追い詰められていく紅髪の少女
---リアス---
理事長戦後に、心身共にボロボロになって帰ってきたお兄様から、衝撃的な事実を知らされた。お姉様が生きていらっしゃること。駒王学園の新理事長に、お姉様が就任されたこと。なぜか、あの子達と親しげだったこと。
長い時間をかけて、洗脳されてしまったのだろうか?そうだとしたら…あの子達への憎しみが増していく。
能力は有るみたいなので眷属にして、働かせようかな。眷属にしてしまえば、逆らえないし。ふふふ。
---イッセー---
最近、ヤマトの家に毎日のように遊びに行っている。この前、部屋を間違えてヴァーリの着替えを見てしまった。その時のヤマトが
「僕の大切な妹の着替えを見るとはいい根性だな、イッセーよ!」
いつものアイツとは異なり、目つきが怖かったので、自分の家に逃げたのだが…アイツは、執拗に僕の家まで押しかけてきた。
「おばさん、イッセーは帰ってきた?」
自分の部屋に逃げ込むが、玄関で俺の母親と会話している内容が聞こえてきた。
「あぁ、ヤマト君。どうしたのよ?」
「イッセーが、僕の妹の着替えを覗いていたんだ」
「ごめんなさいね。うちのエロ息子が迷惑をかけてしまって。責任は取らせるから、許してやってくれないかな?」
「責任取ってくれるならいいかぁ。わかりました。僕に何かあったら、妹を頼むって、伝えてください」
先程までの怖い目付きとは違い、ヤマトは穏やかな顔つきで帰っていった。最後にアイツの言った言葉が、妙に気になる。アイツ…
翌日、ヤマトの家に性懲りもなく遊びに行った。今度は間違えないように、アイツの部屋に行った。もちろん、昨日の謝罪をした。そして、例の装置を取り付けて、ヴァーチャルハーレムを作動させた。
---ヤマト---
ヴァーチャルハーレムを作動させているイッセー。イッセーの意識だけをハーレム部屋に転送して、そこで感じた刺激を、イッセーの身体の神経にフィードバックさせて、身も心もハーレム遊びをしていることにさせている。この装置の表の機能。
裏の機能、イッセーの内に眠る神滅具『赤龍帝の籠手』の強化だ。宿主に劇的な変化が有ると強化につながるらしいし、イッセーがアチラの世界にいる間に、赤龍帝ドライグと会話をして、イッセーを護ってもらうように頼んでいる。
「まさか、アルビオンと、オーフィスが一緒に生活しているとはな」
「アルビオンとドライグ 共闘も有る」
「いままで闘い通しだったから、今世は共闘も有りかもな、アルビオンよ」
ドラゴンはドラゴン同士で話し合った方がいいと思って、僕は口を挟まない。
「ドライグ、お前も鎧状態にはなれるのか?」
「あぁ、この装置のお陰で、宿主に劇的な変化がもたらされた。鎧になれる。危険が迫ったら護ることにしよう」
そろそろ、タイマーが切れることだ。
「そろそろ、イッセーが目覚めるぞ」
と、僕が声を掛けると、ヴァーリは部屋を出て行った。
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ある日の放課後、ようやく紅髪が接触してきた。眷属の木場 祐斗を使ってね。木場は僕達と同じ学年だけどクラスが違う。この学園でも指折りのイケメンとして人気のある男だ。
そんな訳で、僕らのクラスに来た彼には、教室にいた複数の女子から黄色い声が飛んだ。
「鷲尾ヤマト、一緒に来てもらおうか?」
僕の前に立ち、いきなり用件を言う木場。
「知らない人間に話し掛ける時って、自己紹介をしないんだね。悪魔って」
みんなに聞こえる声で、木場へ言葉を投げた。木場の顔が一瞬歪んだ。そんな木場に、僕とヴァーリで殺気のオーラを飛ばすと、それに反応して、木場は魔剣を振りかざして構えた。
「木場、この国の法律知っているか?そういうのは銃刀法違反っていって、犯罪だぞ。悪魔でも、人間の法律を勉強しろよな」
プレッシャーを強めると、僕らに切りつけてきた。剣筋を読んでかわすと、後ろにあった机が真っ二つになった。その様子を見て、教室内のあちらこちらから悲鳴があがる。
「こいつは人間でなく、悪魔だ。だから、犯罪を犯しても、罰せられないのを良いことに、こういう行為が出来るのさ」
僕は、大声でクラスメイトに説明した。
「イッセー、みんなを教室の外に出してくれ。僕はこの悪魔と戦う。神社の息子だからね」
イッセーは頷いて、クラスメイトを教室の外へ誘導する。木場は両手に魔剣を構えている。僕らはあえて手を出さない。見た目はね。ヴァーリは木場の能力、力を半減しまくる。僕はアイツが教室から逃げない様に結界で囲み、聖水のミストを頭上からふりかけていく。そして、数珠を手にして、それらしい呪文を唱え、印を切るマネをした。
「なんだ、これは?」
聖水のミストに気づいた木場。
「聖水だよ。悪魔にとっては劇薬だけど、僕らに人間には無害だからね。悪魔退治には持ってこいのアイテムだよ」
ミストのかかった木場の顔がみるみる傷だらけになっていく。僕は木場を『強奪』ついでに殴った。木場の身体が脆くなっていて爆ぜた。僕の能力で木場が手にしていた魔剣は消失した。神器もねぇ。
そして、攻撃力をそぎ落としたので、僕は結界を解いた。それから教室外にいるクラスメイトに対して、
「人間に化けた悪魔の能力は、無事に無力化が出来ました」
「貴様!覚えておけよ!」
と、捨て台詞を残して、木場は転移していった。人間は転移なんか普通できないぞ。自分から悪魔ですって、証明したのと同じなのにな。アイツはバカか?
クラスメイトから、悪魔を退治したことで、僕達へ感謝の言葉が飛んできた。
「お前って、悪魔祓いだったのか?」
イッセーが僕の目を見て、尋ねてきた。僕は微笑んで返答した。
「いや、悪魔キラーだよ」
「そうか。かっこいいなぁ」
イッセーの目が輝いているように見えた。この出来事は、翌日には校内中に知れ渡った。さぁ、次はどう出るかな?紅髪の少女よ。
---リアス---
祐斗が瀕死の状態で、私の前に転移してきた。顔は傷だらけ、腹部は裂けている。ひどいことを校内でしてくれたわね。みんなの見ている場所で、ここまでの攻撃をしたとなれば、彼らに非難の声が集中するわね。自業自得だわ。本当にバカな兄妹ね♪
しかし、翌日、私の思惑と逆の事態になっていた。彼らは、学生になりすました悪魔を撃退した悪魔祓いとして、生徒や先生から賛辞の声が飛んでいた。えっ…?何で??
そこで、私は小猫と朱乃に彼らの抹殺を命令した。私のかわいい眷属に手を掛けるなんて、万死に値する行為だわ。思い知らせてあげるわよ。
---朱乃---
リアスから酷い命令をされた。私に私の弟と妹を殺せって…
私には出来無い。出来る訳が無い。あの時、あの子達は、私を庇って戦ってくれた。母さんが殺されるところを見て、何も出来無かった私の為に。そんな弟と妹を殺せって…
小猫ちゃんが私の気持ちを察してくれて、小猫ちゃん一人で弟と妹を殺して来ると言う。私はあの時と同じ。何も出来ずに、ただ泣いているだけだった。
---小猫---
リアスさんは、朱乃先輩に酷い命令を出した。朱乃先輩が愛している弟と妹を、朱乃先輩の手で殺して来いと。
私にも姉がいた。私を強引に眷属にしようとした悪魔を殺して、そのせいで手配されて逃亡している。結局、私はリアスさんに、強引に眷属にされ、裏で暗躍する殺し屋みたいな身分になってしまった。死後の世界で、優しい姉に会わす顔が無い。私の手は血で汚れてしまった。朱乃先輩もだ。
私は、彼らの下校時を狙った。彼らだけになる瞬間を狙って、襲いかかろうとした時、私の背後から、優しく抱きしめてくれる者がいた。耳元で震えている声が聞こえた。
「やっと、会えたにゃん♪白音、ごめんね、一人にしてしまって」
その者の暖かい涙がこぼれて、私の顔を、乾ききった私の心を湿らせてくれる。その者の顔は夢で何度も抱きしめてもらった、あの顔だ。黒歌お姉様…
「お姉様…」
---朱乃---
小猫ちゃんを見ていた。私の身代わりに為してくれる事を見る為に。ところが、索敵が得意な小猫ちゃんに、気配を悟られないように近づき、後ろから抱きしめた者がいた。抱きしめられて、泣き崩れていく小猫ちゃん。
「お姉様…」
と、小猫ちゃんの声が聞こえた。あの人がお姉さんなのか。やっと、会えたんだね。良かったね。やはり、私があの子達を始末するから…しかし、ヤマト達の気配をロストしてしまった。どこへ行ってしまったのか?
気配を探るように意識を集中していると、私も背後から優しく抱きしめられた。耳元から聞こえて来る声…涙が流れ出してきた。
「姉ちゃん、会いたかったよ」
「お姉様、もうどこにも行かないでください」
私のかわいい弟と妹だ。二人の頭を手で撫でて、頷くしか出来無い私。涙が止まらなかった。小猫ちゃんはお姉さんと、肩を組んでこちらへ歩いてきた。
「姉ちゃん、ごめんね。駒を入れるよ」
ヤマトは駒を私に入れた。何の駒?すると、リアスに入れられた悪魔の駒が出てきた。
「これで、姉ちゃんは悪魔じゃなくなったよ」
「???」
小猫ちゃんにも、同様にヤマトが駒を入れ、リアスの駒をはじき出した。
「白音ちゃんもだよ」
「私達は転生悪魔じゃなくなったの?」
「うん!姉ちゃんと白音ちゃんを取り戻すために、開発した駒。現状は転生人間にしかなれないけど、悪魔より良いよね?」
私はヤマトを抱きしめた。やっと…悪魔から解放されたんだぁ…
「ヤマト、ありがとう」
私は良い弟を持った。私達を救う為に、駒の開発までしてくれて…こうして、私と小猫ちゃんは、やっと家族と住める家に帰れた。
---リアス---
彼らを処分しに行った朱乃と小猫が戻ってこない。返り討ちに遭ったのだろうか?私にはあと1名しか眷属が残っていない。どうするか。彼ならきっと屠って来てくれると思うが。
---バラキエル---
ヤマトから連絡があった。朱乃を奪還したと。ついにやってくれた。これから、アザゼルと悪魔へのプレッシャーを掛ける事にした。あの子らだけ、戦わせることは出来無いから。
---ブラフマー---
甥っ子が偉業を為した。我々の力を頼らずに、悪魔によって断ち切られた家族の絆を、もう一度結ぶことを為し得た。私は甥っ子へのお祝いに、魔王へプレッシャーを掛けていく。本来、介入してはいけないのだが、甥っ子への様々な嫌がらせ。これは我々、最高神への攻撃と見なした。以後、甥っ子に嫌がらせ行為を確認次第、冥界に聖なる光の矢の雨を1年間降らせ続けると通告をした。
---サーゼクス---
この星を司る最高神様から直々に、突然の通告があった。彼は最高神様の甥っ子で、今後手を出したら、冥界に聖なる光の矢の雨を1年間降らせ続けるとのことだ。アザゼルが言っていた、魔王より上の地位…最高神様の甥っ子だって??今までの行為で、最高神様を怒らせてしまったようだ。
最初の一手が間違えたのだろうか?あれで、グレイフィアを失い、その後眷属まで失ってしまった。後悔後を絶たずだ。
リーアよ自制してくれよ。
---リアス---
お兄様から、憎きあの子らに、もう手を出すなと通告があった。今更、そんなこと出来る訳が無い。私のかわいい眷属が3名もやられているのだ。親友のソーナも行方不明のままである。絶対に、アイツらを眷属にしてやる!
---ソーナ---
もう身も心もヤマトの物になってしまった私。お姉様は、廃人のようになってしまっている。性欲に溺れてしまった結果だ。私はハーレム部屋から違う部署へ、配置変えになった。連れて行かれた部屋には、メイド姿のグレイフィアさんとシーグヴァイラがいた。今日から私もメイドとして、ヤマトに仕えることになったそうだ。
料理や掃除などの家事全般をグレイフィアさんに叩き込まれる。ヤマトが寝られる時に一緒に寝ることも大事だそうだ。ヤマトにむしゃぶりつかれると、幸せな気分になってくる。私の総てを堪能してもらおう。
---レビア---
シーグヴァイラのDNAの悪魔ではない部分。ヤマトの家にいる色々な種族から血液をもらい分析すると、ヴァーリからも検出できた。そして、ヤマトからもだ。この3名は先祖が同じなのだろうか?ヤマトの生い立ちに興味を持つが、ヤマト自身は知らないみたいだ。そこで、ヤマトの中の人、シヴァと会話をした。
シヴァから聞かされたヤマトの生い立ち。私の想像の範囲外だった。
グレイフィアと那魅と香津美は知っていたみたいだ。知ったからこそ、彼の為に動いてくれているそうだ。シヴァの願い、彼の闇の部分が強く出ないように育てたい。それを悪魔のせいで、闇の部分が少しずつ出始めているそうだ。悪魔との抗争が終われば、平和で平穏な生活を過ごさせてあげたいと言う。でも、染み出てしまった闇の部分は消えない。だから周りが気を使って、それ以上染み出さないようにしたいと。私も協力しようと思う。彼の本来の力が目覚めれば、この星はシヴァの手でリセットしなければならないから。それは避けないとなぁ。
---リアス---
放課後、誰もいない旧校舎にある、オカルト研究部の部室に行く。私の拠点である。そこに保管してある悪魔の駒を2つ取り出した。アイツらに使う為だ。
何かの気配を感じて後ろへ振り向くと、部室のドアが開いた。そちらに目を向けると、グレイフィア、小猫、朱乃とアイツらがいた。
「小猫、朱乃、ソイツらを連れて来てくれたのね。良くやってくれたわ」
小猫、朱乃は黙って、私を睨んでいる。
「グレイフィア、ソイツらを捕縛して頂戴」
グレイフィアも黙って、私を睨んでいる。アイツらは、私をニタニタ笑って見ている。アイツらの後ろから行方不明だったシーグヴァイラとソーナも入ってきた。
「ソーナ、シーグヴァイラ、無事だったのね。ソイツらを捕縛して頂戴!」
ソーナ、シーグヴァイラも黙って、私を睨んでいる。状況の把握が出来無い。なぜ、味方に睨まれなくてはいけないのか?
「手にしているのは悪魔の駒ですね。それで、ヤマト様達を眷属にしよとしているのですか?」
グレイフィアが口を開いた。
「そうよ。強そうですもの。眷属にすれば、私のステータスも上がるでしょ?」
「魔王から、何も通達が無かったのですか?」
「何の話?」
「あのシスコン男は、どこまでも妹に甘いのね」
グレイフィアが呆れたように言った。
「おい、紅髪!お前はどのくらい強いんだ?僕の姉ちゃんを眷属に出来る程、本当に強いのか?」
あの少年が私に対して、失礼なことを言っている。
「はぁ、私は魔王の妹。滅びの力の継承者よ。あんたたちが私に勝てる訳がないでしょ?」
「紅髪ってプライドの高いバカ女なのか?ねぇ、グレイフィアさん」
「まぁ、兄がバカなら妹もバカなんでしょうね」
なんか、失礼な会話をしている少年とグレイフィア。
「名門グレモリー家に対して失礼な言い方じゃない、グレイフィア。我が家のメイドのくせに!」
「私達は悪魔を辞めましたので、悪魔の世界の事なんかわかりません」
笑みを浮かべながら言うグレイフィア。え?悪魔を辞めた??
「シーグヴァイラも、ソーナも悪魔を辞めましたよ。あと小猫ちゃん、朱乃さんは、もうあなたの眷属では無いですよ」
小猫と朱乃に入れたはずの駒を、2つ持っているグレイフィア。え?どうやって抜いたの??トレード以外では抜けないはず…誰とトレードしたんだ?
「ここまで説明しても状況がわからない?ほんとうにバカ女だな。こんな奴に翻弄されていたと思うと腹が立つな」
いや、本当に状況がわからない。みんなどうしたのよ??なんで、そんな目で私を見ているのよ?!