---亘---
新学期…休み中は爆睡三昧だった気がする。休み…色々な場所に行きたかったのに。教室に向かうと、イッセーが既に来ていた。
「亘、もういいのか?」
「まだ、怠いよ。朱乃のお節を食べ損なったし…」
姉ちゃんの調教でエネルギーを使い果たし、少し回復した処で、ヴァーリの仲間、アーサーさんと美猴との戦闘でエネルギーを使い果たし、更に回復した直後に桃ちゃんの躾で再度使い果たしていた。もう少しエネルギー効率を良くしないと、生活のリズムが良く無いな。
「ねぇ、まさか姫島先輩と暮らしているの?」
桐生が寄って来た。スルーしよ。怠いし…
「亘は、姉ちゃんと暮らしてるぞ」
あぁ、イッセーが代わりに答えてくれた。
「姉ちゃん?え?亘って、家から追放されたんじゃないの?」
「おい、どこ情報だ?」
少し苛ついてきたので、訊いてみた。
「どこって…雑誌よ。週刊誌」
あぁ、あの雑誌か…
「あれは、デマ記事だよ。次号にはお詫び記事が載る」
事実を伝えた。そして、ホームルームの時間。担任が入って来て、
「今日は、君達に新しいお友達が増えます。このクラスに編入生が4名来ました」
って…4名?なんかイヤな予感が…転入生が担任に呼ばれ、教室に入ってきた。イッセーと僕は驚きで固まったと思う。そこには、姉ちゃん、ゼノヴィア、トスカ、そして何故かヴァーリがいた。
姉ちゃんは僕の隣、残りの3名は僕とイッセー、姉ちゃんの後ろの席になった。
「自己紹介をお願いします」
担任が4名に自己紹介を促した。
「神代綾香です。そこにいる神内亘の姉です。弟を虐めた輩は、絶対に許しません」
「ゼノヴィアです。亘師匠の弟子です。よろしくお願いします」
「トスカです。好きな人は亘さんと祐斗です。よろしくお願いします」
「ヴァーリだ。亘君にとって悪い虫は、俺が排除する」
っと…全員が僕の関係者だとわかる自己紹介をしているし…桐生の顔は強張っていた。4人からの殺意の籠もった視線を一身に受けていたから。
始業式が終わり、放課後…桐生は逃げ出すように教室から出て行った。
「イッセーは生徒会か?」
「あぁ、そうだよ。亘達はオカ研か?」
オカ研とは、リアスが部長を務めるオカルト研究部のことだ。活動内容はグレモリー眷属の会議が中心らしい。
5人で部室を目指す。途中祐斗が合流した。
「あの~ちょっと待ってください」
僕達を呼び止める声。振り向くと女生徒が2名いた。同じクラスにいたような…誰だっけ?
「亘君達と同じクラスの片瀬と村山です」
そうだ。ロン毛の方が村山で、ショートの方が片瀬だったな。
「何か用?」
「神代さん、剣道部に入りませんか?」
「剣道?やった事無いけど…」
姉ちゃんが答えた。
「え?神代家って、剣の達人が多いって…」
「あぁ、あくまで剣の達人だよ。剣道の達人では無い」
捕捉説明は僕がした。
「違うんですか?」
「違うよ。実戦ではルールは無いから。それに竹刀は使わない。感覚が狂うから」
「木刀ですか?」
「真剣だよ。木刀では軽すぎるし、竹刀では空気抵抗が違うから、神代家では使わないんだよ」
って、追放された僕が何故か返答しているし。姉ちゃんは笑顔で僕を見ているだけだ。
「だから、試合とかは出られないよ」
「試合以前に、剣道部を強くしたいんです」
「そういうことなら、祐斗が最適だ」
僕が祐斗を指で差した。
「えっ…木場きゅん!それは…恐れ多いです」
「うん?姉ちゃんの方が祐斗より強いけど…」
「そうなんですか?」
「模擬戦とかは無理だけどね。祐斗が死んじゃうし」
「えっ?」
村山と片瀬は絶句した。祐斗は苦笑いしている。
「祐斗が一番、木刀に慣れていると思う」
「では、みなさんは、真剣で鍛錬をしているのですか?」
まだ、愛剣の無いトスカとヴァーリ以外が、愛用の剣を発現させて、構えた。
「僕のとゼノヴィアのは聖剣で、姉ちゃんのは妖刀、祐斗は魔剣だよ。魔剣と妖刀は、持ち主以外が触ると危険だけど、聖剣なら大丈夫だよ。持ってみるか?」
僕の愛剣を鞘に入れたまま、片瀬に手渡した。
「何…これ…重い…持ち上がらないよ~」
悲鳴混じりの声を上げた片瀬。彼女から剣を返して貰う。
「わかったかな?真剣って重いんだよ。だから、木刀とか軽い剣で鍛錬をすると、剣筋に変なクセが付き易くなるんだ。この中で一番軽いのは、姉ちゃんの妖刀になる」
祐斗の魔剣は、彼の神器で作り出されるので、同じ魔剣が創造される確率が少ない。なので、木刀とか軽い剣でも対応が可能なのだ。
「すみません。お時間を取らせてしまって」
「一緒には練習できないけど、改善点の指摘はできる。姉ちゃん、祐斗、協力してあげてくれるかな?」
「亘君の頼みじゃ、断れないな。了解です♪」
「弟の頼みを断る姉では無い。わかったわ」
っと、二人は協力してあげることになった。練習を見る日取りや時間を、明日以降、休み時間に決めることになったらしい。片瀬達と別れて、オカ研の部室にようやく着いた。
「遅い…なぜ、直ぐに来ないの?食事が冷めちゃうでしょ?」
言葉と裏腹に笑顔のリアス。彼女の隣の席に座ると、僕の腿に小猫ちゃんが跨がり、僕の身体をオーフィスがよじ登って、いつもの指定席に収まった。
「亘、トーテンポールみたいね」
姉ちゃんが笑顔で、指摘した。僕もそう思います。
「あぁ、食べながらでいいから聞いてね。悪魔のお仕事を再開します。って言っても、朱乃と祐斗、あと小猫とシトリー眷属で行います。亘の方は、万が一の時に、救援に出て貰うけど、いい?」
「問題無い…って言いたいけど、僕はエネルギー切れが多い。だから、ヴァーリと姉ちゃんで対応してもらう。僕はもう少しエネルギー効率を考えてから、参戦します」
「わかったわ。当面、綾香さんの火力でも充分でしょうね。ヴァーリもいるし」
「そうだ。アーサーと美猴が潜入捜査に入った。テロ組織だ」
ヴァーリから、リアスに報告が為された。何やらデカいテロ組織が結成されつつあるらしい。アーサーさんは、僕を認めてくれ、僕に妹であるルフェイを託し、潜入捜査をすることを決断したそうだ。美猴もアーサーさんに同調したとか。
「黒歌がこっちにいるから、防御は問題無いと思う。火力は亘君とお姉さんがメインになるだろうな」
ヴァーリの能力は、サポート向きのようだ。まぁ、次元弄び系だし。素のヴァーリ自体でも、悪魔相手なら結構いけるだろうな。
「そうだ、ギャスパー。特訓の成果は?」
ギャスパーに課した特訓…ピッチングマシンでニンニクを、ギャスパーの顔面に向けて投げさせて、当たる寸前で止めるという物だ。
「アレ、きついですよ~ニンニク嫌いなんですから~」
男の娘は泣き始めた。男と知らなければ、かわいい仕草ではあるのだろう。
「で、成果は?」
「8割成功です」
「よし、10割にして。そうしたら、ニンニクを十字架にする」
「死んじゃいますよ~」
「死にたくなければ、10割止めろ!」
「ふふふ、亘の指導は、相変わらず鬼なのね」
って、姉ちゃん。
「そんな事無いよ。心外です」
一応、否定をしておく。
「亘は以前、何をやらかしたんですか?」
リアスが喰い付いた。
「うん?口だけは達者な中堅陰陽師に、百鬼夜行をぶつけてね。死にたくなければ、100匹倒せって」
「で、どうなったんですか?」
「37匹目で果てた。亘が生き返らせて、今も中堅の陰陽師だけどね」
なんかリアスに、意地悪な人と思われそうだ。
「まぁ、その程度で死んでいては、陰陽師なんか生業にできないけどね」
それはそうだ。実際に戦わないと、相手の力量なんか分からないし。その力量を超える物を絶えず持つようにしないと、それは死を意味するのだ。陰陽師は、退魔における最後の砦、退魔師の手に負えないヤツラが敵になるから。
「亘はいくつから鍛錬を始めたの?」
リアスに聞かれた。
「産まれてすぐ…」
「はい?」
なんで、姉ちゃんまでもが驚いているのだ?
「姉ちゃんは違うの?」
「え…いや…産まれてすぐは…私は3歳かな…」
あれ?姉ちゃんもそうだと思っていたのに…
「なんで、産まれて直ぐに鍛錬ができるの?」
「え?出来ないの?」
僕以外の全員が首を横に振っている。僕の視線より上にいるオーフィスは、わからないけど。
「あれ?僕だけ?なんで?」
「綾香さん…まさか、亘ってまだ判明していない能力が有ったり…」
「だね…ははは。それは気づかなかったよ♪」
心配そうなリアス、脳天気そうな姉ちゃん。
「何の能力だ?あれ?」
「亘、最初にした鍛錬は、誰に習ったの?」
「うん?知らないお爺さん。産まれる前から…受精卵に着床して直ぐ、母の体内にいるときに、言葉っていう物を習ったんだよ。あれは、神格文字だっけかな」
「神格文字…それって、そのお爺さんって…神様…」
大抵の事では驚かない姉ちゃんが、絶句しまくっている。なんか僕は大変なことをしていたようだ。
「で、神格文字が読み書きできるようになった頃、産まれて…えぇっと、次に精霊文字だったかな」
「それもお爺さんが?」
「うんうん、違うよ。知らない小さな人。羽があって羽ばたいてたよ」
「亘…それって、精霊だよ…お前の能力は、不可視交流だ。普通の者では見えない存在と交流が持てる神代家の初代の持っていた力だ…」
「え?お姉ちゃんは持っていないの?」
「持ってません…」
凹んだように見えるお姉ちゃん。こんな姿は始めた見た。
「で、専用フィールドの使い方をお爺さんに習って、色々な小さな人と、専用フィールドで、色々と教わったんだよ」
「亘…あの能力って神様にもらったの…」
お姉ちゃんの顔がピクついてきた。
「うん、誕生したお祝いって、お爺さんがくれたんだ。僕にとっては最初のバースディプレゼントだよ」
「亘君…君って…すごいよ♪身体が震えてきた」
ヴァーリの瞳が輝いているようだ。どうしたんだ?
「生後3ヶ月で、精霊系の術式は理解していたかな。身体は生後3ヶ月だったけど、精神は数千億年過ごしていたから」
「亘…一体何歳なんだ?」
リアスの顔もピクついている。何歳?
「16歳だよ。専用フィールドで過ごした年数は、単位が分からないくらいかな」
「弟に勝て無い訳だ…鍛錬している年数が天文学的に違うし…」
姉ちゃんが完全に凹んだ。大丈夫かな?
「それって、神代家の実質的な当主じゃないの?」
って、朱乃。
「僕は追放された身だから。強いて言えば、神内家の実質当主かな」
「あぁ~!」
姉ちゃんが突然大きな声をあげた。
「亘、あの神器化の魔法陣、お爺さんにもらったの?」
「そうだよ。バースティープレゼント。忘れないうちに巻物に描いたんだけど、神代家伝来の巻物にも同じ物が描かれていたっけ。で、毎年、お爺さんがくれるんだよ。あと、小さな人達もね♪」
「神…神の子…御使い達…神の下僕、式神…」
姉ちゃんがブツブツ言い出した。どうしたのかな?ちょっと心配だ。
「まさかにゃ~え~」
黒歌も何かに考えが達したようだ。なんだろうか?みんな思考の海に潜ってしまって、なんかつまらない。どうするかな。
『亘、精神と肉体を分離した。彼女達で遊んで良いよ』
って、むじゃ君。そうなのか。では♪この部屋にいる女性だけを全裸にして。僕の身体と心ををマッサージして貰う。みな、柔らかい部分で、僕の皮膚をマッサージしてくれている。僕は大好きなリアスの香り、味を堪能していく。幸せ…こういうことなのかな?ねぇ、むじゃ君。
『幸せとは、それぞれの者によって違うからねぇ。これが亘の幸せとは限らない。まぁ、幸せな一時かもしれないけど』
そうだ。むじゃ君。エネルギーの枯渇が早いんだけど、どうにかならないかな?
『僕の消費量が大きいんだと思う。どうするかな…亘の上限を増やして、生産量を増やしてもらうしかないかな?』
どうすれば良い?
『う~ん…上限はそこそこあるから、生産量というか回復速度だな。一番手っ取り早いのはドレイン系だよ』
吸引?みんなから分けて貰うのか…それだと、みんなの保有量が枯渇しない?
『そうだな…そうか!女性がオーガズムに達する時のエネルギーをドレインするんだ。そのエネルギーは戦闘と関係ないから、ドレインをしても戦闘に影響しないよ』
デメリットは?
『えぇ~っと…達した女性達に余韻が残りにくくなるくらいかな…』
じゃ、さっそく実験してみるね。目の前にいる女性陣を次々に、絶頂へと誘っていく。そして、達した瞬間、ドレイン術を発動していく。あぁ、疲れが取れていくようだ。そうか、怠いのはエネルギー不足だったのか。
余韻の少ない弊害は、あまり無いようだ。余韻が総て無くなる訳では無いから。
実験が終わり、精神と肉体をマージ(結合)させた。その場に倒れる皆。怪しまれるので、僕は姉ちゃんの胸に顔を埋めて横になっておく。
---綾香---
いつの間にか倒れていた。亘が何かをしでかしたのは明らかだった。亘は、私の胸に顔を埋めて、静かに寝息を立てて寝ているし。
「大丈夫?みんな?」
リアスさんが立ち上がり、みんなを心配している。
「で、綾香さん。亘は何をしでかしたんですか?」
「わからない。何かの実験みたい…身体が痛いとか、濡れているとか無い?」
私は濡れていた。なので、亘を一番の容疑者にした。私を濡らすことが出来るのは、コイツしかいないから。痛いとかは無かったので、縛り系はしなかったのだろう。
男性陣には手を出さなかったが、女性陣は全員濡れていた。あぁ、ルフェイだけは違うけど。彼女には手を出すのは早いって、亘もわかっているようだし。
「なんで、私だけ対象から…幼いって罪なんですかね?」
って、分かるけど、どう答えて良いかわからない質問をしてきた。問題は、亘が何の実験をしたかだな?