アストレア・ファミリア
---シュウ---
そして、また迷宮都市である。ロキがいる限り、良くならないに一票だよ。今回は、僕の世界の天界で運用している魂管理装置と同じ物を、この世界に持ち込んだ。これで天界のデス・パレードは起きないと思う。最高神と、天界の神々に運用方法を教えた。
そのことで、当初の依頼は完了にはなったが…リセットすべき時点が、本来のリセットをすべき時点でなかったため、多少歴史に差異が起きてしまった。
まぁ、この際だから、要らない物は初めから排除していく。ただ、リセットの原因となったロキが排除出来ないでいた。あの都市には必要な人材ではあるらしい。必要な理由としては、なんやかんや言っても最大派閥になるってことのようだ。ロキ・ファミリアがなくなると、代わりになりそうなファミリアは、『腹黒』ヘルメスくらいしかないらしい。
ロキ・ファミリアに匹敵するファミリアの育成が、今回の任務になるのかな?今回は、ロキに直接指導するようにしようとは思っている。僕なりの方法でね、ふふふ。
◇
迷宮都市オラリオに、神族や人が住み着くまで、50億年くらい掛かりそうなので、その間に今回の作戦メンバーを鍛えて行く。みんな、そこまで寿命が無いので、時差を1ヶ月くらいにしておいた。
ベルと紅い翼を持つアイズは二刀流の修行。ティオナは、ゼノヴィアに師事して、破壊力アップに活路を見いだそうとしていた。フィン、オッタルは自習。フレイヤ、ロリ乳は、メイビスに師事して、神族としてのステップアップを図っているようだ。
サポーターとして、今回も僕の安全弁役の白音、最強の留守番役のオーフィス、忍、アポが参加することになっていた。
◇
まず、ギルドを設立したてのウラノスと協定を結んだ。ウラノスは『君臨するけど統治せず』を謳い、僕は『影からの統治』をあげた。彼に僕の身分を明かして、前回の周回の結末を知らせて、協定に至った。ギルドは、僕ら側の勢力になった。
次に、建国したてのラキア王国を乗っ取った。主神のアレスは送還して、代わりにロリ乳を主神に据え、僕は軍師として摂政となった。
フレイヤはオッタルと共に、オラリオにてフレイヤ・ファミリアを設立して、情報収集、情報錯乱をしてもらうことにした。
ヘスティア・ファミリアもオラリオにて、ホームを設置して、フィン達冒険者が駐在することにした。
◇
「シュウ、起きなさい。朝だよ。朝!」
あぁ、もう朝か…アリーゼがいつものように起こしに来てくれた。
「なぁ、目覚めのキスは?」
ばきっ!
頬に拳骨が刺さった。
「そんなことは、したことがないぞ。寝ぼけるなよ」
リューの拳骨は痛いなぁ…ここは、迷宮都市オラリオで、治安維持を担っているアストレア・ファミリアのホームである。
「リュー、アリーゼのように優しく接して欲しいなぁ」
「はぁ?私は優しいぞ。寝ぼけるなよ」
なんか、毎朝なにかとリューに殴られているような…ははは。
食卓に向かうと、仲間のドワーフやエルフ達が笑顔で迎えてくれた。
「また、リューとか?シュウ、頬が腫れているぞ」
「あぁ、これ?リューの優しさの証だって。そのうち、リューの愛の証の拳がアザとなって浮き出るかも」
「シュウはリューに優しいよな。毎朝、殴られても、懲りないというか」
「そんなことは…あるのかな?」
ふと、リューに目を向けると、彼女は何故か、頬を赤くし、アリーゼに小突かれていた。
「今日は久しぶりの遠征だ。気を抜くなよ♪」
団長のアリーゼが、みんなに言った。笑顔があふれる食卓。この雰囲気も、今日までなのも知らずに…
◇
リュー達の遭遇したパス・パレードは前触れもなく始まった。それも一本道で…道の両端から迫りくる魔物達。
「アリーゼ、逃げろ。しんがりは僕がなる」
「シュウ、あなた一人では…」
アリーゼの言葉の途中で、僕が言葉を続けた。
「僕の本気を見せてあげる」
目の前の魔物達に、無詠唱の『地獄の業火』を撃ち出した。苦しみ悶え朽ちていく魔物達。僕は、後方の敵を一掃して、アリーゼ達の後を追った。
前衛のドワーフが喰われていた。恐怖で固まってしまったリューとアリーゼ。この二人だけでも救わないと。愛用の妖刀で、襲いかかってきた魔物達を屠っていった。
詠唱途中のエルフが隙をつかれて、喰われた。半狂乱とも思えるアリーゼの悲鳴が、迷宮に響いた。
クソっ…数も種類も多すぎるぞ。モンスターハウス状態だな。戦場は狭すぎて、仲間達を召喚が出来ないでいた。僕個人の能力で護るしかない。アリーゼとリューの前に立ちはだかり、『ダイヤモンドダスト』を打ち込んでいく。爆ぜて見える魔物達。僕の攻撃にひるみだした魔物達は、後ずさりしはじめた。
そんな、魔物の背後から、援軍が現れた。ヘスティア・ファミリアだ。
「団長、遅くなりました」
ベルの声が聞こえた。
「フィン、ベル。アリーゼとリューのガードを頼む!ゼノヴィア、ティオナは道を作ってくれ!」
「「了解!」」
「アイズ、上から行くぞ!」
「はい!」
僕とアイズは翼を展開して、上から魔物達を屠り始めた。
「シュウ、あなた…何者…」
信じられない者を見たような表情のアリーゼとリュー。僕は無詠唱の魔法、アイズは飛ぶ斬撃を放ち、魔物に対して圧倒していく。
魔物の気配が感じなくなるまで、攻撃を続け、気配を感じなくなり、翼を閉じてみんなの元に向かった。
「大丈夫…じゃないよね…アイズ、リューに肩を貸してあげて」
頷いてリューの傍に近づいていくアイズ。僕は、アリーゼに肩を貸した。
「シュー…ありがとう…」
「帰ろうよ…僕達のホームに…」
僕達は地上を目指した。
◇
ホームに戻り、リューとアリーゼを寝床で休ませた。主神のアストレアに、敵対ファミリアにパス・パレードを喰らったことを告げ、報復をしてくると告げた。僕を止めるアストレア。彼女の耳元で僕の正体を囁くと、驚きの表情になった。
「朝までには戻ります。僕達の手でケリをつけます。リューやアリーゼの心が、闇に染まらないようにね」
「シュウ、あなたが…」
「僕は大丈夫です。さっき言ったでしょ?こういうことは、慣れていますから」
◇
敵対ファミリアのヤツラは宴をしていた。アストレア・ファミリアのメンバーがボロボロになったことを祝っていた。ドアを破壊して中に入る。
「誰だ?てめぇは!」
「僕は、アストレア・ファミリアのシュウ。いや、ラキアの軍師、シュウ・ヨハネ・鬼門だ。ふふふ」
「なにぃ!ラキアの鬼畜だと?なんで、アストレア・ファミリアに…」
ざわめき始めた目の前の屑達。
「今日は贈り物をありがとうな。お返しをしに来てやったぜ。ふふふ」
目の前の獲物達が、得物を構えている。はぁ?そんな武器で屠れると思うなよ!逆に目の前の獲物が次々に、僕の仲間によって喰われていく。逃げ惑う非力な屑達。
「お前は何者だ…なんで、地上でパス・パレードできるんだ?」
「はぁ?彼らは迷宮の魔物ではないよ。僕の大切な仲間だよ。ふふふ」
「仲間?お前も魔物なのか?」
「違うよ。僕は血が通わない化け物だよ。ふふふ」
そして、敵対ファミリアのメンバーと主神の全員は、僕の大切な仲間の食人習性のある吸血鬼とドラゴンの食料となり、この世から消えた。
◇
アストレア・ファミリアのホームに、手土産を持って、帰宅。アストレアに手土産を渡した。敵対ファミリアの主神の首をね。
「シュウ、こんなことして…」
怖い顔をしているアストレア。
「大丈夫だよ。僕は『神殺し』だからね。誰からも咎められない」
しばらく、僕を見つめていたアストレア。そして、僕に近寄り、僕の額にキスをした。
「私はあなたに、この先お仕えします。絶対神様の遣い人よ」
「その身分は隠したい。アストレアの心の内にしまっておいてくれ」
「ありがとうございます」
泣きながら、僕を押し倒し、上に載っかるアストレア。この僕が、押し倒されるとは…
「何も出来ませんが、せめて私を食してください」
衣類を脱ぎ、美しい裸体をさらした彼女。僕は彼女の肌の感触を愉しむ。彼女の突起物を口にして、感触を愉しむ。彼女の内部に自分のモノを沈めて、感触と暖かさを愉しむ。彼女と寄り添って眠りについていく…
◇
「朝だよ、シュウ。起きなさい!」
アリーゼの声で起こされた。布団を剥がされて…目の前のアリーゼとリューが固まっていた。なんで?…あっ、僕の上にはアストレアがいて、まだ刺さったままだった。
「シュウ…どういうことよ…」
「いやっ…どういうことって…」
「お前…主神に手を出すって、どういう根性なのよぉ!」
リューが拳骨を強く握り絞めてた。
「いや…ちょっと待ってぇ~…リュー…」
◇
笑顔が途絶えた食卓に、僕達4人がいた。
「ゆ、夢じゃなかったんだ…」
身体を震わせて、アリーゼがぽつりと呟いた。
「ねぇ、シュウ。あなたは何者なの?なんでヘスティア・ファミリアの者達に、『団長』って呼ばれていたの?」
リューが真っ直ぐな目で、僕を見て言った。
「僕は、ラキアの軍師、シュウ・ヨハネ・鬼門だ」
「軍神と言われた鬼畜?」
リューが驚きの声を上げた。
「そうだよ。泣く子も黙る、血も理性もない鬼畜だ」
「いや、私にはシュウが鬼畜とは思えない…」
ありがとう、リュー。
「ラキアの主神は、現在ヘスティアが就いている。なので、ヘスティア・ファミリアは、僕の仲間なんだ」
「そんな強豪ファミリアの者が、なぜ、ここに?」
アリーゼから尋ねられた。
「それは…アリーゼとリューが好きだから…」
「はぁ?さっきまで、アストレア様と交わっていた者が言う台詞か?」
あぁ、見られたのは、失敗だよな…
「ちょっと、待って!リュー…女神は、英雄と神としか交われないのよ!ねぇ、シュウ、あなたは英雄なの?神なの?」
その事実を初めて知ったのであろうか、リューが驚いている。その横から、アリーゼが身を乗り出して、訊いてきた。どう、答えようかな?
「鬼畜な英雄はいない…よね。ははは。でも、僕は僕が神であることを、断固拒否します」
ぷっ!っと、アリーゼが吹き出した。
「神であることを拒否って、そんな神様っているんだ。さしずめ、シュウはエロ神様だね」
いや、面と向かって正解を言われると恥ずかしい。耳が熱いなぁ。
「あっ、こいつ、耳が赤くなってやんの」
リューにからかわれるのは悪くないなぁ。うん♪
そして、主神アストレアから、昨日の結末が話された。正直な女神様だ。僕の話した通りに彼女達に伝えていた。
「シュウ…あいつらの主神に手を掛けたのか?」
心配そうなアリーゼ。
「大丈夫。罰則はない。僕は『神殺し』だからね」
って、最高神未満の神を、屠っても良い身分って明かした。
「すっ…すごいんだな、シュウは…」
「すごくないよ。単なる女好きだよ」
「「ありがとう!」」
二人から、頬にキスをいただいた。うっ、柔らかい唇…食べたい。
◇
月日は流れて、この街の秩序はギルドが、治安はアストレア・ファミリアとヘスティア・ファミリアで取り仕切った。まぁ、裏で、ウラノスとフレイヤのファミリアが暗躍もしていたけどね。
そうそう、あのパス・パレード事件の後、仲間達が命を落とした場所に、お墓を作ってきた。
そして、あの問題有りき神々達が、地上に降りてきた。ロキ・ファミリアは、来る者拒まずで、団員数を伸ばしていった。ヘルメスは『腹黒』さでウラノスの下で働けるようにした。タケ、イシュタル、イケロス、アポロン…次々に地上に舞い降りて来ている。
天界には、裏ルールを設置してある。目的が観光とか、ふれあいとか、社会見学とか、あまり意味をなさない渡航神は、7日で強制送還されるようにシステムを構築してあるのだ。要するに、いわゆるモブ神は8日目には、地上から消える運命なのだ。
ロキ・ファミリアの団長にはリヴェリアが、副団長にはガレスがなっていた。ロキは相変わらずの酒好き、女好きのようだった。
僕達アストレア・ファミリアは、ヘスティア・ファミリアと合同で、前の周回と同じく、ミアさんのお店の『豊饒の女主人』の隣にホームを構えた。前の周回よりも、大きなホームとなったけど。
「ねぇ、シュウ。あんなにお金をどうしたの?」
ロリ乳が疑問を投げてきた。今回は18階に宿屋を経営はしているが、大金を稼げるほどではなかったから。
「前の周回の終末にねぇ、あの世界に有った総てのお金を『強奪』してきたんだ」
たぶん、この街のお金の流通量の倍近くあると思う。まぁ、無くなれば、1000階で稼いだ分を売れば金になるし。
「おっ、鬼じゃん」
「そうだよ。鬼の子だもの♪」
「ねぇ、前の周回って?」
アリーゼが質問をしてきた。
「う~、説明が難しいから、僕には無理…」
「アリーゼ、シュウが知恵熱出るから、難しいことを訊いちゃダメだよ」
って、リュー。正解です。
治安はロキ・ファミリアと、ガネーシャ・ファミリアが、団員数の多さを武器に取り仕切るようになっていた。目立つと叩かれるということを、身を以て体験したアストレア・ファミリアは一歩引いた位置から、街を見守っていた。
普段、アリーゼとリューは、ミアさんのお店でバイトをしていた。潜る時は、ヘスティア・ファミリアに加えて、オッタルと一緒に行き、技量が鈍らないように、技量を磨くようにしていた。