※この作品はR-18です。

神器なき男 (再編集版)   作:もっち~!

234 / 260
幼弧と鈴

 

 

 

---シュウ---

 

祐一の荷物を段ボールから出して、記憶を読み取りながら、部屋に収納させていく。まったく、この街を感じさせるものがないなぁ。単調な作業に飽きてきた、その時、祐一の荷物と思えない物が大事に仕舞われていた。

 

紅いカチューシャ…

 

祐一の想いを受け継いでいく。そうか…そんなことが…また、大事に仕舞われている物が出て来た。

 

鈴のついたキーホルダー…

 

また、祐一の想いを受け継いでいく。そんな…どうしろって言うんだ、君は…物哀しい想い受け継いでしまったかな。

 

少し散歩をしよう。向こうから寄ってくるかは疑問であるけど。この身体の魂は祐一の魂ではないので、相手が祐一と認識できるかが問題であった。鈴のついたキーホルダーだけを身に着けるか。

 

念話で、白音、ギャスパーに連絡をして、サポートを頼んだ。部屋を出ると、名雪が立ち尽くしていた。

 

「名雪、何しているんだ?」

 

僕の声で我に返ったような名雪。

 

「あっ、祐一…何でもないよ」

 

そういうと、自分の部屋に入っていった。何でもないなら、いいっか。階段を降りると、秋子さんがいたので、声をかけた。

 

「少し散歩をしてきます」

 

「いってらっしゃい、祐一さん」

 

◇

 

散歩と言っても、行く宛てが特に有る訳ではない。そもそも、どこに何があるかもわからない。念話で白音と会話をする。

 

『帰りたいよ~』

 

『珍しいですね。シュウさんが弱音を吐くなんて』

 

『想いを受け継いだんだけど…これって物哀しすぎるって。僕向きではないよ』

 

『シュウさん、次左です』

 

地図を見ながら、行くべき方向へ誘導していくれる白音。

 

『ここは商店街かな?』

 

『そうです』

 

商店街をぶらつく。うん?テレビの箱…あれってブラウン管のだ…いつの時代のだ?あれ?動いている。

 

驚いている僕にテレビの箱が飛びついてきた。

 

「見つけた!祐一…許さないからね」

 

箱の中から女の子が出て来た。

 

「君は誰?」

 

「祐一…ひどい…私を忘れるだなんて…」

 

そんなことを言われても、僕の記憶にも祐一の記憶にもないんだが…

 

「ねぇ。人違いなんじゃないの?僕はこの街に今日着いたばかりなんだけど」

 

「あなたは相沢祐一でしょ?」

 

「そうですが…」

 

「人違いじゃないわ…私は、沢渡真琴よ。忘れたの?」

 

見た目は小学生だ。祐一がこの街を訪れたのは、7年前…おい!お前、まだ赤ん坊だぞ。でも、沢渡真琴っていう名前に覚えが…たしか、近所にいた沢渡さんちのお姉さんの名前…

 

「真琴さんは、僕より歳上のはずだけど…」

 

「それがどうしたのよ…私じゃ不満なの?」

 

こいつのオーラ…人間ではない。

 

「不満というより不安かな?だって、まだ7つ位だよね?」

 

「そうだけど…それがどうしたのさ」

 

「僕は7年ぶりに帰って来たんだよ」

 

やっと、矛盾に気づいたのか、目の前の女の子がトーンダウンした。

 

「あぅ…」

 

「もし以前会っていたとしたら、君は赤ん坊だぞ」

 

「あぅ…でも、祐一が憎いんだよ。私を捨てたじゃないの」

 

捨てた?あぁ…この子がそうか…僕は、目の前の少女と転移した。

 

「ここは?」

 

「天国だよ、真琴さん」

 

僕は天使の翼を展開した。

 

「祐一が…天使に…」

 

真琴さんも、本来の姿に戻っていた。そのことに本人は、気づいていないみたいだけど、スルーしておく。

 

「君の探している祐一君は、飛行機事故で死んでしまった」

 

「あぅ…もう、会えないの?」

 

「会えない。甦らせようにも、魂がロストしてしまったんだ」

 

「あぅ…もう会えないのね」

 

僕は祐一君の荷物から持ち出した、鈴付きのキーホルダーを出した。

 

「でも、祐一君は、君の事を忘れていなかったと思うよ。ほら、これって君との思い出の品だよね?」

 

キーホルダーを見て、それを手に取って、鈴の音を懐かしみ、涙で濡れていく女の子。

 

「祐一君は、それを大事に持っていたんだよ。彼の想いが伝わるかな?」

 

「あぅ…私を捨てたんじゃなくて、自然に戻してくれたのね。祐一の帰る場所には、自然がないから…それなのに…私は恨んでいた。ず~っとず~っと。それで命と引き替えで人の身体を得て、祐一に復讐しようって…ひっく…」

 

祐一君の想いを、引き継いでくれた幼弧。そんな彼女を優しく抱きしめた。

 

「なぁ、僕で良かったら、一緒に暮らさないか?」

 

「えっ…」

 

「祐一君のような心ではないけど、君の寿命を延ばすことは出来るよ。どうする?」

 

「うっ…祐一がいないんじゃ…」

 

僕は、キャットテール、キャットイヤー付きの半猫状態の白音、黒歌、銀華を召喚した。

 

「なんで…猫さんなのに…」

 

「彼女達が友達になってくれるよ。真琴のような狐ではないけど。そうだ、狐もいるよ。九尾の狐が仲間にいるんだ」

 

「尻尾が9本の?」

 

「そうだよ。どうする一緒に暮らす?それとも、ここでお別れする?」

 

真琴は悩まずに答えてきた。

 

「あぅ…一緒に暮らしたい。祐一の分まで、もっと生きたい」

 

「わかった。汝の願いを叶えよう」

 

僕は祝福の聖剣を頭上に掲げて、祈りを捧げる。

 

「この幼狐の心の闇を浄化し、この幼弧にかかった災いを消滅させ、この幼弧に新たな生を与え賜え!」

 

光のオーラが幼弧を暖かく包み込む。光のオーラが霧散していくと、人型になり眠っている幼弧の姿があった。

 

「黒歌、銀華、沢渡真琴を、ベースキャンプに連れて行って、生活にならしてくれるかな?あぁ、九重を呼び出して上げて。落ち着くと想うから。白音は引き続き、僕のサポートを頼むよ」

 

仲間達に指示を出した。これで1個目をクリアかな?

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。