---阿良々木暦---
悪夢の道化師との死闘。俺達は惨敗した。何がどうなったかも分からない位の瞬殺であった。一緒に共闘した者は皆、何かしらの変化を与えられたようだった。
一番変化をもたらされたのは俺だった。股間にあった物が、元々無かったような身体の造りとなり、その弊害というか、尿の出口が臍にされていた…
俺は大病院に入院し、形成手術を受けたのだが、「再生治癒」能力が災いして、メスで切り開こうにも、切った瞬間に元通りになったそうだ。要するに、手術不可能な身体になっていた。
この「再生治癒」能力なんだが、忍野によると、吸血鬼というより、フェニックスの能力ではないかと言う。どういうことかをネチネチと問い質すと、忍野は重い口を開いた。
「阿良々木君の下の妹さんなんだが、彼女のフェニックスとしての能力を剥奪して、阿良々木君に移植したみたいなんだよ。罰と言いながら、君の妹さんには恩恵を与えていたというか」
はぁ?月火ちゃんってフェニックスの能力持ちだったのか?そう言えば、小さい時に医者に一生残るといわれた傷跡が、きれいに消えていたな。あれって…
「なぁ、忍野。俺の身体は元に戻らないのか?」
「う~ん、神の起こした奇跡だ。神にしか対処できんよ。僕達、人間なんかちっぽけな存在だよ、阿良々木君」
悪夢の道化師って神なのか?
「神っていうのは、人間を護る存在でないのか?」
「阿良々木君、それは勘違いだよ。人間だけを特別扱いしないよ。どんな物にも平等に当たるのが神なんだ。神社仏閣にいる神は人間が祀った神だから、人間寄りだけど、彼のような誰からも祀られていない神の場合、平等だ。今回は、僕達サイドが手を出したから、僕達と接触しただけで、本来僕達のようなちっぽけな存在なんか、見向きもしないと思う」
祀られていない神…何の神なんだ?
「何の神なんだ?」
「阿良々木君、それは愚問だ。何かしらの為に祀られた神ならば、何かの神なんだろうけど、彼のような誰からも祀られない神は、何の神という風には言えない。しいていえば…」
忍野はタバコを深く吸い込み、ゆっくりと吐き出した後に、言葉を繋いだ。
「宇宙を管轄する宇宙神と言えば良いのかな?」
宇宙神…想像の範囲外だぞ。そんな想像もできない神に、ケンカを売ったのか?
「この程度の罰で済んで良かったと思うといいかもな、阿良々木君」
---代羽有栖---
「ねぇ、ひたぎと呼んで、有栖って呼ぶから」
戦場ヶ原さんの問題を解決した僕に、彼女がそういった。まぁ、そう呼ぶことにしよう。翼さんと何やら話込んでいた、ひたぎさんが家に帰ると言う。夜遅いので、僕が送っていくことにした。
夜空をひたぎさんと共に滑空していく。夜風が気持ち良い。
「ねぇ…毎日、通ってもいいかな?」
ひたぎさんがそう言った。
「良いけど…何でかな?」
彼女が家に通う理由が思い浮かばない。
「通い妻…」
ぼそっと、呟く彼女。僕は彼女を落としそうになった。あぶないあぶない。
「羽川さんは本妻なんだろうから、私は通い妻でいいわよ」
いいわよ?妻に成って下さいと、頼んだ覚えがないけど。
「どうして、そうなるの?」
彼女の言い分の理由がわからない。
「私と羽川さんとは、アレだから、旦那は共有って方が都合が良いのよ」
また、落としそうになる。はぁ?アレって…ユリかな?おいおい…ってことは、姉さんと同じ両刀遣いか?
「私があんな状態になったのは、高校に入ってすぐの頃で、それが原因で距離を取っていたのだけど…あぁ、彼女と関係を持っていたのは中学の頃よ。でね、さっき彼女と話をして…」
話をしてそういう合意が為されたんですね。まぁ、両刀な姉を持つ僕には、抵抗の無い話ではあるが、ショックだった。話を聞くと、タチは翼さんで、ウケはひたぎさんだったとか…ショックが積み重なっていく。で、父子家庭な為、お父さんを一人残して、家出はできないといい、それで通いという選択をしたのだそうだ。
---阿良々木暦---
朝、妹達の襲撃…
「兄ちゃん、朝だよ。朝だって」
「早く起きないと遅刻だよ」
起こしてくれるのは、有り難いが、殴る蹴る、たまにバールでは襲撃という言葉が当てはまると思う。あぁ、誰かに腹を蹴られた。そのショックで臍から液体が大量に流出した。
「てめら~、腹を蹴るな~!」
俺は怒りにまかせて、布団ごと妹達を撥ねのけた。
ゴトン!
何か固い物が何か固い物に衝突したような音がした。部屋に漂う静寂な空気…その空気を斬り裂くように
「月火ちゃん…ねぇ、月火ちゃ~ん!」
大きい方の妹である火憐ちゃんの絶叫に似た、下の妹である月火ちゃんを呼ぶ声。声に常軌を逸したものを感じた俺は、飛び起き、声のした方に近寄ると…
目に涙を溜めた火憐ちゃん、ぴくりとも動かない月火ちゃん…
父さんと母さんが部屋に入って来て、月火ちゃんの容体を確認するが、首を横に振っていた…これって…
「あなた…どうします?」
「息子を殺人犯として逮捕するか?」
をぃをぃ…俺がやったのか?
「何を言っているの?それでは、子供を二人いっぺんに無くすじゃない」
「では、どうしろと言うのだ」
俺と火憐ちゃんの目の前で、夫婦ゲンカをしだす両親。こんなにも騒がしい状況なのに、月火ちゃんはピクリとも動かなかった。
---代羽有栖---
学校へ行く準備をして、玄関を出ようとすると、伊豆湖さんが待っていた。
「有栖君、お願いがあるんだけど…お父さんを呼び出してもらえるかな?」
はぁ?
「タダでは来ないですよ…忙しいから…」
「そうだよね…供物は用意するから、至急呼んで欲しい案件があるんだ」
「う~、帰宅してからではダメですか?」
「ごめんね、至急なんだ。たぶん、有栖君のお父さんも関わっている話なんだよ」
僕達は、学校へ行くことを断念して、家に伊豆湖さんと連れの人達…この人達って、僕を殺そうとした阿良々木暦の両親じゃないか。
「伊豆湖さん、拒否します。この人達って、僕を殺そうとした人達ですよね?家にあげる訳にはいきません」
困ったような顔の伊豆湖さん。
「そこをなんとか…有栖君にも供物を出すように言ってある。もう、君達に危害は加えない。もし、約束を破るようであれば、私がコイツらを始末する。それでどうかな?」
悩む僕…が、僕の後方…気配を感じない者から、僕は声を掛けられた。
「有栖、受けろ。供物を出すっていうんだ。受けないとダメだぞ」
その声を聞いた伊豆湖さんの頬は赤らんでいく。
「でも、父様」
振り向きながらに、声の主に声をかけた僕。
「阿良々木両親が抱えている物…死体だ。どんな事態でも状況を読め。そして、何をすべきかを考えろ」
死体…あぁ、そうだね。死体を抱えているみたいだ…え?誰の?
「伊豆湖と、阿良々木母だけ入れ、父親は家に帰り息子と向き合え。妹を殺した息子の傷も考えろよ。ケーカンなんだろ?お前は!」
はぁっとして、帰っていく阿良々木父。
「有栖…誰のじゃねぇよ。頭を使え。あの大きさだと、下の妹しか有り得ないだろ?」
言われてみれば…
僕達は家の中に入った。阿良々木母の抱えていた毛布にくるまれていた物体を目の当たりにした。
父様は彼女の亡骸を聖なる布で包み直した。
「その布は?」
伊豆湖さんが質問をした。
「聖なる水に浸して、清めた糸で編んだ布だ。これに包めば、亡骸に宿る悪霊を除霊でき、悪霊が亡骸に取り憑くことができなくなる」
父様は、丁寧に説明した。そして、
「有栖、祈祷部屋を借りるぞ。有栖とシーナ、あと伊豆湖だけついてきてくれ」
僕達は祈祷部屋に向かった。父様の指示した以外に阿良々木母もついてきた。
「おぃ、お前には来いとは言っていないぞ」
父様が、阿良々木母に注意をした。
「私は母親です。何が行われるかを見る権利があります」
「はぁ?権利?伊豆湖、こいつは何を言っているんだ?話にならんが」
「すみません。素人なもので…あなたは、言われた通り下で待っていなさい」
父様に言う口調と、阿良々木母に対する口調が明らかに違う伊豆湖さん。
「しかし、この子の親なんですから」
「わかった。お前を供物にする」
父様から、死を感じさすオーラが阿良々木母に向けて放たれた。彼女はその場で立ちすくむ。
「伊豆湖でしようと思ったが、ソイツでいいや。伊豆湖、ソイツを清めて、台に載せろ」
伊豆湖さんは頷き、淡々と阿良々木母を全裸にして、聖水で洗い清めていく。その間、父ともう1つの台に亡骸を載せて、招魂をしていく。
「シーナ、天国に許可を」
シーナは頷き、転移していった。伊豆湖さんは、洗い清めた阿良々木母を台に載せて、父様の儀式を見守っている。
天国にもらう許可…生き返らせて良いかの許可である。父様の統括しているエリアと、父様の元上司の統括しているエリアでは、父様が天国の長なので許可無しで出来たけど、ここは統括外のエリアなので、許可が必要になる。
『許可がおりました』
シーナからの念話が入り、父様は招魂した魂を元いた亡骸に入魂していく。亡骸の胸の部分が徐々に上下をしだした。
「伊豆湖、終わったぞ」
「ありがとうございました」
伊豆湖さんが父様にお礼を言った。
「さて、では供物として、伊豆湖と母親を貰う。有栖、また来るよん♪」
父様は女性二人と共に転移した。はぁ…父様の供物、女性がオーガズムに達する際に発生するエネルギーだ。僕も姉さんも同じエネルギーを定期的に補給しないとダメであった。なぜか、兄さんとシーナは、そういうことがないのに。悪魔成分が濃いとこうなるようだ。ちなみに父様は悪魔の血は入っていないのだが、進化の過程で、鬼畜な性格が災いしたらしい。
生き返った月火は、聖なる布から出て来た。
「ここはどこ?」
「僕の家だけど…」
「あなたは…あぁ、兄ちゃんをいたぶった奴か?」
「不正解…僕は関わっていない、今回の件には」
「今回の件?」
頭を横に傾け不思議そうな顔をする月火。
「知らないのであれば、スルーする」
「知らないけど…教えて…ねぇ、お願いします」
「タダじゃ嫌だ」
「う~」
唸って考え込む月火。
「じゃ、私の処女をあげるから、教えてください」
はぁい?なんだ、その供物は…もっと他にあるだろう…なんか安い処女だな…って、考えていた僕のアレを口に咥えて、刺激を与え始めていた。ここじゃ、マズイだろう、祈祷部屋なんだから…僕は彼女と僕の部屋に転移した。
転移してから気づいた。既に交わっている月火…交わって、自ら腰を動かして、喘ぎ声をあげていた。僕の主導権は?
そして、勝手に果てていた。一応、オーガズムに達する際のエネルギーは吸収できたからいいんだが、楽しめていないよ~