---ファルビウム---
「バアル家とフェニックス家が、何やらキナ臭いぞ」
もう一人の魔王のアジュカに、俺は報告した。
「サイラオーグとコカビエルかぁ?」
「アジュカの耳にも入っていたか。なんだか、サーゼクスの二の舞いになりそうだ」
「二家を抑えることは出来ないのか?」
「大公アガレス殿に頼んではみたのだが、人間に舐められているのが許せないと、譲らないそうだ」
「サイラオーグは、コカビエルの口車に乗せられているようだ…へたに戦闘になれば、三大勢力戦争以上になるぞ」
「あぁ、避けられない。くそっ!」
---アザゼル---
「コカビエルが、悪魔の名門2家を、丸め込んで仲間にして、ボウズにケンカを売るみたいだぞ」
ボウズの父親のバラキエルに伝えた。
「俺も援軍に行ってもいいだろ?」
戦う気満々のバラキエル。
「ダメだ。グリゴリは参加しない。規模がデカくなるだけだ」
「しかし、娘と息子が戦うんだぞ!」
俺に闘気をぶつけてくるバラキエル。熱くなる気は、わかるが…
「おまえは、本当の三大勢力戦争を起こす気か?」
「なぁ、俺一人だけでも…頼む。なぁ、アザゼル…」
俺に丁重に頭を下げてくるが…無理なもんは無理だ。俺だって、出来るなら…くそっ!
「ダメだ。おまえはグリゴリの上層部だからな!」
---ヤマト---
アジュカ先生と父さんから、連絡があった。悪魔と堕天使が僕達を討伐に来るらしい。どうも、サイラオーグが、悪魔サイドと堕天使サイドの橋渡しをしたみたいだ。対策を練る?ここは結界が張ってある。では、どこを攻めるのだろうか?駒王町全域か?それだと守りきれない…どうしよう。
頭を抱えている僕を、優しく抱きしめてくれるグレイフィアさん。
「あなたは一人じゃない。私はあなたの為なら、命を捧げられるわ」
「そういうことを、僕は望みません。グレイフィアさんには、生きていて欲しい」
朱乃姉ちゃん、ヴァーリ、白音、黒歌…みんなが傍に来た。
「今度こそ、姉である私が守る」
「いつでも、隣で戦うからね」
「黒歌姉さんと闘います」
「白音と共に離れないで戦うにゃん♪」
みんな、僕と一緒に戦う気があるみたいだ。でも、対策を立てないと、闇雲に戦うのは、無駄死を招く恐れがある。僕は相談をする為、那魅さんの元に転移した。
---那魅---
ヤマトが相談に来た。敵の数がわからない。敵の狙う場所もわからない。どう、準備すれば良いか、普通に生活している人々をどう守るか…
戦域が広域になると守りようがない。もし、駒王町全域に攻撃を掛けられたら、私でも守りきれない。広域の守備体勢だと、ある程度の犠牲が出てしまう。ヤマトは、それが嫌みたいだ。ヤマト達のせいで、関係ない人を巻き込むのを、避けたいみたいだが。
今回のことで、ヤマトの中の闇が広がっている気がする。私はそちらの方が心配だ。ヤマトが闇に飲み込まれれば、世界が終末を迎えるだろう。シヴァは愛すべきヤマトが倒されれば、きっと世界をリセットすると思う。それを防ぐには、ヤマトの悩みを減らすことだけ。
しかし、ヤマトの問いに、私も答えは出せなかった。ヤマトが立ち去ると、すぐに香津美さんへ連絡をして、相談をした。
---イッセー---
神社での修行を終えて家に帰る途中、男の悲鳴を聞いた。俺は声のする方へ走り寄ると、学校の知り合いの匙が襲われていた。
「兵藤、たすけてくれ~」
俺は、念で神社へ緊急信号を送り、匙と敵の間に入った。
「ほぉ、お前も神器持ちか。それをよこせ!」
「おまえは木場、あと、誰だ、その大男は?」
「人間に名乗る必要はない!」
豪快のパンチが俺を襲ってきた。が、白い鎧を着た者が受け止めてくれた。
「イッセー、怪我人を守れ!アーシア、怪我人を回復して」
頼れるアイツの指示が飛ぶ。俺達は指示通り動く。
「アーサーさんは、木場をお願いします。サイラオーグは僕とヴァーリで征く」
アイツは輪郭が漆黒で紅色の鎧を纏っていた。
「ヴァーリ、サイラオーグに『ハーフディメンション』だ」
あの白い鎧…ヴァーリだった。彼女は頷いてヤマトの指示通りに動く。アイツはあの大男、サイラオーグという者と殴り合いをしている。
俺の傍に、黒歌さんと小猫ちゃんが来てくれた。辺りを警戒している。ルフェイちゃんは匙とアーシアに防御結界を張っていた。
プチッ!
サイラオーグの身体は除々に小さくなり米粒位なったところで、アイツが指で潰した。木場は、アーサーにより首をはねられた。
周りの索敵して気配がないことを確認して、俺達は匙を連れて神社に転移した。
---ヤマト---
匙に神器の説明をして、それを取り除いた。これで襲われる確率は減るだろう。
「兵藤が悪魔払いの修行をしているって、本当だったんだ」
匙はイッセーの悪魔に怯まない態度を褒めていた。僕は教会に向い、リアス、ソーナ、シーグヴァイラを呼び出し、彼女達に神器をプレゼントした。リアスにはドライグを、ソーナには椿姫から奪った追憶の鏡と、追憶の鏡を利用したミラーフルアーマーを、シーグヴァイラにはサイラオーグから奪った獅子王の戦斧を贈った。
「三人共心を入れ替えくれたし、これからは一緒に戦ってほしい。神器は相性が悪いと思ったら交換するから」
あと、ソーナの能力を返して上げた。これからの闘いで必要になるだろうから。
「あのぅ、私も戦います」
レイヴェルが僕に訴えかけてきた。
「レイヴェルには、施設の運営を頼みたい。僕らが戦うことは、彼らには何にも関係ないことなんだ。施設を通常通り運営することは、戦うのと同じくらい重要なことだよ。わかってくれるよね?」
レイヴェルは頷いてくれた。僕は彼女の頭を撫でてあげる。
「レイヴェル、施設のみんなが怖がらないように頼むね」
「わかりました。私にまかせてください」
---イリナ---
バチカンから極秘任務で、故郷の駒王町に帰ってきた。私は紫藤イリナ。プロテスタント教会所属の人工聖剣使いである。相棒はゼノヴィア・クァルタ。カトリック教会所属の天然の聖剣使いである。久しぶりに帰って来たので、道を何回か間違えながらも、目的の鷲尾教会へ辿り着いた。
教会に併設された施設の会議室に通されて、今は神父様をされている「教会最強のエクソシスト」のデュリオさんに、極秘任務の内容を伝えた。
「奪われた聖剣を取り戻すか、破壊するのか?で、この町に聖剣は集まっているの?」
「バチカンからの密偵が、この町で何人も消えています」
「う~。僕だけでは何とも言えないから、他にもメンバーを入れてもいいかな?教会には戦力がいないくてね」
デュリオさんだけでも、強大な戦力だと思うんだけど。ゼノヴィアと相談して、デュリオさんが信用されている方なら、OKってことにした。教会を出て道を挟んだ隣の区画に移動する。そこには、小さな神社があった。私達は、その神社の社務所に入っていった。社務所の中には、巫女姿の女性が数名いる。みんなかわいい♪
「ここの巫女達は、全員悪魔祓いなんだよ」
って、デュリオさん。
「朱乃さん、ヤマト君を呼んでくれるかな?」
「はい。あらあら、かわいいお嬢さんを二人も。両手に花ですね、デュリオ神父♪」
「そういう関係では無いですよ」
奥から一人の少年が出てきた。デュリオさんによると、教会と神社の主のヤマト君だそうだ。え?私達と同い年位だけど、神父であり神主なの??デュリオさんがヤマト君に、事情を説明してくれている。
「今の処、あいつら以外に目立った動きは無いみたいだよ。密偵の消えた件は、把握していない。たぶん、監視の死角で行っているのだろう」
「あのぅ、あいつらって?」
小耳に挟んだ単語の意味を尋ねてみる。
「元グリゴリのはぐれ堕天使コカビエルと、その仲間になった悪魔の名門バアル家とフェニックス家だ」
「なんか、強大な敵ですね」
「もし、あいつらに聖剣が集まったらどうなるんだろうか?アーサーさん、何かわかりますか?」
アーサーと呼ばれた優しそうな男の人。腰に帯同しているのは、まさか?
「それって、エクスカリバーですか?」
ゼノヴィアが質問する
「さすが、聖剣使いだね。これは支配の聖剣だ」
「行方不明とされているエクスカリバーだ!もう一本もエクスカリバーですか?」
「こちらは違うよ。聖王剣コールブランドだ。あぁ、話が逸れたね。ヤマト君の質問の答えだが、聖剣を纏めた力で、ここの結界を破る気かもしれないなぁ。聖剣1本でも聖なるオーラは、図りしれないくらい膨大だからね」
「うん?聖なるオーラを浴びたら悪魔って死んじゃうよね?」
「そうなるよね」
「コカビエルは、なんで悪魔を大勢仲間にしたんだ??」
結界のことを説明してもらった。ここ、駒王町を仕切っている鷲尾神社周辺のエリアは、強固な結界で護られているだそうだ。色々な様式の魔術で幾重にも結界が掛かっているそうだ。その結界を破るのに、聖剣が数本必要なんだろうと結論が出た。他に理由が思い至らないし。
とりあえず、彼らと行動を共にしようと思う。デュリオさんが信用されている勢力なので心強いし。
後で、デュリオさんに教えてもらったのだが、ここの教会ってバチカンと考え方が違うけど、バチカンの認定がなされた教会だそうだ。なので、異教徒認定されている者でも、参拝は可能であるという。
教会を追放された元聖女のアーシアさんが、この教会に所属されていることに驚き、元悪魔だというシスターに驚き、私とゼノヴィアはカルチャーショック状態だ。
何故、バチカンがこういう教会を認定したかというと、バチカンのエクソシストでは、祓いきれない物を祓える能力を、ここの主のヤマト君が持っている為だそうだ。ここの教会の施設には、バチカンではお手上げの子供達を救い、社会復帰出来るようにお手伝いをしていて、そんな功績が認定理由だそうだ。他にもあるみたいだけど、今は教えて貰えないみたいだ。
---ヤマト---
イリナさん達から仕入れた情報と、アーサーさんが導き出した結論を、アジュカ先生に連絡した。腑に落ちないからだ。
「確かに、その結論はあっている可能性は大だ。でも、そうだよね、それしちゃったら、仲間にした悪魔は残留している聖のオーラで全滅しちゃうよな」
「コカビエルのやろうとしていることが見えなくて、不安です」
ヤマトの不安を取り除きたくても、他に理由がわからない。いや、理由は有る…けど
「他にあるとすれば、三大勢力戦争の再開の口火だ」
「三大勢力戦争って?」
「昔、悪魔と堕天使と天使が勢力争いをした戦争だよ。このときに悪魔王が死に、神様も死んだのだ」
「神様?まだ、生きているけど?シヴァさんがいうには、死んだのは神の子だって」
「え?」
「シヴァさんはその時、封印をされていて直接は見ていないけど、封印を解除されてから、神様に会ったって、言っていますよ」
「それだと歴史が変わるぞ!」
「変わるとどうなるの?」
「神様と悪魔王が死んで、堕天使の提督は生き残ったので、堕天使が勝利したことになっているが、神様が生きているとなると…コカビエルはそれを知っていて、続きをする気なのかもな」
「僕らを攻撃しても神様の軍勢は来ないよ。悪魔にやられた時だって、来てくれなかったもん!」
ヤマト君の表情は、不安でしかたないみたいだ。でも、彼の言葉で、謎は解けてきた。
「あいつは、とにかく戦争を再開したいんだよ。ヤマト君達を攻撃をすれば、闇雲家への、日本の神格への攻撃になるからな」
「あ、戦う神様を違う神様に変更するってこと?」
「そういうことだ。悪魔があの神社の周辺で大量に死ねば、冥界も動かざる負えない。たとえ悪魔に非があってもだ。そして、その原因が堕天使の策略であっても、そこの主、ヤマト君のせいになる」
「そんなの理不尽だよ」
「すまない。悪魔って理不尽な生き物なんだよ。本当にごめんな。一応、こちらでも動いて進軍しないように抑えてみる。敵の目的がわかったからね」
「お願いします」
悪魔の理不尽さで、ヤマト君の心の闇が増殖しているかもしれない。俺は彼をラスボスにはしたくない。この戦いはなんとしても止めないと…