---リュー---
「依頼が来て、51階まで行くのだが、一緒に行ってもらえないか?」
ロキ・ファミリアの団長フィンから、申し入れがあった。
「51階?カドモスの泉かな?」
シュウが答えた。
「その通りだ」
「いいよ。日帰りできる距離だからね」
シュウ以外は固まった気がする。50階まで行くのに、5日以上掛かるはずだから。
「うん?みんな、どうしたの?」
「日帰りできる距離じゃないぞ」
フィンが説明した。
「そうなの?ここじゃないオラリオの場合、初日に500階まで入ったけど」
その発言にみんなが驚く。
「たぶん、難易度が違ったのじゃろう」
ガレスが自分に言い聞かせているみたいだ。とりあえず、ギルドに転移した。これには初体験の者達が驚いた。
「え?一瞬で??」
アイズとリヴェリアの改宗を伝え、オーフィス・ファミリアの名簿に記入した。それから、担当のエイナさんから、説明を聞いたシュウ。
そして、迷宮へ…行った事がない場所なので、徒歩移動する。
◇
迷宮の入り口はオラリオの中心にある、セントラルパーク(中央広場)にそびえ立つ摩天楼施設バベルの地下1階にある。セントラルパークから、放射状にメインストリートが8本延びている。このバベルは迷宮の蓋として機能している。低層階は冒険者のための施設、テナントが入っていて、高層階は神様たちに賃貸されている。3階に換金所、4~8階には、ヘファイストス・ファミリアのテナントがあり、装備やアイテムも買えるので、冒険者にはありがたい施設でもある。
「シュウ、その装備で行くの?」
見るからに軽装であるけど。私達にはフルアーマーをくれたのに、どうして?
「いつも、このスタイルだから」
「薬とかは買い込まなくて良いのかな?」
心配げなリヴェリア。
「薬は特にいらないよ。いざとなったら、回復魔法、蘇生魔法もあるし」
「もし、シュウが死んだら?」
私も心配な事を聞いた。
「僕は死なないよ。再生能力持ちだから。なんども木っ端微塵な目に遭っているし」
そこは笑顔で言うことでないよ~
地下1階の入り口は、直径10m位の大穴の周り、円周上に沿うように、緩やかな螺旋階段が伸びている。
「51階だったよね?とりあえず、50階に降りられるようにすれば、良いよね?」
みんな何を言っているんだって感じだが…次の瞬間、50階に到達していた私達。なんで?
「なんで50階にいるんだ?」
冷静な判断が売りのフィンが驚いている。いや、私もだ。
「時間を止めて、僕だけ50階まで降りてマーキングをしてから、地下1階に戻ってみんなと、ここに転移したんだ。これで、明日から、どこからでもここに来られるよ」
このやり方だと、初日で500階はウソではないと思えてしまう。
「さぁ、51階を楽しもう!」
51階のカドモスの泉に向かう。
「カドモスが出たらロキ部隊とリューで対応して、僕とアイズとリヴェリアは芋虫退治ね」
「芋虫って?」
アイズが質問した。芋虫とは?私も知らない。
「カドモスを捕食する芋虫だよ。身体に触れると武器が壊れるから、武器に魔法を纏える者か魔法使い以外は手を出しちゃダメだからね」
団長シュウから指示が出た。アイズは剣に風の魔法を纏わせた。シュウは禍々しい刀を構えている。
「あっ、この刀の刀身に触れると、魂を持って行かれちゃうから注意してね!」
魂という単語に、ロキ部隊は硬直してしまったようだ。既に、何度も死んでいるし。泉の方へ歩いて行くと、泉の近くにはカドモスの死骸が多数あった。
「リュー、金になりそうな物を集めて。アイズとリヴェリアは周囲の動きに注意を向けて」
泉の水を容器に入れていくロキ部隊。シュウは何かを感じとったのか
「カドモスの大軍が来るけど、無視して、その後の芋虫を倒すぞ」
目の前をカドモスの大軍が通り過ぎていく。私達に目をくれずに逃げていく。
「来るぞ!」
目の前の通路を、埋め付くさんばかりの芋虫が、我先にの状態でこちらに迫ってきた。シュウが魔法を叩き込んで行く。無詠唱、無魔法陣でだ。リヴェリアはそれに驚き、詠唱を始めていない。アイズは撃ち漏らした芋虫を切り裂いて行く。
そうこうしていると、下層から狙撃され始めた。砲竜のヴァルガング・ドラゴンが52~58階層辺りにいて、フレア(大火球)で何階層かを撃ち抜いて狙撃してくる。
「水はたまった?」
「あと、少しだ」
シュウが手をかざすと、目の前に女の子が現れた。
「娘のシルキーだ。シルキー、アイズと芋虫を頼む。僕は狙撃龍を叩く」
そういうと、砲竜の開けた穴に飛び込んだ。あの娘さんって、ベートを瞬殺した子だ。ロキ部隊のフィンとガレスが、恐怖を感じた表情をしている。目の前の女の子は芋虫を次々と爆ぜさせて行く。
「芋虫はもういないから、カドモスが戻って来て、襲うから気を付けてね」
シルキーから指示が出た。彼女の言う通り、カドモスが私達を襲ってきた。私とアイズ、シルキーで応戦する。
「大丈夫か?うん?リヴェリアとロキ部隊はなんで戦っていないんだ?」
シュウが戻って来た。え?砲竜を2匹連れてきて、攻撃に参加させているし…
「手懐けたから、安全だよ。さて、僕も戦おうかな」
そして、カドモスの大軍は全部屠ったみたいだ。砲竜達は満足げに穴に戻っていった。シルキーも満足げにどこかに転移していった。
「アイズとリューは良くやったよ。経験値をだいぶ稼いだだろう。僕とシルキーと砲竜が稼いだ経験値は二人に分配されるからね」
「それに対してリヴェリアは期待外れだったな。帰ったらお仕置きだからな」
え?お仕置き…なんだろう…怖くて聞けない。
「ロキ部隊も戦わないのか。ロキをお仕置きするか」
お金になりそうな物を、シュウの差し出した袋に入れて行く。でも、いくら入れても膨らまない。不思議である。
「この袋は、容量が無限大な不思議な袋だよ。いくら入れて重さも変わらないので、お財布代わりとか便利なんだ」
あぁ、心が読まれているんだ。
「帰ったら、トレーニングするよ。ロキ部隊はしないから安心してね」
そして、本当に日帰りで、お店の前に転移した。
---アイズ---
「アイズ、どこで換金すれば良いかな?」
「バベルの換金所かな?」
「ちょっと、アイズと換金してくるね」
って、二人でバベルの近くまで転移した。本当に便利な魔法である。私は彼を換金所に案内した。大量の換金ということで、個室に通されて、商談になった。カドモスの魔石が大量ってことで、大金に化けた。1日でこんなに稼いだことないってくらいだ。カドモスよりも難敵だった芋虫の魔石もそこそこの値段で買い取られた。これも大量にある。
「1日で2000万かぁ…」
「それって、凄いですよ」
「そうなの?以前の場所では、1日で軽く億行ったのに…まぁ、51階だとこんな物かぁ」
桁が違う人なので、掛ける言葉が思い当たらない。凹んだ団長とホームに戻った。ホームには、不思議なドアを開けて入ることができない、リューとリヴェリアが待っていた。
「アイズ、シュウが凹んでいるけど、どの位の稼ぎだったの?」
リューが聞いてきた。
「2000万」
「で、凹むって、以前どの位稼いだのよ、この人は…」
「軽く、億超えたって…」
「桁違い集団だったものね。はぁ~」
リューは溜息を点いた。規格外すぎる。それ故、興味が尽きない。
「家賃を払ってくるね」
って、部屋を出て行ったシュウ。しばらくすると、ミアさんの大声が聞こえた。
「こんなに、もらえないって」
ドアが開くとシュウとミアさんが入ってきた。
「いや、迷惑料も入れてあるから」
「それにしても1ヶ月100万は多すぎるよ」
「だって、団員も増えて、食事付きの家賃だとねぇ」
「月10万で良い。その代わり、お風呂場の利用をさせてくれ」
「わかりました。商談成立ってことで。お店が終わったら、白音かリアに付いてきて、ホームに来て下さい」
嬉しそうにミアさんが出て行かれた。
「さて、トレーニングするよ。トレーニングルームにステータスの自動読み取り装置があるから、それで各々チェックしてね。うちの主神は、ここにあまりいないから」
「なんでですか?」
「ここには、オーフィスの好きな食べ物がないからねぇ」
苦笑いするシュウ。
そして、ドアを開けてホームに向かい、地下1階のトレーニングルームへ着いた。見慣れない物が色々ある。
「取り敢えず、アイズとリューは木刀を持ち、この小部屋に入って、飛んでくる玉を叩く練習だ」
「木刀って、何ですか?」
私とリューに手渡された、木で出来た剣のような物だ。
「これで、飛んでくる玉を落として。外すとペナルティーが科せられる。身体に覚えさせるようなね。リヴェリアはお仕置きだ。こっちに来て」
リヴェリアはどこかに連れて行かれた。個室に一人ずつ入ると、ドアにカギが自然に掛かった。トレーニングが終わるまで出られない仕組みみたいだ。発射音がして、玉が飛んで来た。私はそれを的確に叩き落としていく。楽なトレーニングだ。順調に落としていく。
しかし、このトレーニングのきつさを知るのはそう遠くなかった。この木刀と言われる練習器具は重いため、30分くらいで握力が落ちていき、1時間くらいで腕が重くなってきた。ミスすると、玉は身体に容赦なく叩き込まれる。痛い、もの凄く痛い。身体に覚えさせるとはこういう事なんだな。痛さから逃げるには、確実に落とすしかない。有効な剣筋を通ると、疲れもあまりない。むやみに無駄な剣筋を通すことで、疲労が溜まるのかな。考えながら落とすことも、トレーニング内なんだろう。
---リヴェリア---
お仕置きルームに連れて来られた、私。突然、身体が動かなくなり、衣服を脱がされていく。全裸になると、何かの台に固定された。何をされるんだ?私は誇り高きハイエルフなんだぞ。
「身体の自由は奪わせてもらった。感覚は生きているよ。後、言葉もしゃべれるが、心の声も聞こえるからね」
なんとも言いがたい恐怖が襲ってくる。何かの液体を、私の身体の中へと注ぎ込んできた。
「あぁ、これは感度を良くする液体だよ。さて、今日はなんで戦わなかったのかな?」
彼の手が私の胸を弄ると、言葉に表せないような刺激が襲ってきた。
「あぁ…やめて…」
体験した事の無い刺激…痛い訳では無いが…苦しい…全身が小刻みに震えている。
「早く答えないと、取り返しのつかない事になるよ」
身体の…下腹部が…いや、体内が熱くなっていく。こんな感覚は始めてだ。どうなるんだ?
「もう、止めてください。おかしくなりそうです」
「僕の質問の答えが、まだだよ」
彼の手が私の乳房を揉み、乳首に指を添えた。その刺激が脳に突きささっていく。頭の中が白く霞んでいく。まずい、思考が止まりそうだ。
「息苦しです。止めて下さい。あぁ…ダメ…」
乳首にも液体が掛けられた。胸を自然と突き出すような体勢になる。これって…
「もう、終わりかな?エルフって感度良いんだね」
何を言っているんだ?下腹部から暖かい液体が溢れてくる。これは…まさか…
「ごめんなさい。やめてください」
液体はこれでもかと溢れ出ている。
「この液体は何かな?」
彼が、私の下腹部の匂いを嗅いでいる。そして、彼の肉体の一部が、私の身体の中に入ってきた。初めての体験だったけど、彼の肉体の一部からは、暖かいオーラを感じた。そのオーラは私の身体の隅々まで染み渡っていく。彼の刺激の虜になっていく私の身体。彼の肉体の一部が動くと、意識が遠のく感覚になる。もっと欲しい…そんな気分になっていく。淫乱堕ちか…マズいって…
「意識が飛ぶ瞬間の、無の感覚を身に付ければ、もっとすごい魔法が使えるぞ」
耳からの情報でなくて、私の身体に直接もたらされる情報。
「はぁぅ…はぁ…はぁ…」
「そうだ、気が動転しても、呼吸法で正気に戻れるんだ」
正気に戻った私。私ったら、こんな恥ずかし事をしていたのか?いつの間にか、四つん這いになってお尻を彼に向けて、彼の肉体の一部は私の中で躍動していた。
「ちょっと…恥ずかしいです。見ないで下さい」
「恥ずかしかったら、もうお仕置きされないようにしろ」
「努力します…たまには気持ち良さも、くださいね」
「これは、お仕置きとしてはしたくないよ」
え?刺さったまま、私は180度回転して、彼と抱き合う形になった。そしてキスをされた。その瞬間、暖かいオーラに包まれて、心地良い気分になって…意識は落ちた。
---アイズ---
個室から出た時はボロボロだった。4時間くらいしたのだろうか?後半1時間くらい記憶がない。本能で叩き落としていた気がする。
「アイズ、その本能で叩き落とすことが大事だ」
いつから、居たのであろうか、シュウとリヴェリアが居た。
「考えながら戦うことも大事だけど、実戦だと考えるヒマなんか無いと思え。考えずに、痛い目に遭いたくないという本能で、戦えるようになれば、ランクアップが出来る筈だ」
「トレーニングの後は、お風呂に入って疲れを抜いておいて」
そういうと地下2階に向かうシュウ。
「あの、地獄の入り口を見学できないでしょうか?」
恐る恐る訊いてみた。ランクアップがしたいから。もっと上を目指したいから。
「今日は特別だ。許可する。一緒においで、三人共」
私達は地下2階、いや実際は地下5~6階はある場所に降りた。天井までの高さが高い。
「これでも低いんだよ。空中戦は今回必要がないと思うから、考慮していない」
空中戦って…そうだ、翼があるんだものね。
「アイズ、いい機会だ。自分と戦ってみるかい?」
「え?!」
言っている意味がわからなかった。けど、目の前に自分が居た。赤い翼を持った自分が、不敵な笑みで私を見ていた。。