---シュウ---
アーシアと共にバチカンへ転移した。そして、テオドロ司教枢機卿の部屋に向かった。ドアをノックして入室すると、ストラーダ卿とクリスタルディ卿とゼノヴィアがいた。僕は天界で書いてもらった書類の束をテオドロ卿に手渡した。書類に目を通すテオドロ卿。
「アーシアの件は残念です。我々にとっても痛手です。しかし、教会が決定を出してしまっているので、既に我々ではどうにかすることもできません。すみません」
アーシアに頭を下げるテオドロ卿。
「いえ、もったいないです。頭をお上げください。テオドロ様」
アーシアが慌てて言う。
「それで、ですね。アーシアを嵌めた教会関係者が、いると思うんです。各地を転々と移動しているアーシアの動きを、悪魔へ知らせていた人物がねぇ。それをあぶり出して、処分して欲しいのです」
僕は、目の前のお偉方三名にお願いをした。
「それは、もちろん対処します。奇蹟の数々をなされてきたアーシア殿が、嵌められただなんて、許せないですから」
ストラーダ卿が力強く言ってくれた。
「で、アーシアの処遇ですが、信用出来る悪魔の眷属にしても良いですか?このままフリーの状態では、また狙われると思うのです。現に、堕天使の運営する教会に就職の斡旋がされていましたしね」
「信用できる方なら、悪魔でも良いと…表向きには言えませんけど。追放された以上、教会に属する事はもう出来ないですから、信用できる組織に属して貰った方が良いです」
と、テオドロ卿。たしかに、表向きは言えないですよね。
「祝福の聖剣の件は、いかがですか?」
ゼノヴィア、が一振りの聖剣を僕に手渡した。
「その聖剣を使いこなせれば、お貸しします」
テオドロ卿の言葉を受けて、僕は祝福の聖剣を両手に掲げて、天使の翼を展開して、黙祷を捧げた。
『戦いのない世界が訪れますように』
と、…願いを捧げた。
---テオドロ---
シュウさんが祝福の聖剣を両手で掲げて、天使の翼を展開して黙祷をされた。身体はポカポカ暖かくなってきたのに、背筋はゾクゾクとしてき、て全身に鳥肌が立っていく。自然と涙が溢れて、流れ落ちていく。何か心の中の汚れが洗い落とされていくような感じである。これが祝福の聖剣の使い手の浄化の能力なのか。私は、シュウさんに跪いて祈っていた。翼の周りに神々しいオーラを纏われている。シュウさんの黙祷が終わるまで続いた。
「その聖剣はお貸しします。この世界にいる限り、お使いください」
「テオドロ様、初めて見ました。あの聖剣を使いこなす方を」
ストラーダ卿が驚いたように話し掛けて来た。
「私もです。こんなに経験は初めてです」
今後も何かあったら、来て貰えるように頼んでみたら、快諾してくださった。
---シュウ---
バチカンから日帰りでアウロスの家に戻ってきた。グレイフィアさんに、リアスを呼んでもらう。リアスは転移してすぐに、土下座をして謝罪の言葉をたっぷりと言って来た。サーゼクスさんとグレモリー卿に、たっぷりと絞られたみたいだ。顔を上げたリアスの瞼は真っ赤に腫れていた。
僕はアーシアをリアスの眷属にしてもらった。事前にアーシアには了解を取っておいたのだ。バチカンでも言われた通り、どこの組織にも属していないと狙われやすいと説明して、バチカンでは表だって言えないけど、信用できる組織ならどこでもOKだと言われたのも、アーシアが了解に至るのに有用だった。
「良いのですか?私の眷属で?」
リアスは疑心暗鬼状態だ。昨晩、思いっきり冷たくあしらったからなぁ。
「クリスの眷属ではアーシアの能力は活かせない。それに眷属で無い方が守り易い。あ、もしイッセーの時のようなポカしたら、リアスは、生き地獄行き決定だからな!」
「えぇっぇっぇぇぇ、生き地獄はいやぁぁぁぁぁ!絶対にポカしないように気を配ります」
拷問して激痛死しても生き返らせて、拷問を続けるという、生き地獄。リアスは過去に数度経験していた。
「アーシアの能力は何ですか?」
拷問の痛みを思い出して、涙目になっているリアスがアーシアに尋ねた。
「回復です」
「回復?すごく貴重な能力だわね。駒は『僧侶』にしましょう」
アーシアの身体にリアスの『僧侶』の駒が吸い込まれて行く。
「アーシアの住む家は、クリスの家にしよう。あと、学校も通えるようにしようか」
僕はグレイフィアさんを通して、サーゼクスさんにお願いしてもらった。
「あと、ヴァーリも学校に通いなよ。クリスの家のメイドしながらね」
ヴァーリはメイドの仕事が板についてきた。グレイフィアさんから離れても立派にメイドが出来ると思う。
サーゼクスさんから返事が来て、アーシアとヴァーリはイッセーと同じクラスになった。
---クリス---
週末、お姉様の眷属とソーたんの眷属と僕で、アウロスの家に向かった。シュウさんが、お姉様の代わりに基本講座を開いてくれることになっていたからだ。なんで、セラフォルー様がいるの?魔法少女姿の魔王様を不思議そうにイッセーとアーシアが見ている。ソーたんは顔を真っ赤して伏せている。
「悪魔の弱点は十字架、聖水、光の槍だ。光の槍は堕天使の主武器であるので、堕天使相手の時は注意してくれ。アクセサリー程度の十字架でも、ピリピリ痛みが走る。クリス、アーシアは経験済みだろ?」
あ、アーシアを抱き支えたときのピリピリ感は、アーシアの首に提げた十字架のネックレスの影響だったらしい。
「聖水は聖なる力がどのくらい注ぎこんでいるかで、威力が違う。でも、見た目はただの水だ。実演してみようか。ちょうど、ここに魔王様がいらっしゃるし」
シュウさんの目つきが変わった。
「ちょっと、シュウ君?」
セラフォルー様の顔色も変わった。
シュウさんの手には妖刀村雨。刀身から聖水が滲み出ている対悪魔用の武器。軽く振って、水滴をセラフォルー様の顔に飛ばした。当たった箇所は煙が出て皮膚が抉れていく。
「痛いよ~!シュウ君、止めてよ~!」
泣き始めたセラフォルー様に大振りで大量の濃い聖水を浴びせた。セラフォルー様の顔、頭部から煙が出て皮膚や肉までえぐれて骨が見えている。
「いやぁぁぁ!」
セラフォルー様は床に崩れた。
「今の実演で分かったかな?魔王といえ、聖水には弱いということ。と、いうことは下級悪魔、見習い悪魔の君達なら死すら、覚悟しなくてはならないということだ」
僕達はシュウさんの実演に目が点になった。聖水は怖いものだって、身に染みこんだよ。スプラッター映画並の…
シュウさんは、ピクリとも動かなくなったセラフォルー様に回復魔法を掛けて、怪我を治した。でも、意識が戻らない。
「マジか…死んでいる…おい、魔王なんだから、あれくらいで死ぬなよ~」
シュウさんは招魂して、魔王様を生き返らせた。
「ひどいよ~!シュウ君!すごく痛かったんだからね」
立ち上がり、シュウさんに文句を言われている魔王様。
「お姉様…痛いどころか、死んでましたよ」
ソーたんが言葉の槍を魔王様に刺す。
「え?死んでいたの?じゃ、あのお花畑は?」
床にへたりこんだ魔王様。失禁されているけど、見なかったことにしたみんな。