※この作品はR-18です。

神器なき男 (再編集版)   作:もっち~!

228 / 260
安全地帯にて*

 

 

 

 

---ベート---

 

女性陣のテントからは、寝息が聞こえる。目指す建物も灯りは消えていた。俺はサポーター達を引き連れ、深層にはそぐわない場違いな建物に向かって歩いていた。

 

もちろん、寝ているアイズを襲うために!

 

サポーター達にもアイズ以外の女性を襲わせるつもりだ。

 

「いいか。度胸が大事だ。交わってしまえば、文句は言わない。そういう物だ、メスと言うものは」

 

と、コイツらを焚きつけて、進軍してきた。

 

ドアのノブに手を掛けると、カギがいっちょ前に掛けられていたが、俺の手にかかれば、簡単に壊れた。そして、

 

「野郎共、食べるぞ!」

 

と、俺を先頭に奇襲をかけた…はずだった。

 

 

 

---シュウ---

 

罠にかかったベートは、予想通り、寝込みを狙って奇襲をしてきた。リューとアリーゼは地上に戻して、残りのメンバーで、武装をして待ち構えていた。

 

あっ、リューとアリーゼを送りに行ったついでに、ギルド員を数名、連れてきていた。目撃証人にするために。

 

建物内部を破壊して、アイズを探すベート達一行。僕らは、隠し部屋から、監視していた。ほぼ、破壊されて、玄関に戻ってきたベート達に、襲いかかった。

 

「ベートよ、奇襲かい?死ぬ覚悟はあるんだろうな。ふふふ」

 

驚いた顔のベート、恐怖で顔が引きつるサポーター一同。僕達は、構わず峰打ちで、捕縛していった。

 

押し入った全員を捕縛し終わり、ギルド員達に向けて言った。

 

「目撃された通りです。安全地帯で、治安をまかされているファミリアは、こんなマネをしているんですよ」

 

「ひどいファミリアだ。損害を請求しても良いですよ。だいぶ、コイツらは破壊しまくりましたね」

 

「そのつもりです。ギルドの方からもペナルティーをお願いします」

 

「わかりました」

 

僕はギルド員達を地上に送っていった。

 

 

 

---フィン---

 

「さて、君達は犯罪者だ。50階から地上まで、拘束したまま移動するのは、大変なのはわかるよね?そこで、51階に置き去りの刑をすると、我々の団長が決めた」

 

ベートとサポーター達の前で、刑の内容を説明した。

 

「おい、待て!この状態で、置き去りだと?死刑より惨いだろう?それに、単なる押し込み強盗程度で、なんだ、その罰は?」

 

ベートが悪びれることなく、のたまわっている。この世界のベートは屑だな。

 

「連帯責任で、テントで寝ている、君達の仲間も同じ刑になる。団長が帰りしだい執行するから」

 

ベート達を建物の外に固定して、建物の中に移動した。

 

 

 

---リヴェリア---

 

外が騒がしいので、目が覚めてしまった。テントの外に出ると、この場に不釣り合いの建物の前から、ベートの声がした。アイツは何をやらかしたんだ?急いで駆け寄った。

 

後ろ手に拘束され、その場に固定されているベートと先遣隊のサポーター達。

 

「ベート、何があったんだ?」

 

「ちょっと、やんちゃをしただけで、死刑だと。アイツらにそんな権限はないだろうに」

 

”やんちゃ”?まさか…お前ら、夜襲を掛けたのか?この安全地帯で…呆れて物が言えないわ。

 

「これはこれは、ロキ・ファミリアの団長様。こんばんわ」

 

後ろから、あの男が声をかけてきた。振り返って、声を掛けた。

 

「おい、この状況はどういう事だ?」

 

「夜襲を掛けた夜盗共を捕縛しました。うちの女性陣が襲われましてね。ロキ・ファミリアでは、安全地帯なら何をやらかしても良いってことですか?」

 

「そういうことは、認めない」

 

「ほぉ~、では、コイツらは、処分しても文句なしでお願いします」

 

「いや、処分はこちらでする。引き渡しを頼む」

 

「嫌です!」

 

相手は笑顔ながらも、目は笑っていなかった。

 

「壊した物は補填する。それでどうだ?」

 

「はぁ?僕の仲間は物扱いですか。天狗になっているファミリアは、仰ることも天狗様なんですね~ふざけんなよ。僕の仲間は物じゃない!」

 

「どうしたんですかぁ~」

 

遠くからレフィーヤの声がした。この騒ぎで目が覚めたのだろう。

 

「では、どうすれば、彼らを引き渡しでもらえるのだ」

 

「コイツらは、この状態で51階に置き去りの刑です。ご希望なら、58階でも良いですよ。ふふふ」

 

後ろでに拘束した状態で、置き去りだと?怪物達に無抵抗で喰われるじゃないか。

 

「お前は、血も涙もないのか?よく、そんな残酷なことを言えるな」

 

「あぁ、僕には血が通っていませんからね。しょうがない事ですよ」

 

血が通っていない?コイツは何者なんだ?

 

「あぁ、お仲間が詠唱していますよ。僕を屠るつもりですね。そして、何もなかった事のように、地上で大手を振るって威張るのか。勉強になるなぁ。天狗の鼻をお持ちのファミリアの団長さんの行動っ」

 

アイツが言い終わる前に、レフィーヤの攻撃魔法が直撃して、アイツは消し飛んだようだ。不意打ちだが、ベート達を見殺しには出来ないからな。

 

 

 

---シュウ---

 

レフィーヤの魔法が直撃する寸前に、地上に転移した。なるほど、ジャマ者は消すってことか。アストレア・ファミリアを、罠にはめたヤツらと同じ穴の狢だな。

 

「で、結末はどうなったんだ?シュウ」

 

ホームに戻ると、フィンに尋ねられた。僕は包み隠さずに話した。

 

「酷い仕打ちだな。この世界のリヴェリアは」

 

「本当だよ。フィンの奥方のリヴェリアとは大違いさ」

 

少し照れているフィン。他の世界のリヴェリアを孕ましたフィン。僕が司祭となって、二人を夫婦に認定する儀式を執り行った。

 

「子供を身籠もっているから。フィンのリヴェリアは、ここには連れて来られないけど。しかし、あぁ出るとはなぁ。ベートを放し飼いしすぎているだろう?」

 

「この世界のベートは屑だな」

 

あまり悪態をつく発言をしないティオナの口から出た。

 

「ティオナの言う通りだ。安全地帯なのに、夜襲って。どんだけメスに、飢えているんだ?あの狼男は。まぁ、朝になったら、ギルド員とロキを訪ねてみる。その対応で、ロキの調教内容を決めるよ。別世界ではロキは隠れ処女神だったから、それの確認が楽しみの1つかな?」

 

「あいかわらず、鬼畜だな」

 

アイズが呟いて。まぁ、鬼の子供だから、誉め言葉として受け取っておく。

 

◇

 

翌朝、ギルドを訪れて、昨晩目撃証人となってくれた、ギルド員の方々と協議した。賠償金、罰金をあわせて、資産の2/3を没収。そして、3ヶ月の遠征の停止と道徳の学習という重い処分になった。

 

安全地帯での暴挙だから、遠征をさせるわけに行かないという判断だ。道徳の学習は、ギルド員が講師となり、やってはダメなことを、教え込むことになる。そして、3ヶ月後にテストをして、合格しない物に関しては、冒険者としての資格を破棄の上、オラリオからの追放が課せられることになった。

 

これらを、僕と一緒にロキ・ファミリアのホームに出向いた、ギルド員の口からロキに伝えられた。

 

「はぁ?なんや…その重すぎる処分は?」

 

「安全地帯での暴挙の結果です。これ位しないと示しが付かないです。治安を護っているはずのファミリアなんですから、受け入れてもらいますよ!」

 

「ベートの野郎~」

 

「ベートだけじゃない。僕はレフィーヤに魔法を喰らったんだよ、安全地帯で。有り得ないでしょ?」

 

「あぁぁぁぁ、どいつもこいつも、顔に泥を塗りたくりやがって。しゃーないヤツラや…くそっ!」

 

眷属への怒りを露わにしているロキ。この世界のロキはまともかな?

 

ギルドの通達を、受け入れることを選択したロキ。目撃証人がギルド員数名ってことが大きかったみたいだ。

 

 

 

---白音---

 

今回は大人バージョンの姿で任務についた。子供の姿では、お兄様の怒りを鎮められなかったから。私は、リューさん、アリーゼさんと共に、ホームの隣にある『豊饒の女主人』でバイトをしている。他の世界で経験しているので、お客さんのあしらい方も、前回とは違い上手にできているはずだ。

 

今夜は、お兄様の宿敵とも言えるロキが、酔いつぶれ寸前であった。きっと、ギルドからの通達による自棄酒なのかもしれない。ミア母さん以外、誰も寄りつこうとしなかった。何かされそうな雰囲気だし。

 

「お~い、もっと酒を持ってこんか!」

 

まだ飲むのか?ミア母さんが近寄っていく。

 

「もう、止めた方が良い。アンタ、神としてのオーラすら感じなくなっているよ」

 

赤ら顔のロキはミア母さんを睨む。

 

「はぁぁぁ?神でもない者に、神の大変さがわかってたまるか~もっと、酒を出せや~」

 

「もう、帰ってくれよ。他の客がビビって、寄りつかなくなっているのよ」

 

ミア母さんがロキに文句を言う。

 

「はぁい?金ならいくらでも出したるわ。酒を持ってこ~」

 

「じゃ、ここまでの代金を払って」

 

ミア母さんがロキに請求書を叩きつけた。

 

「おい、これは暴利だ。神から金を取るんじゃねぇよ。っと。ふっはぁ~、酒はまだか~」

 

頭を抱え始めたミア母さん。

 

「ダメだ。ロキがあぁなると」

 

「リュー、どうしたんだ?」

 

そこにお兄様の声がした。

 

「え?なんで?心で叫んだだけなのに?」

 

目が点になって驚いているリューさん。

 

「バイトに出ている三人のことが心配で、心を読んでいるよ」

 

「え?勝手に心を読まないでよ~」

 

急に顔が紅潮し始めたアリーゼさん。

 

「アリーゼ、あなた…バイト中に何を思っていたの?」

 

ははは、リューさんがつめよっている。お兄様の事を考えていたのね。

 

「あぁ、ヨッパのロキに恐怖を抱いたんだね、リューは」

 

お兄様が手をかざすと、ロキは強制転移された。

 

「はい、ミアさん。ロキの財布だけ抜いて、あいつは、アイツの部屋に強制転移させたよ」

 

ロキの財布をミアさんに手渡した。

 

「足りるのかな?」

 

「足りないねぇ」

 

「不足分は、明日取り立ててくるよ」

 

「ありがとねぇ、シュウ」

 

「持ちつ持たれつですよ、ミアさん。お隣だし。妹とリューとアリーゼをバイトで雇ってくれたし。僕も感謝しています」

 

 

 

---リヴェリア---

 

どうやっても、ベート達を拘束している器具が外れなかった。

 

「早く外してくれよ。アイツらをボコりに行くんだから」

 

ベートは相変わらず、口だけは元気であった。手が使えないのでは、食事も満足に摂らせられない。どうしたら良いか?

 

「魔法で破壊しましょう。多少の怪我はこの際、我慢してもらって」

 

レフィーヤから案が出された。

 

「そうだな。やってみよう」

 

二人で、拘束具に向けて、魔法を放っていく。その結果、雷撃系の魔法で拘束具がはずれたのだが、人体への影響も大きかった。両腕の麻痺、死の一歩手前に迫るのか、息も絶え絶えになる、自由な身になった者達。

 

しかし、ベートの拘束具だけは外れなかった。

 

「雷撃系ではないのか?」

 

目の前のベートの全身からは煙が立ち上っていた。ここまでの状態になると、さすがのベートも無口になっていた。

 

「あと、何があるかな?レフィーヤ」

 

「あと…試していないのは…」

 

「それは、死ぬほどの恐怖を与えれば、はずれるようにしてある」

 

この場にいない、いや、生きているはずのない者の声がした。声の主の方へ振り返る私達。

 

「何驚いた顔をしているんだ?レフィーヤごときの魔法で、死ぬ訳ないだろう?ふふふ」

 

「はっ、はずしなさい!」

 

「リヴェリア、僕に命令形か?これは驚いたよ。僕を誰か知っていて、命令しているのかい?ふふふ」

 

ばきっ!

 

何かが壊れる音がした。音の方を見ると、ベートを拘束していた器具が壊れて、ベートの両腕が変な方向に曲がっていた。

 

「命令された通り外したぞ、リヴェリアよ」

 

「ベートの腕を折ったの?」

 

「折ったと言うか、折れたんだ。そこまで、脆くなっていたとは思わなかったからね」

 

「あなたは何者?」

 

「僕か?教えてあげないよ。タダではねぇ」

 

アイツの視線は、私の頭からつま先を舐めるように移動していた。

 

「なるほど…それが代金代わりってことなのかしら?」

 

「何を想像したかわからないので、返答は控えておく。あぁ、また魔法を撃ち込まれても困るから、君達の魔法は封じ込めておいたから。ふふふ」

 

ティオネが得物を握り直して、アイツを急襲した。

 

ずっこ!

 

蹲るティオネ。

 

「闘気を出し過ぎだ。それでは、これから襲いますと、宣言しているのと同じだ。アマゾネスよ」

 

ティオネの攻撃を紙一重で避けて、拳骨を彼女の腹部に撃ち込んだ。

 

蹲ったまま、動かないティオネ。

 

「僕は戦士ではないので、あまり戦うことは好きではない。でも襲われたら、それなりに反撃するよ。ふふふ」

 

「戦士ではないのであれば、何者だ?」

 

アイツに再度問うた。

 

「タダではねぇ」

 

また視線を感じた…いや、視線だけで…あっ…そっ、そんな…身体の内部から熱い物が湧き出て来た。股を閉じて…閉じないと…あぁ…ダメっ…その場に座り込んだ私。

 

「リヴェリア、大丈夫?」

 

レフィーヤの声が聞こえた。上体を上げることができない。まだ、彼の視線を感じている。息づかいが乱れていく。胸を揉まれているような感覚を感じ始めた。こんな局面でなんで?イヤッ…はっ…はっ…はっ…お尻の肉と肉の間を舌のような物が舐めている。そっそんな…記憶に残ったのは、そこまでだった。

 

 

---レフィーヤ---

 

急にリヴェリアの様子が一変した。何かの術を掛けられたのだろうか?

 

「貴様、リヴェリアに何をしたんだ?」

 

「うん?お前も体験したいのか?」

 

体験?まずい、アイツの術にはまる。その場から動いた。しかし、急に脚が動かなくなって、その場に倒れ込んだ。

 

「焚きつけて置いて、逃げか?」

 

逃げじゃない…身体が自由に動かなくなっていく。私の意志を無視した動作をしている。なんで?

 

「いいなぁ、その恐怖で歪む表情…」

 

アイツの顔が近くなっていく。そして、アイツと口づけ。私の方から舌を絡めていく。アイツが衣類を脱がし易いように、私の身体が手伝う。いやぁ~そんなことはしたくない。

 

四つん這いになり、頭を下げて…お尻を上げて…アイツの肉棒が入って来た…入って来た瞬間、記憶が…色々な事を思い出した。まるで、走馬燈を見るように…アイズさん…フィンさん…そして、シュウとの想い出、ロキのせいで別れを…あぁ…涙が出て来た。

 

「レフィーヤ、思い出してくれたみたいだな」

 

シュウの優しい声の囁き。とても懐かしい気分になれる。

 

「僕と交わることが記憶を覚醒するキーなんだよ」

 

「なんだよ、その覚醒するキーは?このぉ~ド変態!」

 

「うん、よく言われるよ」

 

「じゃぁ、リヴァリアも交われば?」

 

「思い出すはずだ。でも、今はこのままで」

 

「あぁ、団長だもんなぁ。記憶を取り戻したら、きっと、シュウの元に行くだろうし」

 

「それでは困るんだ。同じ歴史にはさせたくない」

 

「で、私は?」

 

「このまま、スパイとして残ってほしい」

 

「そんな器用な振る舞いはできないよ~」

 

「では、今一度、記憶に封印をする。今度は交わらないでも良い封印だよ」

 

ふっと、意識が飛んだ。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。