---シュウ---
元ディアンケヒト・ファミリアのホームで、ディアンの元眷属を前にして、演説中である。
「ってな訳で、ディアンケヒトは天界に送還した。君達への恩恵は無効になっている。ここを引き継ぐヘスティア・ファミリアに改宗したい者は、アミッドに申し入れてほしい。恩恵を与える用意がある。あと、アミッドの推薦があれば、独立するときに、初期開業資金を与える用意もある。以上だ」
伝えるべきことを言い、この場を去る。アミッドが近づいて来た。
「私で切り盛りできるでしょうか?」
彼女の頭を撫でて、不安な心を浄化してあげる。
「アミッドなら出来るさぁ。運営の人手が足り無い時は、フィンかアスフィに相談してくれれば、人材を派遣するからね」
少し安心したアミッド。
「患者さんにとっては、主神交代なんて関係ないことだ。彼らに不安を抱かせないようにしてほしい。あと、現状でも独立してもやっていけそうな者がいたら、リストアップしてくれ。個人医は街に点在していた方が良いから」
頷いたアミッド。やることがいっぱいだな…そうだ、ギルドに行かないと。
ギルドに転移した。ギルドの前には、フィン達が待っていた。
「ロキの処に取り立てか…払うかな、あの悪神は」
「フィン、親指は?」
「震えていない」
「危険はなさそうだな」
ギルドからギルド員のエイナさんが出て来た。
「今日はよろしくお願いします」
ギルドからの依頼で、ヘスティア・ファミリアが、取り立てに行くギルド員のサポートをすることになった。まぁ、メイビスを通して、そうなるように仕組んだんだけど。
フィン、アイズ、オッタル、アスフィ、忍、オーフィス、そして僕で、ロキ・ファミリアのホームに向かった。
ロキのホームに着き、呼び鈴を押すエイナさん。応対に出て来た新団長のラウル。
「先日のミアハ・ファミリアへの夜襲の件のペナルティーを貰いに来ました」
エイナさんが、ラウルに用件を伝えた。
「その件ですが、主神のロキが記憶に無いと言いまして、支払いの義務は無いと申しています」
「ギルドの決定は絶対です。従わない場合は、強制解散も有りますよ」
「あのぅ…申しにくいのですが、主神のロキが、ギルド員ごときが、神に命令をするなと…」
困り顔のラウル。
「アイツの言いそうな言い訳よね」
アイズが呟くと、ラウルが驚きの表情をした。
「えっ…アイズさん…生きてらしたのですね」
「私を死んだことにした、ロキ・ファミリアの人間に言われたくないわ」
しばらくするとロキが現れた。
「アイズたん…お帰り~」
ロキがアイズに抱きつこうとして、アイズが剣を手にして構えた。
「私は帰ってきた訳ではない。ギルドの手伝いだ」
「なんで、ギルドの手伝いなんや?」
「アイズは、僕達と同じヘスティア・ファミリアの団員だ」
そこに、フィンが割って入った。
「フィン…何を言っているんや?戻って来てくれたんやろ?」
「はぁ?アンタに解雇されたんだよ、僕は。そこにいるラウルの目の前でね」
「そうやっけ?」
ラウルを睨む、ロキ。
「払う物を早く払ってくれないかな?それとも力尽くで取り立てをした方が良いか?」
僕はロキに言った。
「なんや、お前は?見かけん顔やな」
「僕が誰でもいいだろう?取り立てに関係ない。あぁ、強制執行する場合は、資産の2/3を没収になるぞ」
「はぁ?だから、記憶に無い罪をでっち上げるんやない」
「エイナさん、どうします?」
エイナさんに訊いてみる。
「埒が明かないわね。はぁ…毎回必ず、文句付けるのよ、この酔いどれ神はねぇ」
前科あるのかな?
「兎に角、ギルドの決定は従って貰います。それとも治安を乱すおつもりですか?」
「乱すも何も記憶があらへんで」
「記憶になくても事実ですので」
僕の提供した証拠写真をロキに見せるエイナさん。連続写真を見て、顔色が悪くなるロキ。
「こんな絵なんぞ、証拠にならへん」
写真をびりびりに破った。
「フィン、資産の2/3だと、この建物をもらっても足りないか?」
僕はフィンに訊いてみた。ロキ・ファミリアの財務状況に詳しいフィンは
「そんなものかな…現金は酒に化けている可能性もあるし」
「ねぇ、エイナさん。この建物をもらいましょうよ」
「それで良いのですか?シュウ様」
「無いんじゃしょうがないでしょ」
「では、主神ロキよ、3日以内に立ち退いてくださいね。ここはヘスティア・ファミリアの物件とします」
エイナさんがロキに通達した。
「ちょい、まちぃ!渡さへんでぇ」
凄んでいるロキの言葉をスルーして、僕達はその場を後にした。3日後は力尽くで排除かな?
---ヘルメス---
緊急の神会が行われた。ロキがギルドの科したペナルティーに不服だったようで、神会の意向でペナルティーをチャラにしようと思ったようだ。
この地に降り立った神々で構成している神会の意向は、ギルドよりも重い決定となる。が、ギルドのペナルティーを無くすようなことがあれば、今後、治安を維持することは難しいだろう。
「なんで、資産の2/3なんや」
激怒状態のロキ。ペナルティーに素直に従わない時の強制代執行の場合、ペナルティーが更に重くなるのが普通である。
「そこは素直に払うべきよ」
フレイヤがロキに言った。
「はぁ?ミアハに夜襲した記憶が無いんやで」
「ヨッパのロキはいつも記憶が曖昧じゃない。あなたが悪いのでしょ」
「それよりも、この街で、今何が起きているんだ?」
俺はロキの話題とは違う話をし始めた。
「俺の集めた情報では、ディアンケヒトとウラノスが天界に送還されたようなのだが、ディアンケヒトの資産をヘスティアが引き継ぎ、ウラノスの資産をメイビスが引き継いだようなんだ」
「メイビスって誰だ?聞いたことのない名前だな」
ガネーシャが尋ねてきた。
「ウラノスの元眷属のフェルズが言うには、俺達と違う神格の女神だそうだ」
「違う神格?どういうことだ?」
「最高神が送り込んだ神らしい」
ロキ以外の神々がざわついた。
「なんの為にだ?」
「俺にもわからん。調査中だ」
「ディアンの件は、ヘスティアが何か知っていそうだな」
ヘスティアと親交があるヘファイストスが口を開いた。
「あぁ、ヘファイストスから、探りを入れてくれ」
「わかった。ちょっと行ってくる」
ヘファイストスが会場を出て行った。ロキに対しては、ギルドの決定に従えと、ガネーシャとフレイヤが口撃していた。
「あと、ミアハなんだが、凄腕のヒーラーを雇ったみたいだ。ナァーザの腕を再生させたそうだ」
「まさか…ディアンケヒトですら、義手でしか対応できなかったんだぞ」
アポロンが声を荒げた。
「実際に目にして驚いたよ。再生能力持ちのヒーラーなんているって、初めて知った」
「アスフィはなんて言っているんだ?」
「彼女は…好きな男が出来たみたいで、改宗してしまったよ」
俺は空を見た。
「あのアスフィがか?『万能者』には性別がないと思っていたのに」
あぁ、俺もそう思っていたよ。手遅れで、痛い敗因だ。
「ヘルメスは、アスフィの扱いが惨かったからねぇ」
フレイヤに痛い一言を浴びた。そうだな。もう少し気を配って置けば良かったな。
---ヘファイストス---
ギルドでヘスティア・ファミリアのホームの場所を聞いた。ミアハのホームの2階を借りているようだった。ミアハ・ファミリアのホームに向かった。
ミアハのホームに入ると、すぐさまアミッドが応対してくれた。
「今日はどう言った、御用件でしょうか?」
「ヘスティアに会いたいのだが」
「そちらの階段をお上がりください」
言われた通り、階段を昇っていった。そこには…
「アテナ、アルテミス…いつ降りてきたの?」
地上にいない女神が2柱もいることに驚いた。
「アイズ、オッタル、逃がすなよ」
知らない男の声がして、階段の前にオッタル、窓の前にアイズが立ち塞がった。逃げ場を塞いだってこと?
「ようこそ、ヘスティア・ファミリアのホームに。ヘファイストス様」
目の前に知らない男性が現れた。
「あなたは?」
「悪夢の道化師バイパーと申します。ヘファイストス様」
「悪夢の道化師?何者なの?」
「この地に悪夢を見せるために参りました。ヘファイストス様」
急に空気が重くなってきた。息苦しい…
「どうされましたか?ヘファイストス様」
悪夢の道化師、バイパーと名乗った者が、私を抱きしめ、胸を揉み出した。
「何を…するのだ…」
「はぁ?介抱しております。ヘファイストス様」
衣類が脱がされて、みんなの前で全裸にされた。
「やめろ…」
息苦しくて、抵抗がうまくできない。
「アイシャ、そいつを後ろから羽交い締めしてくれ」
アイシャ?イシュタルの子供だろ、なんで…アイシャに羽交い締めされて、バイパーの目の前で全裸を晒していた。
「ふ~む、綺麗な色だな。未使用って感じかな?アテナ、準備をしてくれ」
頷いたアテナが、私の身体を虐め始めた。感じたことがない刺激が、脳を襲い始めた。
「止めて…アテナ…どうしちゃたんだ?」
アテナは無言で、私の身体を苛めていく。
「あっ…あぁん…いや…やめて…アテナ…」
アソコが熱い。ここには神も英雄もいない。このまま、悶え続けるのか。バイパーが近づいてきて、私の眼帯を外した。彼は手をかざすと…目が見えるようになっていた。何をしたの?
「そろそろかな?」
彼は全裸になり、私と交わった…なんで、交われるの?悶えるだけの私の身体は、絶頂に向かって刺激を求め始めた。口を合わせて、彼の唾液が注がれてきた。それを溜めて飲み込む。耳を舐められた。指でなぞられた。乳房が上下に揺れている。夢うつつな世界にいるみたいだ。こんな世界があったんだ…そして、意識が遠くへ…
---シュウ---
僕の印をヘファイストスに刻んだ。意識が戻ったら、アルテミスに新人眷属の教育をしてもらおう。皆の前で、濃厚なプレイをした為。この場の女性陣全員とプレイすることになった僕。明日は、休日にしようっと。
---ヘルメス---
翌日、ヘファイストスの元に向かった。そこで見たのは、眼帯をしていない彼女の顔だった。
「彼は神だわ。私に加護を与えてくださり、目を…」
あのヒーラーに再生してもらったようだ。彼女は恋する乙女のような表情であった。堅物な女神が、こんなに骨抜き状態にするとは。
「で、ヘスティアは何と言っていたのだ?」
「会っていないわ。会ったのは、オッタル、アイズ、アイシャ、アテナ、アルテミス、そして彼よ」
なんだって?
「なんでアテナとアルテミスがいるんだ?それにオッタル、アイズ、アイシャってどんな組み合わせのファミリアなんだ?」
「アテナとアルテミスは、彼に仕える眷属よ。オッタル達は、なんでいたのかしらね」
ドアがノックされた。
「ちょっと待ちなさい」
ヘファイストスは眼帯を付けて、いつものような姿になった。
「入りなさい」
彼女の子供の椿・コルブランドが入って来た。
「ヘファイストス様、お時間です。商談に参りましょう」
「わかった。ヘルメス、仕事だから、帰ってくれ」
いつもの調子になったヘファイストス。彼女の身に何が起きたんだ?
ヘファイストスの元を去り、街中を歩く。何かがこの街に起きていることは確実だ。ギルドに向かい、ヘスティアのホームの場所を聞き出した。ミアハの2階を間借りしているのか。
俺は、ミアハのホームに向かった。中に入ると、ナァーザが応対してくれた。
「今日はどういう御用件ですか?」
「ヘスティアに会いに来た」
「あぁ、そちらの階段をお上がりください」
俺は言われた通り、階段を昇っていった。2階には、フィンとアスフィがいた。
「えっ?ヘルメス様…」
アスフィが俺を見るなり、顔を強張らせた。
「アスフィ…なんで、ここにいるのだ?」
「わ、私はヘスティア・ファミリアの副団長になりました。彼が団長のフィンです」
「フィン、なんで…だ?」
「僕は、ロキに解雇された処を、ヘスティア様に拾われました。で、今日はどういう御用件ですか?」
「ヘスティアに会いたい」
「ヘスティア様は、調理中です。少々お待ちください」
アスフィが、呼びに行ってくれた。
「フィン、ここにはアイズ、オッタル、アイシャがいるそうだが、どういう訳だ?」
「どういう訳?アイズとアイシャはここの眷属です。オッタルは傭兵ですよ」
「お前らは何をする気なんだ?」
「僕達は、主神のやりたい事をサポートするだけです。僕達のやりたいことは、主神が叶えてくれていますから」
「ヘスティアがか?」
「ヘスティア様も眷属ですよ」
「なんだって?では、主神は何者だ?」
「あなた方、神族とは違い、本当の神です。本人は認めないですけどね」
突然、殺気を感じた。いつでも、俺を屠れるってことか。
「どうしたの、ヘルメス?今、オー君と忍ちゃんのドーナツを作っていたの。中断されて、二人共怒っているんだけど…」
ヘスティアの後ろに少女が二人いた。その二人から放たれるオーラ…怖い…ここにいたら、殺される…逃げろっと俺の魂が叫んでいた。なんだ、この威圧感は…
「オーフィス、忍。なんだよ…寝ていたのに、何かあったのか?」
「起きたのかい、シュウ」
フィンが、この部屋に入って来た男に声をかけた。
「二人の怒りのオーラを感じて、寝ていられないんだもの。どうしたんだ、ヘスティア?」
「あぅあぅ…」
泣きじゃくり始めたヘスティア。
「怒らないから、言ってごらん」
頭を撫でてヘスティアをあやす、目の前の男。
「二人のドーナツを作っていたんだけど…ヘルメスに呼ばれて中断して…」
「あ、そういうことか。忍、オーフィス。その程度のことで、そのオーラは止めてくれよ。敵襲かと思ったよ。ふぁ~、あぁ、眠い。ここは僕が応対するから、ヘスティアはドーナツを頼む」
「わかりました」
ヘスティアと少女2名が部屋を出て行くと、凄まじい殺気がウソのように晴れた。
「で、なんの用だ?ヘルメスよ」
今度は、目の前の男から、ヘスティアに向けていた優しいオーラとは違い、先程よりも死を予感できるオーラを感じた。何者だ、コイツ。
「用がないなら帰ってくれ!」
俺は光の渦に飲み込まれて、光が霧散するとラキアの城下町にいた。転送能力持ちか?オラリオに戻るには、2日くらいかかりそうだな。あぁ、装備を買わないとなぁ。