---佐藤 早紀絵---
普通の数学教師のはずである。教職って言うことに関しては…訳有って、普段着はジャージ姿に眼鏡、そして髪を結い、色気がまるで無い姿で、勤務先の学校に登下校している。訳有って、始発、最終の電車で通勤。訳有って、人里離れた一軒屋で生活している。
髪を下ろして、眼鏡を外し、それなりの服装をすれば、異性が群がるのだが、訳有って、彼氏いない歴は年齢と同じ24年だ。はぁ~
訳有り物件な私の訳…それはデミ(亜人)と呼ばれる特性持ちなことだ。人外とか怪異とか、人間以外の者の特性が、遺伝子の異常で発現してしまった者なのである。
今いる高校でも、雪女、デュラハン、ヴァンパイアなどのデミはいるのだが、彼女達は普通に生活できる。私の場合はサッキュバス(淫魔)で、催淫という特性を持つが為、他の者との接触をなるべく控え、見た目は色気を暗示させないように努力しているのだ。
自制の効く特性なのだが、自制の効かない睡眠時には、周囲の者に淫靡な夢を見せてしまうという最大な欠点もある。なので、集合住宅や人口密集地などには住めない。
そんな私に転機が訪れた。いや、地獄への扉だったのかもしれないけど。私のような者でも、普通の生活のできる環境の学校を紹介されたのだった。
眉唾物の情報と疑いつつも、その学校の理事長さんを訪ねた。
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私立駒王学園。都心から離れた住宅街にある。理事長さんの家は学校から徒歩5分くらいの場所にあった。メイドさんに応接間へと通されると、理事長さんであるサーゼクス・暮森さんがいらした。
「よくおいでくださいました」
応接間には、彼の他に一人の青年がいた。私の視線の先に気づいた理事長さんが、彼を紹介してくれた。
「彼は神内亘君。新年度から新設される、先生担任のクラスの生徒になります」
うん?私、担任になるの?マズいって…
「あの~、私は訳有りなんですけど…」
「わかっています。その為の新設クラスですから」
私の為にクラスを新設するのかな?なんかとても高待遇の気がするんだけど。
「で、亘君。どうかな?」
「問題無いレベルです。腹黒さもないし、真面目だし」
問題無いレベル?何のレベルかな?
「あぁ、彼は現役のモンスターハンターでね、魔物の能力値がわかるんだよ。で、君の危険度を精査してもらっていたんだ」
モンスターハンター?魔物狩りのプロってことだよね。私を精査?値踏み?
「値段?う~ん…24年間、未使用だから高く売れると思うよ」
って、亘っていう青年が、即答してきた。え?24年間、未使用って…何でわかるの…耳が熱い。恥ずかしさで紅潮しているようだ。
「で、佐藤先生には、この区画にある、居住区に引っ越して来てもらいます。ここなら、催淫することなく、睡眠できますよ」
ここなら?なんで、そう言い切れるんだ?
「デミって魔物の知識が無いのかな?」
亘君が訊いてきた。
「デミについてなら少しはわかるけど…」
「ここでは、デミは人間と同じレベルってことだよ。だから、そんな低レベルの催淫なんかに落ちる者は、ここにいないんだ」
低レベルの催淫…モンスターハンターともなると、私クラスのデミは雑魚扱いなのか。
「サーゼクスさん、佐藤先生はうちで預かるよ。リアスの処でも良いけど、隣接するソーナの処はイッセーと匙が危ないから」
「そうなるのか…わかった。亘君の家で預かって貰えるかな」
そして、私は地獄の門を潜ることになったとは、その時はまだ知らなかった。
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私に割り当てられたのは、6畳2間で洋室と和室、あとトイレとシャワーがある部屋であった。
「食事は向かいにある合宿所の1階です。お風呂はこの家の内風呂か、合宿所の3階にある女湯をお使いください」
私を案内してくれた亘君。彼はこの家の2階に住んでいるそうだ。私の部屋のある3階には、他に数名の入居者がいるそうだ。
「合宿所って、何の合宿をしているの?」
「共同で鍛錬をするから、1箇所にいた方が利便性が良いから」
質問と答えがかみ合わない。
「ここは、どなたの家になるの?」
「ここは神代家の別院扱いだよ」
神代家…最近、週刊誌を賑わした、名家では無いか。確か、陰陽師を生業とする家系とか。
「神代家って…陰陽師の?」
「そうだよ。だから、先生が多少暴走しても、大丈夫なくらいの結界は張ってある」
「デミクラスの暴走なんか眼中に無いわ。むしろ、亘対策なんだよ。あの結界は」
巫女姿の女性が入室してきた。
「紹介します。彼女は神代綾香。一応、この家の世帯主です。姉ちゃん、この人は、新年度から僕達の担任になる佐藤先生だよ」
お姉ちゃん…え?神代綾香って…元最強の陰陽師だった人では…15歳以上は男性しか陰陽師を名乗れない為、今は陰陽師として名乗れないらしいけど。で、彼はその弟?
「先生、その情報は違います。最強なのは弟の方です。先日、事実を知り、私は産まれて初めて、敗北感をもらいました♪」
え?言葉に出していないのに…
「心の内を読めます。それくらい出来ないと陰陽師を名乗れませんから♪」
心の内はダダ漏れ…隠し事は出来ないんだ…
「隠し事?出来ないですよ。あと、ルールを破ると、亘の躾プレイとか調教プレイの餌食になりますからね。未使用でも容赦無いですよ、私の弟はね♪」
え…何か、住んではいけない家に住むことになった気がする。
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私の決断を下す前に、駒王学園への転職は決定になっていた。良かったやら悪かったのやら…でも、確かにこの家では催淫の危険は無いようだ。
同居人は、猫しょうの黒歌さん、猫又の小猫ちゃん姉妹とハーフ悪魔のヴァーリ君、モンスターハンターの亘君、元陰陽師の綾香さんだそうだ。デミではない、本当の人外に出逢うとは、いや同居することになるとは驚きである。
現在、人間の生徒と人間以外の生徒が入り交じったクラス構成らしいのだが、新設されるクラスというのは、人間以外の生徒だけのクラスにするらしい。トラブルを避ける意味があるとか。
「まぁ、トラブルを起こしそうなのは、亘だね」
「心外です。姉ちゃん」
綾香さん、亘君姉弟が、言い合いになっていた。
「だって、あなたは物の怪寄りの陰陽師でしょ?人間を屠ることに躊躇する?」
「はぁ?人間とか関係ないよ。僕は悪の根源を滅するだけだもの。姉ちゃん、人聞きが悪いよ~」
え?陰陽師の姉弟なの…
「先生、亘先輩が長考し始めたら危険ですから、逃げてくださいね」
って、小猫ちゃんが耳打ちをしてきた。同居人から警告が出るほど、危険なのか、彼は…
「でも、悪い人では無いんです。ただ、疑問を解明したい、そんな研究心が…」
急に言葉を切った小猫ちゃん。どうしたんだ?
「何?耳打ちしていたのかな?」
彼が小猫ちゃんを睨む。危険を察知したのか、小猫ちゃんは猫化して、彼に甘え始めた。へぇ~猫又って、そういう能力があったんだ。
その後、合宿所の合同責任者を紹介してもらった。
「紅髪がリアスで、黒髪がソーナです」
「ごきげんよう♪リアス・グレモリーです」
「ごきげんよう。ソーナ・シトリーです」
「佐藤早紀絵です。よろしくお願いします。で、ここは何の為の合同合宿所なんですか?」
「戦力アップを効率的にするための合宿所です」
ソーナさんから詳しいお話が聞けた。ここは、悪魔の眷属の為の合宿所だった。理事長さんは魔王だそうで、新設されるクラスは、主に悪魔の眷属達の為のクラス編成のようだった。
「先生…大丈夫ですか?」
「ちょっと、驚いたというか…本物の悪魔に逢えるとは…優しい悪魔っていることにも、ビックリしています」
「このエリアで、一番強いのは亘さんです。もし、トラブルに巻き込まれたら、亘さんを頼ると良いですよ。直接言うより綾香さんを通すと安全かもしれないけど」
笑顔で情報を教えてくれたソーナさん。駒王学園高等部では、生徒会長をしているそうだ。
「まぁ、催淫の危険があるのは、匙元一郎と兵藤一誠の二人だけです。まだ、悪魔になって間もないので、能力は人間並だし。もし、催淫してしまったら、その二人以外に言ってください。対処します」
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部屋に戻る途中で、綾香さんと出逢った。
「佐藤先生、この家以外に行く場合は、これを身に着けて下さい」
手渡されたのは、お守りのようだ。
「中に、催淫封じの結界の札が入っています。これで、催淫は抑え込めるはずです」
お守り袋には『神代家』と刺繍が施されていた。
「ありがとうございます」
「それしていても、弟は除けられないから…まぁ、事故のような物だからね♪」
って、意味深なことを言われた。どういうことだ?
その後、何事も無く、とんとん拍子で引っ越しの日となった。私と綾香さん、亘君とで、私の借りている家に帰ってきた。
「荷物はこれだけ?」
荷物は参考書と衣類だけだ。電化製品とか、引っ越し先には必要が無いし。玄関の外に、何かの魔法陣を描く亘君。そこに荷物を置いていく。そして、置き終わると、荷物は一瞬で消えた…
「転移術だよ。国内なら、たいていの場所に転移させることが出来るんだ」
と、亘君から説明を受けた。そして、家に帰ると、洋間にあの荷物が届いていた。魔法って便利なんだ…感動した私。
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夜…引っ越しが無事終わり、内風呂でのんびりしている。そんな時、地獄にいることを実感してしまう。
ガラッ!
亘君が内風呂に入って来た。全裸でだ。まぁ、入浴する訳だから、当然だけど。
「先生も入っていたんですか」
私がいることに動揺をまったくしていない。催淫以前に、私は女性として見られていないのか?
身体を洗い、私の入っている湯船に入ってきた。彼が入る代わりに私が出ようと思ったのだが、身体が動かない。
「ふ~ん、先生って、色々な部分が未使用なんですね」
って…何を言っているんだ?呆気に取られた私の唇を彼が奪った。唇を舐められ、軽く開けていた上下の唇の隙間から侵入して、歯、歯茎、舌…口の中を舐め回されている。産まれて初めて、私以外の者の体液が入って来た。
身体は依然として動かない。彼の指先が、私の髪の毛、耳、頬、顎、額、鼻…頭部を撫で回している。彼のしたいように、彼からの刺激を受け入れている私の身体。
悶々とするとはこういうことなのか。初めて、催淫された側の気分がわかった気がする。
彼の指、顔から首、うなじ、肩と触る部位の位置が下がってきている。指の他に手の平も参加してきている。私は彼からの刺激を総て受け入れていた。拒否することを放棄しているというか。
そして、ついに胸に…何?この感覚…気持ち良い…こんなに気持ち良いんだ…乳房を揉まれ、乳首を摘ままれ、乳首は徐々に固くなっていくのが分かる。そして、固くなった乳首を指で押し込まれた。意識が遠のいて行く…
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さっきまでとは違う刺激で、朦朧としていた意識がはっきりとしてきた。え?手首で拘束されていて、天井から吊されていた。状況の把握が追い付かない。これはどういったことなんだ?
「あっ…いい…もっと…」
私の口からは、何かを欲する言葉が漏れていく。
「いい…お願い…ください…」
足の裏は床に着いていない。いや、膝を抱えられているのか?目の前は真っ暗だ。目隠しなのか?
ガラッ!
風呂場の入り口が開いた音だ。助かった。
「亘…何しているの?」
綾香さんの声だ。助けて~
「未使用の人って、どうなっているのかなって…姉ちゃん、いいところに来てくれた、比較対象になって♪」
「いや~!」
綾香さんの悲鳴…暫くの無言、それを打ち破るように、綾香さんの喘ぎ声が風呂場に響いた。
「亘…ダメ…そこはダメだっ…ダメだって…あぁぁ~いや~あっ…」
そして、無言になる綾香さん。達したのか…
「これで、未使用と使用後の比較ができる♪」
え?比較…なんの比較をしているんだ?
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目隠しを外され、風呂場の床に倒れている。すでに数え切れないくらい、意識が飛ばされていた。身体に力が入らない。交わると言う行為は、こんなにも体力を使う物だったのか。
今は綾香さんがプレイ相手だ。既に綾香さんも私同様に、身体に力が入らないようだった。
「姉ちゃん、どうしたの?何か言ってみなよ♪」
話す体力も無いようだ。目は虚ろで、身体は人形のようになっている。
「なんだよ、姉ちゃん、終わり?」
彼は綾香さんを風呂場の隅に置いた。そして、私に近寄って来た。
「先生、こんなに綺麗な色のアレを見たのは初めてだよ。未使用だと薄いピンク色なんだね」
自分で見たことが無いので、返事に困る。
「あぁ、写真を撮ったから、後で見せてあげる♪あと、膜は汚さないように保存したから」
膜?何を言っているのか、分からなかったけど、まさか…未使用の証の膜か?え?保存?彼は何をしたいんだ?
24年間溜めていた物は、すべて出せたと思う位、色々な体位でプレイをしている。体液塗れになると、風呂場の利点を活かして、直ぐに洗い流してくれる。そして、新しい気持ちで、プレイを始める。
そんな絶頂地獄も終わりが近づいてきた。
ガラッ!
誰かが入って来た。
「亘…何しているの?」
この声は、リアスさんだっけ?
「未使用と使用済みの違いを考察している」
「研究モード…正気じゃないのね…亘…」
「そうだ!人間と悪魔とデミの違いを考察しないと」
「朱乃、お願い…」
身体を駆け巡る電撃の刺激。意識がブラックアウトしていく。
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意識が戻ると、ベッドの上にいた。心配そうな顔のリアスさんが、私を見ていた。
「先生、大丈夫でしたか?亘を倒すのに、死なない程度の電撃攻撃をしたから」
あぁ、あれって攻撃だったのね…
「亘が研究モードになると、没頭してしまって、事の善悪を考慮しなくなるんです。ソレさえ無ければ、問題児に成らないんだけどね」
そうか研究者だったんだ。だから、彼は催淫されないのか。
「あと、亘の問題点なんですけど、エロ行為と変態行為の区別が出来ないの。」
まぁ、似たような物ですよね。
「更に言うと、エスエムプレイと拷問の区別も出来ないし」
アレは拷問だったのかな?
「今回のは研究だと思う。エロ心を持てない彼のライフワークみたいな感じなんです」
耳を疑うような事実。エロ心を持てない男性がいたのか…
「エロ心が持てない?だから、催淫されないの?」
「そういうことです。対サッキュバスの最強兵器でしょ?」
あぁ、だから…私自身が、自分を催淫したのかもしれない。催淫する相手が私しかいなかったから…
「綾香さんは?」
「外傷は無いけど、過労で入院しています。先生もですよ。亘はなんで、あんなに元気なのかがわからない…」
彼は絶倫なのか?二人を過労に追い込む精力って…それも、最強の陰陽師とサッキュバス相手に…
「亘が研究モードになったら、逃げてくださいね。前兆は長考している素振りです」
小猫ちゃんにも言われた気がする…悪夢は終わったんだよね?って、いうか悪夢だったのかな?
---亘---
エナジードレインを会得した僕は、疲れ知らずになっていた。そして、エナジードレインをする為に必要な能力、催淫を術式化していた。
サッキュバスは悪魔の類いなので、悪魔文字で構築してみる。う~、うまく行かない。じゃ、精霊文字でどうかな?
術式の開発に没頭していて、部屋に客が来ていることに気づかなかった。
「憐耶、桃ちゃん、いたの?」
「没頭すると何も見えなくなるのね」
って、桃ちゃん。
「それは、なんの術式ですか?」
魔法使いの憐耶が、興味深そうにきいてきた。
「秘密…出来上がったら、テストは見せてあげるよ」
っと、試験体を確保しておく。そうだ、佐藤先生の処女の血を垂らしてみるか。サッキュバスのDNAが入っているし。魔法陣に血を与えると、魔法陣が変異した。これでうまく行くのかな?部屋に結界を張り、外に漏れないようにして、テスト発動してみる。