---那魅---
ヤマトから、相手の目的らしきものが判明したと連絡があった。コカビエルという堕天使が悪魔の名門家を言いくるめ、ヤマト達に殺されたと見えるような罠に嵌めて、堕天使、悪魔、闇雲家を頂点とする神社・仏閣ネットワークとの、戦争のきっかけを作りたいようだった。
私は香津美さんへ連絡をした。香津美さんの予測では、たぶん、攻撃してくるのは満月の日、明後日だ。明日には鷲尾神社へ行くと知らされた。私も当日、姫島神社で戦おうと思う。闇雲家の当主としても、この戦いは負けられない。
---レビア---
ヤマトからの依頼があった。聖剣エクスカリバーが4本まとまっている可能性があるので、どこにあるかを探して欲しいというものだ。人工衛星から聖剣のオーラを探す。範囲は駒王町周辺なので、見つかる可能性大だ。
あと、ヤマトの作っている人工知能を載せるボディを作ってあげている。いざとなったらバトルスーツにもなるスグレモノをね。
---ヤマト---
たぶん結界の一番薄い部分を狙ってくると思うので、結界を探査している。結界を破った時の衝撃波を考えると神社の真上の可能性も大きい。今回は空中戦になりそうなので、飛べる能力のある者は、鍛錬場で飛ぶ練習と空中での攻撃の仕方を、繰り返し練習することにした。時間が少なすぎるかな?
---リアス---
相手は悪魔…それもバアル家だなんて。私の母上の実家だ。グレモリー家の復讐なのかな?そんな相手と戦えない。いや、戦いたくない。ヤマトは私のことを信頼して、赤龍帝をくれたのだ思うのだが。そんな私の心を読んでか、赤龍帝に宿るドライグが話しかけてきた。
『宿主よ。裏切るか?それも一興だ』
「裏切る…裏切ったら…」
『もう陽の光は、浴びられなくだろうな』
「もう、あそこには戻りたくない」
『なら、ヤマトを殺すのだな』
「はっ!その手があるわね。でも、殺す程の力はあるの?あなたに?」
『あるさぁ。アイツを殺す方法を教えてやる。ただし、チャンスは1回だけだぞ』
「彼を殺せば、私は自由になれるの?」
『それは無理だ。お前は自由には、なれないなぁ。アイツが死ねば、この世界は終わる』
「終わる?なんで?」
『そういう宿命なんだよ。アイツはねぇ』
「もう1度やり直せるの?」
『やり直せるが、お前が誕生できるか、転生できるかはわからない』
「それじゃ意味がない…」
『そう思うのなら、ヤマトを守りきれ!』
「あなたは誰の味方なの?」
『しいていえば、ヤマトかな。あいつには最強のドラゴンがついているから。俺はソイツとは戦いたくない』
「最強のドラゴン?」
『あぁ、ムゲンって名前だ。覚えておけ』
---ヤマト---
施設の担当をレイヴェル以外にイッセー、白音、ギャスパー、朱乃姉ちゃん、アーシア、ルフェイに頼んだ。万が一、僕らが守りきれなかった場合、ギャスパーの能力で時間を止めて、子供達をバチカンへ転移させていく作戦だ。朱乃姉ちゃんは一緒に戦うって言っているけど、子供を守るのも大事って説得をした。ルフェイは防御組に欲しかったけど、連続転移させていく魔力を持っているので、退避組になってもらった。
いよいよ、明日は満月だ。
---レビア---
見つけた。古びた教会に4本。移動しているので、誰かが4本とも帯同しているようだ。早速、ヤマトに連絡した。
---ヤマト---
レビアさんから連絡が入った。エクスカリバー4本の行方がわかった。でも、罠かもしれないので、第一陣で僕、ヴァーリ、アーサーさん、イリナ、ゼノヴィア、美猴を、第二陣で後方支援を目的とした、アーシア、白音、黒歌、マクレガーさんに任せた。
古びた教会に着き、白音と黒歌に索敵を頼む。教会内に二人いるらしい。僕は『グラビトン』を発動して教会だけを潰した。瓦礫から一人飛び出してきた。聖剣を両手に持っている。アーサーさんたち聖剣組が対応した。もう一人はどこだ?すると、奥の地下室の扉みたいなものが開き、一人が出て来た。
僕達の目の前に現れた二人を追い詰めると、上空に1つの転移陣が発現し、そこから堕天使らしき者が現れた。こいつがコカビエルだろうか。その堕天使らしき者は、手下の二人をどこかに転移させて逃がした。
「私はコカビエルだ。あの二人の居場所を見つけるとは、たいした情報網だな。戦いがいがある相手みたいだ。戦える時が楽しみだよ」
そして、言いたいことを言って、さっさと転移してしまった。まぁ、ここであんなのと交戦したら、関係ない人を巻き込んじゃうものな。
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翌日、満月だ。雲は1つもなく、星がたくさん見える。
上空に転移陣が発現した。コカビエルと昨日追い詰めた者達が出てきた。年配の人の方が上空に何やら魔法陣らしき物を書き始めた。若い方は魔法陣の中心、ちょうど神社の真上に聖剣を4本刺す。魔法陣が書き終わると、月から聖剣に向かって光が落ちてきて、聖剣が光り輝いて1本となった。若い方が聖剣を抜くと、膨大な聖なるオーラが発生して、神社に張られた結界が破れ、結界が破れたことによる衝撃波が襲ってきた。
衝撃波襲来と同時に上空には多数の転移魔法陣が発現して、悪魔が多数舞い降りてきた。でも予想していた通り、聖なるオーラが漂う高さまで来ると、次々に灰になっていき、空からは大量の灰が降ってきた。悪魔達は灰になる為だけに現れ、ここで集団自殺をしたように見えた。
レピアさんの操る人工衛星から、コカビエル、年配の人、若い人に向けて光の矢が放たれてきた。コカビエルには効果が無かったが、後の二人は、光の矢が刺さることで、力なく落ちてきた。
香津美さんが魔法陣を発現させて発動し、マクレガーさんは攻撃魔法陣をいくつも展開してコカビエルに放っていく。コカビエルからは光の矢が多数降ってきた。しかし、結界で弾く。
「なんだとぉ!結界を2段で張っていたのか」
コカビエルの驚いたような声がした。
禁手化できるものは禁手化した。僕とヴァーリ、美猴、リアス、ソーナ(ライザーから奪ったフェニックスの翼をあげた)が空に展開して、コカビエルの前に立ちはだかる。
射程範囲に入るや、ヴァーリはコカビエルの力を半減しまくっている。美猴とソーナ、リアスは時間稼ぎをするが、健闘空しく美猴がやられた。僕は彼をアーシアのいる医療室に転移させる。美猴が抜けて戦力ダウンしたので、僕は僕の能力の『夢喰い野望喰い』をコカビエルに対して発動した。
「おい、てめぇ、何をした?」
僕はコカビエルの問いには答えず、意識をコカビエルに集中し、能力を発動させ続けた。
「なんだ?頭がぼぉ~っとしてくる。お前ぇ…」
最期の力を振り絞ってコカビエルから、僕に向けて光の矢が多数飛んできた。僕をガードしてくれそうな仲間が近くにいない。このままだと、鎧に成ってくれているムゲンが傷つくと思い、僕は鎧を解除した。
「え?何で?」
ムゲンが不思議そうな声を漏らす。仲間が傷つくくらいなら、僕が傷ついた方が良い。
光の矢の何本かが、僕を貫いた。意識が飛びそうなほどの激痛に襲われるが、意識が続く限りコカビエルの野望や夢を奪い尽くす。今度は多数の魔力弾が僕に向けて放たれてきた。しかし、僕の前にムゲンとオーフィス先生が立ちはだかり、防御壁になって弾いてくれた。
次の瞬間、コカビエルは空中で動けなくなっていた。ようやく、香津美さんの惑星霊を使った捕縛魔法が効いたようだ。その瞬間を見逃さずにヴァーリ、ムゲン、オーフィス先生が、コカビエルに向かって魔力弾を放っていく。その様子を、僕は落下しながら意識が無くなるまで見続けた。
---グレイフィア---
空からヤマトが落ちてきた。私は咄嗟に、ヤマトの傍に駆け寄る。彼の全身には光の矢が数本刺さっていた。なんで?なんで、リアスはガードしなかったの??ヤマトをアーシアのいる医療室に転移させた。
---アーシア---
ヤマトさんの全身に、光の矢が数本刺さった状態で転移してきた。私には光の矢が抜けないので、回復のオーラを送り続ける。
「白音さん、光の矢を抜けませんか?」
近くにいた白音さんに、声を掛けてみた。私の方へ振り向き、白音さんが寄ってきて、仙術で光の矢を抜いてくれた。イッセーさんはヤマトさんに対して、必死に声をかけている。この緊急事態に、黒歌さんが転移してきて、仙術による回復術を施していく。ルフェイさんは回復呪文を何度もかけている。マクレガーさん、香津美さんと次々回復能力のある方々が、ヤマトさんの元に転移してきた。
---ミカエル---
はぐれ堕天使のせいで、ヤマト君が大怪我をした。僕は彼の状態を見て、天界の医療施設に緊急入院させた。幸い、応急処置が良かったので、大事には至らなかった。後、コカビエルの手下二名だが、元教会関係者だったので亡骸を引き取ってきた。
---ムゲン---
鎧化した僕を気遣って鎧を解除するなんて…鎧の意味ないじゃん。僕を傷つけたくないって…優しさにも程があるだろうに…
---ヴァーリ---
私は彼を護れなかった。彼の隣で戦っていたのに…私は泣いた。そんな私を、朱乃お姉さんは優しく抱いてくれた。昔、お母さんがしてくれたように…
---グレイフィア---
「リアス!何をしてたの?」
リアス達を見つけ、声をかけた。
「……」
リアスは無言だった。
「ソーナ、あなたは?」
「…間に合いませんでした」
申し訳無さそうに、ソーナは頭を下げた。
「まさかと思うけど、安全な場所にいたわけではないのね?ドライグ、どうなの?」
リアスが答えないので、リアスに宿るドライグに問うてみた。
『宿主は、戦闘を放棄しただけだ。裏切った訳では無いし、逃げた訳でも無い。悪魔と戦うのに、抵抗があっただけだ』
「そういうことかぁ。もしかして、ソーナもなのね?」
「すみません!」
ソーナは更に深く頭を下げてきた。
「あなた達は戦闘員に向かないみたいね。ヤマトがもし生きて帰ってきたら、彼と相談する」
リアスを殴りたい気分だけど、ここは抑えた。こいつを殴っても、ヤマトはすぐに帰って来ないし、そもそも、彼は喜ばないと思うから。
---那魅---
香津美さんは、コカビエルに香津美さんの魔法が効かなったことにショックを受けている。最終的には効いて、コカビエルの手足の自由を奪えたのだが、もう少し早く効いていればヤマトはあぁはならなかったと、責任を感じている。でも、実戦から遠ざかっていたのだから、全盛期のようにはいかない。私達は理解しているが、香津美さん本人が…
それに、ヤマトが大怪我をしたのは、自業自得だ。攻撃が避けられそうも無いからと、鎧を解除したって…鎧の役目が果たせなかったってムゲンが嘆いていたわ。ほんと、その通りだ。
やはり、ヤマトの優しさが、ヤマトの一番の弱点だわ。はぁ…
---バラキエル---
捕縛してもらったコカビエルを貰いに行った。朱乃は、ヴァーリを優しく抱きしめ慰めている。朱璃が、よくヤマトにしていたなぁ。昔の幸せだった頃の想い出に浸りながら、コカビエルをコキュートスへと連行して行った。
---アジュカ---
生き残った冥界からの参戦者はいない。現状、両家で生き残ったのは、入院中のサイラオーグの母親と、レーティングゲームにプロとして参戦しているフェニックス家の次期当主と、鷲尾家で働いているレイヴェルだけだ。後は皆、灰となった。コカビエルの策略の結果だ。まさか、仲間と信じていた者に灰にされるとは思わなかっただろうに。身から出た錆とは言え、後味が悪い結果だ。
---イリナ---
聖剣は無事に回収出来た。だけど、ゼノヴィアはこの地に残ると言う。この地で、アーサーさんに弟子入りして、鷲尾教会の戦士に成りたいって…私もそうしたいけど、聖剣をバチカンへ持ち帰らないといけないので、残れなかった。
ゼノヴィア…ずるいよ~!
---シヴァ---
光の矢を大量に受けたヤマト。そのおかげで、ヤマトの中に巣食っていた闇が大幅に減っていた。う~こんなやり方で減ってもなぁ。ヤマトの意識はまだ戻っていない。次兄が様子を見に来た。
「北の主神がガード役を一人派遣してくれるみたいだ」
「ガード役?」
「あぁ、ガードを専門にしている戦士だよ」
「ガードを増やすのではなく、敵を減らしてください。戦う度に闇が湧き出てきて、私は不安です」
「維持するには、必要悪も必要なんだよ。シヴァ、わかってくれよ」
わかるんだけど、私には、次兄自体が悪に思えるのよね。
「それでだ、和平会議を開こうと思っている」
「和平会議?何の為の?」
「敵を減らすためだよ。闇雲家、天界、悪魔、堕天使で和平を結べば、敵も減るだろ?」
「現状、そことは和平関係を結んでいますよ」
「和平反対派って、どこの勢力にはいるんだよ。それをよび寄せるんだよ」
「また、ヤマトに戦わせる気ですね?」
あぁ、この人はダメだ。ヤマトを危険にさらす方向だって、まったく気がついていない。
「いや、みんなで守ればいいって」
ヤマトの性格をわかっていない実の父親。仲間を危険に晒すなら、自分から危険に向かっていく子なのに。