※この作品はR-18です。

神器なき男 (再編集版)   作:もっち~!

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翼を貰ったアイズ

---アイズ---

 

買い物には、私とシュウさんと二人の予定だったのに、他の3名も付いてきた。

 

「へぇ、色々なファミリアがお店を出しているんだね。僕達のファミリアでも商売しようかな…今は無理だけど」

 

「無理なんですか?」

 

あの飲み物を売って欲しい私が訊いた。

 

「あぁ、まだ依頼をこなすメンバーと、調査しながら稼ぐメンバーが、決まっていないから。お店を運営するメンバーが決まらないんだ」

 

「あの飲み物は売って欲しいですわ」

 

ティオネが希望を出した。

 

「あれは、無理だな。この世界では手に入らない食材だから。まぁ、向こうの世界から持ち込めば可能だけど…まぁ、それも含めて、すぐには無理だ」

 

残念そうな三人…え?ガレスも?

 

「たまに遊びに来てくれたら、また飲ませてあげるよ。大人数だときついけどね」

 

「「是非!」」

 

「食材関係だけでいいんですか?冒険に必要なお店を案内していませんが」

 

私は、彼に訊いた。

 

「装備とか薬とかは自前で、どうにか出来るから」

 

自前で?装備も薬も作れるってこと?

 

「そう、作れるよ」

 

心が読まれている…

 

「えっ?心が読めるんですか?」

 

「読めるよ。心も、その人の持つ腹黒さとかもね。腹黒い神は、即送還するつもりだよ」

 

「隠し立ては出来ないんですね」

 

「うちのメンバーはみんな、心が読めるから、注意してね。腹黒さを出すと痛い目に遭うからね」

 

「怖っ!」

 

って、ティオネ。腹黒い考えを持っていたの?

 

「あと、未来予知できる者もいるから、大体の罠とかも事前にわかる」

 

「神以上の能力持ち集団ってことか?」

 

と、リヴェリア。

 

「ある意味そうかもしれないなぁ。うちの子供なんか生後半年くらいで、神を屠ったし」

 

生後半年で…『神殺し』親子か。

 

「そうだよ。『神殺し』親子だ。アイズさん」

 

あっ、読まれるんだった。読まれた恥ずかしさで、顔が紅潮してきたのがわかる。

 

「ねぇ、どこに一服できるお店はないのかな?」

 

「あっ、ご案内します」

 

私は、女主人のミアさんが切り盛りしている酒場、豊饒の女主人へお連れした。

 

「へぇ、色々なメニューがあるんだ。ここは奢るから好きな物を頼んで」

 

しかし、彼の頼むモノはすべて、この世界に無い物ばかりで、ミアさんも困っていた。

 

「ウチで出来るモノを、頼んでくれないか?異国の人よ」

 

「お酒の入っていない飲み物をお願いします。はぁ…当分、自分のホームでしか飲み食いできないかな」

 

凹んでいるシュウさん。私はジャガ丸くんを頼み、シュウさんに少し分けた。

 

「あぁ、これおいしいなぁ」

 

シュウさんの口に合ったようだ。

 

「そうだ、この町には要らない腹黒い神がいたら、教えてくれないかな?」

 

え~、そんなことをいわれても…いたとしても言えないよ。

 

「居ても言えないかぁ。一柱ずつ会うしかないか。さて、この後、どうする?アイズさん」

 

「シュウさんは?」

 

彼の予定に合わせようと思っていた私は尋ねた。

 

「すでに仲間が潜っているので、合流する為に迷宮へ行こうと思う。アイズさんも来ます?」

 

「ちょっと、待ってくれ。アイズだけでなくて、我々も連れて行ってくれないかな」

 

と、リヴェリア。

 

「いいですよ」

 

シュウさんが支払いを終えて、お店の外に出て、近くに寄るように指示した。私達は光に包まれて、一瞬で迷宮の中にいた。

 

「これって魔法?」

 

リヴェリアが驚いている。いや私達みんな驚いている。こんな魔法は見たことない。

 

「そう転移魔法だ。一度行ったことがある場所か、仲間のいる場所なら転移できる。で、ここは150階だ。ヤマト、どんな感じ?」

 

え?150階…見たことがない大きなドラゴンやら魔獣がいる。それを一瞬で灰にしていった。迷宮のモンスターは、胸部辺りに魔石があって、倒してそれを取り出し、ギルドで換金するのだ。

 

「クリスとガイアだけで、まだ行けます」

 

「ヤマトの能力で一撃でいけそうだぞ。モンスターから魔石を『強奪』してみて」

 

「了解!」

 

前方からデカイモンスターの群れが襲いかかってきた。ヤマトと言われた少年が短い詠唱をすると、一瞬でモンスターの群れが灰になって消えた。

 

「シュウさん、これチートでしょ。迷宮で無敵かもしれないですよ」

 

「大群の時は、ヤマトもソレで屠って行ってな」

 

「とりあえず999階あたりまで、一気に行けないかな?」

 

空中に紋様のある円が2つ浮かび上がった。そこから2匹の巨大すぎるドラゴンが出現した。100m以上ありそうだ。

 

「あと、ムゲン頼む」

 

ムゲンと呼ばれた少年がドラゴンになっていった。私達は恐怖から地面にへたり込んでしまった。恐怖から声も悲鳴も出ない。

 

「ムゲン、オーフィス、アポ、一点集中で地面に、出来るだけ深い穴を開けるぞ」

 

「「了解!!」」

 

ど、ドラゴンがしゃべった…彼の声にドラゴンが返事している…彼の背中に翼が展開して、空に浮かぶと、彼の身体を光が包み込んだ。そして、一点に向けて一人と3匹から様々な色の光の束が撃ち込まれた。光の束が当たった箇所は爆ぜて、穴が開いている。

 

「アポ、オーフィス、ムゲン、サンキュー!」

 

シュウさんが私達の前に降り立った。

 

「シュウさんって、ヒューマンでは無いの?」

 

「僕は鬼と天使のハーフだよ」

 

鬼?天使?なんだろう

 

「あぁ、この世界には鬼も天使もいないのか…ギガンデスとエンジェルのハーフと言えばいいのかな?」

 

え?魔物とエンジェルのハーフ?何?その組み合わせは…

 

「よく言われるよ。その組み合わせは、チートだろうってね」

 

苦笑いしている彼。

 

「一番チートな組み合わせは、ヤマトなんだけどね。なんたって、最高神とヒューマンのハーフだし」

 

え?最高神様の子供?それって、私達の主神より上の位じゃない…

 

「シュウさん、僕をチートと言わないでください。シュウさんのチームは全員チートなんですからね」

 

笑って答えているヤマトさん。

 

「どこまで抜けたかな?」

 

「ねぇ、シュウさん。シュウさんの能力の、重力系ので抜いた方が、速いと思いますよ」

 

「ヤマト、それ名案だよ」

 

地面に落ちている小石を拾って、穴の上に放るシュウさん。穴の上に到達した小石が、勢い良く落下していった。

 

「取り合えず、10万倍で落としたけど。よし、下へ行くぞ。アイズさん達は飛べるのかな?」

 

飛ぶ?

 

「あぁ、飛べないのか。リア、ヴァリ、ガイア手伝って上げて。さぁ、アイズさん行くよ」

 

え?私を抱えて、穴にダイブしている彼。翼を使って緩やかに降りて行ってくれた。翼いいなぁ。

 

「アイズさん、翼が欲しいのかぁ?ヤマト、アイズさんにあの翼をコピーしてあげて」

 

「了解!」

 

ヤマトさんから赤い玉が飛んできて、私の身体に吸い込まれた。

 

「アイズさん、翼をイメージしてみて」

 

イメージして、背中に力をいれると…私の背中に炎の翼が展開した。

 

「それはフェニックスの翼だ。使いこなせれば、炎系のダメージを防げる。ゴメン…髪の毛が赤くなってしまった…」

 

あぁ、翼と同じ色かぁ…

 

「翼とセットですね…気にしませんから。寧ろ嬉しいです♪」

 

「アイズ、翼をもらったのか?」

 

と、リヴェリア。頷く私。

 

「さて、ここは何階だ。リア」

 

「900階です」

 

「キリがいいから、今日はここまでにするか。この階を探索して、帰ろう」

 

「了解!」

 

初日に900階を制覇って…「重傑」といつ二つ名を持つガレスでさえ、その場の雰囲気から来る恐怖により、その場を動けないでいた。その後5分くらいで地上、ギルドのあの奥の部屋に転移した。

 

--------

 

「また、豪快に稼いできましたね。ギルドには、こんなに沢山支払う能力は無いです」

 

ギルド員のミカエルさんが嘆いていた。

 

「じゃ、ギルドに貸しねぇ」

 

「億越えして兆になりそうだわ。はぁ…で、何階層まで到達しました?」

 

「初日だし900階で止めたよ」

 

「初日で900階層ですかぁ?はぁ…そんだけ深く潜れば、あれだけ稼げるのは納得です」

 

「参加メンバーのレベルは測るの?」

 

「そんな無駄なことしません。どうせ計測不能でしょ?はぁ…」

 

「じゃ、また明日ねぇ。ミカエルさん。ヤマト達は先に帰って。僕はアイズさんのホームに行くから」

 

「了解!」

 

「私達のホームに、何か用か?」

 

リヴェリアが尋ねた。

 

「今後、アイズさんに会いに行くのに、転移を出来るようにしたいからだよ♪」

 

私に逢いに?顔が紅潮していく。嬉しい…

 

「翼の使い方をレクチャーしないと、宝の持ち腐れになるからね」

 

手とり足とり…あぁ、想像しただけで、とても嬉しい気分だ。

 

 

 

---フィン---

 

アイズ達が噂の人物を連れて来てくれた。色々訊くことがあったので、好都合だ。アイズ以外は相当疲れているみたいだ。あのガレスでさえ顔が蒼白である。アイズの顔は紅潮しているし。なんでだ?

 

「リヴェリア、迷宮に行ったのか?」

 

「あぁ、900階層まで」

 

「おい、900階層って、ありえないだろう」

 

60階層に到達したファミリアは未だに無い。それが事実だとしたら、コイツは何者なんだ?

 

「ガレスの表情が物語っているだろ?恐怖で顔が蒼白なんだぞ♪」

 

リヴェリアがガレスを指差した。そういえば、ガレスの身体が小刻みに震えていた。力強いドワーフ族の彼が、こんなになるなんて、見たことがない。

 

「あのぅ、主神のロキさんは、どちらですか?」

 

「ロキ様は不在だ。なに用だ」

 

「地上に置いて良いかの判断をしようかと」

 

「どう意味だ?」

 

「そういう意味です。僕に敵意を向けて来ていますが、やりますか?そこのウェアウルフさん」

 

彼が言い終わる前に、ベートが動いた…が、反撃に合いベートの首は、綺麗に落とされた。彼の手には一振りの刀が握られていた。

 

「いつの間に斬ったのだ?見えなかった」

 

「見えたのでは遅いですよ」

 

「おい、なんの騒ぎだ」

 

あぁ、このタイミングで主神のロキが帰ってきた。

 

「なるほど、腹黒くは無いが怠惰みたいだな。今日のところは、保留にしておこう、ロキよ」

 

「はぁ、貴様、何様や?神に向かって…って…おいおい…その紋章は…」

 

酔って赤ら顔だったロキの顔が蒼白に染まっていく。

 

「天界からの刺客。『神殺し』シュウだ。ロキよ、もう少し精進しろ。でないと送還するからな。アイズさんには世話になったので、今日は保留にしておく。じゃ、アイズさん、また明日ね♪」

 

そういうと、彼は目の前から消えた。

 

 

 

---アイズ---

 

ガレスだけでなくて、主神のロキも顔面蒼白で身体が小刻みに震えている。

 

「ベートをどうするか?アイズ、彼に頼んで、生き返らせてくれないか?」

 

リヴェリアに頼まれた。ベートが先に襲ったのに、頼みづらいよ。

 

「リヴェリア、彼は蘇生能力を持っているのか?」

 

フィンの問いに、リヴェリアが頷いた。

 

「彼は神以上の能力を持っている。実際、ガレスの蘇生する場面を見ている」

 

リヴェリアが証言をした。私は主神を睨んで、

 

「これから、お詫びに行きましょう。そしてベートのことを頼んでください」

 

フィンが主神を支えて、私の後に続いた。

 

--------

 

シヴァファミリアのホームに着くと、私達の主神は縮こまった。彼の主神ってロキよりもエライ神様だったのだ。

 

「で、一般の神風情が、私に何の用だ?」

 

放たれるオーラで私達3名(正確には2名と1柱だけど)は縮こまった。神々しい上に恐怖心を煽るオーラだ。

 

「あっ、私の子供が無礼な振る舞いをして、首を跳ねられたそうです。すみませんでした」

 

いつもの怪しい方言を使わず、謝罪の言葉を述べているロキ。

 

「謝って済むなら、戦争は起きないと思わないか?こんな都市、一撃で塵に出来るのだぞ。シュウ様が、それじゃまずいっていうから、我慢しているのになぁ」

 

え?エライ神様がシュウさんに『様』付?エライ神様より偉いのね。宇宙神様の秘蔵っ子は。

 

「アイズさん、僕は偉くないよ」

 

あっ、また読まれちゃった。

 

「ロキ、今回の件は許してやる。その代わり、シュウ様のお気に入りのアイズって子は、私達のファミリアにもらう。あと、ロキファミリアは、私のファミリアの傘下に入ってもらうぞ。いいな?異論、反論は認めないから。こんな裁定で良いかな?シュウ様♪」

 

「ありがとう、シヴァさん。アイズさん、おいで。君の住む部屋に案内するから」

 

「ちょい、待ち~や!アイズたんは渡さへんでぇ~!」

 

「私の裁定に異論、反論が有るのか?それが何を意味するか、わかっているな」

 

「新参者の神に言わと~ないわ!」

 

その瞬間、この空間の空気が一変した。息苦しい。押しつぶされそうな威圧感…何が起こったの…

 

「「おい、シヴァさんに謝れ!」」

 

ヤマトさんと彼が、声を上げた。

 

「天界に送還されて、良いってことだな?」

 

彼の目つきが鋭くなった。身体から放たれているオーラは死を感じる物になっていた。

 

「天界にまでアイズさんは連れていけないぞ。どうするんだ?酔いどれ神よ!」

 

主神のロキの目は泳いでいるようだ。パニッくっているのか?

 

「あぅあぅ…」

 

あまりの恐怖に、泡を吹いて失神してしまった主神…ロキ…

 

「しょうがねぇなぁ。こんなの天界に送還しても、役立たたないだろうな」

 

シヴァ様に視線を向ける彼。

 

「決めるのはシュウ様です。私はあなたのアシストをするだけですよ」

 

「う~ん、どうしよう。そこのパルゥム(小人族)は、団長さんかな?」

 

「そうだ。団長のフィンだ」

 

フィンも顔色が悪い。私は…私の頭に、彼の手が置かれた瞬間から、暖かいオーラに包まれ、普通に息が出来ている。

 

「先ほどの条件を飲んで欲しい。あなた方の主神ではお話にならない。断れば、主神は送還する。どうする?」

 

シヴァ様がフィンに迫る。

 

「わかった。団長として主神の代わりに、その条件を飲む」

 

「見返りになるかわからないけど、首をはねた者を蘇生して、ロキは保留のままにしておく。それで良いかな」

 

「それでお願いします」

 

「では、送ろう。ガブ、アイズさんを部屋に案内しておいてくれ」

 

「了解♪」

 

彼は、フィンとロキと一緒に転移して、少しして戻られたようだ。ガブさんに部屋に案内してもらった。3階部分に私の部屋があり、ドアには私の名前が書かれていた。

 

ガブさんから、この家のルールを習った。お風呂が男女別にあることが嬉しかった。そして、お風呂が広くて数人一緒に入れるのも嬉しい。ロキファミリアでは1つしかなくて、ゆっくりと身体を洗うことはできなかったから。あと、身体を洗う液状石鹸と髪の毛を洗う液状石鹸もあるのが嬉しい。私は思う存分、洗い場で全身を洗い、湯船という物に浸かった。

 

 

 

 

 

 

 

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