---シュウ---
暫く来られなくなるので、リアス、ソーナ、レイナーレをクリスに返した。
「ちょっと!責任持って飼いなさいよ~」
って、解放されたのに、何故か怒っているリアス。
「ええぇぇ~解放ですか?もっと傍に置いてください」
人質希望のソーナ…
「う~ん、どうするかな?」
何かを悩むレイナーレ。こいつら、エムか?
「レイナーレ!」
姉では無くレイナーレに抱きつくクリス。
「クリス!僕はお前を許さないからな」
「許さなくても良いです。僕は僕ですから」
う~ん、ダメな方へ振り切れたクリス。ダメかな、コイツは…緊急案件が入っているので、この場から去った僕。
---ソーナ----
久しぶりの戻った冥界。少し事態は動いていた。私の創った学校、アウロス学園。シトリー眷属だけでなく、グレモリー眷属とクリスが講師となって、運営されていた。
「あの鬼を倒す戦力を作ることが大切です。僕達の手で、あの鬼から、この世界を護りましょう」
って、クリスが力説をしている。う~ん…方向性が違うのでは?賢者様は、この世界を奪おうと思っていない。それは、魔王様達もアザゼルさんも分かっている。なので、みんな、クリスの方向性に疑問を呈していた。
「それは、違うんでは無いのか?」
サーゼクス様が異議を伝えた。
「サー兄様、違わないです。あの鬼は危険です」
キレると危険ではあるが、キレさせなければ、強い味方である。それは、今だに、賢者様を信奉する者がいることから明らかである。イッセー君も、私も、リアスも…魔王様達だって…だけど、クリスだけは違った。
「僕はあの方の傍で、あの方のやっていたことを見て来ました。あの圧倒的で、絶望的な戦闘力は脅威です」
絶望的な戦闘力を前に、どうするつもりなんだ?
「僕達は戦闘力をもっとあげるべきです」
「それは、違うでしょ?アンタに足り無いのは、判断力よ!」
リアスが口を挟んできた。
「お前の判断のせいで、多くの者が命を落としたんでしょ?」
「姉ちゃん、それは違う。それぞれがもっと強ければ、死なずにすんだと思うんだよ」
「強さを追求しても、適材適所で有効活用出来なければ、ダメだと思う」
って、私もリアスの意見に賛成だ。賢者様から、そう習ったし。
「ソーナ、個々が強ければ、適材適所って考えも無いはずだ」
「だって、あんた!強さを追求したあんたが敗走したんでしょ?そういうのを負け犬の遠吠えって言うんだよ」
リアスがクリスを許さない。私達は、知ってしまった。あの戦場で何があったかを。強さを持てば、いくつかの命は助かったと思う。だけど、その強さは、攻撃力、戦闘力では無い。心の強さである。
クリスも強い心、強い意志があれば、敵に寝返らなかっただろう。いくら、自分の息子とは言え、ダメなことはダメと言えれば、あんな結果にはならなかったと思う。
「姉ちゃんはあの場に居なかったから、そんなことが言えるんだよ。僕は経験者だ」
「ふっ!お前は経験者では無い。たんなる傀儡のクセに、ごたくを並べるんじゃないよ!」
私は知っている。リアスは小さい時から、賢者様に憧れ、尊敬し、敬愛して、大好きだったことを。リアスに心を開かなかった眷属の問題をスムーズに解決し、リアスの為に色々とアドバイスやサポートをしていた賢者様。私は羨ましかった。
賢者様の連れ攫われて、内心喜んでいた私とリアス。
「自分の息子に、顎で使われて、仲間を弾圧したお前に、指導者の権利は無い!」
リアスが言い切った。クリスの行動によって、結果的に賢者様の娘の命が散ったことを知ってしまったから。
「お前はヘタレだよ!なんで、最後まで賢者様を信じなかったんだ?絶望的な戦闘力が助けに来てくれると信じなかったんだ?お前の心の弱さが、あの救われない戦争を起こしたんでは無いのか?」
リアスの気迫にたじろぐクリス。
「お前は賢者様の隣で、何を学んだんだ?賢者様の言う通り、お前は学んだことを覚えていないだけだろ?そんなヤツに命は預けられない」
「私も、今のクリスには命を預けられないわ」
リアスに同調する私。
「イッセーもヘタレだけど、お前よりは芯が通っているよ。エロさの部分ではな。お前はの芯はレイナーレへの想いだけで、他者はどうなろうと知った事では無いんだ」
図星って顔のクリス。
「クリス、リアスの言う通りだ。我々もお前には命を預けられない。お前がレイナーレを一番と考えるのは、お前の勝手だが、戦局にも影響するのであれば、話は別だ」
サーゼクス様もクリスにダメ出しをされた。
「なんで、分かってくれないんですか?みんな、あの賢者様に騙されているんですよ」
「どう騙されているの?」
私が訊いた。
「えっ…それは…」
口から出任せだったようだ。さして理由は無いように思える。だって、一番可愛がってもらっていたのはクリスであることを、私達は知っているから。
---リアス---
姉弟ケンカ…どこの家庭でもあることだが…
「はぁ?姉ちゃんくらい、簡単に倒せるんだよ!『ホーリーアロー』」
クリスの得意技…対悪魔戦最強の技である。だけど、私には効かなかった。
「なんで…効かないだって…」
恐ろしい物でも見るような視線を私に向けるクリス。そうかぁ~♪賢者様は私に聖属性に対する抵抗力を付けてくれたんだ。姉弟ケンカに勝つ為に。見捨てられた弟の代わりに、私を溺愛してくれるんだな。
「お前の腑抜けた攻撃なんか、効かないわよ♪」
初めてクリスに勝ち誇った私。
「これはどうだ…『ホーリーレイン』」
聖なる雨が私を襲うが…聖水に漬けられていた私には問題無いレベルである。
「どうしての、クリスちゃん♪」
「まさか…」
顔から血の気が引けていくクリス。どうしたんだ?
うっ!
瞬動術で懐に入り込み、腹部にパンチって…その場に崩れる私。
「どうしたよ、姉ちゃん♪」
形勢が逆転か…
「痛っ!」
乳房を鷲掴みにされた。千切れる…力任せで引っ張るな~!
「物理攻撃は効くみたいだな♪」
冷たい笑みを浮かべたクリス…
--------
いつ終わるのか…クリスの暴行が止まらない。服はボロボロで所々素肌が見えている。レイナーレ以外は眼中に無い愚かな弟には、そんなエロい姿も関係無いようだ。
「まだ、くたばらないのか…僕をそういう目で見るな~!」
ドン!
腹を蹴り上げられ宙に舞い、そのまま落下して地面に激突する。この繰り返しになってきた。顔が潰れていく。胸が裂けていく…
「そろそろ、地獄へ行ってもらうかな?」
え?まだするの?
『ホーリーニードル』
全身に聖なる針が刺さっていく。これは痛い…
「え?これで濡れるのか?姉ちゃん、ドエムじゃん♪」
内臓が灰になっていく。骨もかな…死の間際…なんて気持ちが良いのだろう…賢者様との屍姦プレイが想い出され、幸せな気分に浸る。
「死ぬことが、恐くないのか…」
「ふふふ♪恐いよ。でもね、幸せ時間が想い出せる。だから、満足だよ」
えっ!聖剣を手にしているクリス…それはダメだ。痛いだけで、気持ち良く無い気がする…
ズッコッ!
クリスが、殴り飛ばされた。
「リアス、生きているか♪」
賢者様だ…
「私の死体で、屍姦プレイしてくださいね…」
賢者様に抱かれて、賢者様の腕の中で…
---シュウ---
姉弟ケンカの域を超えていた。実の姉に聖なる攻撃をし尽くし、聖剣で終わらせようとしていた弟。
「お前は愚かで醜い悪魔だな」
「アンタに言われたく無い!」
心が完全に腐ったか?本質を理解出来ないのか?
「死ね!」
聖剣で僕を斬りつけるクリス。愚かな行為だ。
「えっ…なんで…クリス…」
背中にオンブしていたレイナーレが聖剣の餌食になった。呆然とするクリス。
「お前は、何度同じ過ちを犯すのだ?僕は透過体質なんだよ♪」
「そんな…レイナーレ…ねぇ、レイナーレ…」
レイナーレの冷たくなっていく身体を抱き締めるクリス。
「お前に罰を言い渡す!闇の牢獄に1億年の禁固だ」
僕の言葉を受けて、クリスだけが闇に沈んでいく…
「レイナーレはどうなるんですか?」
この期に及んでもレイナーレのことだけか…
---クリス---
見たくも無い映像が脳裏に映し出される。目を背けることは出来ず、ただそれらの映像を繰り返しみている。百代の死…敵に取り込まれる前に、ヴァーリに介錯を頼んで生の時間を閉じた。木場さんの死…イッセの足で纏いになると判断して、自ら切腹を…メイビスさんの死…ダークドラゴンと化したイッセーを止める為に出向き、そのイッセーに食われた…そして、ガイラの死…イッセーを支え続けたヴァーリの過労死寸前の魂を救う為に、自らの魂を差し出した。
僕は…何をしていたんだ…みんな1つことを成し遂げる為に、懸命だったのに…そして、賢者様がレイナーレをあまり受け入れ無い理由…賢者様の世界のレイナーレをしでかしたこと…アーシアさんの死…そして、レイナーレの死…
善い悪いは立ち位置により変わる。あのレイナーレは、彼女にとっての正義だった。でも、違う立ち位置では蛮行で有り、死に値する大罪かもしれない。
僕の立ち位置ってなんだろうか?レイナーレを愛し、大切に思う心…それが立ち位置になっていた気がする。そのレイナーレを人質に取られ…息子の言いなりになり、仲間達を死へ追いやった。だけど…人質であったレイナーレは殺されていた。それを救ってくれたのは賢者様である。
僕は一体、何をしていたんだ。僕は誰も救えていない。最強の悪魔と言われていたのに…どうして…
◇
刑期を満了した。考える時間はたっぷりとあった。でも、答えは出なかった。僕は何をすれば良いのだろうか…
ここはどこだ?暖かい場所にいる。隣にスヤスヤ眠っている胎児がいる。ってことは、誰かの腹の中で、僕も胎児なのか…
『お前に社会復帰する機会を与える。僕と出会わない人生を、やり直せ。今度は、やりがいを見つけろよ、クリス』
賢者様からの念話。僕はゼロから人生をやり直すのか…あの記憶を抱いたまま、賢者様と出会わない人生を…今度こそ僕なりの人生を満喫しよう♪
そして、賢者様と出会わない僕は、悪魔から恐れられ、レイナーレに出逢うも、僕の手で夕麻姿の彼女を手に掛け…最期は、禍団のボスとなった僕は、グレモリー眷属の手で…