※この作品はR-18です。

神器なき男 (再編集版)   作:もっち~!

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借金返済

 

 

---ソーナ---

 

永い旅から帰って来たと思ったら、休む暇なく依頼をこなしに、次の旅に行ってしまったシュウさん。週末には帰って来るみたいだから、その時に、私達の学園を見てもらおうと思う。シュウさんの育てた、イッセー君や椿姫やヴァイラが教鞭を執っている姿を、見て貰わないとね。

 

シルキーも立派になっちゃって。私も頑張らないといけないなぁ。

 

 

 

---アイズ---

 

目が醒めると、疲れが残っておらず、晴れやかな朝を迎えられた。こんな朝は、何年振りだろうか。入浴剤というものは、疲れが取れやすいのだろうか。着替えて、1階に降りて行くと、彼が声を掛けてくれた。

 

「アイズさん、おはよう。眠れたかな?」

 

「はい。後ですね…私の事はアイズと呼んでください。シュウさんは団長さんなんですから」

 

「わかったよ。アイズ。朝食を食べたら、出かけるよ」

 

私は頷き、テーブルの傍の椅子に座り、朝食を取った。どれも美味しい。食べたことが無い食材、料理ばかりだけどね。

 

「シュウさん、今日の予定はどうします?」

 

ヤマトさんが、シュウさんに声をかけた。

 

「ヤマト達は1000階を目指して。僕は、アイズと街を探索するよ。で、明日、2つ目の用事を済ませてくる予定だ。少し戦力が要るかもしれないから、今日中により深く潜ってみて欲しい」

 

「わかりました」

 

「問題は、昨日開けた穴が残っているかだな」

 

「その辺りを調査してみます」

 

「リア、ヴァリ、調査をよろしく」

 

「「了解!」」

 

食事が終わり、彼と私で街に繰り出した。

 

-----

 

「どこに行きますか?」

 

「豊饒の女主人に行きたい」

 

うん?なんで?

 

「ちょっと、商品を売り込みにね」

 

あぅ、そうだった。心が読まれるんだ。声に出さずに、会話が成立するって不思議だ。

 

「アイズは声を出さなくても会話が出来るよ。僕らのファミリアで、お店を出せないって、話しをしたでしょ?なので、代わりに売ってくれるお店の開拓なんだ」

 

「団長さんのする仕事では無いと思いますが」

 

そういうのは営業担当とか、副団長とかの役目だと思う。

 

「僕は雑用係で良いんだ。皆が担当している仕事をやってくれてるし」

 

話している間に、豊饒の女主人に到着。店内に入ると、ヘスティア・ファミリアのベルとロキ・ファミリアのリヴェリアとフィンがいた。

 

「ミアさん、これを味見してください」

 

彼は、飲み物と焼き菓子を差し出した。この店の女主人のミアさんが、見たことのない飲み物、焼き菓子を試食した。

 

「美味しいねぇ。この店で売りたいのかい」

 

「食材が集まり次第、ある程度の量を持込ますので、売っていただけますか?」

 

「この味なら、売れるよ。じゃ、頼んだよ」

 

商談が成立して、私達がお店を出ようとした時、フィンが声を掛けて来た。

 

「昨晩はすまなかった。生き返らせたもらったのに、暴言を吐いてしまって」

 

フィンとリヴェリアは頭を下げて謝ってきた。

 

「いいですよ。僕は新参者ですし、彼のお気に入りを、手に入れたから」

 

え?それって、私の事?彼の言葉が続いた。

 

「それに、新参ファミリアの傘下になるっていうのは、屈辱でしょうし」

 

「いや、新参であっても、実力は一番だと思う」

 

リヴェリアは経験したから。

 

「アイズ、あの子は?」

 

彼が指差したのはベル君だった。確か、借金を抱えたファミリアの子だ。

 

「借金か…。彼の主神に会いたいな」

 

彼はベル君に近づき、

 

「君の主神に会いたいのだけど、どこへ行けば会えるかな?」

 

「なぜ?」

 

「新参ファミリアなので、ご挨拶に行きたい。君みたいな戦士を抱えている主神なら、間違いないと思ってね」

 

まさか…

 

「アイズ、逆だよ。こんな素直で正直なオーラを纏っている戦士のいるファミリアだよ。きっと素敵な神様が主神のはずだ」

 

オーラの質がわかるの…私もフィン達も驚いている。

 

「じゃぁ、付いて来て下さい」

 

フィン達をお店に残して、私と彼はベル君の後を追った。廃墟みたいな教会に入っていくベル君。中にはベル君の主神ヘスティア様がいらした。こんな場所にホームがあるの?

 

「初めまして、この街に来たばかりのシヴァ・ファミリア団長の『神殺し』シュウといいます。貴方のファミリアの借金を肩代わりしようと思います」

 

「え?なんで?」

 

驚くヘスティア様とベル君。

 

「彼のような戦士が仕える女神様なら、間違いなく地上に必要な神と判断しました」

 

ヘスティア様はシュウさんの顔を見て、

 

「その紋章…」

 

ヘスティア様の顔が青ざめていく。

 

「そういうことです。したがってもらえますね」

 

「借金を返してもらった見返りは、何を差し上げれば良いですか?ベル君だけはダメですよ」

 

彼に恐怖を抱いているのか、オドオドしている女神様。

 

「シヴァ・ファミリアの傘下に入ってください。あなた方の新しいホームも差し上げます」

 

「え?」

 

再び驚くヘスティア様とベル君。彼が、懐から扇を出して、広げて振ると私達は光に包まれて…光が消えると、廃墟だった教会が、新設した教会のように綺麗になっていた。ヘスティア様は、彼に跪き、

 

「ありがとうございます。最高神様の遣いの方よ」

 

と、お礼を言った。

 

「で、借金はどこにいくら返せば良いのかな?」

 

「バベル内にあるヘファイストス・ファミリアの店舗で、2億ほど…」

 

「アイズ、バベルってどこ?」

 

私の方を見て、尋ねてきた。

 

「迷宮の蓋になっている塔のことです」

 

「じゃ、ギルドのいつもの部屋に移動だな」

 

私達は、ギルドのいつもの部屋に転移した。突然の転移魔法に、ヘスティア様とベル君が驚いた。私も初めての時は驚いたもの。

 

「ここはどこですか?」

 

女神様が彼に聞いた。

 

「ギルドのシヴァ・ファミリア専用の部屋だよ」

 

部屋にある呼び鈴を鳴らすと、担当者の方が出てきた。

 

「ミカエルさん、3億ほど欲しいだけど」

 

「いきなり言われても出せませんよ。用意していないし。何に使うんです?」

 

「ヘスティア・ファミリアの借金を、利子を付けて返済するんだよ。どうしようかな…ギルド発行の約束手形を作ってくれるかな?」

 

「どこのファミリアへの返済ですか?」

 

「ヘファイストス・ファミリアだ」

 

「では、支払ってもらう税金から差し引くように、ヘファイストス・ファミリアには伝えます。それで良いですか?」

 

「書面でそれらのことを書いてください。口約束は怖いですからね」

 

担当の人が奥へ行ってしまった。

 

「あのう、新参のファミリアでそんなに大金があるんですか?」

 

女神様が心配そうに、彼に尋ねてきた。

 

「たぶん、今日の分を計上すると兆に届くと思うよ」

 

女神様とベル君が桁違いの額に驚いて、私の方を振り向いた。私は頷いた。

 

「私も昨日経験したんだけど、初日で900階層まで潜るファミリアですもの…」

 

女神様とベル君は、開いた口が塞がらない感じだった。

 

「もう、ウチの傘下だから、一緒に潜ってもいいよ。ベル君」

 

笑顔でベル君に話し掛ける彼。

 

「今日の目標は1000階だから。もう先遣隊は向かっているよ」

 

女神様とベル君の顔色は悪い。ウンウン、私もそうだったもの。

 

奥から担当の人、ミカエルさんが戻ってきた。

 

「ヘファイストス・ファミリアとは話がつきました。これ、ヘスティア様の証文です。お渡しします。あと、ヘファイストス・ファミリアと交わした証文です」

 

ミカエルさんより2枚の羊皮紙を受け取って、1枚をヘスティア様に渡し、もう1枚に目を通す彼。

 

「これで、問題が起きたら、ギルドで対処してくださいね」

 

頷くミカエルさん。

 

ギルドを後にする私達。

 

「やっぱり、日銭を稼がないとダメだな」

 

彼がポツリと漏らす。

 

「でも、大金があるんですよね?」

 

女神様が彼に尋ねた。

 

「ギルドの金庫を空にしちゃて、大半がまだ換金出来ていないんだよ。だから、あぁいう形での決済しか出来ないのが難点だ」

 

凹んでいるみたいな彼。

 

「こんなにいっぱい助けてもらったのに、申し訳ないんですが、もう1つ、ファミリアを助けていただけないでしょうか?」

 

「どこのファミリアかな?」

 

「私のファミリアと親交があるミアハ・ファミリアです」

 

「連れて行ってもらえるかな?」

 

「はい、喜んで」

 

女神様を先頭にミアハ・ファミリアのホームへ向かう。ミアハ・ファミリアと言えば、回復薬などを扱う薬局系のファミリアである。そんなに貧窮しているのかな?

 

「ナァーザ、ミアハはいる?」

 

ナァーザは犬人の女性でミアハ・ファミリアの団長ある。男神のミアハが、奥から出てきた。

 

「ヘスティア、どうしたんだ?珍しいなぁ」

 

「ミアハさんですか?新参のシヴァ・ファミリアの団長『神殺し』シュウです。よろしくお願いします」

 

彼が頭を下げた。

 

「挨拶回りかい?ご苦労様」

 

「ミアハ、借金の額って、後どれくらい有るの?」

 

女神様が本題に切り込んだ。

 

「なんだよ、藪から棒に。膨大な額だな」

 

「100億で足りるかな?」

 

彼が具体的な数字を出した。

 

「うん?足りるけど…新参のファミリアじゃ、用立ては無理だよ」

 

「シヴァ・ファミリアが助けてくれるって」

 

女神様がミアハ様に告げた。

 

「まさか…」

 

ミアハ様は彼を見つめた。

 

「本当みたいだな…その紋章…まさか…」

 

ミアハ様も顔色が悪くなっていく。

 

「借金はシヴァ・ファミリアで返済する。その代わり、傘下に入って欲しい。悪い話じゃないでしょ?」

 

「傘下に入ると、何かあるのかな?」

 

「傘下以外の神を送還していくつもりだよ」

 

「「……」」

 

ミアハ様と女神様は開いた口が塞がらないようだ。傘下に入らないと、大変なことになるもの。さすが、『神殺し』…言葉だけでも殺せそうだ。

 

「異論、反論は認めないけど、いいかな?」

 

ミアハ様は頷いている。

 

「では、ギルドに行こう」

 

ミアハ様と彼と私でギルドへと転移した。

 

-----

 

ヘスティア様とだいたい同じような手順で、事を進めて無事に返済できたミアハ様。

ミアハ様は彼に跪き、感謝の意を言葉にしていた。

 

「傘下になったらから、協力して欲しい時はお願いしますね」

 

「わかりました。何なりと、おっしゃって下さい」

 

彼の転移魔法で、ミアハ・ファミリアに戻ってきた。

 

「じゃ、アイズ、ベル、ヘスティアで潜るか」

 

顔色の悪いベル君と女神様。異論、反論を言う機会も無く、私達4名は光に包まれて、ヤマトさん達に合流した。

 

「ヤマト、ここ何階かな?」

 

「あっ、シュウさん。まだ500階です。予想通り穴は塞がっていましたよ」

 

「え?500階層?」

 

ベル君と女神様が驚いている。

 

「アイズ、翼を使う練習しようか。危なくなったら、助けるからね」

 

私に笑顔を向ける彼。

 

「リア、ヴァリ、新しい仲間を頼む」

 

「「了解!!」」

 

「何階まで抜けるかな?」

 

昨日よりも大きな石を、昨日より高く投げた。彼が呪文を唱えると、石は見えない速度で落下して地面に穴を開けていく。

 

「よし、降下するぞ。クリス、ガイア、シルキー、ガードを頼む」

 

「「了解!」」

 

次々に穴へとダイブしていくメンバー。私が躊躇していると、誰かに背中を押されて、穴にダイブしてしまった。背中に意識を集中して翼を展開するイメージをすると、展開できた。

 

「アイズ、その調子だ。翼の角度を調整出来るようにしてみて」

 

目の前に彼。同じ速度で降下してくれているみたいだ。

 

「少し速いな。今日はここまでだ」

 

彼に抱かれて、着地する私。耳が熱い…

 

「前方に敵の群れだ。シルキー、撃ち込め!」

 

前方で血煙が上がっているが、何かの群れが近づいてくる。

 

「固いなぁ。ヤマトはまだかぁ…」

 

クリス君、ガイア君も光の矢を撃ち込んでいるけど、まだ近づいてくる。彼は空中に魔法陣みたいな物を幾つか発現させると、ドラゴンが多数出てきた。彼はドラゴンを仲間にしているの?

 

「シルキーはガードだ。ガイア、クリス後退しろ。チームドラゴンを投入したから」

 

目の前で魔獣の群れとドラゴンの群れが戦っている。

 

「まずいなぁ、ここはモンスターハウスか?」

 

ヤマトさん、ベル君、女神様が到着した。

 

「ヤマト、後方から来る群れを頼む」

 

「了解!」

 

「リヴァさん、ガブ、右からの群れをやるぞ」

 

彼は刀を構えて、突入していく。

 

私とベル君と女神様は、あまりの大群の攻撃を前に、何も出来ずにいた。左からも敵の大群が押し寄せて来た。私も戦おうと剣を構えた。

 

「アイズさんは下がっていて。アイズさんを怪我させたら、父ちゃんに怒られるから」

 

シルキーさんから注意された。シルキーさんは壁を作って敵の大群を足止めし、上からダイヤモンドダストの雨を降らせていく。

 

「アリス、下がれ、お前じゃ無理だ」

 

ガイア君がアリス君の前に出て、光の矢を撃ち込んでいく。どの位経ったであろうか。彼らが戻ってきた。全身血まみれだ。怪我?私は心配で、彼の元へと駆け寄ると、

 

「大丈夫、返り血だよ。これくらい、トレーニングルームに比べたら、なんでもないよ」

 

そういって、怪我をしているアリス君に回復魔法を掛けていく。

 

「チームドラゴンは撤収して。また、呼ぶかもしれないけど」

 

あの魔法陣のような物へ、ドラゴン達が戻ると消えていった。

 

「アイズ、あれは龍門っていう物だよ。ドラゴンを召喚するのに使うんだ。あと、魔獣を召喚する獣門っていうのもある」

 

あっ、そうだった。心が読まれちゃうんだ。ドラゴンだけでなくて、魔獣も呼べるのかぁ、彼は…

 

「リア、ここは何階だ?」

 

「1000階です」

 

「この下にも階層は有りそうかな?」

 

「この地点では、ここが底みたいです。全体を調査しないと、わかりませんけど」

 

「ここに転移陣をおいて、明日からこの階層を調査するぞ」

 

彼が魔法陣を地面に書いた。

 

「明日、シュウさんはアレですよね?」

 

ヤマトさんがシュウさんに言葉を掛けた。

 

「そうだった…僕抜きだと、つらいかな?」

 

「つらいというより無理です。指揮官不在で、チームドラゴンが使えないんじゃ、このモンスターハウス状態は、しのげません」

 

「たしかに、シルキーの攻撃が効かないほどの強度だものな。明日は皆であそこに行こうか」

 

「そうしましょう」

 

魔石を全て回収して、地上に転移した私達。

 

 

 

 

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