---リュー---
シュウに助けてもらって、一緒に行動し始めて、数年経った。ヘスティア・ファミリアの方々も優しいし、毎日が充実していた。なぜ、彼が鬼畜と呼ばれているのかは、わからなかった。
寝る前に、部屋の同居人のアリーゼに声を掛けられた。
「リュー、シュウとはうまくいっているの?」
「なんのこと?」
しらばっくれる。
「ねぇ、二人でシュウに食べてもらおうよ。あはっ♪」
アリーゼもシュウの事が大好きであった。それは、私もわかるくらい。当のシュウは、私達に目をくれず、ヘスティア様、アストレア様、フレイヤ様という女神様とばかり交わっていた。
「私、怖いの。シュウに嫌われるかもって思うと…」
私の内に秘めた心情をアリーゼに吐いた。
「それは、私もよ。今の関係は壊したくない。でも、このままでいいのかなって、悩んでいるのよ」
アリーゼも悩んでいるようだった。彼は、私とアリーゼのことが好きと言っていた。けど、もっと触れ合いたいのに、私達とは距離をとっている感じがした。なんでだろう?
「考えたんだけど、シュウの知恵熱の出るような問題がカギなのかなって」
アリーゼは突然立ち上がり、私の手を取って、部屋を出た。そして、シュウの部屋に向かっているみたいだ。向かう途中で、シュウを見かけて、後を追う。どこへ行くのだろうか?この建物は三階建てで、三階に向かうシュウ。三階にはフィンとベルの部屋があるけど、どの部屋には寄らずに、更に上の階に向かっていた。え?この上って屋根だけど…
後を追って、階段を上がっていく。そこには…玄関があった。
「後を付いてきたのか。アリーゼ、リュー」
玄関には笑顔のシュウが立っていた。
「ここは?」
「ここは僕のお城のキャッスルドランだよ」
「「お城?」」
アリーゼと共に驚きの声をあげていた。
「そう、お城だ。おいで、案内をしてあげるから」
シュウの後について、玄関からホールを抜けて、奥に進んだ。
「ここが、王の間だ」
立派そうな椅子が1脚あるだけの部屋。
「ここが、僕の部屋だ」
大きなベッドがあり、大きな本棚と机がある部屋。
「このお城の王様って?」
「僕だよ、アリーゼ」
えっ?どういうこと?
「ここは元々、吸血鬼の王様のお城だったんだけど、主が死んで放置されていたので、僕が主に落ち着いたんだ」
吸血鬼?
「安心して、僕は吸血鬼じゃないからね。あぁ、安心はできないか…僕は鬼畜だから…」
寂しそうな顔を一瞬覗かせたシュウ。
「ねぇ、シュウは何者なの?」
「僕?僕は…化け物だよ。だから、僕みたいな化け物が、アリーゼとリューと結ばれちゃダメだと思うんだよ」
化け物?
「そう化け物なんだ…」
初めて見るシュウの虚ろな表情。
「僕は遠い昔に、普通の生き物を捨てた化け物だ。仲間を護るために、化け物になる決心をしたんだ。そして、僕は戦闘に特化した化け物になった。本当の姿は見せられた物じゃない」
「団長…僕達は団長の事を化け物って思ったことはないですよ」
ベル君の声がした。いつの間にか、ヘスティア・ファミリアのメンバーが集結していた。
「そうだよ。シュウ、僕達は君の優しさを良く知っている。だから、君のやりたい事をサポートしていることを忘れないでくれよ」
と、フィン。
「アリーゼ、リュー、二人の疑問に答えないといけないな。僕の事を知りたいのだろ?」
私とアリーゼが頷いた。
「僕達は、この世界とは別の世界から来たんだ」
別の世界?
「そう、別の世界だ。この世界は一度滅んでいる。僕が滅ぼしたんだ」
滅ぼした?
「ある神の行いに対して、我慢の限度を超えて…契約書の注意事項が適用されてしまったんだ」
契約書?
「僕達のチームと、この世界の神との間に交じ合わせた契約書だ」
神とって…
「僕達のチームは、色々な世界の神との契約に基づいて、活動をしている。そういう存在だ。チーム編成は作戦ごとに変えている。今回の作戦では、こことは違う世界のオラリオの住民を中心に編成をしている」
「私達はジャマでは無いんですか?」
アリーゼが声を振り絞ってきいた。
「ジャマとは思ったことはない。むしろ、ずっと一緒にいたい。以前、言った通り、アリーゼとリューが好きだから、傍にいるんだ」
「なんで、距離をおくんです?」
「さっき、言っただろう?僕は化け物だ。アリーゼとリューと交わる資格はないんだ」
「また始まったんだな。好きな者に対しては過保護になる病気」
アイズが呟いた。病気なの?
「おいおい、アイズ。僕を病人にするなよ」
「一緒に過ごせて充実の毎日を送れている。それには感謝している。だけど…」
私はもう一言が、ノドから出なかった。
「ふぅ…僕と交わりたいって、変わり者だよ」
変わり者?
「僕は鬼畜プレイヤーなんだよ。いいの?」
うん?鬼畜って…そういう意味なの?
「正確に言うと、性癖の破綻したエスプレイヤーだよ、シュウはね。鬼畜の本当の意味は、彼が鬼の子供の魔物だからさぁ」
フィンが丁寧な説明をしてくれた。
「性癖以外はまともだよ、アリーゼ、リュー。たまにはいいんだけど、毎回だと苦痛かもしれない」
と、アイズ。
もしかして、性癖はど変態?
「リュー、正解だ!だから、それもあって、リューとアリーゼとは…ははは。人徳の至らぬ、いや人ではないから、化け物徳の至らぬことです。はい」
「それでもいい…って、言ったらどうする」
「わかった、アリーゼ、リュー。今日はその気が起こらないので、またの機会に夜這いをかけるよ」
いつものシュウの笑顔に戻った。
---シュウ---
久しぶりにみんなと潜った。50階まで一気に降りて、51階の狩りをね。
「いきなり51階って…」
戸惑うアリーゼとリュー。それ以外の者で二人をガードしながら、狩りを楽しんだ。そして、狩りをしながら、アドバイスをしていく。
「ティオナ、まだ隙が多いぞ!」
「はい、団長!」
「芋虫の気配がする。ゼノヴィアとアイズ、まかせた。後の者はカドモスとブラックライノスだ。連携を考えて、効率的にな」
「「了解」」
「オーフィス、アポ、忍は、アリーゼとリューのガード、フィンは僕の留守中の指揮を頼む」
「おい、シュウ。砲龍狙いか?」
「うん。次の狙撃で、潜るよ♪」
ドッカン!
大きな穴に飛び込み、翼を展開して滑空する。58階の竜の壺を目指す。目的地に着くと、仲間を召喚して、楽しんでもらう。僕も新しい魔術を試したり♪
◇
今夜は50階で、野営だ。と、いっても既に宿泊施設は出来ている。
召喚した仲間を戻して、51階に戻った。
「どう?アリーゼ、リュー、調子は?」
「無理だよ、いきなり51階なんて…でも、二刀流を私も習おうかな?」
って、アリーゼ。
頃合いを見計らって、みんな1箇所に集まって、宿泊施設に転移した。宿泊施設に着くと、食事を作る係と、お風呂の準備をする係と、各部屋の掃除をする係に別れて、、宿泊する準備をしていく。
僕は、施設の外に出る。今日辺りに、ここに到達するはずの冒険者達を見にね。おぉ、49階からの通路からここに向かってくる、リヴェリア達、ロキ・ファミリアの一団を発見した。
相手のメンバーをチェックする。団長のリヴェリア、ベート、レフィーヤ、ティオネにサポーター数名の先遣隊のようだ。ガレス、アキ、ラウルの本隊は後から、合流かな?
向こうも、僕に気が付いたようだ。リヴェリアが話掛けて来た。
「一人でか?」
「まさか…仲間も一緒ですよ」
「仲間?テントの類いが見当たらないぞ」
「宿泊施設にいますよ。ふふふ」
僕は、巨大な宿泊施設を指差した。
「ここに、宿泊施設?」
「僕達専用です。18階のは営業していますけど」
「あんな物を作るってことは、良く潜るのか?」
「えぇ、毎日ねぇ」
「毎日?有り得ない…我々でも最低5日はかかるぞ」
「ふふふ。それは、ロキ・ファミリアが弱いからでは?僕達は、ヘスティア・ファミリアと合同ですからね」
「それでも信じられない…」
ベートと目が合うと、寄ってきた。この世界のベートはいかほどかな?
「狼男君も先遣隊なのか?」
「おい、俺は狼男ではないと、何度も言っているだろう」
ベートの戦意を感じて、うちの戦闘狂達が近寄って来た。
「ベート。シュウになんかしたら、屠るからな」
アイズが獲物を狙う目になっている。ゼノヴィアはいつでも開戦OKな体勢で待っていた。
「アイズ、俺が勝ったら、ヤラせろよな」
この世界のベートは…
「下品な狼だ。失せろ!」
アイズは剣を抜き構えた。
「どうする、リヴェリア?ここで開戦するか?」
一応、確認してみる。が、リヴェリアの返事よりも先にベートが、動いた。
「減るもんじゃないんだ。ヤラせろよ、アイズ!」
ずっど~ん!
ベートに向かって、ゼノヴィアの飛ぶ斬撃が放たれて命中した。吹き飛ばされるベート。
「おい、犬ころよ。私の仲間に手を出すなよ」
ゼノヴィアが二撃目の準備を終えた。僕はリヴェリアの後ろに回り込み、服を剥いだ。全裸になったリヴェリア。次に、レフィーヤに狙いを定めて、近寄っていく。レフィーヤは詠唱を開始していた。
『マホトーン』
短詠唱魔法で、レフィーヤの呪文を封じ込める。詠唱しようにも声が出なくなったレフィーヤの後方に回り込み、こいつの服も剥ぐ。殺気を感じ、剣で防ぐ。
がっきん!
ティオネの得物の刃を、ザンバットソードの刃で防いだ。サポーター達は、突然始まった戦闘に巻き込まれないように右往左往して逃げ惑っていた。
獲物を構え直したティオネの懐にベルが滑り込み、刃先を彼女ののど元に当てた。
「ゲームセットだ。ロキ・ファミリアよ。安全地帯で、襲われたと、ギルドには報告するので、覚悟しろよ」
ベルはティオネの引き際の一撃を警戒しながら、退いてきた。そんな、ベルを援護する、ティオナ。
「おい、宿泊施設を襲うなよ、ロキ・ファミリアよ!ふふふ」
僕達は宿泊施設に戻った。
「計算通り、ベートが仕掛けて来たな、シュウ」
フィンが声をかけてきた。
「あぁ。これで、ロキを調教する準備はできたな」
「調教するのか?マジで?」
「あぁ、それしかないなぁ。あいつの根性を直すにはね。問題は、あまりそそらないことかな。あそこまで平らな女性とプレイしたことないんだよね」
「ねぇ、シュウ」
険しい顔のティオナが声をかけてきた。
「あぁ、ティオネの事だな。う~、記憶にティオナの事はないと思うけど」
「けど?」
「残っているかもな。交わっていないので、魂に刻めていない分、確率は低いけど」
「そう…」
「まぁ、希望は捨てるなよ」
「わかった…」
「そうだ、ベル!」
「はい?」
「懐に潜り込んだら、ナイフの柄をみぞおちに叩き込んで、後ろに回り込んでから、刃先を当てろよ」
「あっ…はい。そうですね。正面は危険かぁ」
---リヴェリア---
アイツは何者だ?詠唱せずに、単語1つで魔法をかけるって…どこの魔法体系なんだ?