※この作品はR-18です。

神器なき男 (再編集版)   作:もっち~!

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隠れ蓑

 

 

 

---ファルビウム---

 

サーゼクスから意表をつく、お願いをされてしまった。

 

「ファルビウム、頼む!僕を殺してくれ」

 

俺は自分の耳を疑った。帰って来てからのコイツは、無言で黙々と書類仕事をこなしていた。なのに…

 

「呪いを掛けられたようだ。夢も希望も野望も何も持てない。残りの何千年もの人生どうすれば良いのだ?死のうと思ったのだが、不老不死にされてた。見てくれ、これを」

 

短剣で首を斬るサーゼクス。しかし傷は徐々にくっつき、何事もなかったようになった。

 

「痛みも苦しみも何も感じない。食べ物を口に入れると灰になっていく。もう、生きていくのがつらいのだが、死ねない。どうやっても…」

 

サーゼクスは頭を抱えている。俺はそんなアイツにかける言葉が無い。浮かばないのだ。いや浮かぶ。『自業自得』という言葉。でも、今のアイツには言えない。

 

 

 

---アジュカ---

 

ファルビウムからサーゼクスの事を聞いた。俺も何もしてやれない。もし何かすれば、闇雲家とは、和平はたぶん結べないだろう。神社を2度に渡り襲撃してしまったサーゼクス。それも闇雲家の紋章を持つ者がいる神社をだ。その襲撃に対する詫びすらしていないのに、呪いを解いてくれとは言えない。まして、コカビエルの策略で全滅したとはいえ、3度目の襲撃もしているのだ。ファルビウムに頼むのではなくて、まず闇雲家に、詫びを入れろよな、サーゼクスよ。

 

 

 

---アザゼル---

 

和平会議である。会議をするの部屋は、通称ギャスパーの部屋と呼ばれている部屋だ。ここが一番、防御結界が硬いから。参加者は天界の代表はミカエル、堕天使の代表は俺、悪魔の代表はアジュカ、闇雲家の代表は那魅という女だ。それと護衛としてヤマト達、悪魔祓いの面々。元悪魔のリアス達はいないみたいだ。ヤマトに聞くと、神社と教会のガードをまかしているそうだ。

 

会議の冒頭、闇雲家から悪魔から詫びの1つもないと文句が出た。三回も攻撃をしてきて、和平を結ぶ神経がわからないと、痛烈である。それに対してアジュカは頭を下げ詫びていた。4度目があったら冥界は潰すと言いやがる。堕天使領もあるんだぞ、冥界には。この女、何様のつもりだ?

 

ミカエルからも悪魔に対してクレームが。先の三大勢力戦争時に悪魔が神を殺したと言っているが、神は健在であるといい、嘘を広めるなっとクレームが。これにもアジュカは詫びを入れて、改善すると言う。

 

そして、矛先は俺にも…コカビエルの件だ。アジュカからのクレームだ。

 

「はぐれの行動に関しては責任を取れないぜ。それは悪魔もそうだろう?教会もだ。コカビエルと共に行動していたのは、はぐれエクソシストとはぐれ司祭だと聞いたが、どうなんだ?ミカエル」

 

「では、はぐれを処分しても、どの勢力からもクレームは無しってことで良いですね?」

 

闇雲家の当主の女が、俺らに問う。三人とも頷く。いや、頷かないと和平は結べないからな。三大勢力が共に闇雲家と和平を結びたがっている。それだけの力を有しているのは、誰の目から見ても明らかだ。最凶の神器を数個持っているヤマトが筆頭で、白龍皇、赤龍帝がいる。神器無効化の能力者もいる。魔術師も最上位クラスがいるらしい。一番ヤバいのはシヴァ様だ。この星の運命すら左右する力を有している。冥界なんかちっぽけな存在だよ。この星レベルで考えれば。

 

和平締結書にそれぞれがサインを入れていく。

 

「ちょっと待った!」

 

部屋の中央に転移陣が現れて、一人の女が現れた。

 

「君は、カテレア・レヴィアタンか」

 

アジュカが声をかける。

 

「偽りの魔王が、サインをした締結書は無効だ」

 

サインをしている最中の和平締結書が燃え上がる。しかし、

 

「何をした?」

 

カテレアの顔色が変化した。

 

「『身体停止』という術をかけた。身体の自由は奪わせて貰ったよ」

 

ヤマトが答えた。

 

「あっ……それだけなのか?」

 

「10秒毎に感度が倍加していく、特典付きだよ。女王様がお待ちだよ『ゴーヘル』」

 

ヤマトが呪文を唱えると、カテレアはどこかに転移されていった。

 

「おい、どこに転送したんだ?」

 

俺は、ヤマトに問おた。

 

「無限地獄だ!」

 

ヤマトは窓際に移動すると、

 

「外は花火大会かな?夜空に花火が弾けているけど」

 

俺達も窓際に移動すると、グラウンドの上空にいくつもの転移陣が展開されてた。そこから魔術師やら、悪魔やら、堕天使が転移しているが、姿を現すと同時に木っ端微塵に吹っ飛ばされていた。グラウンドにはヤマトの仲間が展開していた。

 

「さて、僕も行こうかな」

 

ヤマトが外へ出ると、赤いバトルスーツを装着し、空へ舞い上がり、マシンガンを発射していく。グラウンドは死体で埋めつくされていく。天空からも光が幾筋も落ち来て転移してきた者を死体に変えていく。

 

転移陣がなくなるまで続いた。

 

「ひでぃ光景だ」

 

俺はこんなひどい戦闘現場を見たことがない。転移して攻撃に移るまでの間に、屠られていくテロリスト。防御陣の圧倒的な火力。これが鷲尾神社の戦闘力なのか…

 

「終わったようね」

 

涼しい顔で闇雲家の当主の女が言う。

 

「では、これで、失礼します」

 

この場を去っていった。グラウンドでは、ヤマトが呪文を唱えると、死体が黒い炎を纏いながら消失していった。

 

「撤収しよう」

 

防御陣は、ヤマトともに転移していった。

 

「敵にしたくないなぁ」

 

アジュカがボソっと言った。俺も頷いた。見たところ、相手は上級クラス以上だった。ソイツらを攻撃させないタイミングで、的確に魔力弾で撃ちぬいていた。最上位クラスの魔術師が数名いるのか?ドラゴンを出していないし、禁手していたものもいなかった。通常攻撃だけで撃退、殲滅してしまったのだ。アイツらは…

 

 

 

---カテレア---

 

強制転移された先で手足を拘束されてしまった。それも全裸で。女王様コスチュームの女がムチの持ち手の先端で、私の胸の谷間から下へ向かってなぞっている。あの少年の掛けた呪文で、私の感度は…身体をよじって抵抗するが、最終地点に到達すると、私は…私は求め始めていた。腰を前に突き出し、持ち手の先端の刺激を求めている。その様子を見て女王様は部屋から出て行ってしまった。部屋は薄暗くなり、何か蠢く者達が迫ってくる。そして、私は地獄を味わうことになった。今からここを出るまで……

 

 

 

---那魅---

 

今日のヤマトは隙もなくて良くなっている。ムゲンに問い詰められたのが効いたのだろう。レビアの準備してくれたバトルスーツ。これで、鎧を脱ぐことなく戦ってくれるだろう。あのバトルスーツはヤマトの中にいるムゲンの恩恵で、弾倉が空になることがないらしい。

 

 

 

---ヤマト---

 

ムゲンが一緒に戦いたかったみたいだ。今日の敵はそんなに強くなかったので出番はなかったんだよと、説明してあげると、納得はしてくれているけど、残念だったみたいだ。次は一緒に戦おう。ヴァーリと三人でね。

 

 

 

---イッセー---

 

学校は夏休みに入ったことで、修行時間が長くなった。匙と無心になる鍛錬を積む。ひたすら読経もしくは書経をしながら、無心の境地に近づくようにがんばる。ヤマトが言うには「がんばる」ことをせずに自然にねぇっていうけど、なかなか凡人の俺達には難しい。

 

そんな俺でも無心になれる瞬間はある。神社の本殿に続く廊下の雑巾かけ。これをするとき無心な境地になれた気がする。その話をヤマトにすると、次の段階へ進んで良いって許可が出た。次の段階は滝に打たれること。神社の地下に滝がある。そこで鍛錬をすることになった。

 

武術の鍛錬もしなくてはいけない。まず格闘術である。武器を何も持っていない時の対処である。白音ちゃんが教えてくれた。パンチの入れから、関節の取り方、固め方など。護身術にもなると言われ、鍛錬を積んでくことになった。

 

気の流れについても習った。気の流れをコントロールできれば、オーラや魔力の向上にもつながり、多少の負傷も自己回復できるようである。

 

やることが色々あり大変だけど、以前より生きがいといえるものが見てきた感じがする。

 

 

 

---レビア---

 

テロリストのアジトを探している。あれだけの人数が収容できる場所。たぶん、あれで一部隊だろうから、あの何倍もの人数が収容できる施設がいるはずだ。冥界のある場所が気になった。旧魔王派の者を集めて辺境で村を作らしているようだ。

 

和平会議の記録映像をもう一度見る。会議場への乱入した女が『偽りの魔王』という言葉を使っている。本物の魔王は旧魔王ということだろうか?ヤマトに一応、報告しておこう。

 

 

 

---ヤマト---

 

母さんを殺した勢力を見つけた。人間だ。それも、姫島の本家だ。那魅さんに相談してみる。

 

「ヤマトはどうしたい?」

 

「なんで殺されなきゃいけなかったのか、理由を知りたい」

 

「知ってどうします?虚しくなるだけですよ」

 

「そうですが…なんで、あんなに優しかった母さんは、殺されないといけなかったんですか?母さんがあんなことにならなければ、姉ちゃんの手は汚れなかった」

 

那魅さんは母さんがしてくれたように、僕を優しく抱きしめてくれた。

 

「くやしい涙をここで流しなさい。仇を討つことが虚しいことだって、あなたはわかっているはず。姫島本家には、けじめをつけさせますよ」

 

 

 

---那魅---

 

私は、朱乃、ヤマト、ヴァーリを連れて、「五大宗家」の一つ、姫島家を訪れた。門番に闇雲家の紋章を見せるも取次はしてくれない。

 

しかたないが、「五大宗家」のまとめ役、百鬼家を訪れた。門番に紋章を見せると、座敷に通された。当主がゆったりとしていた。

 

「よく、いらしてくださいました。那魅様はお元気でしたか?」

 

「えぇ。宗家の皆様のおかげですわ」

 

「今日はどういった、ご用件ですか?」

 

朱乃さん達のこと、先程の姫島家の対応をお話した。

 

「朱璃さんの娘さんでしたか。あの事件は朱璃さん達が襲われたことより、討伐に出した者が全滅した事件として語り継がれています」

 

「なんでですか?おかしいでしょ?なんで、あんなに優しかった母さんが殺されないといけなかったんですか?」

 

ヤマトが百鬼家当主に問う。

 

「君は姫島の人間ではないよね。知らなくてもいいことだ」

 

「ヤマトは、私の弟ですよ。真相が知りたいのが当たり前ではないですか?」

 

「知らない方が幸せなこともあるんだよ。おい!」

 

部屋の四方の襖が開き、刀を構えた者に取り囲まれた。

 

「闇雲家に刃を向けるということですか?」

 

私は、当主に言葉を向けた。

 

「闇雲家はシンボルみたいなものですよ。五大宗家がまとまれば、倒すことも容易い」

 

罠か?この気配は、私の知っている当主ではない。

 

「やってみますか?あの時の、討伐者を全滅させた者もここにおりますし」

 

ヤマトはバトルスーツを、ヴァーリは禁手をして、鎧化した。

 

「あぁ、あの時のガキ共か?おい、皆殺しにしてしまえ!」

 

ヤマトはムゲン、オーフィスを召喚した。ヤマトの銃火器が火を噴く。ムゲン、オーフィスのドラゴンオーラが敵の正体を明らかにしながら屠っていく。ヤマトは椿姫を召喚した。椿姫は目の前の宗家の者が、悪魔や堕天使だったことに驚き、長刀を構え攻撃に出た。

 

私は本物の百鬼家当主を探した。この屋敷内にいるはず。レビアに応援を要請する。朱乃が、私をガードしてくれている。レビアから地上部分にはいないと返事がきた。地下室か地下牢か。地下への降り口を探す。

 

 

 

---ヤマト---

 

まさか、はぐれが人間になりすまして、狩る側に化けていたとは。あの時の奴らも、こいつらだったのだろうか?いや、あの時のは、指揮していたのは悪魔だったけど、ほとんど人間だったと、今になって思い出してきた。僕はサマエルの剣にして、僕の闇の力を乗せて放っていく。貫かれた悪魔や堕天使が苦しみながら死んでいく。もっと苦しめ。母さんの分まで、姉ちゃんの分まで!

 

庭に出ると空からも敵の援軍が来ていたので、レビアさんに援護を要請した。すると人工衛星からのビーム攻撃が始まった。

 

目の前にオーラ纏った者がいた。四神をまとめる黄龍か。僕は闇雲家の紋章を彼に見せる。彼は跪いた。

 

「闇雲家の方ですね。この家の者達が、まさか人外だったとは…」

 

「百鬼家の本当の当主様はあなたですよね?」

 

「まだ、正式な当主ではないです。儀式をしていませんから」

 

「この屋敷の地下へ降りる入り口はありますか?そこに当主様がいらっしゃるらしいです。あなたは向かってください。ここは僕達で食い止めます」

 

「かたじけない」

 

彼、次期当主の者は地下への入り口へ向かった。那魅さんにそのことを伝えた。そして、戦力をもう少し。黒歌と白音を召喚した。待てよ?黄龍って…麒麟だよな?ってことは…僕は狛犬に宿ってくれた炎駒さんを召喚した。

 

「ここって百鬼家かい?」

 

「そうですが、はぐれ悪魔達の巣窟になっていました」

 

「闇雲家とのリンクを切ったせいだな。この地の四神を呼び起こして、浄化するかな。呼び出してくれてありがとう。久しぶりに活躍できるのが嬉しいよ。」

 

炎駒さんは、人化して、祭壇のある部屋を目指した。僕は炎駒さんをガードしていく。途中でヴァーリと合流した。ヴァーリは肩で息をしていた。疲れているみたいだ。僕は回復能力で癒していく。回復に気を取られた僕に敵の攻撃が当たるがバトルスーツが弾いてくれる。

 

やっと、祭壇のある部屋に辿り着いた。炎駒さんだけが入り。僕とヴァーリで邪魔が入らないようにガードする。炎駒さんによる儀式が始まると地鳴りが響いてきた。地龍が神社ネットワークを機能させていく。神社同士による結界網。八百万の神が「五大宗家」に巣食っているはぐれ悪魔共を屠っていく。何故か、僕の傍にいらした神様達は、僕に礼をしていく。なんでだろうか??

 

地鳴りが止むころには邪気の気配は消えていた。仕事をやり終えた炎駒さんが僕達に近寄ってきた。

 

「邪気は消えたみたいだな」

 

「はい」

 

「ここの当主は無事かな?」

 

「次期当主の方には会いましたけど」

 

那魅さん達も戻ってきた。次期当主は誰かをおぶってきた。

 

「当主は殺されていました」

 

「招魂しましょうか?」

 

「いや、神道的にはこのまま冥福を祈ってあげたい。次期当主よ、それで良いか?それとも招魂した方がよいか?」

 

那魅さんは、次期当主に選択を迫った。

 

「あとを継ぐ儀式が済んでいません」

 

「それなら、鷲尾神社の麒麟が当主の代役ができるわ。ねぇ、炎駒さん」

 

那魅さんに問われた炎駒さんは頷く。

 

「ここの後始末もあるでしょうけど、私と一緒に闇雲神社にいただけますか?炎駒さんもねぇ」

 

狛犬の中でじっとしていたせいか、外で働けるのが楽しいらしい炎駒さんは、嬉しそうに那魅さん達についていった。儀式に関係無い僕達は、家に戻ることにした。今回の事態が収拾したら、後で那魅さんから、母さんの事件の真相を聞けるだろうし。

 

 

 

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