽しい想い出を、体験させてあげたいの」
「私もそう思う。魔王め!我が子に攻撃を仕掛けるとは。しかし、私達は、直接手を出せない。ミカエルを使者として魔王の元に送った」
「間に合わないと思います」
「う~。天界は武力を持たないからな…」
「ほかの神格ではどうですか?」
「あぁ、仲の良い神がいる。ソイツに事情を話して、助けを求めてみる」
「どなたですか?」
「北の主神オーディンだ」
「遠くないですか?間に合いますか?」
「…」
次兄は頼りになりそうもない。はぁ…溜息しか出ないわ。
---ミカエル---
冥界への行き方を訊く為にアザゼルと連絡を取りたいのだが、連絡が出来無い。こんな大事な局面でどこに行ったのだろうか??
---ヤマト---
悪魔の第一陣が敷地を取り囲んだようだ。人工衛星から、取り囲んだ全悪魔に、照準を合わせて光の矢を撃ちこむ。悪魔の撃ち込んできた魔力弾を、別の場所へ転移させて、防ぎきった。第二陣、魔王の眷属達を迎え撃つことにする。
スルト・セカンドという巨人は、ヴァーリの『ハーフ ディメンション』というあらゆる物を半分にしていく能力で、米粒大にして潰してしまった。
バハムートという神獣、炎駒という神獣は那魅さんの持つ闇雲家の力で味方に引き込んだ。地下にある闇雲神社の本殿では神獣を祀っている。そのおかげだと那魅さんから後で説明を受けた。
マグレガー・メイザースという魔術師は、香津美さんを見るなり戦意喪失してしまった。香津美さんの父上である大魔導士ギゲルフ・リキュールを尊敬されていたそうだ。これからは仲間になってくれるそうである。
ベオウルフという剣士は、あっさりとアーサーに屠られた。
沖田 総司という剣士は、那魅さんによって身体に巣食っていた魑魅魍魎を除霊されて、毒気を抜かれたところをアーサーが屠った。
どうにか魔王の眷属の攻撃もしのいだ。味方になってくれた者から悪魔の駒を奪い取る。これで、魔王の支配から逃れられるとグレイフィアさんに教わっていた。グレイフィアさんの駒はすでに強奪してある。これらの駒はレビアさんに転送して、解析してもらうことになっている。レビアさんがグレイフィアさんから説明を受けた結果、もしかすると力の増強装置が作れるかもしれないと言う。
マグレガーさんもルフェイ同様、香津美さんの父上である大魔導士ギゲルフ・リキュールさんの直筆の魔導書を見て、目が輝いていた。
那魅さんと話し合っていたバハムートと炎駒さんは、鷲尾神社の狛犬に身を宿し、神社を護ってくれることになった。
---マグレガー---
まさか、尊敬する大魔導士ギゲルフ・リキュール様の娘さんが後ろ盾になっていたとは。私は無駄な戦いはしたくなかったので、香津美さんの申し入れ、彼の仲間になることにした。仲間になってわかったことだが、グレイフィアが生きていた。いや、彼のメイドになって対悪魔戦の軍師となっていた。今回の大敗はグレイフィアの情報のおかげだったようだ。
グレイフィアから、彼女が体験した事実を聞いた。彼はあの時の攻撃からグレイフィアを護って重症を負っていたこと。彼のバックにいる者こと。彼らの言う事実は、サーゼクスから聞いていたこととは違っていた。アザゼルが襲われたのは堕天使の総督であった為で無くて、悪魔の味方をする発言をしていた為だった。リアスが狙われているのは、命ではなくて、攫われた姉を奪還することだった。
サーゼクスの言うような危険な人物では無いと思った。彼の思いは当然である。目の前で悪魔が眷属にする為に、肉親を殺して、転生悪魔にして攫っていく場面に遭遇したら、悪魔を憎くなるのは当然で、それを危険と判断するのはどうかと思う。私も、グレイフィア同様、彼を護る決意をした。
それからの私は、ヤマト、ヴァーリ、ルフェイという3兄妹の弟子に、魔術を教える日々を送っている。
---サーゼクス---
先遣隊の10名の最上級悪魔と自分の眷属が全滅した。誰も僕の元には、帰って来なかった。まさかの事態である。更に事態を悪化させたのが、最上級悪魔から放ったと思われる魔力弾がなぜか、バチカンに転移してしまい、大被害をもたらしていた。これらの事で、僕の魔王としての立場があやうくなってきた。
そこで、他の3名の魔王を呼び、今後の対策を練ることにした。