---アイズ---
少しの間ホームを離れたのに、メンバーは増えているし、ラキア王国の国王が代わっているし。シュウさんの動きは早いなぁ。
ロキ・ファミリアの女性陣とアイシャさん、春姫さんを女性専用のお風呂場、女湯に案内した。そして、洗い場、湯船、サウナ、岩盤浴の使い方を説明する。
「なんて快適なの…あぁ、ここのホームに住みたいなぁ。うちの主神じゃ、こんな設備は作ってくれないよなぁ」
と、リヴェリア。
「住んじゃえば?傘下ファミリアは仲間だって、シュウさんも言っていたし」
考えこんでしまったリヴェリアを他所に、他のみんなは女湯を満喫していた。
「リヴェリア、ここに住みたいよ~」
ティオネが懇願していた。
「確かに、ここのホームは良い環境だな。戦士の前に、女性だって事を思い出させてくれるのがいいなぁ」
と、アイシャさん。お風呂を満喫して、1階のリビングという部屋(食卓のテーブルのある部屋をそういうらしい)に戻ってくると、リヴェリアがシュウさんに
「ロキ・ファミリアの女性陣もここに住み込んで良いでしょうか?」
って。
「了承!」
シュウさんの返事は早かった。いや、予想できることだものね。リヴェリアの行動って。この後、シュウさんとリヴェリアがロキ・ファミリアのホームに転移して、事情を話して転移して戻ってきた。
「ロキも、納得したけど…まさか、ロキもここに住むって言わないよね?リヴェリア」
少し困った顔のシュウさん。
「たぶん、言わないと思います。もし言ったとしたら、ロキ・ファミリアのホームに、ここと同じ施設を作ってもらいますよ」
シュウさんの不安を笑い飛ばしたリヴェリア。私も彼女の考えに賛成だ。
リビングで談話する組とトレーニングルームで鍛錬する組に分かれた。リビングに残ったシュウさんは、浮かない顔している。ヤマトさんもだ。
「ヤマト、どうするか。今度のお客さんは強敵だぞ」
「そうですね。戦闘になったら、この辺りが壊滅しそうです」
「どうしたんですか?」
私は声を掛けた。
「アイズは心配しないで良い。この家の中が一番安全だからね」
シュウさんが笑顔で答えてくれた。
「ヤマト、お客さんの動きを封じてくれ。強制転移させる。ガイア、シルキー出動だ」
「「了解!!」」
---シュウ---
ヤマトの超能力で動きを封じてもらい、お客さんを次元の狭間に強制転移させた。
「ここはどこだ?」
お客さんが騒いでいる。
「ここは次元の狭間だ。もうお前の逃げ場はない。お前は誰で、なぜ、僕達のホームを探っていたのだ?」
お客さんは黙っていた。
「答えないのであれば、ここで一人で彷徨っていればよい。僕は無闇な殺生はしないのでね。では、さような…」
「ちょっと、待ってくれ!」
お客さんは僕の言葉を遮り、話し出した。
「私はフェルズだ。私の主神にお前らの事を調べるように言われた」
「主神は誰だ?」
「…」
「この局面で無言は永久孤独の刑になるが、良いのかな?」
「わかった、私の主神はウラノスだ」
「ウラノス?神会にはいなかった神かな?」
「そうだ。あの方はホームからは出ないからな」
「では、ホームに案内してもらおうか」
僕の命令口調にお客さんは頷いた。僕らは、ウラノスのホームに向かった。
------
「まさか、ギルド自体がホームとはなぁ」
ウラノス・ファミリアのホームに向かう僕達。場所はギルドの地下だという。ギルド員がウラノスのファミリアメンバーだという。
地下へと続く階段を降りると、広いホールに出た。中央には赤い絨毯が敷かれ、その先の玉座にウラノスが鎮座していた。
「シヴァ・ファミリア団長『神殺し』シュウです。貴方がウラノスかな?」
ウラノスは頷いた。
「僕達の敵か?それとも協力者か?」
「…」
「ギルドをホームにしている以上、迂闊に送還ができない。それを利用して敵対するのであれば、ギルドをシヴァ・ファミリアの傘下に入れて、貴方を送還するが、どうする?」
僕の後方でフェルズが牽制をしているが、シルキーとガイアがガードしてくれているので、あまり気にしないでいる。
「無言で通すのであれば、仕方ないな」
僕は脅しで、ウラノスの居る床に大きな送還魔法陣を発現させた。これにはウラノスも驚いたのか
「ちょっと、待ってくれ!敵対する気はない…送還は待ってくれ!」
重い口が開いたようなので、魔法陣を消失させた。
「あと、フェルズ。貴方も何時でも灰に出来るからね」
僕は彼を見ることなく言い放った。
「人間のままで不死の術か何かを施して、肉体はもうないみたいだな。浄化能力を使えば、不死の状態を解き、魂を昇華させて上げることができるけど、どうする?」
「私の事を知っていたのか?」
フェルズが驚いたような声を上げた。
「知らなかったけど、僕はネクロマンサーのギルドで修行を積んだので、魂の色、形で相手の素性をある程度解るのだ」
「まさか…ネクロマンサーギルドで、伝説として語り継がれている100年の祠行をなし終えたのは、貴様か?」
「そうだ。あれで僕は再生能力と夢幻無限の能力を手に入れた」
「あぁ…ウラノス様、この者には隠し事、偽りは効きません。見つめた相手の魂を弄ぶ事も可能な神以上の力を持つ存在です」
フェルズが主神に、僕の説明をしてくれた。
「ふぅ…シュウ、あなたに迷惑をかけた事は謝罪する。ただ、あなたが信用できる人物かを探るようにフェルズには伝えたのだが」
ウラノスは話し出した。
「僕に何か頼み事があるのか?」
「あぁ、迷宮に住む異端児と呼ばれる者達を保護したいのだ。協力してもらえないか?」
「異端児とは?」
「彼らは、魔物だ。ただ、迷宮で冒険者を襲う魔物とは違い、我々との交流を持ちたいと願い、地上で暮らしたいと願っている者達なのだ」
「うん?暮らせばいいじゃん。僕も魔物だし」
「「え?」」
ウラノスとフェルズが同時に驚きの声を上げた。
「僕はギガンデスとエンジェルのハーフだよ。僕達のチームに人間って少ないんだ。ほとんど魔物に近いよ」
僕とガイアは天使の翼を、シルキーは悪魔の羽を展開した。
「なんと…」
「要は見た目だけ。みんな、見た目で判断するからね。見た目の変更なら、何時でもしてあげられる。僕は変化(へんげ)の術を使えるからね」
「住む場所はどうする?」
「今、ラキア王国を再建しているから、保護区を作るように指示してみる。これで解決でいいね?」
「あんなに私達神が悩んでいた事に、一瞬で解決策を出すとは…」
「じゃあ、ウラノス・ファミリアはシヴァ・ファミリアの傘下で良いね?」
「…」
「傘下入りが、そちらの要望に応えるかの条件にします。どうします?」
「傘下に入るとどうなるのだ?」
「フェルズを自由に使わせてもらうだけで良いです。異端児達との連絡役と、街の黒い情報を仕入れてきてもらうのに、うってつけだからね。傘下にいないと、いちいちウラノスに依頼するのがメンドーなんだよ」
「ふふふ、よかろう。そういうことなら、傘下入りしよう」
「明日、僕達は潜るから、異端児さんに会わせてもらえるかな?」
「シヴァ・ファミリアのベースキャンプの階層はどこだ?」
フェルズが聞いてきた。集合場所ってことかな?
「1000階にいるから」
「「1000階?」」
ウラノスとフェルズが驚きの声を上げた。
「そうだよ。そこに僕達のチームがいるから、よろしくお願いします」
「ちょっと、待ってくれ。いくら、私でも1000階は無理だ」
フェルズが焦っているように見える。感情はまだ残っているんだね。
「そうなの?あぁ、アイズ達が1階から攻めるから、そこと合流してくれるかな?1000階の敵って固くて、少し時間がかかるかもしれないけど。アイズ達と合流することになっているからね」
「わかった…」
話しが済んだので、僕らは僕達のホームに転移した。
---アイズ----
「え?ウラノス・ファミリアを傘下に入れたのか?」
オッタル達事情通が驚いていた。私はウラノス・ファミリアって知らないので、驚きはなかったんだけど。
「え?バベル自体がホームで、ギルドの所有者がウラノス様なの?」
この情報にはロキ・ファミリアの団員と私は驚いた。知らなかった…
「で、ウラノスに依頼された案件があるので、明日オッタル達にフェルズが同行すると思うから、揉めないで頼むね」
シュウさんから、明日の注意点が私達に伝えられた。
「明日は1000階にリベンジするぞ!」
「「おぉ!!」」
「1000階?」
シュウさんのチームの実力を、あまり知らずに固まっている者が数名…
---アイズ---
翌朝、迷宮の入り口に集まったメンバー。フェルズって人がいないみたいだけど、出発するオッタル。
「フェルズは?」
「アイツなら付いてくるから問題ない。アイツは集団行動が苦手なんだ」
ふ~ん、そんなんだ。
---シュウ---
1000階にベースキャンプを作る。いや、作っているそばから襲ってくるアイツら。ゴーレム相手ってことで、魔石の位置が一定でないようだ。
「アーサー、斬れるか?」
「関節部分ならいけそうですが、致命傷にはならないみたいですね」
アーサーが苦笑している。
「ロセはどう?」
「関節を破壊ならいけそうですけど、固いですね」
ロセ、ルフェイの魔法でも一撃でいけないみたいだ。さて、どうしよう。シルキーとガイア、クリスで時間稼ぎをしてくれているけど、う~む。そうか!
「水属性でやってみて」
ロセ、ルフェイは水属性の攻撃呪文に切り替えた。
「白音、魔石の波動を読み取れるか?」
「水に浸かればいけそうですけど、現状では難しいです」
お手上げか?いや、何か方法があるはず…そうか!
「サンドストームをできるか?ロセ、ルフェイ」
二人は砂嵐をアイツらにぶつけていく。すると簡単に壊れていった。
「どういうこと?」
「ヤマト、サンドブラストだよ。砂で全身のどこかに書かれている文字を削っていくんだ」
「なるほど…回転させて全身をくまなく一皮剥くんですね」
ヤマトも砂嵐をぶつけていった。
「白音、アイツら以外の敵はいるか?」
「牛みたいな大群が近づいています」
「シルキー、ガイア、クリスはソイツ狙いにしろ」
「「了解!」」
「白音、新種が発生したら知らせてくれ」
「了解!」
僕はベースキャンプの建設を急いだ。アイツらに壊されない頑丈な?いや、スライムみたいにすれば、壊れないかな?建物をスライム状の物質で包んでいく。
「シュウさん、入り口がないけど…」
「ヤマト、転移すれば良い。入り口があると、強度が落ちるからね」
「なるほど」
1000階メンバーはベースキャンプに転移した。少し休もうっと。
---アイズ---
順調に進んでいる。私、オッタル、アイシャとリヴェリア達ロキ・ファミリアのメンバーがいるので、低層であれば苦労はあまりないはずだ。
目の前に急にシュウさんが転移してきた。
「遅くなってごめん。やっとベースキャンプができたらから、迎えに来たよ」
次の瞬間、低層メンバー全員がベースキャンプに転移した。
「ここが1000階か?」
オッタルが窓から外の景色を見ている。
「そうだよ。もう少ししたら、狩りを再開するからね」
ベースキャンプ内には魔石の山が出来ていた。
「これが1000階の魔石?」
アイシャが興味深そうに眺めている。
「ギルドにお金がないから、当分売れないけどね。で、フェルズの行き先は何階くらい?」
「20階だ」
「もう少しここを制覇してから行こう。アイシャとオッタルの実力をみたいし」
「ちょっと、待て!1000階なんかで戦える訳ないだろう」
アイシャは慌てているようだ。
「何事も経験だよ。やっと攻略方法が見えたしね。ふふふ。ロキ・ファミリアの皆さんはここでお待ちください。実力は知っているから」
「僕達も無理です」
「ヘスティアとベルとアイズは参加だ。経験値を稼げ!」
「ボクは神だから、経験値はいりません」
「お前はベルの保護者だろ?」
「しくしく…」
「さて、行くぞ!」
ベースキャンプの外に転移した。外に出た瞬間、魔法が飛び交って、ゴーレムもどきが屠られていった。牛もどきもシルキーちゃん達の攻撃によって、爆ぜていく。
「新手です。11時方向、翼竜みたいです」
白音さんから情報がもたらされた。
「ムゲン、オーフィス、アポ。頼む」
「「了解!」」
「6時方向…芋虫…」
「アイズ、シルキー、ガイアで頼む。牛もどきは、オッタル、アイシャ、シーナ、アリスで頼む」
私の相手は、よりによって芋虫かぁ。装備に風を纏わせて準備をする。撃ち漏らしたヤツを屠らないと。
---シュウ---
翼竜が上から狙撃してきた。龍喰者サマエル、ジズさんを召喚して向かわせた。
「リア、下層に異常はないか?」
「この辺りは固い岩盤のようです。変化なしです」
アイシャ、オッタルは苦戦中のようだ。
「ヤマト、アイツを召喚しよう」
「まさか、アイツですか?ここじゃ高さが足りませんよ」
「そうだった。アイツ高さ500mあるんだったな。奥の出現場所を破壊したいんだけど、どうすれば良いかな?」
「奥までの距離がわからないですよね」
「ヤマト、ここをまかせる。僕が行ってくるよ」
「ダメです。シュウさんは指揮官なんですから、ここにいてください!」
「シルキー、そっちは終わったか?」
「もう少しです」
う~む…では、
「ロセ、一点高出力で、直進性の高いバースト撃てるか?」
「やってみます」
「ヤマト、強奪で一瞬牛もどきを消して。ヤマトが消したら、ロセが撃ち込め」
「「了解!!」」
ヤマトの魔石強奪攻撃に、オッタル、アイシャが驚いている。
「一瞬で消し去る力があるのか…」
「ロセ、手応えあった?」
「ないです」
「あっ、適任者いた…ヤマト、適任者を連れて来るまで、持ちこたえてくれる?」
「え?無理ですって」
僕はホームに転移して、アウロスを目指した。
アウロス学園に着くと、目的の人物を急いで探した。教務課に行くと、一誠がいた。
「おい、一誠。紅髪と青髪はどこいる?」
「うん?部長は事務室。ゼノヴィアは授業中じゃないかな」
「椿姫は?」
「理事長室だと思うけど…」
「一誠、お前も連れて行く。僕達の家に行って待っていてくれ」
「了解だ。相棒!」
次は、事務室?なんで?事務室に行くと、紅髪がいた。
「おい、紅髪。力を貸せよ」
「え?シュウ?」
紅髪を僕達の家に強制転移させた。次は理事長室に向かう。
「シュウ君、どうしたの?」
「人員不足だ。また借りるよ、ソーナ。今回は紅髪と一誠と椿姫だ。椿姫、僕達の家に向かってくれ」
「了解!」
「ごめんな、ソーナ。迷惑をかけてしまって」
「シュウ君が必要な事は協力するわ」
僕はソーナの額にキスをして、僕達の家に転移した。そして、3名をつれて、迷宮の1000階に急いだ。
「ヤマト、連れてきたよ」
「シュウさん、牛さんが復活して、アイシャとオッタルが時間を稼いでくれています」
「椿姫、ミラーフルアーマー装着、黄昏の聖槍装備してくれ。目指すは牛さんの後方の壁だ。そこに着いたら連絡をくれ」
「了解!」
椿姫が目的地に向けて走り出した。
「魔法使いはゴーレムを頼む!」
「一誠、バルキリーズカーニバルで、椿姫を援護してくれ」
「了解!」
アマゾネスのアイシャで、妄想を膨らませ始めた相棒。
「紅髪、滅びの剣で、ゴーレムの後方の壁を目指してくれ。着いたら連絡をくれ」
「私、紅髪って名前でないもん!」
おい、この緊迫した事態にコイツは…
「リアス、早く頼む!」
「はぁ?頼み方ってあるでしょ?」
僕のイライラ感をガイアが感知したみたいで、リアスに近づくガイア。
「灰にしてやろうか?生みの親よ!さっさっと戦えよ!!」
天使の翼を展開して、リアスを脅すガイア。
「止めてぇ~。私が悪かったから。灰にしないでぇ~」
リアスは滅びの力を剣に具現化して、目的地に急いだ。
「ごめん、父ちゃん。僕の生みの親があんなんで」
「いや、僕の言い方が悪かったのかもな。ムゲン、対角線の先に何があるか見てきてくれるか?」
「了解!」
意外に早くリアスから連絡があった。
「シュウ、ごめん。運動不足でバテバテで、もうダメ」
「わかった。リアスに期待をかけて悪かった」
リアスを回収にしに行く僕、それを止めたガイア。
「父ちゃんは指揮官なんだから、ここにいて。僕が拾ってくるから」
「頼むよ、ガイア。リア、ここの広さって、広がっていないか?」
「広がっていますね。いや、違うな。反響しない物質の壁の可能性もあります」
対角線上に飛んだムゲンから報告があった。
「魔法陣があります。そこから、ゴーレムもどきが湧き出ています」
「ムゲン、戻って来て」
「了解!」
後は、椿姫だが。牛もどきは一誠のバルキリーズカーニバルの餌食になっていた。ドライグで倍化した力を、バルキリー(妄想姫)達にプレゼントして強化している。以前、ドライグに聞いたら、サポートタイプの赤龍帝は一誠が初めてだったようだ。
バルキリーズカーニバルを見たアイシャは、自分の分身がいることに驚いているし。
「壁の前に魔法陣があり、そこから魔物が湧き出て来ています」
やっと、椿姫から報告があった。ここの魔物の出現方法は、低層階とは違うみたいだ。
「椿姫、一誠、戻って来てくれ。今日はここまでだ」
「「了解!!」」
◇
底の調査も一区切り付き、依頼内容のほとんどをこなせ、そろそろ次の案件に掛からないといけない時期になった。1ヶ月に一度訪れて、緊急用件は終わったので、残りの依頼をこなせば良いと思う。
今後のことを、この世界に残る仲間に、指示をしていかないとなぁ。この世界の仲間を呼び出した。
「天界からの依頼用件のほとんどは終わったので、ベースキャンプを、次の案件の世界に移すことにする。以後、この世界には1ヶ月に1度来て、残りの用件をこなす感じなる」
「え?この世界から帰るんですか?」
ヘスティアが声をあげた。
「緊急事態が起きれば、戻ってくるけどね。そうならない事を祈っている。このホームだけど、ヘスティア・ファミリアに譲ることにする。あと、シヴァ・ファミリアの眷属もヘスティア・ファミリアに改宗してもらう。ヘスティアが嫌な者には、無理強いはしないから、抜けてくれてもよい」
「お風呂の消耗品はどうなるんですか?」
ここのお風呂が、気に入ったアイシャからの質問。
「1ヶ月に1度来るから、その時に補充をするから、心配しないで。ここを見捨てる訳ではなくて、他の案件をこなしに行くだけだからね」
「僕はどうすれば…」
ラキア王国の新国王マリウスが呟いた。
「マリウスには、ここと王の間を行き来出来る、マリウス専用の転移魔法陣を描いた羊皮紙を渡す。魔力を注入すれば発動するから、魔力の集め方、注入の仕方をマスターしてくれ」
アイズと目が合った。
「この世界のアイズは連れて帰る。今回の報酬として、僕のチームで修行をしてもらうことにする」
「え?アイズだけ?」
「いや、現時点ではだ。この世界での依頼がすべて終わった時に、希望者は全員、僕のチームで引き取るから、それまでにどうしたいかは考えておいてほしい。まぁ、それまでは永遠の別れではないので、引き続き、よろしくね」
◇
その後も残務処理と、いらなそうな神を送還していく日々。
歓楽街で性欲を充たしている神は、即送還をしている。なかなか、効率が良い。あと、酒場で酒に溺れている神々も送還していく。
この街にとっていらない神って、なんか多い気がする。天界で怒り狂っている神の気持ちが分かり始めた。仕事を放棄して、こんな自堕落な生活をしている神って、神としてどうなのかな?
この世界の神って…面倒だから、みんな消した欲求にかられてきた。
そんな僕の欲求を感じてか、天界から、そろそろ非常勤でどうかと、打診がきた。
◇
常勤から非常勤になった僕。アイズと共に、この世界から一時離脱をした。