---イッセー---
放課後、クリス先輩が迎えに来て、二人でオカルト研究部の部室に向かう。部員が全員揃っている。で、部活って、何をするのかな?
「クリスは部外者でしょ?なんでいるのよ!」
「僕がいると都合が、悪いのですか?イッセーに無茶をしないように、保護者として来ています。なにか、問題でも?」
この姉弟は仲が良いのか?悪いのか?よく分からない。周りを見ると、また始まったって感じで、暖かい目で見ている。
「問題は大有りよ!クリスだって『王』なんだから、手の内は見せられないわ」
「あ?手の内?そんなものは、見なくても勝てると思うよ。それにチームの戦力アップより先に、イッセーに教えることがいっぱい有るでしょ?」
木場、朱乃先輩、小猫ちゃんが微笑みながら頷いている。
「リアス、クリスの言う通りよ。イッセー君に、基礎を教えてあげないと」
笑みを崩さず朱乃先輩が、リアス部長に言った。溜息を吐いたリアス部長。
「あぁ、クリスの言う事は素直に聞くのね、あなた達は!」
木場、朱乃先輩、小猫ちゃんが、微笑みながら頷いている。
「それは、お姉様が、みんなの心を開こうとして来なかったツケかと思いますよ。強くなることも大事ですけど、チームワークも大事ってことです」
姉を諭す弟。クリス先輩が大きく見える。
「そういう、あなただって、自分のチームメンバーは放置でしょ?」
「僕のチームは、納得してもらってチームメンバーに、なって貰ってますから」
木場、朱乃先輩、小猫ちゃんは頷いている。え?みんな納得して眷属になったんじゃないの?三人の部長に対する視線は冷たいような気がする。笑顔なんだけど。
「はぁ…そんな目で見ないでぇぇぇぇぇ」
俯いてしまった部長。溜息を吐くクリス先輩。
「姉がこんな状態なので、僕が説明するよ。朱乃さん、珈琲をください♪」
「はい!」
「お姉様がイッセーを眷属にする時ときに、駒を入れたでしょ」
「入れましたね」
「あの駒は『悪魔の駒』っていう駒で、大人数の軍団を持つ代わりに、『駒』として少数の下僕悪魔に強大な力を分け与える物なんだよ。昔起こった災害で多くの人数を減らした上級悪魔達が、チェスの特性を取り入れて作った少数精鋭のチーム制度だ。駒には価値と特性があってね、イッセーの場合は『兵士』で価値1なんだけど、駒を8個使ったから価値8になるんだ」
「俺の価値は8ってことですか?」
「たぶん、現状は1だと思う。イッセーの中にある宝が7以上なんだと思う。駒の価値は成長するみたいだから、今後のイッセーの鍛錬次第になるよ。あと、『兵士』の特性なんだけど、『王』であるリアスお姉様が『敵の陣地』と認めた場所に行く時に『王』以外のすべての駒に昇格し、その能力を使用できる『プロモーション』という特性があるんだ。『僧侶』は魔力の底上げ、『騎士』は速度の上昇、『戦車』は攻撃力、防御力の上昇と、『キャスリング』っていう『王』と位置を入れ替える特殊能力があり、『女王』は『王』以外のすべての駒の特性を兼ね備えているんだ。だから、たいてい『プロモーション』は『女王』になるんだ」
奥深いんですね。
「ちなみに、朱乃は『女王』、木場は『騎士』、小猫ちゃんは『戦車』、ここに今いないけど、ギャスパーって後輩が『僧侶」だ」
「俺が一番下っ端ですね」
「現実的にはね。駒の価値的には下っ端じゃないけど、お宝の価値がほとんどだから。あと、元の種族で基本能力が変わるから。ただの人間のイッセーは基本能力も1だ。とりあえず、イッセーと同じ人間の木場と同じくらいの強さを目指すといいかもね」
木場だけが元人間なのか。
「クリス先輩、先程の話で上級悪魔って出ましたが、眷属悪魔との違いはなんですか?」
「基本、眷属持ちの純血悪魔は上級悪魔だと思っていい。なりたての眷属悪魔は下級悪魔で、試験の成績や悪魔界での実績によって中級、上級、最上級ってランクがあがっていくんだ。上級悪魔に昇格できれば、領地がもらえる上に自分のチームも持てるようになれる」
自分のチーム…魅力あるなぁ、女性だらけのハーレムチーム。
「眷属悪魔から上級になれるんですか?」
「最上級になった元人間の眷属悪魔もいるよ」
「がんばりま~す」
「今日の講義はここまで!お姉様、終わりましたよ」
リアス部長は、頬を膨らませて怒っているようだ。
「クリス、私の仕事を取らないで!」
「お姉様が、眷属に講義しているのを見たことないですよ。そこの三人だって、シュウさんに教わっていたじゃないですか」
木場、朱乃先輩、小猫ちゃんは頷いている。部長を見る目が冷たい気がする。
「そんなこと、イッセーの前で言わないでよ!」
頬を赤らめる部長。クリス先輩の方が強いのか?うん?二人とも同じ学年だよね。え?双子なのか?
「クリス先輩とリアス部長って、双子なんですか?」
「何を今更…」
俺を見る木場の目つきも冷たいよ~。
「イッセー、そうだよ。性格、髪の色、翼の色が違うけど双子なんだよ。どっちかが絞り粕か、分かるだろうけど…」
クリス先輩は部長を挑発している。
「クリス、あんたねぇぇぇ~!」
「聖の力を持つ僕は、お姉様に負ける事は無いけど、戦う?」
怒りが落ち込みに変わっていく。リアス部長って、こんなに表情が豊かなのかぁぁぁ♪
「そうだ、イッセー。お姉様の抱き枕になった感想は?」
俺と部長は顔が真っ赤になっていく。
「ほぅ、初日から…毎日続くんだよ。地獄のようにねぇ」
クリス先輩が意味深な笑みを浮かべている。
「お姉様、お兄様には報告しておきましたから」
「ちょっと、クリスぅぅぅぅ!あんた、なんてことを…」
「お兄様が、家庭訪問したいって、言っておりましたよ」
落ち込む部長。クリス先輩の勝利のようだ。
「あらあら、リアス。クリスには口では、勝てないわね」
朱乃先輩が怪我に塩を塗り込んでいく。
---レイナーレ---
「近いうちに、教会から追放されたエクソシストと聖女が、この組織に合流します」
私は目の前の人物に手に入った情報を伝えている。
「フリード・セルゼンとアーシア・アルジェントだな?」
「その通りです」
「裏で手引きしているのは、ディオドラ・アスタロトか?」
「そうです」
「まず、アーシアの件をどうにかしないと」
「しないと?」
「このままだと、ディオドラ・アスタロトが、レイナーレを殺しちゃうからな」
「え?私を?」
いやだよぉぉぉぉ~!
「まぁ、死んでも生き返らせるから安心しろ。ただ、天野夕麻として死ねよ。レイナーレで死なれるとクリスの為にならないからなぁ」
え?変身して接触ですか?
「いや、アーシアから神器を取り出す儀式の日だけでいいから」
その日だけならいいかぁ。
「ところで、並行世界での私はどうなったの?」
恐る恐る訊いてみた。
「アーシアをレイナーレに殺されて、僕がレイナーレを殺した。圧搾死だ」
目の前にいるシュウの表情が、一瞬歪んだ…