---グレイフィア---
リアスが、思いつめた表情をしていた。
「どうしたの?」
こんな彼女は珍しいので、思わず声を掛けた。
「ヤマトに、好きにしていいって…」
「あぁ、リアスには恨みが無くなったのだろう。原因がわかったからね」
しばらく間を置いて、意を決した表情をした彼女が声を掛けて来た。
「グレイフィア、レビアさんに、会いたいのだけど」
「会ってどうするの」
何かを決したようなリアス。そんな風に見えた。グレモリー家が、ヤマト達にしたことの責任を取りたいのだろう。でも、なぜレビアなんだ?
「私の考えを伝えて、実現が出来るかを訊きたいの」
リアスの表情は思い詰めたままだ。あのリアスが、ヤマトの為に何かを決意したようだ。
「わかった。手配してみる。くれぐれも、無茶はしないで」
---レビア---
リアスの口から出た彼女の考え。愛しい者に、身を捧げるような想い。それも痛々しいまでの想いだ。実現は出来ると思うが、それは、彼女が生き物を辞めると言うことになる。そこまでして、ヤマトの傍で尽くしたいのか。
私の一存で決められる事では無いので、ヤマトに彼女の考えを伝えた。ヤマトはすぐにここに転移してきた。
「リアス、そこまでする必要はない。純血の悪魔として生きていけよ」
リアスの両肩を手で掴んで、説得し始めたヤマト。
「もう、悪魔でいることが辛いのよ。私には、忌まわしいグレモリー家の血が流れている。ヤマトだけでなく、他の人達にも迷惑を掛けてしまっている。悪魔としては、恥じることではないけど、でもねぇ…あの家で生活していると、恥じなくてはいけないことって思えるのよ」
リアスの想いはわかる…が、それを実行したら、もう戻れなくなるんだよ。いいのか?リアス。
リアスの考え…キディのようなサイボーグ化。感情と考え方、夜の営みに必要な部分以外のサイボーグ化だ。たしかに、これなら悪魔では無くなるけど。
「リアスはリアスのまま、生きて欲しい」
ヤマトの言葉に、首を振るリアス。
「それじゃダメなの!グレモリーの血が、身体中を巡っていると思うと、苦しいんだよ」
説得が出来ないと判断したのか、力なく腕を下ろすヤマト。
「そう…リアスの人生だ。リアスのしたいようにすればいい。でも、今のリアスがリアスなんだよ」
ヤマトは寂しそうに、転移していった。
「いいのか?リアス」
私はもう一度、彼女に確認する。彼女は頷く。彼女の決意は揺るぎないようだ。私も覚悟を決めよう。今日の今日は無理なので、今日は帰ってもらい、明日、ヤマトのAIと共に来てもらうことにした。
---リアス---
ヤマトの部屋に行った。部屋に入るや、身に付けている物をすべて脱ぎ捨て、彼の前に立った。
「悪魔としての、最後の私の身体を、堪能してください」
たぶん、次に会うときは新しい身体になるだろう。彼は、目を閉じて考えているみたいだ。しょうがない、私から攻めるか。彼を押し倒して、彼の耳を舐める。彼は私の行動に驚いたように、目を見開いた。私は、彼の唇を舐めた。口全体を使って、唇を攻めていく。彼は、私を抱えたまま、起き上がると、身に着けている物を脱いだ。それから、ゆっくりと彼は口を合わせてきた。舌が口の中で絡み合う。お互い名残惜しそうに、互いの舌の感触を覚え込むかのごとく、時間をかけて堪能していく。彼の両手が私の胸を包み込む。私の乳房の感触、乳首の反応を確かめるようにゆっくりと…彼の口は私の顎、首筋を舐めている。形を記憶するように、何度も輪郭をなぞっているようだ。彼の口が胸に達すると、彼の手は私の秘部を優しくなぞる。形を確認するかのごとく、輪郭から徐々に内側をなぞってきている。
「あっ…」
つい、言葉をもらしてしまった。お互いの物を確認するために69に体勢を移動する。私は口一杯に、彼のモノを頬張り、彼は私のモノを舐めまわしていく。口に頬張りきれなくって、太ももを叩いて合図をする。彼の頭が私の頭の方に戻ってきた。そして、彼のモノが私のモノにゆっくりと挿入していく。彼の手の指は私の左胸の突起と、下腹部の突起に刺激を与えている。彼の腰がゆっくりと動き出した。
そして、最後の夜の営みは、明け方まで続いた。果てた後、彼は私の耳元で囁いた。
「リアス…」
---ヴァーリ---
ヤマトは落ち込んでいた。食事の時間なのに、まったく部屋から出てこない。私は、部屋に入った。部屋では、ヤマトがベッドに腰掛けて、目が虚ろだった。
「どうしたの?」
こんなヤマトは初めてかもしれない。声を掛けても、反応が無い。身体を揺すっても、反応しない。でも、脈はある。呼吸はしている。死んではいない。しかし、心配である。
「どうしたの?」
彼の目を見て、声を掛けた。
「あ?ヴァーリかぁ、大丈夫だよ。ちょっと、那魅さんのところに、行ってくれるね」
ヤマトは転移して行ってしまった。どうしたんだよ?ヤマト…
---那魅---
ヤマトが久しぶりに来た。でも、何かがおかしい。
「どうしましたか?」
「予知夢を見ました」
原因はそれなのね
「どんな予知夢ですか?」
「僕はこの世界から、いなくなります。みんなと別れる日が近づいています」
「いなくなるって?この世界は無くなるの?」
ヤマトの闇の力が暴走するのか?そんな最悪な事態が頭をよぎる。
「無くならないと思います。ただ、僕がいた記憶が無くなるようです」
淡々と話すヤマト。彼の言葉には、感情が感じられない。
「ど、どういうこと?」
「わからないです。僕が生まれなかった世界になるみたいです。では、僕は一体どうなるんでしょうか?」
ヤマトの無気力な感じはソレか?存在を否定された未来…
「シヴァさん、どういうこと?」
ヤマトの中からシヴァさんが出てきた。
「わからない。私には、そんな中途半端な戻し方をする能力は無い。有るとすれば、我々より上の者、絶対神様のなさることかと思います」
「何の為に?」
「それもわかりません。絶対神様のなさることは、我々、下々の神には、わかりません」
予知夢による不安を恐れているようなヤマト。
「ヤマト、いついなくなるの?」
「わかりません。でも、そう遠い未来では無いと思います」
最高神でも手が出せない事象では、人間の私の力なんか無力に等しい。いつなんだろうか?彼の未来は変えられるのだろうか?
ヤマトの予知夢。最高神の一人のシヴァさんでも、どうにもならない事象。ヴァーリは、どうなってしまうのか?幼い頃から連れ添ったきた、血が繋がらない兄妹。ヴァーリにとっての家族は、もうヤマトだけである。
私はヴァーリを呼んで、ヤマトの見た予知夢の話をした。話を聞き終わると、無言で泣きじゃくる彼女。誰にも手が出せない未来。私は彼女を、優しく抱きしめることしか出来ない。あまりにも無力すぎる。
しばらくすると、ヴァーリは何かに気づいたようだ。何だろうか?
「ヴァーリ、何かに気づいたの?」
恐る恐る彼女に問うた。
「もしかすると、イレギュラーな存在になれば、一緒に付いて行けるかもしれないですよね」
ヤマトはいなくなると言っていた。死ぬとは言っていない。それの意味するところは、違う世界へ放り出される。同じ存在は1つの世界に重複して存在が出来ないって、以前聞いた事がある。イレギュラーな存在になれば、同じ存在がいない可能性が大である。イレギュラーな存在って…リアスのやっていることかぁ。
「那魅さん、レビアさんに連絡を取ってください。私もリアスのように成りたいと」
彼女は澄んだ瞳で私に言ってきた。
---グレイフィア---
北の主神、オーディン様が、日本の神格と友好を深めたいと、来日するようである。会談場所は、防御の固さから地下にある姫島神社になった。ガード役にはヤマト達のエクソシスト軍団が受け持つことに。お傍に置くSPは、アザゼルとバラキエルが勤める事になった。
来日予定の日になり、グリゴリが中心になって日本までガードしてきた。でも、あのエロ神様は芸者遊びがしたいと、予定を変更して京都に、宿を取られたようだ。急遽、私とヤマト、マグレガー、黒歌、白音が京都の宿に向かった。
「すまない。突然、エロじじぃが芸者遊びがしたいって、京都に泊まるって、ダダこねちゃってな」
アザゼルが、本当にすまなそうにいう。まぁ、女好きの神として有名な方だから、多少はそういうこともあるかと予測はしていたけど、初日からとは。急遽すぎて、宿のガードが弱い。防御結界が弱いので、大火力組は連れて来られなかったし。不安だわ。
宴中には、隣の部屋に待機していた。那魅さんの手配で、京都の神社仏閣を使った結界網は機能できているようだ。少し安心。
宴が終わって、ヤマトが呼ばれた。彼に話があるらしい。
---シヴァ---
宴が終わって、ヤマトだけが呼ばれた。あのエロ神は、次兄と仲が良いだけに、口を滑らしそうで怖い。
「おぉ、お前か、ヤマトというのは。なるほど、父親のヴィシュヌの面影が有るなぁ」
おぃおぃ、いきなり滑らしているぞ。コイツは。ヤマトは何を言われているのか、困惑をしている。
「僕の父親はバラキエルです。誰かと勘違いされていませんか?」
「お前は本当の事を知らされていないのか?維持神ヴィシュヌとエヴァとの間の子だぞ。神は嘘を吐かないんだよ♪」
徐々にヤマトは、涙目になってきて、その目でバラキエルを見ている。バラキエルも…コイツ許さない。我慢の限界が来た私は、ヤマトの身体から出た。
「おい、エロじじぃ!誰にも言うなって、言われていただろう?」
突然の私の出現で、エロじじぃのオーディンが固まった。
「お前は、次兄と同じで禄でもない神だな!」
オーディンは逃げようとしたが、アザゼルに阻止された。
「オーディン様、やって良い事、やっちゃダメな事くらい、わからないのか?」
この場にいる者達、ヤマトとバラキエル以外は、オーディンに怒りのオーラを注いでいた。
「真実を言っただけだぞ。なんで、皆で怒っているのだ?」
事の重大さがわからぬエロじじぃは、首を傾げて考えていろようだ。そんなの考えないでもわかれよ!
「これが、北の主神の日本の神格への土産か?明らかなテロ行為だな」
私は殺意の籠もったオーラを、言葉にのせて放った。オーディンは腰くだけ状態になった。
「何故、真実を教えてやらんだのだ?」
「そういう教育方針だったのを、お前が壊したんだよ!」
私は、はっとした。破壊神である、この私ですら怯むオーラが、ヤマトから出ていた。私が彼の身体の外に出てしまっているので、抑える効果が緩んだのか。私は急いでヤマトの身体に戻ろうとしたが、弾かれた。マズい…
グレイフィアが、オーディンに詰め寄っている。
「どうして、ヤマトをそっとしてあげなかったんですか?」
エロじじぃは、笑っている。イタズラ心が炸裂か?そんな疑念が浮かんだとき、宿の屋根に、カミナリが落ちて砕けた。天空には…あれはたしか、悪神ロキか。
「北の主神たる者が、こんなちっぽけな国の神格と友好を結ぶっていうから、来てみたら、なかなかいい闇の力を放っているじゃないか。俺と組んで、オーディンを倒してみないか?そこのボウズよ!」
確かにロキですら、かすむような闇のオーラが、ヤマトの周りに渦巻いている。私は咄嗟に、ヤマトを優しく抱きしめた。
「ヤマト、落ち着いて」
「なんで、みんなでウソを点いていたの?僕は、本当は誰の子供なの?父さん、教えて!」
バラキエルはヤマトに近づこうとするが、ヤマトが発する闇のオーラに、恐怖を感じてしまって、近づけない。
「ねぇ、父さん。僕の父さんじゃないの?」
ヤマトの目から、涙がポロポロと、零れ落ちる。零れ落ちた涙は、畳に落ちると爆発した。涙が落ちる度に、爆発を繰り返した。誰の目から見ても、ヤマトは危険な状態であった。
「逃げろ!」
誰かが発した声を合図に逃げ惑う、オーディンと堕天使達。しかし、バラキエルだけは逃げなかった
「ヤマトは、俺と朱璃の子供だ。お前は俺達の家族なんだ!」
遠くで、ロキの声がする。
「フェンリルとその子供たちよ!オーディンと日本の神々を食べ尽くしてやれ!」
フェンリルの気配を感じ取ったのか、闇のオーラが濃くなってきたヤマトの身体から、サマエルとムゲンが逃げ出してきた。。
「シヴァ…ごめん…僕の無限の力でも、抑えられない闇のパワーだよ」
ムゲンが悔しそうである。
「僕よりも闇が濃い。シヴァ、君もここにいたら危ないよ」
闇に耐性のあるサマエルでさえも、危険な状況みたいだ。でも、ヤマトを置いて、どこにもいけないよ。
「ブラフマー、助けてぇ~!」
渾身の力で、長兄に助けを求めるように叫ぶ私。その私の叫びに呼応するかのごとく、ヤマトが突然いなくなった。私が抱きしめていたはずなのに。どこ?混乱している私の上、天から声が響いた。
「私は最高神の一人、創造神ブラフマー。このままでは、この世界が滅ぶので、原因を別次元に飛ばして、結界で動きを封じている。24時間以内に再始動するかもしれない。対処を考えてくれ。別次元に飛ばしたのはロキ、ヤマト、フェンリル親子だ」
何で?ヤマトまで?私は天界へ、急いで転移した。
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「何故?ヤマトまで?」
私は長兄に問うた。
「シヴァ。お前にも分かっているはずだ。ヤマトを抱きしめていたお前の身体が、闇のオーラで切り刻まれているじゃないか。お前は職務を放棄して、死ぬつもりか?」
長兄に言われて初めて気が付いた。私の身体は傷だらけであった。そこら中から血が滴っていた。ヤマトを守ろうと必死だったので、気づかなかった。確かにあのままでは、私は死んでいただろう。
「絶対神様から、伝言でなぁ。ヤマトの闇を取り除ける者に、早く会わせた方が良いと。この世界が崩壊したら、並行世界全域に影響が出るとおっしゃっている。もう、私達、最高神ですら手の出せない領域になっているのだ」
長兄の悔しそうな顔を、初めて見た。最高神ですら、手の出せない領域を前にして、無念な気持ちで一杯なのだろう。
「あの別次元は宇宙神様が、ご用意してくださったのですか?」
「あぁ」
「次兄は?」
「オーディンに、文句を言いに行っている」
長兄は次兄に対して、呆れているみたいだ。いや、私もだ。
「今更、文句を言っても解決にならないのが、アイツには分からないようだ」
「兄さん、私に出来る事はもう無いんですか?」
「ヤマト達がいなくなったら、いなくなった者は、初めからいなかったように、記憶を操作する。私とシヴァの能力で為し得ないといけないことだ。お前の気持ちは良くわかるが、つらい作業になるけど、淡々とこなして欲しい」
そんな…ヤマトの予知夢通りじゃない。私には出来ない。うん?ヤマト達?
「ヤマト以外にも、いなくなる者はいるのですか?」
「いる。イレギュラーと言われている存在だ。ヤマトがいなければ、存在すらしなかった者達。ムゲンとサイボーグ化したリアスとヴァーリだ」
ヴァーリは一緒に行けるのね。せめてもの、救いだ。那魅さんも心配していたし。
「時間になったら、その者達だけを別次元に飛ばす。あとは宇宙神様に、おまかせだ」