---シュウ---
アイシャの改宗作業も無事終了して、のんびりしている。次の一手はどうしようかな。目の前で春姫とオーフィス、忍が遊んでいた。あぁ、同じような背丈だのものなぁ…あっ、この世界のベルはどうしているんだろう?
メイビスにベルのことを調べてもらうと、ロキの処にいるらしい。う~、奪うか?
ティオナを呼び出した。
「なぁ、ロキの処にいる、ベルが欲しいんだけど、手に入らないかな?」
「あっ!私、ベル君の教育係だったんだぁ」
はぁ?
「なら、ここに連れてきて、教育しなよ」
「入団後1年は改宗できないよ」
知っているよ。
「ルールには特例って物があるから、大丈夫だよ。今のロキの処では、教育なんか出来ないだろう?新人を飼い殺しっていうのは、良くないと思わないか?」
少し考え込むティオナ。
「そうだよね。うん。ここに連れて来るよ♪」
出掛けていくティオナ。ここに連れて来られればどうにかなるって。で、次の一手…
「少し、いいか?」
アイシャが声をかけてきた。
「うん?調教の続きか?」
「それは、またな…そうじゃなくて、歓楽街のことだ」
「今まで通り営業して欲しいが」
「イシュタルの下では、無理だぞ」
「僕の下でってことで。支配人はアイシャがしてくれ」
「私は無理だ。それに、イシュタルの『魅了』から解放はされたが、歓楽街を牛耳っているのは未だにイシュタルだ」
「今からイシュタルを調教してくればいいか?」
僕はイシュタルの元に転移した。
---イシュタル---
昨晩はとんでもない悪夢を見た気がした。姿見の前に立ち全身を見ると、乳房に手形が残っていた。悪夢…じゃない…実際に起きたんだ…背後に気配を感じ、振り向くと
アイツがいた。不敵な笑みを浮かべるアイツがいた。
「よ、イシュタル。元気そうだな」
「貴様は何者だ?」
「僕は悪夢の道化師だよ。昨晩の悪夢は愉しめたかい?ふふふ」
「愉しめる訳ないだろう?あんなことされて!」
「じゃぁ、昼間の空でデートしようぜ」
次の瞬間、アイツに刺さったまま、空の上にいた。オラリオの街が小さく見えていた。
「えぇぇぇぇ…」
「抱きついていないと落ちるぞ♪落ちたらどうなるかな♪」
目の前のアイツは笑って、手放しで見ているだけ。私の身体はアイツの肉棒だけで支えられていた。咄嗟にアイツに抱きついた。すると、お尻の肉を鷲掴みにされて、肉と肉の間の谷間を指でなぞってきた。
「や、やめて…あぁぁ…」
感じる…クセになりそうな感覚…お尻の穴に何かを吹きかけられた。下半身に力が入らなくなってきた。
「な、何をしたのよ」
ただ笑ってみているアイツ…下腹部の内部が熱い…熱い何かが湧き出してきている。
「なぁ、僕の下僕になれよ。歓楽街の裏の支配者に、僕をしてくれ」
何を言っているんだ、コイツは…
「ダメなら、ここから落とす。どうする?」
ここから?正気か?目の前の男はただ笑っている。
「私は神だぞ。こんなことをしてタダで済むと思っているのか?」
「女神は、神か英雄としか交われない」
耳元でそう呟いてきたアイツ…コ、コイツ、何者だ?女神である私を脅すコイツは…神には見えない、勿論英雄にも見えない。だが、確実に交わっている。
「あぅん…」
耳を舐めてきた。新たな刺激に、あろうことか私の身体が喜んでいた。溢れるように出て来る愛の果汁、私の身体が刺激を求めて、乳首をアイツの胸板に押し付けて踊っている。
「やめろ…」
「ここから落としても、乳房は弾むかな?ふふふ」
コイツ…コイツならやりかねない…命乞いをしないとダメか?
「命乞いは無駄だぞ。さっきの一択の返事しだいだ」
心が読めるのかぁ…
「下僕が不満なら、性の奴隷でどうだ?お前の扱いは」
この私を性の奴隷だと?ふざけるなよ
「あぁ、昨晩のお前のボロボロになった姿を、魅了したやつらに配るか?」
アイツの手に、ボロボロになって涙を流す私の姿が描かれた絵があった。
「やめてぇ~」
「天界でばらまこうかな?いずれ、天界に戻ったときに、話のネタになるだろう?」
「お願い…やめてぇ~」
そんな姿を知られたくない…見られたくない…
「あぁ、これ絵じゃなくて写真って言う物だ。あと、動画もあるぞ。ふふふ」
アイツの手にした絵…動画という物には、昨晩私の受けた仕打ちが、克明に記録されていた。
「やめてください」
私の高慢な心が折れた瞬間だった。性の奴隷…まさにそんな状況であった。忘れていた悪夢が甦ってきた。
「じゃぁ、これにサインをして」
アイツが1枚の羊皮紙を出した。歓楽街の営業権、所有権を譲る内容であった。これにサインしないと、私の存在価値もたぶん無くなる上、これから、死ぬまでの数十秒間の恐怖を体験しないといけないであろう。私は、震える手でサインをした。
「じゃ、これでイシュタルも、僕の眷属ってことで」
眷属?どういうこと?私は彼から離れ、自由落下していた。えっ…
---シュウ---
地面すれすれでイシュタルを救出して、ホームに運び、ベッドに寝かせた。度重なる恐怖の体験で、彼女に巣くっていた闇も薄れていた。さらに浄化で闇を完全除去する。
意識が戻った後アテナに、新人眷属のイシュタルの教育をまかせ、歓楽街の運営は、フレイヤのチームにまかせた。
次はどうしようかな?って、ティオナがベルを連れ出してきた。すかさず、ロキの恩恵を浄化、解除をして、ヘスティア達に恩恵を与えてもらった。ティオナがそうであったように、ベルもキョトンとしていた。
「これで、ベルは、ヘスティア・ファミリアの一員だ。ティオナは教育できるのか?」
「できないと思う。自分で手一杯だな」
正直なティオナ。
「では、アイズ。面倒をみてあげて」
「私はまだ取り組み始めたばかりです」
不安そうな顔付きのアイズ。
「得物の取扱や剣術は、僕が教える。アイズは敵の特徴、戦い方などを教えてやってくれ」
「わかりました」
それから、ベルに聖なるナイフを2本、手渡した。
「2本?」
不思議そうな顔のベル。
「そうだよ。アイズは今二刀流に取り組んでいる。弟子のお前も二刀流に取り組め。後で、アイズとベルには稽古をつける」
「ねぇ、私は?」
ティオナは…
「アイシャ、教えてあげて。同族だから、レクチャーできるでしょ?」
「わかった」
「私はどうすれば良いですか?」
春姫かぁ…
「オーフィスと忍の遊び相手に、なってくれるかな」
「はい♪」
次はどうしようかな…基本、ノープランな僕…
---ヘルメス---
随分と長い間、意識を失っていたらしい。目覚めると、団長のアスフィが、他のファミリアに改宗していた。俺の医療費の請求書が…督促状まで来ていた。アスフィがいないと、ファミリアが運営出来ないかもなぁ。そもそも、なんで改宗したんだ?いや、俺はなんで意識をなくしていたんだ?記憶が無い…おかしい。何かがおかしい。
とりあえず、医療費を払わないと…支払先に驚いた。ミアハ?ディアンでなくて?いや、医療系ファミリアではあるが、投薬系だろう、ミアハって…なんでだ?
「アスフィ、どういうことだ?」
あっ、アスフィはもういないんだったなぁ。とにかく、ミアハのホームに行こう。
◇
ミアハ・ファミリアのホームに入ると、ナァーザが応対に出て来た。彼女を見て驚愕した俺。義手だったはずの彼女の腕が、どうみても自前の腕になっていた。
「どうしたんだ、その腕は?」
「ヒーラーの方に再生していただいたんです。まだ神経が繋がったばかり、動きがぎこちないんですけどね。今日は、お支払いですね」
俺は、請求書にあった額を支払った。
「俺も、そのヒーラーの者に治療をしてもらったのか?」
「そうです。往診にいかれたので、往診料もいただいております」
亡くした腕を再生?どんだけの能力持ちなんだ。ミアハにそんな人脈があるとは思えないが。ミアハのホームを後にして、ギルドに向かった。そうだ、ウラノスの処に顔を出しておくかな。ウラノスのホームに向かう途中で、フェルズに呼び止められた。
「もう、ウラノス様はおらん。今、あの場所はメイビス様のホームだ」
「どういうことだ、フェルズ?」
「ウラノス様は、神の怒りを買い、天界に送還された」
「神?我々も神だが」
「あなた方は神族だろ?そうではなく、本当の神だ」
「本当の神?最高神か?」
「まぁ、そんな感じだな」
「で、フェルズは、その神に仕えているのか?」
「ご想像にまかせる」
「メイビスって何者だ?」
「神に仕えている、あなた方とは違う神格の女神様だ」
「そのメイビスって女神が、ギルドを運営しているのか?」
「そうだ」
「ウラノスの送還理由はなんだ?」
「君臨すれど、統治せず、が、秩序に口を挟んだ為だ」
「統治しないはずが、ルールに口を出したのかぁ…で、アスフィはどうして改宗をしたんだ?」
「あなたに、女性として扱われていないことに、気づいた為だ」
「アイツは『万能者』だぞ。性別を超越した存在なんだぞ」
「その二つ名は、あなた方神族でお決めになった物、本人が了承していないかった可能性がある」
「うっ…痛い処をつくなぁ。それはあるが…で、改宗先では、女性として扱われているのか?」
「ノーコメントだ。私は、他人のプライベートを、語ることはいたしませぬ」
「では、アスフィはどこのファミリアに改宗したのだ?」
「ノーコメントだ。プライベートに関わることは、語ることはいたしませぬ」
「今、何が起こっているのだ」
「知る必要はない。では、また」
フェルズの気配が去って行った。
◇
ディアンのホームを訪ねた。
「ディアンに聞きたい。ナァーザの腕を再生なんか出来るのか?」
「ヘルメスよ。質問の意味が良くわからないが、俺の作った義手のことか?」
「違う。ナァーザの腕が再生されていたんだ」
「はぁ?有り得ない。再生できないから、あの義手を作ったんだぞ。どういうことだ?」
「ミアハが雇ったヒーラーが再生能力持ちみたいだ」
「そんな能力持ちがいるのか。それは引き抜かないとなぁ。アミッド、ミアハに向かうぞ。付いてこい!」
「おい、待て!話が終わっていないぞ」
ディアンとアミッドが出て行ってしまった。揉めそうだなぁ…
---シュウ---
気持ち良くうたた寝をしていたら、起こされた。
「どうしたんだ?」
「下で揉めてます」
アルテミスが説明してくれた。はぁ?誰と揉めているんだ?階下に降りていくと、ディアンとミアハが揉めていた。
「ミアハ、どうしたんだ?」
「あっ、シュウ様。ディアンがシュウ様を引き抜きたいと」
「お前か、再生能力持ちのヒーラーと言うのは。こんなつぶれそうなファミリアでなく、ウチのようなデカいファミリアに来い。これは命令だ」
はぁ?意味わかんない。
「おい、アミッドを置いて出て行け!」
「貴様、神である私に命令をするのか?」
「たかが、医療系ファミリアの分際で、ヘスティア・ファミリアにケンカを売るのか?」
「たかが…だと…貴様、言っている意味が分かっているのか?」
怒り心頭のディアンケヒト。
「ミアハ、迷惑をかけて済まないなぁ」
「いえ、これくらい、なんともないです」
僕が出て来たことで、少しほっとした表情のミアハ。
「おい、ディアン、上に来い。ここではミアハに迷惑だ」
ディアンとアミッドを、僕らのホームに誘い込んだ。これで、ミアハには迷惑を掛けないし、逃げ場もない。僕らのホームに入った瞬間、ディアンは立ちくらみを起こして、座り込んだ。
「どうしたんだディアン。医療系のボスにしては、不健康過ぎだろ?あれっぽちの階段を上がっただけで、立ちくらみとはなぁ」
忍、オーフィスがディアンにだけ、プレッシャーをかけていた。
「で、僕を引き抜くのに、見返りに何を用意してきたんだ?アミッドだけってことではないよな?」
『引き抜く』という言葉に反応して、アルテミス、アテナ、イシュタル、フレイヤもプレッシャーを掛けていった。
「なんで、こんなに空気が重いのだ…」
「欲張り過ぎなんだよ、お前は昔からなぁ」
怒気を含んだ言葉を投げたアテナ。
「アテナ…どうして、ここにいるんだ?えぇ~?アルテミス、ヘスティア、イシュタル、フレイヤだと…」
「はぁ?どうして…愚問だよ、ディアン。私達の主神を引き抜く?ふざけるなよ!」
「どうします?」
アルテミスが、僕に意見を求めている。
「送還しちゃうかな…アミッドよ、コイツがいなくても医療は続けてられるんだろう?」
「えっ!はい」
突然、意見を聞かれて、ビックリしたような返事のアミッド。目の前のディアンを天界に送還した。
「消えた…」
アミッドは主神の姿が突然消えたことに驚いていた。送還と同時に恩恵は消えるので、『洋服崩壊』を唱えて、アミッドを全裸にすると、役割の分かっている三処女神達が恩恵を与えた。それから『洋服再生』で、アミッドの服を元に戻した。
「これで、アミッドも、ヘスティア眷属だ。ディアン亡き後の医療系チームの責任者にするので、がんばってくれ」
「え?」
目が点状態のアミッドに、アスフィが説明をしてくれている。僕は、階下に降りて、ミアハにディアンを送還したことを伝えた。念話でメイビスに、ディアンの資産はヘスティアが引き継ぐことを伝える。
「ディアンを送還したのか?アミッドはどうしたんだ?」
「ヘスティア・ファミリアに改宗したよ。男神が、ヘスティア・ファミリアのホームで勝てる訳ないだろう?三処女神が揃っているんだからねぇ」
「怖っ」
ミアハの顔が引きつった。
「ディアンケヒトの資産は、ヘスティア・ファミリアで引き継ぐから、この街の医療環境は良くなると思うよ」