---忍野扇---
この世界に来た、この世界の者ではない者は、総て消えた。あとは、私がこの世界を正しい方向へと導くだけだ。
神原駿河、千石撫子、戦場ヶ原ひたぎを使って、八九寺真宵を消せば良い。
そうすれば、阿良々木先輩は羽川先輩と一緒になるだろう。そして、近い将来…
---神原駿河---
悪い夢から抜け出せたようだ。戦場ヶ原先輩にはとても悪いことをした。謝らないとなぁ。縁側で佇んでいると、目の前に、後輩の忍野扇が現れた。
「神原先輩、これからですよ」
彼女は私に『猿の手』を手渡してきた。それを無意識で受け取る私。受け取った瞬間、私は…俺は悪魔に戻れた。
---千石撫子---
家に戻り、自分の部屋で寝ている。暦お兄ちゃん…私が殺したらしい。呪いが上手く作動しないで、暦お兄ちゃんの心の隙間に入り込んだ魔女、八九寺真宵の代わりに、暦お兄ちゃんに作動してしまったらしい。
うまく、行かないなぁ…
そんなことを考えていた私の目の前に、忍野先輩がお見舞いに来てくれた。
「撫子ちゃん、これからですよ」
彼女は私に『神様のお札』を手渡してくれた。それを無意識で受け取った私は、お札を飲みこんだ。ふふふ、今度こそ、上手くヤルよ、暦お兄ちゃん♪
---戦場ヶ原ひたぎ---
朝、目覚めると私はお父さんに…何で?お父さんが激しく突いている。お父さんの大きな手が私の乳房を揉みほぐし、乳首を吸う…何で?こんなことをするの…意識が真っ白になっていく。
俺の目の前に忍野扇と名乗る者がいた。
「その身体はご自由にお使いください、重し神様♪」
「あぁ、お主には感謝する。ようやく自由に使える身体を得たよ。ふふふ」
---シュウ---
「どう落とし前をつけてくれるんだ?」
アリス達が赴任した宇宙の絶対神を相手に、交渉をしていた。
「もう、あの世界は終わりだ。狂気で満ちあふれていくぞ。どうするんだ?息子一人、娘二人がやられたんだ。僕が直接手を出してもいいよね?」
契約では、僕は直接手を出して良いとはなっていなかった。まぁ、供物に対する願いを聞き入れることは、神としての当然の行為として、行ってはいたが。
「わかりました。おまかせします。神2柱、悪魔1体、狂気のオーラ1つを退治してください。供物は…」
「はぁ?同業者から供物は貰えないよ。貰うのは報酬だ。お前の宇宙から引き抜く。いいな!」
「仰せの通りに…」
『ナヴィ、依頼を正式に出してもらった。子供達の仇を討ちに行って来るよ』
僕達のチームの連絡を取り仕切っている、ハーフガーゴイルのナヴィに連絡をした。
『了解です団長。各部隊、いつでもスクランブルオーケーです』
じゃあ、行くか!
---レイニーデビル---
俺は通称『猿の手』に封じ込まれていた悪魔のレイニーデビル。ようやく、身体を全部貰えた。これで自由に動ける。自由に殺伐できる。ふふふ。
目の前に刀を携えた獲物が現れた。俺は、屠りに飛び出したが、飛ぶ斬撃を喰らい…
---忍野扇---
レイニーデビルを一撃で屠る?何者だ?アイツは。
「お前が、人々が表に出せない狂気なオーラ蓄積して実体化した忍野扇か?」
なんで、正体がバレているんだ?
「最終目標は、阿良々木暦と羽川翼の間に産まれる子供になることかな?」
なんで、目的がバレているんだ?
「忍野って、忍から取ったんだろ?阿良々木暦の下僕であり、主だった。で、扇っているのは、羽って文字が入っている上、文字の腹の部分に入っているもんな」
そこまで、バレているのか?まぁ、いいさぁ。こっちには神が2柱いるんだから。
「はぁ?神が2柱?あれが神なのか?神族未満じゃねぇか」
何を言っているんだ?神は神だろうに…え?まさか…
「あぁ、名乗っていなかったな。僕は『神殺し』シュウ・ヨハネ・鬼門だ。息子と娘が世話になったよな、忍野扇!」
神殺し…
「僕は、絶対神未満の神を手に掛けても、罪に問われない。手に掛けるのも、僕の判断に任せられているんだよ。ふふふ」
マズい、逃げないと…
「逃げても無駄だ。この世界、いいやこの星は、僕の管轄する宇宙に貰ってきたよ。どこに転移しようが、隠れようが、僕の管轄するエリアからは出られないんだよ。ふふふ」
えぇ…そんな強引なマネをすることができるか?
「改めて、自己紹介しよう。僕は第13宇宙を統括する絶対神だ。ふふふ」
はぁ?おぃおぃ…
「時間を掛けて料理しようか?時間はたっぷりあるからな。ふふふ」
---アリス---
父様の統括する宇宙の僕達の本拠に戻って、療養している僕、シーナ、姉さん。あれから、翼さんの世界はどうなったんだろうか?僕はまだ戦う気でいたのに、父様に退場命令を出され、ここ、医療施設で療養していた。
「どう?調子は?」
僕の病室の担当ナースのあゆさんが声をかけてくれた。
「もう大丈夫です。身体も人型に維持できているし。翼さんの元に早く戻らないと…」
僕のあせる様子を、笑顔で見ているあゆさん。
「あれ?団長から聞いていないんですか?団長はサプライズ好きだからなぁ」
え?父様が何かを仕掛けているんですか?予想が付かないからなぁ、父様のサプライズは。
「もう少し我慢すると良いことがあるかもねっ♪」
あゆさんが病室を出ていってしまった。父様…心臓に悪いことはしないでください。
そして、僕は医療施設を退院した。退院と言っても、僕達の居住区も医療施設も同じ敷地内というか、同じ建造物内にあるんだけど。僕は自分の部屋に戻った。何か、いつもと違う…なんだろう?あれ?なんか部屋が広くなっていないか?なんでだ?
一人暮らしの部屋で割と狭い部類の部屋だったはずが、この前いた世界の家と同じ位の広さがある部屋になっていた。そして部屋の中に部屋がある。なんでだ?
美味しそうな料理の香りがする。その香りに誘われて、ある部屋に入ると…
パン!
クラッカーがなり響いた。クラッカーの主は父様だ…えっ?僕の頬を柔らかな物が襲い掛かってきた。それも両側から…
「「退院、おめでとう♪」」
僕の両耳に、ひたぎさんと翼さんの声が聞こえた。一気に、頭がのぼせるような感覚が、襲い掛かってきた。
「どういうこと?父様…」
「うん?そういうことだよ。孫も見てみたいって思えるんだ。最近…」
更に僕はのぼせていく。
「いや、どういうことなの、父様?」
状況が見えないまま、妄想が膨れていく。
「翼さん達のいた星をねぇ、僕の管轄エリアに貰ってきたんだよ。これなら、ひたぎさんも好きな時に、通えるだろ?」
それって、掟破りでしょ?
「アリス、掟は破る為にあるんだよ。破られない掟は暗黙の了解っていうんだ。覚えておけよ」
いや、それは屁理屈だって…
「じゃ、終わったの?」
「終わったよ。狂気の大元は判明した。アレは阿良々木暦の創り出した狂気だ」
はぁ?
「吸血鬼になって不条理さを嘆いた。その嘆きが狂気のオーラの核だったんだ。嘆きには友達となった翼さんへの強い想いもあり、その思念が核に活力を与え、あの世界の人々の、表に出せない狂気な想いを吸収して成長していったんだ。狂気のオーラ体、忍野扇っていうんだけど、吸血鬼になった不条理さから忍野忍の忍野を名乗らせて、翼さんへの強い想いから扇…羽という文字を名乗らせたのさ。カラクリが分かれば、簡単な物だよ」
「結末はどうなったんですか?」
「うん?ここは僕の管轄エリアだよ。僕の想うとおりに世界を構築できる。不条理に振り回された人々は、元の生活に戻した。例外は阿良々木暦と八九寺真宵夫婦と、翼さんひたぎさんが、お前の奥様になったことかな♪」
えっ?僕の奥様?どういうこと?父様は1枚の写真を、僕に見せてくれた。昏睡状態の僕の両側に花嫁衣装のひたぎさんと翼さんが立ち、父様は司祭の服装をしていた。
「ちょっと…僕の意識が戻る前に…」
「あぁ、早いほうがいいと思って、婚礼の儀式はもう終わっているよ。だから、アリス、孫の顔が見たいんだよ♪」
とってもにこやかな父様の顔に、文句が言えない僕であった。結果良ければってことになるのかな?