---レフィーヤ---
ヘルメス様とオラリオの街に戻ってきた。向かうのはロキ・ファミリアのホームのあった場所だ。そこには、見知らぬ建物が既に鎮座していた。門をくぐり、建物の中に入ると、
「すみません。まだ開店前です」
と、声がした。
「ヘスティア、お前の主神に会いたい」
と、ヘルメス様が声の主に告げた。
「あら、腹黒ヘルメスか。ラキアの街はどうだったの?」
私の知っているヘスティア様とは、違うヘスティア様のようだ。口調が違う、雰囲気も違う、立ち振る舞いも違う。ヘルメス様も同じように思われたようで、
「お前は誰だ?ヘスティアはどこだ?」
「あら、私はヘスティアよ。ヘルメス、頭は大丈夫?」
「大丈夫だよ。お前は誰だ?」
「彼女はヘスティア様ですよ、ヘルメス様」
部屋の奥から、フィンが出て来て、そう告げた。
「フィン、どういうことなの?あなたも、私の知っているフィンじゃないよね?」
私はフィンに疑問をぶつけた。
「レフィーヤ、頭大丈夫か?僕は僕だよ」
どこかしら雰囲気が違う。目の前のフィンは…
「何か、揉め事でもあったのか?フィン、ヘスティア」
階段から、あの男が降りてきた。
「おい、貴様は何者だ?」
ヘルメス様はあの男に疑問をぶつける。
「僕?この家の主だけど。ヘルメスとレフィーヤとは、妙な組み合わせだな。この際だから、一緒になれば?」
一緒に?どういう意味?目の前が急に暗くなっていった。
◇
朦朧とした意識…身体の中を突かれている感覚により、意識が覚醒してきた。ここはどこ?胸を弄られて、私の秘部に何かが入り込み、突かれていた。
「いっ、や~」、
悲鳴にも似た声を上げるが、私の内部に入り込んだ異物は、徐々に太く固くなっていくようだ。うなじに舌が這いずっている。背筋に悪寒が走る。なんで、こんな目に遭っているのだろうか?相手は誰なの?ふと、前を見ると姿見が置いてあり、相手の顔が見えた。ヘルメス様だった…そして、私の中で蠢く物による刺激で、絶頂を迎え、筋肉が一気に緩んでいった。ヘルメス様は、私の体内に暖かい液体を噴射して、果てたようだ。背中にヘルメス様の重さを感じる。
ベッドらしき場所に、俯せとなり、上からヘルメス様が覆い被さるように載っている。
「ヘルメス様…どうして…こんなマネを…」
「レフィーヤ…すまない…気が付いたら、君と…」
朦朧とした意識の中で、私達はこういう行為に至ったようだった。なんで?
ヘルメス様が起き上がり、窓の外を見ている。
「ここは…まさか…」
「ヘルメスがエルフの女とヤルとはねぇ」
私達以外の者の声がした。声の主を探すように、部屋を見回すと、ドアのところに、イシュタル様が立っていた。
「驚いたわよ、ヘルメスが意識を朦朧とさせているエルフの女を抱えて来るんだもの。それも、部屋を貸せって…アスフィに逃げられて、そのエルフの女に乗り換えたとはねぇ。次の神会で報告しようかな♪」
「待て、イシュタル!俺も意識が朦朧としていただろう?」
「はぁ?ヘルメスはいつも通りよ。まぁ、周りの目を気にしていたけどね。ふふふ」
頭を抱えてベッドに座り込むヘルメス様。
「神とエルフのハーフな子供かぁ。楽しみね、ヘルメス♪」
そう言うと、ドアを閉めて、この部屋を後にしていくイシュタル様。え?子供?ヘルメス様との間の…
「すまない…なんでこうなってしまったのだろうか?」
私も記憶を整理していく。どこでヘルメス様と落ち会ったんだっけ?
「くそっ!記憶を塗り替えられたようだ。ここに来る前のことが思い出せない。どうして、イシュタルの宿にいるんだ?」
ヘルメス様の顔は、苦悩で満ちあふれているように見えた。
「レフィーヤは何か、思い出せないか?」
「申し訳ありません。思い出せません」
「では、ここの前の記憶で覚えていることはあるか?」
ここに来る前?どこにいたんだっけ?あれ?思い出せない…
あれこれ思いだそうと努力をしていた私…そのはずなのだが、またヘルメス様と交わっていた。お互いに、何故交わっているのかがわからないまま。そして、それは中毒のように、お互いがお互いを求め、その行為以外の行為をしようとは思わなくなっていた。
どうして、こうなったのだろうか?
---シュウ---
ヘルメスとレフィーヤは、記憶を操作することで、表舞台から退場してもらった。さて、次は誰を悪夢に誘おうかな。そそる人物がいないかな、もう。いや、ロキと交わってから気が抜けたというか、緊張感が緩んだというのが正しいかもしれない。
アポロン、イケロスの両ファミリアは、「男殺し」の二つ名を持つ、戦闘娼婦のフリュネを隊長とした部隊に襲撃させて、彼女達に腹一杯やらしてあげた。その結果、二柱は天界へと逃亡し、眷属達は命からがらオラリオから脱走した。
当初の依頼に関しては、異端児のリーダーのリドに『変化(へんげ)の杖』のコピー品をプレゼントして、地上の言葉を話せる者だけ、地上の者の姿にして、移住を開始させていた。
やること、やったから撤収でも良いんだけど…
◇
そして、撤退をすることにして、僕達のいた痕跡を消していく。僕達のホームのあった場所には、アスフィの研究所を建築してあげた。アミッドには、病院の運営資金を与えた。
ティオナは僕達に関する記憶を消して、ロキ・ファミリアのホームへ送り届けた。これで、やることやったかな。
僕達は静かに、この地を後にした。
この世界のヘルメスとレフィーヤの子供がリトルです。
尚、このエピソードは『神器なき男2』へ続きます。