※この作品はR-18です。

神器なき男 (再編集版)   作:もっち~!

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3-0 悪夢の道化師~新・紅髪の少女
冥界から消えた少女


 

冥界に住む、グレモリー家次期当主の紅髪の少女リアスは、とても幸せだった。優しい父、髪の色以外は外見が似ていて姉妹のような母、自分の成長を優しい目で見守ってくれている兄夫婦。明るく、活発な少女。そんな印象を持つ少女だった。魔王である兄を目標に、日々鍛錬をしていく。兄ほどの才能はなかったが、それなりに成長をしていくリアス。

 

だが、ある日を境に、彼女の人生の歯車は、ズレて行くのだった。

 

 

ある夜、グレモリー卿は酔って帰宅した。いつもは、妻が迎えてくれるのだが、その日は会合で留守にしていて、たまたま娘のリアスが出迎えた。しかし、髪の色以外似てい為、酔いで妻と勘違いをしてしまった彼は、いつもより若々しいフェロモンをまき散らす娘に、欲情して寝室で無理矢理交わった。娘の嫌がる声を喘ぎ声と思い、フィニッシュまでして寝てしまった。

 

会合は長引き、深夜近くに帰宅した妻、ヴェネラナ・グレモリー。寝室に向かうと、夫が娘と…夫は娘に挿したまま熟睡をしている。そして娘は目を真っ赤にして、涙で濡れていた。すぐさま夫を起こし、事の顛末を聞き出す。現実を突きつけられた夫は、顔面蒼白で狐に摘ままれたようであった。

 

翌日、娘は母親に連れられて、医療機関に向かったが、精神を病んでいるとの判断が下された。その日から娘は病院で過ごすことになった。以前の明るく、活発な紅髪の少女はそこにはいなかった。1日中窓の外を見ている。遠くを見つめている。これは夢なんだと思いたかったのかもしれない。

 

月日が経ち、彼女の身に異変が起きた。妊娠していたのだ。あってはならない親子交配。子供を堕ろすという概念が無い、冥界においては産まざる負えなかった。少女期の出産、グレモリー家としての汚点。魔王輩出家としても、隠さないといけない汚点であった。産まれた子は男の子で、兄夫婦が育てることになった。名前をミリキャスと名付けた。生みの親である紅髪の少女は、冥界からいつの間にか消えた…

 

 

 

---イッセー---

 

俺は兵藤一誠。愛称はイッセーだ。兵藤家の長男である。父はサラリーマン、母は専業主婦という一般家庭である。少し他の家庭とは違うのは、両親ともに民生委員というボランティアをしているせいで、親に虐待にあった子とか、親と死に別れた子とか、訳ありの女の子を受け入れている。何故に女の子ばかり?って親に訊いた事があったのだが、娘が欲しかったのと、将来の俺のお嫁さん候補にもなればいいかなって…少し不純な理由のようだ。

 

まぁ、一般の家よりかは部屋数は多いし、養育費名目での寄付が有るおかげで、家計は少し黒字気味らしいけど、俺のお小遣いは一向に増える兆しはない。

 

今、一緒に住んでいるのは、1つ上の姫島朱乃ちゃん。巫女の母親と神社に住んでいたんだけど、押し込み強盗に入られて、母親は殺されて一人になってしまったそうだ。あと、同い年のヴァーリは祖父によるDVで両親が殺されてしまったらしい。共に暗い過去持ちだけど、今では三人姉弟のようだ。

 

今日も、また一人、心に傷のある紅髪の少女が、我が家にやってきた。実の父親にレ●プされたそうだ。一応、親から理由を聞かされて、傷に触れないように関係を築くように教育された俺。どう接して良いのかな?当面は、男性は近づかないように、することになったので、朱乃ちゃん、ヴァーリが心のケアを手伝うようだ。

 

こういった彼女達を、いつも我が家に連れて来る、アザゼルっていう人物がいるのだが、この人物はとても怪しい。結構、歳がいっているのだろうに、髪にメッシュを入れて、作務衣をいつも来ている。名前からして外国の人だと思うのだが。親によると教会の人で、この人物によって、彼の所属する教会の民生委員をすることに、なったそうなんだけど。まぁ、いつか正体を暴いてやる。

 

朱乃ちゃんは中学3年、俺とヴァーリは中学2年、同じ中学校に通っている。3人で通学しているので、モテない同級生から、羨望の眼差しで見られてはいるけど、実際問題、手は出していない。他人には話せない事情を知っているからね。

 

俺の今の悩みは、エロの権化と言われる程の、エロい少年だったのだが、こういう家庭環境になってから、女性を異性と感じなくなってきたことだ。かといって、同性に興味は無いし。はぁ…

 

彼女達と住む前は下校部だったのだが、彼女達と住むようになってからは、三人で剣道部に入部してクラブ活動をしている。二人に誘われたことも理由だったけど、二人を守れる男になりたいって思ったのも入部理由になるかな。

 

なので、下校も三人一緒である。姉弟として暮らしているけど、養子縁組ではないので、姓が皆異なる。それが周りからの羨望の元だと思う。

 

今日の下校途中、怪我をした猫を2匹見つけた。小さな白猫を少し大きな黒猫が守るように、僕らを威嚇してきた。僕は2匹を抱き上げた。警戒していた黒猫に引っかかれたけど。放ってはおけないからね。そのまま、家にお持ち帰りした。

 

自分の部屋に猫2匹を連れ込んで、怪我を治療していく。そんな僕の怪我をヴァーリが治療してくれた。朱乃ちゃんは段ボール箱を持って来て、毛布を敷いてあげ、そこに治療を終えた猫を、ゆっくりと置いた。

 

三人の連携プレイでの猫救出作戦が終わるころ、僕の部屋を覗き込む紅髪の少女がいた。ふと僕の目と合った紅髪の少女。

 

「ごめんなさい。覗くつもりはなかったけど、楽しそうな声が聞こえたから」

 

少し申し訳なさそうな少女。

 

「僕はイッセー。君の名前は?」

 

「私は…リアス…リアス・グレモリーよ」

 

彼女から僕に話しかけた事に、朱乃ちゃんとヴァーリの顔が嬉しそうだった。

 

------

 

朝目覚めると、身体が重い。右に黒猫が、左に白猫が抱きついていた。猫は2匹だよな?身体が重いのは何故?しばし考える俺…その内、掛け布団がモソモソしだして、布団から顔が出て来た。リアスだった…えぇぇぇぇぇ~!なんで?

 

「リアス、どういうこと?」

 

理由が思いつかない俺は、リアスに直接理由を訊いた。

 

「ごめんなさい。私、抱き枕が無いと熟睡が出来ないの…」

 

あぁ、俺って抱き枕なのね…腕に抱きついている猫2匹も、俺を抱き枕と認識したんだね。とほほ…

 

布団からリアスの身体が出て来て、更にビックリ…全裸だ…アンダーヘアーは髪の毛と同じ色なんだ…と、マジマジと見ている俺。リアスはベッドから出て、黙々と服を着ていた。

 

「ねぇ、なんで全裸なの?」

 

「私、全裸で無いと熟睡できないの♪」

 

あぁ、そういうことなのね。アレがしたくて来た訳で無いのか。って、言っても俺の逸物は全裸を見た位では反応しなくなっている。哀しいなぁ。昔はエロ本で抜けたのに…

 

猫達を段ボール箱に戻して、彼らの食事を取りに行く。部屋を出たところで、朱乃ちゃんと会った。

 

「早々と、リアスと打ち解けて良かったね」

 

笑顔で僕に話し掛けて来た朱乃ちゃん。

 

「でも、リアスの裸見ても、反応しないんだよ」

 

と、切実な悩みを朱乃ちゃんに打ち明ける俺。

 

「まぁ、しょうがないんじゃないの?この家では、年頃の美人の裸見放題だから、実際に何かしないとダメなんだと思うよ。今夜、試しに私に食べられてみない?」

 

朱乃ちゃん、朝から笑顔でそんなことを…ますます、反応しなくなりそう。キッチンに行くと、母さんと朱乃ちゃんが朝食の準備をし始めた。俺は、猫達の食事を準備して、自分の部屋に向かう。途中、ヴァーリに出逢った。

 

「おはよう、イッセー」

 

「おはよう、ヴァーリ。休みの日は一番遅いなぁ。もう、朱乃ちゃんはキッチンにいるよ」

 

俺の言葉を聞いて急いで、キッチンに向かうヴァーリ。食事担当は母さんと朱乃ちゃんとヴァーリが担当なんだ。

 

自分の部屋に戻り、猫達を箱から出して、それぞれのエサの前に置いてあげる。食欲旺盛で、無我夢中でエサを食べる二匹。名前をどうしようかなって、考えていたら、「黒歌、白音」って名前が聞こえたような…?

よし、黒猫を黒歌、白猫を白音にしようっと。

 

 

------

 

 

我が家には七不思議があったりする。

 

まず、家が成長している気がするんだ。父さんに訊いても、母さんに訊いても、「気のせい」って言われるんだけどね。僕の小さい時の記憶では木造平屋だった気がするんだけど、今は鉄筋コンクリート造りで3階建てなんだよ。改築をした記憶も、引っ越した記憶もないのに。あと、お風呂場が狭かった覚えがあるんだけど、今は女湯、男湯に別れていて、それぞれ数名が同時に洗える広さなんだよね。

 

2番目は、黒いドレスの女の子がたまにいるんだ。父さんの休みの日に、父さんの足の上に座っているんだ。僕は成長しているのに、その娘は全然成長していない感じなんだ。あの娘は誰って聞いても、「お前の妹だろ」って、理不尽な答えが返ってくる。僕が小さい時は、僕の面倒見てくれていたはずなのに…座敷童かな?

 

3番目は、あのアザゼルって男。教会関係者なのにいつも茶色の作務衣姿って変。あの人は何者なんだろうか?

 

4番目は…僕は本当にあの両親の子供なのだろうか?ふと、そんなことを思う時がある。なんでだろう?

 

 

------

 

 

休日の午後、今日はお客様が来ているようだった。新しい入居者かな?って、思っていたら、僕ら全員が呼び出された。え?猫も?なんで?

 

1階のリビングへ向かうと、両親の他に、アザゼル、座敷童、知らないお兄さん…リアスと同じ髪の色だ…あと、幼なじみのイリナちゃんのパパ、金髪の知らないお兄さんがいた。

 

「そこに座りなさい」

 

父さんが俺達に言った。父さん、母さんの後ろに座った。リアスの顔は強張っていたので、軽く手を握ってあげた。

 

「ありがとう…」

 

リアスのか細い声のお礼の言葉が聞こえた。

 

「まず、これをリアスにだ。君のお兄さんが持ってきてくれた。少し早い高校入学のプレゼントだそうだ」

 

父さんからリアスに箱をが手渡された。中にはチェスの駒の様な物が入っていた。

 

「お兄様、これって…」

 

リアスの声に反応して、紅髪のお兄さんが口を開いた。

 

「そうだよ。リアスの悪魔の駒だ。まず『王』をリアスに入れてごらん。リアスは『王』になる儀式が受けられないから、特別に駒を入れるんだ。さぁ」

 

リアスは言われる通り、『王』の駒を身体に当てると吸い込まれて消えた。

 

「それで良い」

 

笑顔のリアスのお兄さん。

 

「次に、そこの猫2匹。本当の姿を現しなさい」

 

母さんが猫に話しかけた。え?本当の姿?猫達は人の身体に変身した。白髪で小柄な白音、黒髪でなぜか和服の黒歌。人の姿になって、オドオドしている二人。

 

「黒歌、お前の罪を許す。条件として、我が妹の眷属に姉妹でなって欲しいのだが、どうかな?」

 

リアスのお兄さんから、黒歌に言葉が向けられた。

 

「サーゼクス様、罪を無くしていただけるんですか?それであれば、喜んでお受けします。姉妹が離れることが無くなりますから。寛大のご処置、ありがとうございます」

 

リアスのお兄さんは、サーゼクスさんって、言うのか…偉い人のようだけど…

 

「リアス、黒歌に『僧侶』の駒を、白音に『戦車』の駒を入れなさい」

 

お兄さんにいわれた通りに駒を入れたリアス。黒歌からは、『僧侶』の駒が2つ出て来た。

 

「出て来た駒は私が預かる。さてと、朱乃君に『戦車』の駒、ヴァーリ君に『兵士』の駒を4つ入れて差し上げて」

 

リアスは頷いて、駒を入れていく。

 

「オーフィスには『女王』の駒を入れて。オーフィス、イッセー君の傍に居たいのであれば、能力値を少なくして」

 

頷いた座敷童に『女王』の駒が吸い込まれていった。

 

「最後にイッセー君に『兵士』の駒を4つ入れてあげて」

 

え?僕にも?リアスの手に駒が握られて、僕の身体に触れると溶け込んでいった。

 

「これで、儀式めいたことは終わりです。イッセー君」

 

って、言われても?チンプンカンプンな俺。

 

「イッセーが困惑しているので、自己紹介でもしてもらおうかな?」

 

「教会の戦士、エクソシストである紫藤トウジです」

 

と、イリナちゃんパパ…教会の戦士?

 

「堕天使総督アザゼルだ、ボウズ」

 

と、アザゼル…堕天使総督?

 

「我 無限の龍神 オーフィス」

 

と、座敷童…えぇ?龍神様?

 

「魔王サーゼクス・ルシファー。妹の事、ありがとう、イッセー君」

 

と、リアスのお兄さん…魔王?ってことはリアスは…

 

「天使長ミカエル。」

 

金髪のお兄さん…天使長?おいおい…

 

「堕天使と人間ハーフ、姫島朱乃」

 

朱乃ちゃん…

 

「悪魔と人間のハーフ、ヴァーリ・ルシファー」

 

ヴァーリ…

 

「悪魔、リアス・グレモリー」

 

リアス…

 

「猫しょう、黒歌」

 

黒歌…

 

「猫又、白音」

 

白音…

 

 

俺ら親子とイリナちゃんパパ以外、人間はいないって事?いや、なんで教会の戦士と魔王と堕天使の総督と天使長と竜神様が同席しているんだ?

 

俺はいきなり気が遠くなって、ホワイトアウトした…意識が戻ると、リアスの膝の上だった。

 

「イッセーには、刺激が強すぎたかな?」

 

父さんが笑っている。俺が頭を上げようとしたら、リアスの手が俺の頭を抑え付けた。

 

「まだ、横になっていた方が良いよ」

 

父さんの笑顔がマジ顔になって、俺にある事が語られた。

 

「イッセーには、本当の事を話さないといけないんだ。ずっと隠し通せれば良かったのだけど、リアス君の眷属問題で、そうもいかなくなった」

 

「すみません。我が家、グレモリー家のせいで」

 

リアスのお兄さんが申し訳なさそうに、父さんに言った。

 

「いや、いつかは話さないといけないことだったから。この幸せの空気をもう少し吸っていたかったから。総ては私達夫婦のせいだ。イッセー、いや、イッセー君、すまない」

 

え?父さん…なんで他人行儀なの?

 

「イッセー君の本当の両親は、君が赤子の時に事故で亡くなったんだ」

 

え?

 

「私サタンと彼女ガブリエルの禁じられた恋の結末、教会からの刺客、天界からの刺客、堕天使からの刺客、そして冥界からの刺客から、私達は逃げていた。無我夢中でね。そんな時に、放たれた攻撃を避けていた私達が、君の両親の乗っていた車に、衝突してしまった。即死ではなかったが、虫の息だったんだ。関係無い者巻き込んで、呆然としていた私達の元に、ここにいる大人達が全員集まってきた。その時、イッセー君のお母様のお腹には君がいたんだ。どうにかして、イッセー君を助けようと悩んだ末、私とガブリエルが死んだ事にして、私達が君の両親の魂と共に身体にいることで、延命したのだ。いつしか君の両親の魂は、天国に昇華されていき、私達がこの身体を自分の物とした。そして、君を育てていたのだ。今まで、騙していて、すまない…」

 

父さんと母さんは、俺に土下座をした。そして、俺も起き上がって土下座をした。

 

「父さん、母さん、何にも取り柄のない息子ですが、これからも両親でいてください。お願いします」

 

「え?いいのか?」

 

「本当にいいの?」

 

「だって、産まれてから今迄、ずっと両親だったんでしょ?だったら、これからも両親でいてください。お願いします」

 

両親に抱きつかれた俺。朱乃ちゃん達が笑顔で見守ってくれていたのは、俺の方だったのかもしれない。それぞれ心に傷はあったけど、俺の為に傍にいていくれたのかもしれない。

 

「天界の代表として、元大天使ガブリエルに一言。これからもイッセー君の為に生きてください」

 

天使長のミカエルさんから、母さんに言葉が掛けられた。

 

「冥界の代表として、元魔王サタンに一言。これからもイッセー君とリアスの事を頼みます」

 

魔王のサーゼクスさんから、父さんに言葉が掛けられた。

 

-----

 

そして、この日を境に、みんな兵藤姓になった。高校は、サーゼクスさんが理事長を務める学校に、学力を問わずに全員入学できる特典付き。学校にかかる費用は総てグレモリー家持ちだそうだ。

 

父さんと母さんの本当の仕事、各勢力で生じた問題で傷ついた子供を、俺の家族として引き取り、育てることだったそうだ。家が成長するのも、俺の気のせいではなくて、実際に家族構成に合わせて、今も成長中のようだ。

 

 

 

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