※この作品はR-18です。

神器なき男 (再編集版)   作:もっち~!

191 / 260
カルチャーショック

 

 

---リュー---

 

蘇ったロキ・ファミリアの面々。死んだ時までの記憶しかない為、同じことを繰り返して、また死体になった。

 

「おい、ロキ。生き返らせても、意味が無いじゃん」

 

不満気なシュウ。それはそうだよ。ロキも予想外の事態に、顔が強張っている。

 

「えらい、すいません。もう一度、今度は一人ずつ蘇らせてください。うちが誠心誠意を持って説得しますんで…」

 

青白い顔のロキが、シュウに言った。

 

「一人ずつは面倒なんだけど、しょうがないなぁ。ロキ、貸し2で、その魔法使いも貰うぞ」

 

冷たい目つきのシュウ。

 

「えっ!リヴェリアも?…バストをもう1回り大きくしてくれれば…」

 

「交渉成立だ、ロキ」

 

シュウは、まずフィンから蘇らせた。ロキはフィンに状況を説明して、主神なのに彼に頭を下げている。

 

「団長のフィンがやっと納得してくれました。次をお願いします」

 

シュウはロキの胸に手をかざした。Dカップになったロキの胸。

 

「え?ロキ、なんだ、その胸の膨らみは…」

 

フィンがロキの胸の変化に、ようやく気づいたようだ。

 

「え?いや、そのな、見たまんまだ」

 

顔を赤らめたロキ。胸が大きくなったことで、恥じらいが生じたのか?フィンとロキの会話中にリヴェリアが蘇った。ロキがすかさず状況を説明した。

 

「はぁ?胸を大きくしてもらった代償で、私とアイズは彼のファミリアに改宗なのか?」

 

ロキに怒りをぶつけるリヴェリア。まぁ、トレードの代償がアレでは浮かばれないよな。ロキとリヴェリアの小競り合いの最中、ガレスが蘇った。リヴェリアとの会話を中断して、ガレスに状況を説明するロキ。

 

「あんな小マメなロキは、初めて見たかもな」

 

とは、ミア母さん。私も初めてだ。たいていヨッパな状態だしねぇ。

 

その後、テイオネ、ティオナ、ベートの順に蘇った。アイズとレフィーヤは動くことが出来るようになった。ベート以外は納得したようだが、原因を作ったベートは納得できないようだ。

 

「俺は納得できないぞ、ロキ。なんで、アイズを渡すんだ?」

 

「どの道、ロキ・ファミリアは、彼のファミリアの傘下に入ってから同じことだよ」

 

「いや、戦争遊戯で決めればいいだろ?」

 

「おい、2度も全滅させられた相手に、よくそんなことが言えるな、ベートよ」

 

つい、口を出してしまった私。

 

「てめーは部外者だろが、口を出すんじゃねぇ」

 

「ベートよ。私はオーフィス・ファミリアに改宗したんだ。文句を言える立場だ」

 

「「え!」」

 

驚くロキ・ファミリアの面々。

 

「シュウと接して、彼の奇跡な力に魅入られてしまったんだ。これ以上ガタガタ言うのであれば、ベートの相手は私がする」

 

そんな私を制止するシュウ。

 

「いや、リューはしなくて良い。僕の娘と1対1で戦い、地獄を見てこい」

 

娘?シュウが指を鳴らすと、ベートは消えた。どこかに転移したみたいだ。次に指を鳴らすと、映像が見えた。どこかの戦場でベートと、女の子が対峙していた。

 

「戦闘開始だ!」

 

シュウが声を上げると、女の子の背中に羽が展開して、上空に飛び出した。それを見上げるベート。次の瞬間、ベートは爆ぜて、映像は消えた。

 

「僕の娘に瞬殺されるヤツは、いらないだろ?ロキよ」

 

ロキの顔は更に白くなっている。ベートが何も出来ずに、爆ぜたことにショックを受けたようだ。

 

「それから、リュー。あれは爆ぜたんじゃない。とても硬い微粒子が光速を超える速さで、全身を蜂の巣にしただけだ。爆ぜた訳ではないよ。まだ、文句のあるヤツは言ってくれ。今度は息子と戦わせるからね」

 

え?息子さんと娘さんがいるの?

 

「そうだよ、リュー。息子二人と娘が二人いる。妻は…何人いるか把握していないけどね」

 

え?奥さんの人数がわからないの?いや、私は話していないのに…

 

「リュー、僕達のチームの者は心の声が聞こえ、考えが見える。口に出さずに会話ができるんだよ。だから、相手を選んで行動が出来るんだ。あと、妻の数がわからないのは、僕が留守にした十数年の間に、僕の妻って名乗り上げている者が数多くいてね。僕自身が把握が出来ていないんだ」

 

苦笑いしているシュウ。心の声が聞こえることに、ロキ・ファミリアの面々、ミア母さんですら驚いていた。いや、私も。

 

「ロキはロクでもない神だけど、コイツを送還しても、天界も困るから送還しないで、僕の玩具として遊ぶことにした。ロキへの罰は、胸の消去で充分だしね」

 

ロキは初めて膨よかになった胸を両腕で護るように抱きしめている。

 

「あのベートとかいうヤツは、アイツの魂が反省したら、蘇らせる」

 

「魂と会話が出来るんですか?」

 

アイズが質問した。

 

「出来るよ。僕は魂を弄べるネクロマンサー(死霊魔術師)の資格を持っているからね」

 

「ネクロマンサー?」

 

リヴェリアが声を上げた。

 

「あと、ウォーロック(聖魔術師)の資格もある。僕は聖魔光闇系統と禁断の魔術が使える。リヴェリアも僕らのファミリアの一員になったから、手ほどきをしていく」

 

「さぁ、お開きにしておくれよ。そろそろ店を閉めるからね」

 

ミア母さんがロキ・ファミリアの面々に声をかけた。リヴェリアとアイズを残して、ロキ・ファミリアが帰っていく。

 

「ミアさん、迷惑をおかけしたから、僕らのホームで朝まで休んで下さい」

 

「いいのか?あの家は興味をそそるんだよ。探検していいかな?」

 

「勿論。リューとアイズとリヴェリアにホームの説明をしますので、注意事項だけは守ってくださいね。生死の保証が出来ないエリアもあるのでね」

 

母さんは、ファミリアのメンバーでないシル達たちに、閉店の作業と明日の仕込みを命令して、2階のホームに向かった。

 

「え?この広さにこの人数は無理です」

 

アイズが不満を漏らす。この部屋は3人部屋だからねぇ。シュウは有り得ない場所にあるドアを開けて入っていく。ドアのある壁の向こう側は、外なんだけど…だけど、ドアの向こうには、緑が眩しい草原があった。森や湖もありそうな大地が広がっていた。

 

「ここって?」

 

「次元の狭間と呼ばれている空間だ。この空間のこの大地が、僕らのホームだよ。アイズ」

 

目の前に見える家に入っていく。見た目より大きい家だった。下に降りる階段、上に昇る階段がある。

 

「1階は共用スペースだ。2階は女性専用、3階は男性専用のスペース。2階、3階に専用のお風呂場という名のリクライニングスペースがあるから、そこで寝る前に身体を解して。後で、リアと白音が使い方を教えますから。あと、1階の冷蔵庫に入っている飲み物は、どれを飲んでも良いから。各階の冷蔵庫の飲み物も同様だ。食事の時間以外の食べ物は1階の冷凍庫にある物を食べるといい。これもリアが後で教える」

 

なんか、スゴい設備だ…

 

「生死に関わる注意事項は、地下にトレーニングルームがあるけど、地下1階のを使って欲しい。地下2階以降は、今の君達では無理だからね。死ぬ気で強くなりたい者だけ降りて行くというなら、止めないけど。そこに地獄があると思ってくれれば良いかな」

 

シュウからの説明が終わり、2階へと向かうと…私達と母さんの部屋が、既に用意されていた。とても綺麗な個室。オラリオでは考えられない豪華さだ。感動のあまりアイズが涙していた。

 

そして、お風呂場に行くと…

 

そこはオラリオにはない楽園の様な空間だった。洗い場が広くて清潔。身体用、髪用、顔用の液体石鹸がある…湯船も薬湯、温泉、泡風呂、ジェットバスと種類が豊富で、岩盤浴、サウナと呼ばれる物まであった。

 

私達、オラリオの住民は、いきなり恵まれた環境に放たれて、夢を見ている気分だ。

 

「これで、ゆっくり洗える…ロキ・ファミリアでは、短時間で出ないとロキが覗きに来ていたから」

 

涙ぐむアイズ。よっぽど、ロキ・ファミリアでは、つらい目に遭っていたんだろう。

 

「湯浴みでも贅沢だと思っていたけど、これはすごいなぁ」

 

ミア母さんも感動していた。

 

「アイズ、リヴェリア。明日から潜るから、朝一番にギルドで改宗の手続きをしよう」

 

私は二人に声をかけた。頷く二人。

 

「この環境を貰えるならば、このファミリアで頑張ろうと思う」

 

リヴェリアは笑顔だ。この人もアイズ同様、つらい目に遭ったんだろうな。リアさんからのアドバイス。1箇所に長く居るのではなくて、色々なお湯を堪能していくのが、疲れを取る秘訣だそうだ。

 

◇

 

お風呂場から出て、2階のリビングで水分補給をしている。

 

「見たことない飲み物ばかり…どれもおいしい」

 

アイズが、コップに少しずつ注いで味見をし始めた。

 

「これはいいなぁ。お店で売れるようになるか、シュウに相談してみようかな」

 

とは、ミア母さん。

 

「シュウの娘さんは、チームではどの位の順列なんですか?」

 

私は興味本位から、リアさんに質問をぶつけた。

 

「シルキーさんは、真ん中くらいかな?どうかな、白音さん」

 

「その評価は正しいです。あの攻撃を苦にしない者であれば、懐に潜り込んで屠りますから」

 

私達は驚いた。ベートを瞬殺した彼女でも、上位になれないチームを持っているなんて、すごい。

 

「白音さんは、戦闘学校の先生なんですよ」

 

リアさんが教えてくれた。先生って…そのような人物にベートはちょっかいを…

 

「先生といっても、私の専門はサポートですから」

 

えっ、サポート?、あんなに強いのに?…主力メンバーって、どんだけの戦力なんだろう?

 

「白音さんとシュウって、種族が違うけど、兄妹なんですか?」

 

更に、私は白音さんへ疑問をぶつけた。白音さんからシュウさんの生い立ち、出会い、受けた恩の話を聞いた。その話に、ミア母さんは涙していた。こういう話には弱い人だから。

 

「だから私にとって、お兄様であり、恩人であり、大切な人なんです」

 

白音さんの笑顔…心を奪われた、愛おしくて、かわいい笑顔。魅了とは違い、心をほんのり暖かくしてくれる。

 

◇

 

翌朝、1階のリビングに集まった面々。

 

「疲れは取れたかな?」

 

「「取れました!」」

 

「なぁ、シュウよ。あの冷蔵庫に入っていた飲み物を、店で売ることは出来ないかな?」

 

早速、シュウに商談をもちかけるミア母さん。

 

「出来るけど。でも仕入れるのに、僕らの世界で使える通貨に、ここの通貨を変えないと難しいかな?…このコインはここで使えるかな?」

 

シュウが出してきたコイン。オラリオで普通に流通しているコインだ。

 

「使えるけど、これはどこから手に入れたの?」

 

「これはね、並行世界にある別のオラリオで手に入れたんだ。これが使えると、僕らのファミリアは金策をしないで良くなるんだ。小銭の額だけどね。別のオラリオに貯蓄が10兆ほどあるんだ」

 

はぁ?ミア母さんの顔色が悪い。

 

「どんだけ稼いだんだ、お前ら…100億ですら稼ぐのが、もの凄く大変なのに、その1000倍だと?」

 

実感に湧かなった数字だけど、ミア母さんの言葉から、その異常さに気づいた私達。

 

「1000階にベースを置いて、探索しまくったからね」

 

ミア母さんの顔色に反して、シュウは涼しい顔だ。

 

「この世界では目立たないように、静かに獲物を狩るつもりだから」

 

不思議なドアを抜けると、そこは下宿している2階の部屋。アーニャとクロエがベッドで、まったりと寝っ転がって待っていた。それを見たミア母さんは

 

「あんたら、朝の仕込みはどうしたんだ?あとで折檻だからね」

 

ミア母さんの怒りを感じて、急いでお店の準備をしに行く二人。

 

「そうだ、これを三人に」

 

シュウさんから装備をもらったオラリオ組。

 

「それはドラゴンフルアーマーって言ってね。あらゆる属性のダメージを軽減してくれる装備だ。その割には動きやすいから、それを着て探検して欲しい。もう仲間が傷つくのは、あまり見たくないから」

 

私達を残して部屋を出て行ったシュウ。リアさんが、装着方法を教えてくれた。実際に装着してみると、動きやすい。フルアーマーで有りがちの蒸れもないし、何よりも軽い。それに、戦闘時以外は頭部が収納されそうだ。異世界の装備って、良いなぁ。

 

1階に降りると、シュウとミア母さんとで、品物の仕入れ額を決めていた。仕入れたのは「はちみつレモン」という飲み物だった。栄養のある蜂蜜と疲れを軽減するレモンがバランス良く入っていて美味しかった。

 

値段の交渉が終わって、迷宮探検組は外に出ると、外にはフィンとガレスが待っていた。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。