---シュウ---
アイズの近くに転移した。目の前の光景に固まる。アイズとレフィーヤが探せない程、ミノタウロスの大群で、フロアは埋め尽くされていた。なんだ、これは?何が起きたんだ?
僕が現れたことに、敵意を示さずに、僕に対して背中を無防備に晒しているミノタウロスの大群。大群の中心では蠢くミノタウロス達がいた。何をしているんだ?
翼を展開して、上から見てみたら…ミノタウロスの大群に慰め者にされていたアイズとレフィーヤがいた。精液を出し切ると、ミノタウロスは交代していく。二人の膣や口や鼻などから、精液と思しき液体が流れ出ていた。全身は液まみれのようだ。ミノタウロスの肉便器状態のようだ。ここまで、汚れていると、ミノタウロスでも喰わないようだ。
最悪な事に、二人から生体反応が感じられない。ひたすら、ミノタウロス達の性欲を充たすための、ダッチワイフに成り下がっていた…ふざけるな!僕の弟子達に何をしやがる。この牛野郎が!
『地獄の業火』(複数の相手を苦しみながら燃やし尽くす呪文)を唱え、目の前の牛達を燃やし尽くし、アイズ達もこのまま、蘇生するのは偲びないので、一緒に燃やし尽くした。
地面に降り、アイズの愛剣を拾った。高温で焼かれて、色が変色していた。剣を見つめて、アイツらの無念さを感じ取った。あの二人で相手にするには、数が多すぎた。後ろを取られ、身動きできないようにされ、タダひたすら、性欲のハケにされたようだ。加減を知らない魔物達。膣を突き破り、内臓をも突き破られ…くそっ!
ミノタウロスの魂を招魂し、魂に尋問をしてみる。すると、原因はソーマ・ファミリアのヤツラだった。探検者の女性は性のハケ口、男性は皆殺し、うまくできたら神酒を飲ませるように調教していたようだ。なんてヤツラだ…
僕は50階のベースキャンプに転移した。
「シュウさん、どうしたんですか?」
管理をまかしているクリスに声を掛けられた。
「アイズが…」
僕の頭に手をかざし、記憶を読み取っていくクリス。
「ひでぇ~…なんてことをしやがる」
僕は客間の1つを借りて、アイズとレフィーヤの身体を、彼女達の新品の身体を、創造していく。そして、彼女達の魂を招魂して、身体という器に戻していく。
「クリス、このまま、置いて行っていいか?ケリをつけたら、迎えに来る」
「わかりました。アマゾネス姉妹はどうしますか?」
「彼女達も頼む。ここなら安全だ。ソーマのヤツラはここまで来られないからな」
僕はお店に転移した。
◇
お店にはフィン、リヴェリアが待っていた。
「アイズ達はどうしたんだ?」
心配そうにフィンが訊いてきた。
「やられた。ソーマのヤツラの罠に…」
「アイズがか?」
「あぁ、数が多すぎた。許さない…アイツら。フィン、僕だけで行ってくる。ここと隣のガードを頼む」
僕は、フレイヤの傍に転移した。
◇
「どうしたの?シュウ…」
僕の顔を見るなり、声を掛けてきたフレイヤ。
「ごめん…我慢の限度がねぇ…」
何をどう話していいかがわからない。そんな状況に気づいたフレイヤは、僕の記憶を読んでいた。
「ひどい…なんてことを…」
「チームフレイヤに命ずる。ソーマのホームから出て来た奴を総て捕縛していくれ。ホームには、僕一人で乗り込むから」
「わかりました」
僕に跪いた女神フレイヤ。僕だけで、ソーマ・ファミリアのホームの門をくぐった。目についた蔵に入ると、主神らしき者が酒作りをしていた。
「おい、お前がソーマか?」
無言で淡々と酒作りをしている目の前の男。そっちがそういうつもりなら、
『ダイヤモンドダスト』(ダイヤモンドの微粒子を光速で撃ち出す魔法)を唱えて、蔵にある酒樽を総て破壊した。
「貴様、何をするんだ?」
目を剥いて怒り出す男性。
「僕のファミリアが、あんたのファミリアにパス・パレードの罠を、2回も喰らったんだが、どう落とし前を付けてくれるんですか?」
「それは悪かったな」
無表情でただ言葉を出した男性。
「それだけですか?死者が出ているんですが」
「悪いが、私は酒作りしか興味がない。そういうのは団長に言ってくれ」
「そうですか…では、もう酒を造れなくしてあげますよ」
堕天使サマエルの宿るナックルで両腕の付け根を叩く。ソーマの両肩には、サマエルの毒が滴る、槍が刺さった。腕の毛穴からは、血が噴き出していく。
「手が…何をしたんだ?」
「両肩に神族用の猛毒を撃ち込みました。血が噴き出さなくなれば、腕は壊死して、もう使えなくなります。それでは!」
僕は、その場を後にして、住居部へと入っていく。
入ると直ぐに斬りかかられた。避けずに、受けて立つ。いくら斬られても、再生していく僕の身体。僕に斬りかかった者達に恐怖の表情が見えてきた。
「団長を連れて来い。お前らも簡単には殺さないからね。ふふふ」
バーン!バーン!バーン!
銃で撃ってきた。効かないよ。そんな物じゃ。僕の身体が蜂の巣になるも、再生していく。そんな対人兵器で死ぬ訳ないだろう?
「おい、団長を連れて来いっていっているだろうが…」
火炎瓶を投げつけられた。全身火だるまになってしまった。でも鎮火して再生していく僕の身体。
「お前は化け物か?なんで死なない…」
「仲間の受けた傷、恨みを晴らすまで、僕は死なないよ!だって、化け物の王だからね。ふふふ」
死を感じさすオーラを放っていく。オーラに触れた者達が狂ったように逃げ惑っている。
「で、団長はどこにいるんだ?!」
僕は、怒りのオーラを爆発させた。爆風で、壁や天井が崩れていく。粉塵で視界が悪くなっている。粉塵が収まり視界がクリアになると、敷地内はガレキの山が多数あった。生き埋めになった者もいるのだろう。ガレキの山が小刻みに動いている。
敷地の外にいるフレイヤと目が合った。彼女ですら、この惨状に恐怖を抱いているようだった。いや、まだまだだよ。
僕は手のひらを地面につけて、エネルギー砲を撃ち込んだ。土砂が吹き上がり、大きなクレーターができた。
そのクレーターのそこに降りて、地下室のあると思われる高さに、エネルギー砲を僕の全周360度に撃ち出していく。地上面がそれに伴い、所々地盤沈下していった。
地上面に戻ると、地面にあった扉らしき物が開き、眼鏡を掛けた細面の男性が土埃と共に出て来た。そいつは地上の変貌ぶりを見ると、
「なんだ?何が起きたんだ?」
と、今更なことをほざいた。
「団長のザニス・ルストラか?」
僕は声をかけた。
「お前は誰だ?」
「僕は、鬼門ファミリアのシュウ・ヨハネ・鬼門だ」
「神なのか?」
「神であることは認めない。それに、僕が何者かは関係ない」
「はぁ?神でもないのに、ファミリアなんか作るんじゃねぇ。ギルドに提訴してやる」
「犯罪者が何を言うのかな?君には一番過酷な刑を与える」
僕は彼に向けて手をかざして念を込めた。
「君はこれから不死の身体で生きろ。どんな怪我を負っても死なない。どんなに歳をとっても死なないよ。その代わり、欲を充たそうとすると激痛が走るからな。じゃぁな♪」
僕はフレイヤの方へ歩き出した。そんな僕に向けて乾いた音がした。
パァーン!
銃を撃ったようだ。貫通しているし。傷は再生していった。
「何?再生能力持ちだと?」
「あぁ、そうそう。この敷地からは出られないからね。呪いの結界もかけたから。大好きな主神と仲間達と、永遠に、ここにいろよ♪」
僕は、ソーマ・ファミリアの敷地を出て、結界を閉じた。
「こんな結末でどうかな?フレイヤ」
「惨い刑だわね。私達、神には思い浮かばないわ」
「それだけのことを、したんだ。あいつら…」
「そうね!」
結界の内側で、ザニスが何かを叫んでいるが、消音効果もあるから、何も聞こえない。
◇
フレイヤの身体と合わさって、僕の心をクールダウンさせていく。何もする気も起きず、ただ、フレイヤの身体と合わさっている。そんな僕を暖かい目で見守ってくれている彼女。
どのくらい時間が経ったであろうか。そろそろ行かないとなぁ。
「ねぇ、ザニスは最後どうなるの?」
僕のオーラが通常レベルになったことに、気づいたフレイヤが訊いてきた。
「骨になって朽ちても、魂の状態で、この地に留まり、悔い改めない限り、天に召されない」
「さすがに、鬼の子ねぇ」
「誉め言葉として、受け取るよ。じゃ、アイズ達を甦らせてくる」
僕はアイズがいる50階のベースキャンプに転移した。
◇
アイズとレフィーヤに回復魔法をかけて、心臓の鼓動を始動させた。しばらくすると、身体に血の気が戻り始めて、体温も戻って来た。
次にティオナ達のいる部屋に行き、彼女達の不安などの闇の部分を浄化していく。段々と表情が和らぎ、いつものような顔付きに戻っていくティオネ達。
「シュウ…また、助けてくれて、ありがとう…」
涙で濡れているけど、笑顔のティオナに抱きつかれた。
「遅くなって、ごめん」
「ううん」
アマゾネス姉妹と感動的な再会シーンをしていると、扉が勢いよく開いた。ムードブレイカーの復活かな?振り向くと、全裸のアイズと、アイズの背中に隠れるようにしているレフィーヤがいた。
「シュウ…なんで、真新しい身体なんだ?」
あ?真新し身体が気に入らないみたいなアイズ。
「なんでって、前の身体は、灰にしたから」
「なんで灰にしたのさぁ」
「汚れきっていたから…」
「シュウとの想い出を刻んだ身体なんだよ」
「魂に刻まれているからいいじゃん」
「膜が新調されているし…」
「あぁ、その膜は強化してあるから、そうそう破れないよ」
「なんで…」
「なんでって…喜んで貰えないの?」
アイズの怒りの意味がわっかんない…ティオナの方を見ると、アイズの怒りの飛び火が来ないように、僕から距離を取っていた。
「レフィーヤも喜んで貰えないの?」
「え?私は満足です。前よりもお肌がスベスベだし…ははは」
「アイズ、レフィーヤは喜んでいるけど…」
アイズの目付きがヤバそうだ。
「わかった。シュウ、三日三晩、私を愛し続けなさい」
「え?なんで?意味わっかんない」
「あなたの専用の身体に、私の身体を仕込みなさい」
「そうだ…快気お祝いしよう。ミアさんのお店に予約しないと。アイズにはじゃがまる君を大盛りでごちそうしよう。お腹減っているだろう?」
「そう言えば、お腹がすいているなぁ」
やっと、話をブレイクできた。新調した身体だから、胃の中は空っぽのだもんね♪
アイズ以外の者が、「うまく誤魔化したな」って感じの苦笑いをしていた。クリスに礼をいって、お店に転移した僕達。
◇
ミアさんのお店で宴をしていた。じゃがまる君を食べ放題で大喜びのアイズ。生きて生還できた仲間達を労う仲間達。
そういえば、何かを忘れているような気がする。記憶を整理していく。あれ?ベルを刺した発育途中娘はどうしたっけ?逃げたのかな?いや、どこかに…あっ!
僕は調教部屋に転移して、泣きじゃくっていた発育途中娘を十字架から降ろした。
「すまん、忘れていた」
一応、謝っておく。
「このまま、リリは干物になるのかなって、心配しました。うっうっうっ」
泣きじゃくっているリリを抱えて、ミアさんのお店に転移した。そして、みんなに紹介した。
「新しい仲間のリリだ。ヘスティア・ファミリアに改宗させた。現在、ベルを刺した罰で全裸の刑を執行中だ。あと、コイツを食べていいのは、刺されたベルだけとする。よろしく」
リリは、全裸でも隠すことをせずに、黙々と食事を食べていた。よほど、お腹が減っていたのだろうか。
「シュウさん」
真っ赤な顔をしたベルに呼ばれた。
「どうした?食べる気になったか?」
「そうじゃないですが…服を着させてあげてください。視線が行ってしまって、恥ずかしいです。これって、罠に嵌まった僕への刑ですか?」
「そうじゃないよ。しょうがないな」
『洋服再生』を唱えて、リリに服を着せた。
「これでいいか?ベル」
「はい!これで、話し掛けられます♪」
あぁ、そういうこと…ベルが嬉しそうにリリに話し掛けていた。