---ティオナ---
ホームに戻り、主神に一言文句を言おうと、ロキの部屋に行った
「ティオナ、ちょうど良い。紹介しよう。彼が新しい団長のディックス・ペルディクスだ。」
「ふふふ、よろしくな。アマゾネス君」
いきなり、ゴーグルを掛けた男性を新団長として、ロキから紹介された。
「新しい団長って、どういうこと?」
「呑み屋で意気投合してな。裏切り者に、制裁を加えるのを手伝ってくれるそうなんや」
「裏切り者って?」
「フィン、リヴェリアだ。そして、アイズたんを取り戻すんや」
嬉しそうに話すロキ。だけど…
「本人の意志での改宗なのに?」
「アホんだら、本人の意志なんか関係あらへん。ウチの所有物なんやから、眷属っていうのはな」
「私は、ロキの所有物じゃないよ~」
シュッ!シャー
首元から暖かい物が吹き出した。何だろう?目の前が段々暗くなっていった。
---ロキ---
「おい、ディックス。何すんや。ティオナが…」
目の前には、血の海で倒れているティオナがいた。
「こいつも裏切りそうだったので、始末しました。主神様。おい、コイツを捨ててこい!」
ディックスは、手下の物に命令をして、大きな袋にティオナを詰めて、運んでいった。
「明日の朝、決起集会をして、昼には襲撃しましょう。こういうのは早目が良いのですよ。相手にバレる前がね。ふふふ」
「そうやな。そうしよ。奇襲や。『豊饒の女主人』を焼き討ちして、出て来たとこを袋だたきや。ふふふ、愉しみやなぁ」
---ディックス---
「チョロいもんだ。酔いどれ神を騙すのは」
と、ロキに聞こえぬ声で囁いた。
「おい、巨乳のアマゾネスと、エルフの娘を薬で眠らせて、箱に詰めて運ぶぞ」
手下に命令をした。オーフィス・ファミリアという新参ファミリアのせいで、商品を没収されちゃったからな。手薄になったロキ・ファミリアで商品補充が出来てラッキーだ。
「そういえば、入り口で、喋る首だけの狼がいたな。あれも箱詰めして、運んでおいていくれ」
「了解です」
ロキとオーフィスが戦っている隙に、商品と共に高飛びだ。ふふふ。
---シュウ---
久しぶりの鍛冶仕事で、寝過ごしてしまった。朝一でロリ乳を、調教しようと思ったいたのに残念。お店に転移して、在庫確認を始めた。裏口からアスフィとアミッドが出勤してきた。
「「おはようございます」」
「あぁ、おはよう…」
2階からロリ乳と、弁当を抱えたベルが降りてきた。
「「おはようございます」」
「あ、おはよう…眠い…」
「シュウさん、行ってきます」
ベルが元気よく、お店を出て行った。が、すぐにベルの悲鳴が聞こえて、僕達はお店の外に出た。
そこには、ティオナがいた。
杭に刺さったティオナがいた。
首元から膣にかけて杭が打ち込まれている。頭は皮でつながっているだけで、肩からぶら下がっているように見えた。
「ティオナぁぁぁぁ~!」
僕は大声で彼女を呼んだ。返事は無い。僕の目から、久しぶりに涙が溢れていく。こんな惨い死体は、久しぶりだったから。力無く膝から崩れた。どうして、こんなことに…
『豊饒の女主人』からミアさん達が出て来て、言葉を呑んでいた。
「なんで…なんでだよ。誰にやられたんだ?ティオナ…許さない。僕の大切な友人を…」
怒りを纏い、纏いきれない怒りが漏れ出していく。僕の怒りに呼応して、獣門を3つ開き、フェンリル親子を召喚された。召喚されたスコルとハティが、僕の涙を舐めて、僕の漏れ出した怒りを鎮めてくれた。
「フェンリル、スコル、ハティ。ティオナをここに放置した奴、ティオナを殺した奴を見つけて来てくれ。頼む…」
ウォォォォォォォ~
フェンリルが遠吠えをして、三匹はティオナからの臭いを嗅ぎ取り、追跡を始めた。
龍門を開けるだけ開き、チームドラゴンを召喚した。
「フェンリル親子に追跡を頼んだ。お前達は空から、街を出て行くヤツラがいたら、捕まえろ。頼むぞ」
「「了解だ!」」
空を飛べないリヴァさんが、僕の傍に来た。
「彼女をこんな目に遭わせた奴は、絶対に許さないよ。ドラゴンの逆鱗に触れるより怖い、鬼の怒りを見せてやれ、シュウ」
地獄の門を発現させて、地獄の鬼達を呼び出した。
「僕の友人をこんな目に遭わせた奴を、見つけてくれ」
「坊ちゃん、任せてくれ。ドラゴンや狼に負けないですぜ」
---ヘルメス---
街中が大変なことになっていた。空にはドラゴンの群れが飛び交い、街中には神喰狼と鬼共が闊歩していた。何が起きたのだ。原因はシュウなのは明らかだ。理由は?
理由を訊きに行きたいのだが、シュウのいる場所まで移動が出来ない。神喰狼に見つかれば、食べられてしまうのがオチだ。アイツらは神が大好物であるから…さて、どうするか…あっ、アスフィの置いていった、透明人間になれるマントがあったなぁ。アレを使おう。
---シュウ---
杭を地面からゆっくりと引き抜き、ティオナの亡骸が壊れないようにして、彼女から杭を引き抜いた。血は一滴も出なかった。大量出血で死んだのだろう。
聖なる布の上にティオナを寝かせて、首と胴体をくっつけた。応急処置である。今の僕は怒りに満ち溢れていて、甦らせる能力が発揮できない状態だった。ごめん。今は、これで、我慢してくれ、ティオナ…そして、丁寧に、聖なる布で包んだ。
「ヘスティア、お前のベッドを借りるぞ」
頷く、ヘスティア。
ティオナを抱えて、ヘスティアの部屋のベッドに横たえた。
「アイズ、フィン、リヴェリア。ティオナの傍にいてくれ」
頷く三人。
「ベル、ヘスティア、アミッド、アスフィは、店にいてくれ」
そして、僕はお店の外に出た。
「オッタル、アイシャ、フェルズ。ここの警備を頼む。考えられる攻撃は焼き討ちだ」
「「「了解(御意)」」」
『見つけた』
オーフィスから念話が届いた。そこへ転移すると、ロキのホームの前だった。
「ロキ!出て来やがれ!てめぇだけは許さない!」
「チームドラゴンは引き続き、この街から逃げる者をチェックしろ。フェンリル達は付いて来てくれ」
僕とフェンリル親子でロキのホームの入り口に入った。いつもと違う…違和感…そうだ、ベートがいない。
中庭に向かうと、ロキが団員の前で演説をしていた。団員の群れをかき分け、ロキの前に出た。
「てめぇ、許さん!サマエルよ、力を貸してくれ」
堕天使サマエルが宿ったナックルガードを装着して、拳をロキの腹に打ち込んだ。ナックルガードが腹に当たった瞬間、サマエルの槍を撃ち出した。
「うっぐぅ…」
「おい、絶対神と同じ神なんだろう?なら問題無いよな。神族だと解毒不能の毒だけど」
ロキの首元を掴んで、地面に叩き付けた。
「えっ…」
「なんだ?その間抜けな目つきは…」
ムーンサルトキックをロキに叩き込む。
「待て、どういうことだ?」
ガレスが間に入った。
「どうしたって?ガレスは知らないのか?この悪神は、ティオナを殺したんだぞ」
「なっ、なんだと…」
振り返ってロキを見つめるガレス。
「お前らは売られたんだよ、ロキに。玄関にベートが、いないのはどうしてだ?」
「いないだと?そんなはずは…」
「では、なんで、ここにレフィーヤとティオネ、ティオナがいないんだ?こんなに団員がいて、誰も不思議に思わなかったのか?おい、ガレス!」
「ロキ…どういうことだ?儂にもわかるように説明してくれぬか?」
「シュウ、た、助けて…死にたくない…」
ロキは全身から血を吹き出しながら。俺に懇願していた。
「おい、命乞いより、ガレスの質問に答えてやれよ、神さまよっ!」
「知らない、新団長のディックスに訊いてくれ、ガレスよ」
ディックス…あぁ、探しているゴーグル男かぁ。ここに潜んでいたのか。
「ほぉ~、おたずね者であるイケロスの元団長を、ロキ・ファミリアの新団長にしたのか?ロキよ、お前は頭がいかれているだろう。まぁ、おかげで話が見えてきたよ。もう、ここにはアイツらはいない。商品を確保したからな」
「商品?」
「豊満な胸のアマゾネス。汚れのないエルフの処女。喋る首だけの狼男だ。可哀想にティオナはアイツらに、商品価値無しと判断されて消されたんだろうな。あのゴーグル野郎、許さない。ガレス、ジャマしたな」
僕はフェンリルに跨がり、その場を去った。あのゴーグル野郎を追い詰める為に。
『ナヴィ、チームクリス以外、全員徴収だ。エマージェンシーコールを発令していくれ。どうしても許せない奴が、逃亡しているんだ』
ベースキャンプにいるナヴィに連絡をした。僕のチーム全員で追い込んでやる。あのゴーグル野郎。だけど、お店の前に戻ると、ヤマトと数名しか来ていなかった。
「全員徴収をかけたんだけど…」
「ナヴィが、シュウさんがマジキレしているからお願いって、僕に連絡があったんだ」
ヤマトが答えた。
「シュウさんが冷静な判断が出来ていないと、ナヴィは判断した訳です。団長」
「ナヴィは正解だ。こんなにも、怒りを覚えたのは久しぶりだよ、ヤマト」
「誰を見つければ良いんですか?」
「闇取引の時に逃げられた男だ」
「あの時に?それは許せないですね」
僕はフェンリル親子の毛繕いをして上げてから、彼らには獣門に帰ってもらった。
「これだけの包囲網で見つからないとなると、地下トンネルの可能性もありますね」
リアが収集したデータから、予測を導き出した。
「地下トンネルの在処は分かるか?」
「難しいですね…」
「そうか…では、地下水路はどうだ?」
「ありますね、数本…」
「海に抜けるのは?」
「一本あります」
「リヴァさん、お願いします」
「やっと出番だな」
水中では無敵なドラゴン、リヴァイアサンことリヴァさんの背中に乗せてもらって、水路を海へと向かった。それに伴い、空に展開していたチームドラゴンも海に向かわせた。地獄の鬼さんチームには、お帰り願って、地獄で待機をしてもらう。
海が見えた頃、モーター付きの船を前方に見つけた。
僕とリアは上空に展開した。リヴァさんは、本来の巨大な姿に戻る。そして、船の舳先からリヴァイアサンとして出現した。
「リヴァイアサンだと…15年前に退治したんじゃないのか?」
「ふふふ、逃がさないぞ、元イケロスの諸君」
「お前は…オーフィス・ファミリアの団長…」
「覚えていてくれて、嬉しいよ。ディックス君」
「どこまで、俺達のジャマをするんだ?」
「ジャマじゃないよ、仇討ちだ。ティオナのな。リヴァさん、船を走行不能にして」
「おい、リヴァイアサンを使役させているのか?」
狼狽えていく船の乗員達…ふふふ
「上空にいるドラゴンの群れもだよ。僕の自慢の仲間、チームドラゴンだ。逃げ場の無いここでパス・パレードとしゃれ込むかい、ディックス君。ふふふ」
「ちょっと待て…お前、頭がおかしいだろう?なんで、ドラゴンを仲間にしているんだ?」
怪訝な顔付きで、僕に問うゴーグル男。
「簡単な事だ。それは、僕が化け物だからだよ」
指先を伸ばして、ディックスの仲間に突き刺して、魂を吸い取る。
「ばっ、化け物…ひっ…」
恐怖で顔が歪むディックス君。
パチッン!
「痛っ…何をした?」
「ディックス君の筋肉繊維を、一本ずつ切断しているんだ」
「やめて…くれ…なぁ、助けて…くれ」
「命乞いかい?流行らないから、止めた方がいいよ。筋肉繊維だとつまらないから、毛細血管を切断していこうかな。神経の方が良いかな?ふふふ」
「悪かった…頼む、助けてくれ…」
「もう、助からないよ。お前は鬼の怒りを買ったんだからな。それなりに、愉しませろよ。ふふふ」
「鬼…」
「そうだよ、僕は鬼の子供だよ」
「え…」
「しょうがないなぁ、生きたまま、地獄へ送ってやるよ。愉しんで来いよ」
ディックス達を鬼の皆さんが待機している地獄へ強制転移させた。
チームドラゴンとヤマトにお礼を言って、帰ってもらった。彼らも忙しい身だからね。僕だけ、船に一人残った。船内を探索していく。船倉に箱を見つけて開けて行く。レフィーヤとティオネ、ベートを発見。僕達のお店の前に、強制転移させた。そして、僕もお店に戻った。
◇
ヘスティアの部屋では、ベッドの上で聖なる布に包まれたティオナが、静かに眠っていた。泣き崩れたティオネをフィンが支えた。レフィーヤは呆然としている。ベートはうるさいので、店の軒先に吊してある。
「これから、ティオナを甦らせる」
僕は祝福の聖剣を取り出し、僕とティオナの闇を浄化していく。そして、治癒術でティオナの身体を、傷一つない身体へと治癒させていく。
招魂をして、彼女の魂を呼び出し、彼女の身体という器に戻してあげ、最後に回復術で、心臓に鼓動を与えていく。
しばらくすると、布の中から咳き込む音が聞こえて、布からティオナが出て来た。
「ティオナ、お帰り」
「あっ…シュウ…ただいま…」
ティオナに抱きつく、元ロキ眷属の仲間達。僕は静かに階下に降りていった。
「おつかれさま」
フレイヤの声がした。
お店には、フレイヤ、ヘスティア、ヘファイストス、ヘルメス、ガネーシャがいて、笑顔で出迎えてくれた。。
「どうしたんだい?みんな…」
「聞いたよ、シュウの奮闘ぶりをね」
ヘファイストスに肩を揉まれた。
「ロキは一命を取り留めたそうだ。あんな仕掛けを、付け乳に持たしていたとはな」
「あぁ、アレねぇ。僕が怒ったら、たぶん、毒攻撃をすると予想して、ロキの胸をサイズアップさせる際に、埋め込んでおいたのさぁ」
ヘルメスが苦笑いしている。ロキの大きくなった胸に解毒剤と自動体内式除細動器を仕込んだのだ。一旦死ぬ必要があるが、そのあと、解毒剤が注入され、心臓が再鼓動するようにしてあった。
「これで、少しは真面になってくれるといいんだけどね」
ティオナがいるであろう辺りを見上げた僕。