---アイズ---
朝、食卓に行ったら、あのオッタルがいた。昨晩、シュウさんに勝負を挑んで負けてしまい、シヴァ・ファミリアの一員になったようである。
テーブルのある部屋を見回しても、シュウさんがいなかった。そんな私に気がついたヤマトさんが声を掛けてくれた。
「アイズさん、シュウさんは、もう出掛けたよ。夕方には帰ってくると思う」
えっ!こんなに早く?
「今日の目的地は遠いからね。早目に出て行ったよ」
「どちらに行かれたんですか?」
「ラキア王国だ」
はぁ?
「護衛は?」
「護衛はガイアとシルキーとリアが付いて行ったよ。アイズさんも行きたかったの?」
「ううん。まだ、護衛を出来るくらい強くないから…」
ラキア王国って…大丈夫かな…地上に降りた神が作った国家である、ここオラリオすらも占領しようと、過去に数回遠征に来ているらしい。
---シュウ---
ラキア王国、その内情は、国家系ファミリア【アレス・ファミリア】である。このファミリアの主神、王国を仕切る神は脳まで筋肉で出来ていると言われるほど、好戦的らしい。過去に6回もオラリオ侵攻をして敗退しているみたいだけど。
今、目の前に、その筋肉脳の持ち主、男神アレスがいる。
「で、そんな人数で、この王国に攻め入ってきたのか?」
「いや、王国に攻め入った訳でないです。この国のゴミを掃除しに来ただけだよ」
「ゴミ?」
僕は、アレスを天界に強制転移させた。話しをしても、埓が明けそうにないから。主神アレスが突然、消失して騒然となる王座の間。
で、回りを見渡して、ある人物の前に立った。
「君が国王をやりなよ」
その人物は驚いていた。この人物は、国王の息子のマリウス第一王子だ。彼と話そうとしていたら、筋肉脳2号が割り込んできた。主神であるアレスを盲信し、彼に対してイエスとしか言わない愚王様と言われている現国王様だ。はぁ…
「おい、待て!私が国王のマルティヌスだ。主神アレス様をどうしたのだ?」
「アレス?あぁ、天界に送還したよ。もう戻って来れない」
「なぁに?貴様なんていうことを」
マルティヌスが剣を抜いて、僕に斬りつけてきたが、ガイアがガードをしてくれている。
「あなたが国王では、この国は良くならない。むしろ、彼の方が良いと思う。どうかな?」
王座の間にいる人々に問おた。
「僕は、ラキアを出てオラリオで冒険者になりたいんです」
「じゃ、決定ね」
「はぁい?」
「マリウスが国王になって、この国を治めるんだ。で、暇なときにオラリオで冒険すれば良い。当面、シヴァ・ファミリアで面倒は見るからね。側近も現国王よりマリウスの方が良いと思っているはずだ。どうかな?大臣の皆様?」
側近の者は、ガイアとチャンバラをしているマルティヌスに視線を向けた。
「じゃ、現国王も天界に送還すれば良いか?アレスと共に天界で働いておいでよ」
僕は、マルティヌスも天界に強制転移させた。
「これで、マリウスに仕えてくれるかな?」
頷く、大臣や将軍などのお偉い人達。マリウスは不安気であるけど。
「僕も手伝うから、マリウス。軍事も大事だけど、国民を貧困から救うところから始めよう」
「どうやって?戦争ばかりで、土地は痩せてしまって、消滅した森や村があるんだよ」
「戻せば良いって」
「戻す?」
僕達以外のみんなが驚いていた。
「僕は神に授かった能力がある。それを使って、この国、この大陸を立て直す。だから、マリウスだけでなくて、将軍達、大臣達を手伝ってね」
「神に授かった能力?あなたは、何者ですか?」
「僕?神様に依頼されて、この国の立て直しに来た者です」
どうしたんだ?みんな驚いているぞ?
「普通、神様に依頼される者なんか、いないからですよ」
と、リアが教えてくれた。あぁ、そういう事か。
「オラリオの迷宮探索も依頼されているので、1日おきにここに来るから。明後日までに、昔の地形や森、村の位置がわかる地図を探して置いてね」
僕はみんなに頭を下げて、頼んだ。
「神様の遣い人様、仰せの通りにしましょう。なぁ、皆の衆!」
将軍が声を掛けると、
「おぉ!」
と掛け声が至るところから上がった。
「前国王には、我らは振り回されていました。したくもない戦争を強要され、森を焼き払い…今後は国を豊かにすることに全力を注ぎます。こちらこそ、協力をお願いします」
「じゃ、マリウス。迷宮へ冒険に行こう。将軍、マリウスを借りますね」
「はぁっ!明後日までに地図を用意しておきます。マリウス様をお願いします」
僕らは光に包まれて、ホームに転移した。
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突然、別の場所に転移したことにマリウスが驚いていた。
「ここは?」
「僕達のシヴァ・ファミリアのホームだ。さっきのは、転移術という魔術だよ」
「あなたは魔術師なんですか?」
「まぁ、そうとも言えるかな。オッタル、彼はマリウスでラキア王国の王子様だ」
「ラキア王国の?あの戦争狂国家のか?」
「もう戦争狂国家じゃない。筋肉脳の主神と前国王を天界に強制送還したから」
「そうか」
「明日は、2班に分かれて、潜るぞ。オッタル、協力してくれるかな?」
「俺はもう、シヴァ・ファミリアの団員だ。団長!」
「了解、オッタル。第1班はオッタルをリーダーで1階から潜って。メンバーはアイズとマリウスとベルとヘスティアとロキ・ファミリアの参加希望者。第2班は1000階の調査だ。安全が確保できれば、第1班を迎えに行く。これで、みんな頼むよ」
「「了解!!」」
「アイズは?」
「ロキ・ファミリアのホームじゃないかな?」
と、ヤマト。
「ヤマト、1000階の敵の正体はわかったかな?」
「ダイヤモンドより固い鉱物で作ったゴーレムってところかな?」
「それって厄介だな。明日は色々な属性攻撃をして弱点を見つけよう」
---アイズ---
久しぶりにロキ・ファミリアのホームに遊びに来ている。
「え?お風呂場が男女別で洗い場が広いの?」
羨ましそうに私を見るリヴェリア。
「アイズさんの髪の毛、いい香り…」
ティオナとティオネが、私の髪の毛の香りを楽しんでいる。
「風呂場の改善を、ロキにリクエストしようよ、リヴェリアさん」
レフィーヤが提案した。
「うちの主神は、そういうことに興味ないからなぁ」
リヴェリアが嘆いていた。
「なら、ロキ・ファミリアの女性団員だけ、うちのお風呂に入りに来れば?」
え?この声…声の主を見ると、いつの間にいらしていたシュウさんだ。
「いいんですか?」
レフィーヤが確認する。
「いいよ。だって、ウチの傘下なら、仲間なんだから。あっ、そこのウェアウルフは出入り禁止だからな」
ぐうの音も出ないベート。生き返らせてもらった直後に、罵声を浴びせたらしく、フィンからも厳重注意がなされていた。
「あと、明日1階から潜るから、希望者は参加してほしい。リーダーはオッタルに頼んである」
「シュウは、まさか…」
「僕らのチームは、1000階の探索だよ。安全が確保できたら、迎えに行くから」
シュウさんの言葉を聞いて、ガレスの顔が蒼白になっていった。1000階の恐怖を思い出したみたいだ。
「アイズは、まだここにいるのかな?」
一緒にいたいよ。
「もう1軒、寄るところがあるから、アイズはリヴェリア達と一緒にいるといいよ」
シュウさんは転移していった。いや、シュウさんと一緒に居たかったのよ~
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転移した先は、ヘスティア・ファミリアのホームだ。
「女神様、明日潜るぞ!」
「はぁい?まさか、ボクも?」
「ベルの保護者だろう?」
「保護者って訳ではないんですよ」
「明日は1階から潜ってもらうから、大丈夫だよ。それにオッタルとアイズも一緒に行ってもらう」
「オッタル?まさか、シヴァ・ファミリアに改宗したの?」
「うん?改宗って?」
「あっ、ファミリアの移動のことです」
「あぁ、そういうことだ。じゃ、明日な!」
僕はホームに転移をした。
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ホームに着くと、ホームを覗き込む人影を発見。念話で指示して、白音、シルキー、ガイアで囲い込むようにして捕獲。
うん?狐人とアマゾネス?
「あのぅ~、どちら様?」
「私は元イシュタル・ファミリアのアイシャ・ベルカだ。あんたのおかげで、イシュタルの『魅了』という名の呪いから抜け出せた。コイツはサンジョウノ・春姫だ。このファミリアに改宗したいのだが、どうかな?」
「いいよ。君たちのオーラは清々しいからね」
「オーラが見えるの?」
春姫が聞いてきた。
「見えるよ。このオーラを見る目を買われて、天界から神の選別を、依頼されたようなものだからね」
春姫が驚いている。
「このファミリアにいれば、安全かな?春姫はレア種族なんで、闇の組織に狙われていてね」
アイシャが、このファミリアに改宗したい理由を言った。
「うちのファミリアはレア種族しかいないよ。僕、ギガンデスとエンジェルのハーフだし」
「はぁ?」
強者のアマゾネスでも驚くのね…僕は白音を指さして、
「彼女は猫しょうだし」
白音は猫化した。これには春姫も驚いている。
「かわいい猫さんだ」
「にゃん♪」
ヤマトを指差して
「アイツは最高神と人間のハーフだし」
アイシャと春姫だけでなくて、オッタル、マリウスも驚いていた。指を差されたヤマトは苦笑いしている。
「確かに、僕が一番レアかな?禁忌な組み合わせだし…って、シュウさんも禁忌な組み合わせでしょ?」
「そうだったかも」
「わぁ、なんだか、賑やかなんファミリアになってきましたね」
入り口を見ると、ロキ・ファミリアの女性団員達とアイズ。
「アイズ、今日改宗した、マリウス、アイシャ、春姫だ。面倒見てやってな。あっ、マリウスは改宗じゃなくて、ラキア王国の国王に、僕が任命したんだ」
「「はぁぃ?」」
なんで、みんな驚いているの?
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「随分と賑やかなファミリアだな、オッタル」
「最強のファミリアだ、俺が保証する、アイシャよ」