外では、除夜の鐘が鳴っている。この家で過ごす最後の夜だ。明日からは新居に越すんだし。荷物はベッドだけだ。残りの物は、新居の私の部屋へと転移させた。ベッドの上には私と亘が寄り添っている。
「ねぇ、亘…亘の本命の人って、誰?」
どうしても、今年のうちに訊いておきたかった。でも、
「いないよ。本命の人って、恋人ってことでしょ?」
亘は即答であっさりと答えた。いない?なんで?ハーレム生活を送っているのに?
「僕は愛情も封印した。恋を抱く心もね」
いない理由は、もっともな事だった。そうだった…感情を封印していたんだよな。
「でも、リアスのこと…好きだよ。恋とか愛とかは語れないけど」
「私の何が好き?」
「味と香り…あと、背中だよ」
即答で答えてくれた亘。味と香りって…初めて逢った日にも言ってくれた…え?一目惚れされたのか?
「なんで背中?胸とか…あの…アソコは…」
何を訊いているんだ、私は…言った後で恥ずかしさがこみ上げて来た。
「リアスの味と香りと背中だよ。胸は…翼紗とかゼノヴィアがいいかな。アソコは姉ちゃんかな」
おい、即答で総て答えるんかい…由良とゼノヴィア?まさか、巨乳はダメなのか?小猫とソーナがいないから微乳もダメみたいだし。
「大きすぎず、小さすぎず…姉ちゃんがそうだから…」
あぁ…基準は綾香さんなんだ…
「ごめんね、リアス…半端な人間もどきになる前に、リアスと知り合いたかった…リアスと愛し合いたかった…今の僕には出来ない…すれば、世界は滅びるかもしれないし…」
そうなる前って、6歳くらいだよね?恋愛なんか、出来る歳では無いんだけど…でも、そうだね、その頃知り合いたかった…
亘が、珍しく私を求めた。私はそれに応じて、交わるだけの添い寝タイムの開始となった。交わるだけ…挿入したまま、お互いの肉体の一部を感じ合うだけの行為。それでも、亘と一体に成れることの満足感がある。
---亘---
リアスが幸せそうな寝顔で寝ている。僕はベッドを抜けて、服を着た。そして、リアスをベッドごと、新居のリアスの部屋へと転移させた。それから、僕は次の場所へと転移した。
目的の人物は、既に寝ていた。一応、金縛りの術を掛けて、身体の自由を奪っておく。それから、掛け布団を剥がし、お召し物を剥がして、畳の上に置いた。そして、刺激を与え、潤滑液を充分に出させて、交わる。
---綾香---
有り得ない刺激を感じ、目を覚ますと、金縛りに遭っていた。亘の仕業だろ?声が出ない。喘ぎ声が出ない分、頭には悶々とした気持ちが溢れていく。口元から唾液が流れ出している。亘は私の身体の中に、溜まっている物をぶちまけているようだ。膣から流れ出る濃い液体の感触。
乳房を掴まれ、乳首を口に含み、舌で転がされている。まさか、弟によって慰め者にされるとは、思ってもみなかった。金縛りは依然、解ける気配は無い。なんで、金縛りなんだ?
『無表情の相手としたいだけだよ』
って、無邪鬼から返答があった。そういうことか…自分と同じ表情の相手と、したいだけなんだ。で、他人にはそんな酷い扱いが出来ないから、私なのか?
『そうだよ。下僕契約を結んだでしょ?』
あぁ、そうだった。無邪鬼を立ち会い者にして、契約を結んだんだ。私が亘の性の下僕になる契約を…でも、これって酷いでしょ?性的な刺激がまるで感じ無いなんて…
『罰なんでしょ?きっとね』
そういうことになるのか。亘と交わることを望んだ私に対する罰、性的な刺激を与えない、ただ接触しているって分かるだけの刺激…感じたい…亘からの刺激を普通に感じたいよ~
「姉ちゃん、ダッチワイフになった感想はどうかな?」
え?そっち系の罰なのか?昼間のような拷問系もイヤだけど、こういう感じ無い系もイヤだよ~
「姉ちゃんはワガママだな。本当は屍姦っていう物をしたかったんだけど、姉ちゃんを殺す理由が無いからな…まぁ、姉ちゃんが死んだら棺の中でヤラしてもらうからね♪」
弟が色々な事に興味を持つのは良いが、変態方向に走るのはカンベンして欲しいよ。
「えっ?屍姦って変態行為なの?」
だよ。あと、他種族にやらせるのは獣姦って言う変態行為だよ!
「そうなんだ…僕って変態なんだ…」
戻って来なさい。正常な行為に!
「姉ちゃん、立場を分かっている?金縛りにあって、そんな強気は発言はどうかと思うよ」
あっ…視姦に切り替えたのか?亘の視線が感じる…悶々とした気持ちの波が、意識に押し寄せて来る。
「術で姉ちゃんの身体を死体にしたよ。あぁ、冷たくて気持ちがいいなぁ♪」
あ…弟の変態度が進んでいる気がする。意識が徐々にブラックアウトし始めた。本当に死ぬのかな…もっと、生きて…亘といろんなプレイをしたいよ~無邪鬼、お願い!
『亘にはお願いをあまりされないけど、姉ちゃんの方は願いしまくりだね♪了解だよ。そもそも、亘も姉ちゃんを殺す気無いし』
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意識がはっきりとしてくると、自分のいる場所が判明してきた。全裸で桐の棺にいるようだ。身体は亀甲縛りで拘束されていて、その全貌を見せないように菊の花で、顔以外を埋められているようだ。
「亘…出して…」
「出していいの?」
え?私の顔面に亘の濃い液体が出された。そうじゃないだろ?
「亘…いい加減にしないと怒るよ!」
「だから、立場を分かっているの?高貴な巫女様」
その呼び方の時、亘は碌なことをしない。
「あぁ…ダメ…やめて…気持ち…いい…クセに…」
私を縛り付けている縄が、まるで生き物ように蠢き、刺激を与えてきた。それもピンポイントで、的確に。
「クセになっちゃいなよ。人前に出られないくらい。クセにしてあげようか?」
「お願い…止めて…気持ち…良すぎる…あぁ…うっ!」
何かの一撃で、意識がホワイトアウトしていった。
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「亘…助けて…もう、無理だよ~」
どこかで燻蒸されているようだ。膝の部分で折り曲げられた脚は、足首がどこかに固定されているようで、股を閉じられない。その股の部分に、何か煙が漂い、私の膣へと吸い込まれて行く。
全身、何かの液体に塗れている。自分の体液と亘の体液、そして淫乱化をさせる薬物か?
「亘…いないの~」
亘から返事は無い。気配すらも感じ無い。私の記憶が正しければ、今日は元日では無いだろうか?
変態呼ばわりしたことを怒ったのかな?興味本位でしか、性行為と向き合えない弟なのに。愛情とか恋心とか持てれば、こんなマネしないだろうに…
ドアらしき物が開く音がして、涼しい風が身体に当たる。
「綾香さん…無事ですか?」
ソーナさんの声だ。
「どうにか…でね、見られたくない姿なんだよ~」
「ご、ご、ごめんなさい…見ちゃいました」
私の正面にソーナさんと数名の女性がいた。
「これは酷い…今、降ろします」
緑色の髪のボーイッシュな女性が声をかけてくれた。そして、私を縛り地獄から解放してくれた。
「ありがとう…で、亘は?」
「ごめんなさい…私が悪いんです」
紅髪の女性が私に謝ってきた。えぇ~っと、リアスさんだったっけ?
「亘を追い込んだみたいで…で、私に罰を与えれば良いのに…綾香さんに…」
そういうことか…何をやらかしてくれたんだ?
「何をしたの?」
「亘に…本命は誰かを訊いたというか…」
…それはダメだよ…愛情も恋心も封印していて、亘が一番苦しんでいる問題だし。でも、亘の返答には興味が有るなぁ…
「誰だって?」
「いないって…」
紅髪の女性は寂しそうに俯き加減で、そう言った。いないのか…いや、作れないのだろう。そして、亘の本命は彼女なんだろう。彼女に何もしないで、私にしたということは…そうとは知らない紅髪の女性は、俯いて嗚咽を上げている。ソーナさんが、彼女の肩を優しく抱きしめた。
「リアス…好きっていわれたんでしょ?それで満足しなさいよ。私は言われていないし」
好きって言ったのか?恋愛での好きじゃないと思うけど。
「あなたの何が好きだって?」
「えっ…えぇっと…ですね…」
言いにくい部分のようだ。あの変態弟め~どこを好きになったんだ?
「味と…香り…と、背中…」
リアスさんのカミングアウトに近い発言に、どう言葉を掛けて良いか、迷う私達。
「すまない…私の弟が変態で…」
一応、謝罪をしておく。
「いえ…嬉しいかったんですよ。人前で言うのは恥ずかしいけど…だって、私の素の部分を好きって…見た目とか態度とか地位とかで無くて…私の本当の姿を好きって…初めて言われた時、ドキドキしました。私はそんな亘が好きです。愛したいです。でも、亘は…そういう行為が暴走のきっかけになるみたいで…ごめんなさい。綾香さん」
亘の言っていた事…悪魔にも良い悪魔っていると思う。そんな悪魔も、悪魔だからって退治するの?って…今の私には、亘の言いたいことはわかる。無邪鬼の件もそうだ。
「亘を消えさせない。恋愛も出来る様にしてあげたい。だから、もう少し待ってください。方法は見つけますから」
そう、リアスさんには伝えた。私に対して回復術が施されていく。それと同時に身体を綺麗にしてくれていく。
「今回はどんな罰でしたか?」
ソーナさんが聞いてきた。
「身体の感覚を奪われて、気持ち良さをまったく感じ無いプレイ…地獄だよ…」
思い出すのもイヤなプレイだ。
「それは辛そう…」
「辛すぎる…最初はダッチワイフにされ、次に死体、そして棺に入れられて見られているだけって…なんで、あんな変態になったんだ?」
私の中の疑問を口にした。
「あぁ…ごめんなさい。私のせいです。もっとエロ心を持ちなさいって…まだ、亘の事情を知らない時に言っちゃったら、エロではなくて、変態方向へと…」
リアスさんが謝ってきた。あぁそれで、興味本位でアレコレと。本か何かで勉強して、実践してみたのか。それは参考書が悪いんだな。
「動けますか?」
私を縄から解放してくれた、緑髪の女性が声を掛けてきた。
「筋肉痛かな…身体中が痛い…で、亘はどこ?」
「寝ています。エネルギーをゼロになるまで、発散したようで、今は死んだように寝ていますよ」
そう…無事ならいいや。こんな目に遭ったけど、弟を憎む気は更々無い。私は遠征帰りの弟に酷い事を言った上、酷い事をした姉だ。亘の言っていた通り、殺意を持って、亘へ術をフルバーストしていた。当たっていたら、あの当時の亘は消滅していただろう。今では、もう無理だけど。力の差は歴然だった。亘の術を破れない。私の術は総て破られているのに。この10年、亘は一人で色々な知識をマスターしたに違いない。10年と言うけど、亘にとっては、無限な時間であるのだから。
「あと、4時間くらいで、元旦のパーティーを始めますよ。参加できますよね?」
えぇっ?まだ、元旦の朝なのか?そうなると、あれって専用フィールドだったのか。
---ソーナ---
お昼になり、徐々に新居に越して朝を迎えた者達が、合宿所の1階にある大広間、いわゆる食堂であるけど、そこに集まってきた。亘さんは翼紗がオンブをして、連れてきた。お姉さん似の翼紗なら、安心だと思うので、彼女に亘さんの看病を任せておいた。
昨夜、朱乃達が作ったお節料理の数々もテーブルに並べていく。取り皿や箸なども用意してある。乾杯用の飲み物とグラスもだ。ここは学生寮になるので、アルコールは用意してはいないが、サーゼクス様が用意してきた。グレイフィアさんとお姉様って、酒癖が…
「「乾杯~♪」」
イッセー君の音頭で、乾杯も無事行われた。一人を除いて…亘さんはまだ起きない。翼紗と綾香さんの間でオーフィスちゃんに抱っこされて寝ている。2,3日は起きないだろうな。
「よぉ!やっているな~」
作務衣姿の男性とガタイの良い2名の青年が現れた。誰だろうか?
「おぉ、アザゼル、来てくれたんだね。アーサー、美猴、待っていたよ。お前達の部屋もあるぞ」
って、ヴァーリが相手をしている。ヴァーリチームの関係者か?
「あれ?アザゼルじゃないの?ちょっと、注ぎなさいよ」
グレイフィアさんが、命令している。
「え?グレイフィア…おい、ヴァーリ!ここは何の集まりだ?お前の引っ越しパーティーじゃないのか?」
「いや、違うよ。チーム亘の引っ越しパーティーだよ、アザゼル♪」
「ヴァーリ、その亘って人物と手合わせをしたいんだけど。君が惚れた男なら、度量は問題無いとは思うが、私達の頭で良いのか確認をしたい」
「アーサー、やめておけ。死体にされると困る」
「あっ、お兄様♪」
ルフェイちゃんがアーサーという人物に近寄っていった。お兄様?兄妹なのか?
「アーサー・ペンドラゴン。ルフェイの兄だ。あのアーサー王の子孫だよ」
戦意を纏った亘さんが、私の隣に来て説明してくれた。一人では歩けないのか、オーフィスちゃんが肩を貸し、翼紗がガードできる位置についていた。
「おい、亘…まだ、起きちゃダメだよ」
ヴァーリが心配そうに亘に駆け寄っていった。
「君か?ヴァーリを骨抜きにしてくれた人物は?」
「そんな覚えは無い。まぁ、口で言うよりも」
アーサーさんと連れの青年と亘さんの姿が、ぶれて見えた。
---亘---
「アーサー王の子孫と孫悟空の子孫のコンビか」
「何で、俺っちの正体まで見抜いているんだ?」
美猴という孫悟空の子孫が喰って掛かってきた。
「そんなのオーラでわかるよ。それくらい分からないと、仕事にならないからね」
「君は一体、何者だ?それにここはどこだ?私の剣で空間が斬れないのだが」
アーサーさんの剣、聖王剣コールブランド。アーサーの王の愛剣だったかな?僕の持つ剣の親戚みたいな感じかな?
「ここは僕専用のフィールド。僕の許可なく、リアルタイムには戻れない。もし、僕がここで死ねば、君達はここから出られないってことだ。で、僕は聖戦士、神内亘だ」
僕も愛剣を空間から出し構えた。僕の愛剣を見たアーサーさんから驚きの声が上がった。
「それは…まさか…そんなはずは…」
「これ?本物のエクスカリバーだよ。教会関係で分割精錬されたのは、これのレプリカだ。教会から僕に分割精錬される前のを貸与されていたんだけど、固いヤツを斬ったら割れちゃってさぁ、破片を総て拾い集めて、教会に返納したのさ」
「どこにあった…」
「探していたのかな?『聖剣』という古い書物に隠されていた」
「書物に剣を?有り得ないだろ?アーサー、こいつはホラ吹きだよ」
美猴が口を挟んできた。
「書物に書かれていた魔法陣により、空間に封印されていた。僕は、その魔法陣を書き換えて、僕に帰属させたんだよ」
「そんな場所に隠されたいたのか…」
「君の先祖のアーサー王は、目で見える剣を引き抜き、聖王剣と名付けて使用したようだけど。レプリカの方は強度が無くて割れちゃったしねぇ」
「おい、アーサー…アイツはホラ吹きじゃないのか?」
ゴトッン!
言い終わった瞬間、美猴の首は床に落ちた。
「これでゆっくり話せるだろ?」
「そんな重い剣を自在に使えるのか?」
「使えるよ。じゃなきゃ意味が無い。剣が泣くでしょ?持ち主が使いこなせないとさぁ」
アーサーさんは間合いを詰めてきた。僕に分からないようにして…丸わかりだけどね。
「どうします。あなたでは僕に勝て無い。僕はルフェイを哀しませたくない」
「そうか…ルフェイが言っていた想い人は君かな?」
「それはどうかな?僕にはわかりません。僕には感情が無いですから」
「感情が無い?」
次の瞬間、床に倒れているアーサーさん。身体の節々から煙が立ち上っている。
「聖戦士が魔法を使えても良いでしょ?」
「あぁ…そうだね。迂闊だったよ…ルフェイが惚れて、魔法陣を書き換えられるんだものな、魔法に精通しているってことだったよな…」
---ソーナ---
一瞬ぶれた姿がはっきり見えると、アーサーさんと連れの青年は、その場に崩れるように倒れた。亘さんは、翼紗に身を預けるように倒れ込む。
「亘…大丈夫か?ルフェイ、小猫…頼むよ~」
翼紗の叫びに呼応して、二人が亘さんの元へ行き、回復術を施していく。オーフィスちゃんは、オーラを流し込んでいるようだ。
「大丈夫だ…三が日は寝る…」
翼紗の胸に顔を埋める様な体勢で、寝息が聞こえ始めた亘さん。
「会長、亘を部屋に運びます」
彼を抱き抱えた翼紗を先頭に、ルフェイちゃん、小猫ちゃん。オーフィスちゃんが続き、綾香さんも付いていった。